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all words by Dr.NORIHIRO KOMIYAMA

モルモットの飼い方と病気

性質について
食餌について
住まいについて
予防的看護
早見表
一般的に見られる臨床的疾患状態
人獣共通伝染病の可能性

『エキゾチックペット獣医学ハンドブック』
(日本ベェツ・グループ発行)
モルモットの項目より一部を転載
■性質について
モルモットは通常おとなしく、攻撃的ではなく、めったに噛んだり引っかいたりしない。もし驚かせると、モルモットは捕まえるのが難しいぐらいの大変速いスピードで、囲いの周囲まで走っていくかもしれない。
■食餌について
食餌は20%の粗蛋白、16%の繊維を含む市販のモルモット用食餌が良いであろう。モルモットは補助食としてビタミンCが必要となる。毎日飲み水に50mg/カップ(236ml)を加え、毎日ビタミンCを多く含む食物を1回かそれ以上含ませる。

モルモットの腸管は敏感で、食餌を突然変更すると、結果として、胃腸器系の不調や食欲不振を起こすことがある。またモルモットは、排便するために餌箱に座ることがあるので、餌箱は定期的にきれいにすべきである。水飲み容器は毎日きれいにすべきで、水は毎日取り替えるべきである。
■住まいについて
住まいについては、囲いはワイヤーで作られた(メッシュサイズ:1.2×3.8cm)もので、1頭の成獣当たり、最低でも30cm×30cm×30cmの寸法があるべきである。寝床は、多いほど良く、堅木の削りくず、再生紙を原料とした合成物、ペレット、細かく切った紙等を使用するが、寝床は、糞便や尿の湿気がたまるのを避けるために、頻繁に交換しなければならない。眠ったりあるいは驚いたときに隠れるための箱があるとさらに良いであろう。

潜在的感染にてBordetellaボルデテラ属の細菌を持つ可能性のある動物種(ウサギ、ネコ、イヌ)とモルモットを一緒に飼育しないこと。重度の疾患を引き起こす原因となる。また室温の範囲は12.7〜21.1℃で26.6〜29.4℃を越えると、熱射病を起こす原因となるかもしれない。月1回ほど体重を測り、異常がないか調べるようにするとさらに良い。
■予防的看護
・質の良いモルモット用の食餌に、毎日補助的にビタミンCを加えて与える。
・必要なら、足指の爪を切りそろえる。長毛種では、櫛ですいたりブラシをかけたりする。
・前歯が伸びすぎることがよくあるので、切りそろえるかやすりがけが必要。
■早見表
生理学
寿命 4〜8年(室内飼育で平均5年)
成獣の雄の体重 900〜1200g
成獣の雌の体重 750〜900g
直腸/体の温度 37.2〜39.5℃
体表面積 9.5cu/g
染色体数(二倍体) 64
食物消費量 6g/100g/日
水分消費量 10ml/100g/日
胃腸管通過時間 13〜30時間
呼吸数 42〜104/分
1回換気量 2.5〜5.3ml/kg
心拍数 230〜380/分
血液量 69〜75ml/kg(7ml/100g)
血圧 80〜94/55〜58mmHg
歯列 全ての歯がオープンルート
1/1切歯、1/1小臼歯、0/0犬歯、3/3大臼歯

生殖
雄=boar  雌=sow
春期発動期(雄) 9〜10週
春期発動期(雌) 6週
繁殖開始(雄) 600〜700g(3〜4ヶ月)
繁殖開始(雌) 350〜450g(2〜3ヶ月)
発情(発情周期) 15〜17日
発情
(雄を受け入れたとき)
1〜16時間(平均8時間)
妊娠期間 59〜72日
(子どもが大きいほど期間が短くなる)
分娩後発情 受精能力あり、60〜80%が妊娠する
胎児数 1〜6(平均3〜4)
出生時の体重 60〜110g
子どもの発育度 早熟
授乳 分娩後5〜8日までピーク
(23日までに無乳になる)
離乳する時期 150〜200g、14〜21日
繁殖適期
(商業用の場合)
1.5〜4年(4〜5匹の仔ラット)
出産頭数
(雌当たりの指標)
0.7〜1.4/月
ミルク組成 脂肪4%、蛋白8%、乳糖3%、水分83%、固形16%

■一般的に見られる臨床的疾患状態
・咬傷
・斜頚
・頚部の膿瘍
・壊血病
・妊娠に関連した脱毛
・体重減少
・不正咬合
・突然死
・食欲不振
・下痢
・肺炎
・外傷
・流産
・足皮部の皮膚炎
■人獣共通伝染病の可能性
・皮膚糸状菌症:Trichophyton mentagrophytes毛瘡(白癬菌)
・疥癬ダニ:Trixacarus caviae(穴を掘るダニ:ヒゼンダニ)
・サルモネラ:モルモットの病原体はまれ
・Yersinia pseudotuberculosis(エルシニア・シュードツベルクローシス)
・モルモットの抗原に対するアレルギー反応:毛、皮膚、鼻炎、発疹、喘息
・ノミ:イヌおよびネコ

病気のモルモットはストレスを受けやすいので、取り扱いには注意しないと耐えられなくなる。一般論として、いかなる病気やストレスに対してもビタミンCを補給する。