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all words by Dr.NORIHIRO KOMIYAMA

犬の飼い方と病気

犬の拡張性心筋症(犬の拡張期性心筋症)
―最も多い犬の遺伝性の心臓病―


                 ■犬の心筋症とはなんですか?
                 ■心筋症に成り易い犬種は?
                 ■遺伝病であるならば注意する点はありますか?
                 ■いつ頃からこの病気は起こるのですか?
                 ■大型犬の心臓病と聞きましたが?
                 ■まれに起こる、犬の肥大性心筋症について
                 ■この病気の最大の問題点は何ですか?
                 ■犬種によって症状に違いはありますか?
                 ■ボクサーの拡張性心筋症について
                 ■ドーベルマン・ピンシャーの拡張性心筋症
                 ■グレートデンの拡張性心筋症
                 ■コッカースパニエルの拡張性心筋症
                 ■飼い主ができる拡張性心筋症の看護法はありますか?
                 ■犬の拡張性心筋症の予後はどうですか?
                 ■私の犬の予後はどうでしょうか?治療の監視は何をするのですか?
■犬の心筋症とはなんですか?
心臓の筋肉の構造的または機能的な病気を言います。遺伝性の病気として有名です。その原因はいまだ不明ですが、L−カルニチンの不足を疑う説もありますがはっきりしません。犬の心筋症には、大きく分けると拡張性心筋症と肥大性心筋症があります。拡張性心筋症は拡張期性心筋症とか拡張型心筋症とも呼ばれています。殆どの犬の心筋症は拡張性心筋症です。犬の肥大性心筋症は非常にまれにしか起こりません。
■心筋症に成り易い犬種は?
特にボクサー、ドーベルマン・ピンシェル、コッカースパニエル、グレートデン、 セント・バーナード、オールド・イングリッシュ・シープドッグ、ニューファンドランド、アイリッシユ・ウオルファンド等の犬種は起こりやすい犬として知られています。コッカースパニエルを除いてほとんど大型犬に認められます。性差は雄が雌の1.5倍多く、発症します。ゆえに典型的には、好発犬種で年齢は3〜7歳の雄と言うことになります。ゆえにこれらの犬種の飼い主の方は、成犬になったら毎年の定期健診が最も重要です。
最初にこの病気が疑われるサインは、獣医師が行う聴診です。こられの犬種をお持ちの飼い主の方は、 成犬になったら最低年1回(たとえば誕生日に行うのはどうでしょうか?)は聴診(心臓の音を注意深く聞くこと)してもらい、雑音やギャロップリズム(奔馬調律―馬の走っている足音のような軽快なリズムでパカパカ、パカパカのリズムでパカ、パカ、パカ、パカではない)が聞えたら拡張性心筋症を疑うことができます。また心電図も記録します。もし心房細動、心室性早期拍動、頻脈、があれば疑えるので、そんな場合は心臓のX線検査をして心臓の超音波検査にてその程度を判定する必要がある。しかしこれらの検査はどこの動物病院でもできる検査ではないので、心臓に専門性のある動物病院に行く必要があるでしょう。

■遺伝病であるならば注意する点はありますか?
はい、この問題もとても重要です。この病気が起こった犬は、繁殖をしてはなりません。この遺伝病が永遠と続く可能性が高いからです。前記した好発犬種を繁殖する際には、あらかじめ心臓の超音波検査にて、この病気があるかを確かめるべきです。そしてこの病気を根源から絶つことが重要です。繁殖家の方はこの点に十分に御注意ください。当動物病院では、繁殖犬のために、心筋症があるかどうかの判定の証明書を発行しています。

■いつ頃からこの病気は起こるのですか?
この病気は成犬になってから(adult onset)起こる病気です。重度の場合はたいへん早い時期すなわち8〜12ヶ月に発症する場合もあります。しかし多くの場合は成熟した年齢で起こります。おおくは3〜7歳の大型犬の雄に起こります。
■大型犬の心臓病と聞きましたが?
とにかく大型犬が心臓病になったら、まずこの拡張性心筋症を最初に疑うべきです。大型犬の心臓病はほとんどがこの拡張性心筋症です。米国で良く言われることですが、犬の心臓病は、犬を片手持つことができれば(即ち小型犬の場合は)心内膜炎―弁膜の障害(例えば僧帽弁閉鎖不全)、犬を両手でしか持てなければ(即ち大型犬の場合)は拡張性心筋症をまず最初に疑うと言う原則があります。但しこれは2歳以下の先天的(生まれつきの)心臓病や心臓糸状虫症(フィラリア症)を除いての話です。しかし一部の拡張性心筋症は心内膜炎も同時に併発している場合もあります。
■まれに起こる、犬の肥大性心筋症について
ごく希に拡張性心筋症でなく、肥大性心筋症の大型犬がいますが、多くは気がつかないで、突然死をして始めて判る(検視―死体の解剖によって?)ことが多いようです。例えば急にストレスが掛った場合、例えば麻酔等をした場合に急に突然死が起こった場合に疑います。また偶然に何かの機会で心臓の超音波検査をした場合に見つかることもあります。肥大性心筋症は普段はまったく正常の犬が多いので、わからないのです。大型犬の突然死にはまず最初にこの肥大性心筋症を疑う必要があります。特にジャーマン・シェパードはこの病気に気をつける必要があります。特にジャーマン・シェパードの突然死にはこの病気から疑います。
この病気の最大の問題点は何ですか?
この病気の最大の問題点は治療のむずかしさにあります。犬の心臓病はある意味では診断は簡単な場合が多いのですが、この拡張性心筋症の診断には心臓の超音波検査が必要なので、診断はあまり簡単ではありません。しかし例え診断が付いたとしても、問題はその病気の程度にもよりますが治療です。この治療がとても難しく困難な場合があります。まだ人間の医学のように犬の心臓病は治療のデータがあまりないので、どの治療が最も良いかの判定がむずかしいのです。それゆえに獣医師は根拠に基づいた獣医療を行う必要があります。ただ心臓に良く作用する?程度の薬剤では、この病気の治療は不十分であると言えるからです。犬の心臓病にあまり興味がない獣医師の所に連れていっても、軽く?聴診をして何でもないですよ、あまり神経質にならない方が良いでしょう、とか言われ、病気が深く進攻する場合があるので、飼い主は気をつけるべきです。
予防接種の時などにしっかし聴診してもらい、調べてもらうのが良いでしょう。しかし犬が大型のため獣医師にとって人手が必要になる場合があるので、これがこの問題をより複雑にしています。

犬種によって症状に違いはありますか?
はいあります。ドーベルマン・ピンシャーは咳から始まる場合が多く、腹水がたまりやすいのはグレートデン、失神をするのは、ボクサーとドーベルマン・ピンシャーです。
また心電図の所見も違い一般的には、拡張性心筋症の不整脈は心房細動ですが、ボクサーとドーベルマン・ピンシャーは、心室性早期拍動と頻脈(脈が多い、速い)が心房細動より多いのが特徴です。

■ボクサーの拡張性心筋症について
ボクサーの心筋症は、心筋症の中でも特別に扱われるとこが多く、特にボクサー心筋症とも呼ばれています。この病気が起こる年齢はさまざまですが、高齢になるほど起こり易いものです。特に失神が起こりやすく、多くは不整脈(心室性不整脈の早期拍動が多い)が原因です。通常拡張性心筋症の犬は心房細動と言う不整脈が多いのですが、この犬種は、心室性早期拍動と頻脈(脈が多い、速い)が心房細動より多いのが特徴です。
また呼吸困難、腹水も特徴です。ゆえにボクサーが失神したらこの病気から疑います。また電解質の異常(血液中のナトリウムやカリウム等)にも注意が必要です。
このボクサーの心筋症は、不整脈原性右室心筋症すなわち不整脈が右心室から惹起された(誘発)心筋症で、心内膜が進行性に繊維性の肥厚と同時に心筋が繊維化することによって心室の拡張が制限される心筋症。(ARVC arrhymogenic right ventricular cardiomyopathy)とも呼ばれ、人間の若年に起こる拡張性心筋症と似ていることが指摘されています。問題は心不全があるかないかです。予後は警戒すべきで、元気そうでも突然死が起こることがあります。通常は治療しても6ヶ月以内から長くても2年以内に死亡します。飼い主が判る予後の推定は体重が低下することです。ボクサーの体重が低下してきたら危険な状態と判断できます。故にこの病気を持つ飼い主は、必ず最低でも毎月1回は体重の測定が必要です。

■ドーベルマン・ピンシャーの拡張性心筋症
ドーベルマン・ピンシャーの心筋症とも呼ばれ、心筋症の中でも他の犬に比較して最も予後が悪いのが特徴です。また犬の心臓病の予後の判定は体重が指標となりますが、このドーベルマン・ピンシャーは筋肉質の犬のせいか、特に見た目には体重が低下しないのが特徴です。しかし飼い主は必ず最低でも毎月1回は体重の測定が必要です。
またこの犬の特徴としては、不整脈がありますが、通常拡張性心筋症の犬は心房細動と言う不整脈が多いのですが、この犬種は、心室性早期拍動と頻脈(脈が多い、速い)が心房細動より多いのが特徴です。残念ですが多くは突然死と言う経過に至るようです。
ゆえに普段からの検診(予防接種の時など)が重要です。もし症状がまったくない場合に雑音やギャロップリズムが存在したり、心電図で不整脈が認められたら、その後にほとんどが心筋症を発症します。この時に見つけるのが意義のあることです。また特にこのドーベルマン・ピンシャーにもしホルター心電図(24時間監視できる心電図―24時間で心室性早期拍動が2つ又は3つ続いたり、または50以上認められたりすると拡張性心筋症を疑うことができる)を使用すると心室性の不整脈が発症する前に、心室の拡張と収縮の機能障害が判るので大変有益となりますがこの装置は大変高価なのが欠点と言えます。
■グレートデンの拡張性心筋症
我国では拡張性心筋症の大型犬の3大犬種と言えば上記した、ボクサー、ドーベルマン・ピンシャーとこのグレートデンです。この グレート・デーンの拡張性心筋症の特徴は、腹水です。この腹水(お腹が膨らんでくる)は体重の減少と共に、この病気の予後の判定に重要です。お腹が膨らんでくると言えば、蛇足ながらこのグレートデンは胃捻転の好発犬種としても有名です。中年になったら、早く食事をする傾向の犬は、数回に分けたり、ゆっくり食べさせたり、食後安静を保つ興奮させない等を訓練する必要があります。とにかく食後、お腹が膨らんできたら要注意で、できるだけ早く動物病院へ連れて行きましょう。心電図にての不整脈は心房細動があるかどうかです。ゆえに普段からの検診(予防接種の検診時など)が重要です。もし症状がまったくない場合に雑音やギャロップリズムが存在したり、心電図で不整脈が認められたら、その後にほとんどが心筋症を発症します。この時に見つけるのが意義のあることです。またグレートデンはX-lined disease(X連鎖病)と呼ばれこれは染色体が関係していて、母親が拡張性心筋症で生まれた息子、父親が拡張性心筋症で生まれた娘は特に高率に拡張性心筋症が発症することが知られています。ゆえにこれらの関係を聞くことが発症するかの判定に重要な鍵となります。これらの家系は潜在的にこの病気を持つキャリア(素因を持つ犬)です。
■コッカースパニエルの拡張性心筋症
この病気の多くは大型犬に起こる病気です。しかし例外としてコッカースパニエルは大型犬でないのに、この病気が起こります。またコッカースパニエルの拡張性心筋症は原因がタウリンの欠乏によるものではないかとも疑われていますが、まだはっきりしていません。しかしながらタウリンを測定をするとその濃度が低い(犬の正常のタウリン濃度は44-224nmol/ml)ことが指摘されているようです。もしタウリン濃度が低ければ、12時間ごとに500mgを経口投与するのも一つの方法です。またL−カルニチンの不足を疑う説もあります。このコッカースパニエルは我が国では、大型犬より多く飼育されており、小型犬に多発する心内膜炎―弁膜の障害(例えば僧帽弁閉鎖不全)と混合されて診断されないように注意が必要です。診断には心臓の超音波検査が必要です。しかし幸運なことに、心内膜炎と拡張性心筋症の治療はかなり似ていますので、重度でなければある程度治療が効いていると思って良いと思います。またもちろん心内膜炎が本当に併発している場合もよくありますが、心内膜炎は程度にもよりますが、すぐには命に関わることはあまりないようです。しかしコッカースパニエルの心臓病の確率としては断然、心内膜炎―弁膜の障害(例えば僧帽弁閉鎖不全)の方が多いものです。
■飼い主ができる拡張性心筋症の看護法はありますか?
はい、いろいろとあります。まずは体重の測定です。犬の体重がどんどん減少したら、それは、拡張期性心筋症が進んでいると解釈します。この状況は癌をもつ犬と同じ状況です。次に心拍数の測定です。安静時に心拍数が120以上(興奮時には180以上)あれば、治療が不足しています。ジキタリスの量が不足している場合が多いようです。

1) できれば週1回、最低でも月1回の体重の測定。
2) 心臓用の特別な特別療法食を与える。
3) 心拍数を飼い主自身が測る。
4) 心臓の部分を両手でそっと触れて拍動を調べる。
5) できるだけ興奮をさせないようにする。
6) 状態が悪ければ安静を保つ。
7) 頚静脈の拍動を調べる。両側を毛刈りしておく。
8) 水分を切らさないようにする。
9) 運動不耐性があれば、運動の制限をする。


■犬の拡張性心筋症の予後はどうですか?
残念ながら予後はなかなか難しいものです。一般的な拡張性心筋症の予後は、残念ですが、通常は治療しても6ヶ月から長くても2年以内に死亡します。特に好発犬種はより短いことが予想されます。ゆえに治療とその監視が問題となります。しかしどんな良い治療をしても病気の重症さには勝てない場合あります。理解してもらいたい点は心臓病は治療は可能ですが、治る完治すると言うことはありえません。この病気が進むのをできるだけ遅くすると言うことです。ですから、いかに進行を遅らすか?それは治療の効果がどれほど出ているかを常に監視することです。程度によりますが最低でも1ヶ月に1回は必要と思われます。

■私の犬の予後はどうでしょうか?治療の監視は何をするのですか?
予後の判定にはいろいろの検査項目があります。本格的なモニターには、それなりに、犬の心臓病を専門的にトレーニングされた獣医師が行うのが理想的です。なんども言いますが、普段からの検診(予防接種の検診時など)が重要です。もし症状がまったくない場合に雑音やギャロップリズムが存在したり、心電図で不整脈が認められたら、その後にほとんどが拡張性心筋症を発症します。この時に症状が出る前に見つけるのが意義のあることです。

1)体重の測定、前回と比較します。
2)心臓に手を押し当てて拍動を感じ取ります。
3)聴診(心臓の音を注意深く聞くこと)です。雑音やギャロップリズム(奔馬調律―馬の走っている足音のような軽快なリズムでパカパカ、パカパカのリズムでパカ、パカ、パカ、パカではない)の程度を毎回調べます。
4)頚静脈拍動も調べます。
5)心臓と股動脈の拍動が一致するか調べます。
6)腹水の存在があるか調べます。
7)心電図を取り、不整脈があるか調べます。特に心房細動、心室性早期拍動、頻脈を調べます。
8) 胸部X線検査。特に左心房、左心室の拡大、及び肺静脈の拡張と肺水腫の存在を調べます。
9) 胸部超音波検査。特に現在無症状の拡張性心筋症を見つけだすのに有効な手段です。左心房と左心室の拡張と収縮の機能障害(短縮率の低下、正常は35−45前後)
を中心に調べます。

Dilated Cardiomyopathy (DCM) is the most common inherited canine hart disease. Sudden cardiac death can be occur any time. Mostly cardiomyopathy are influenced by genetic factors, that is to say breed, body size, and sex. Cardiomyopathy are seen in many giant, large, and medium-sized dogs, including some Boxers and Doberman Pinschers, English cocker spaniels. Atrial fibrillation(arrhythmia ) was the most common happens. Auscultation is most important.