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all words by Dr.NORIHIRO KOMIYAMA

ウサギの飼い方と病気

性質について
食餌について
住まいについて
予防的看護
雌雄の判別法
早見表
繁殖と飼育法
母親のいない仔ウサギのためのミルクの配合法
ウイルス性疾患
一般的に見られる臨床的疾患状態
人獣共通伝染病の可能性

『エキゾチックペット獣医学ハンドブック』
(日本ベェツ・グループ発行)
ウサギの項目より一部を転載
■性質について
ウサギの行動はかわいくて静かで、温和なペットとなる。ほとんどは従順な性質である。恐怖で悲鳴を上げたり、時折警戒のうなり声をあげたりすることが、通常発声された音として聞かれる。後肢をドンと踏みならすことは、警戒の信号として使われている。

盲腸便の糞食は必要であり、大抵夜明け頃に摂食される。朝の盲腸便は、小さくて柔らかく、粘液に覆われており、丸ごと飲み込まれる。それはウサギが植物原料を消化するのを助ける役目をしている。多くのペットウサギは、ハーネスや革ひもに慣れさせることができる。

ウサギは容易にトイレのしつけができる。ウサギのトイレに使用できるものは、ペレットペーパーあるいは他の有機物、例えばセルロースの断片、昨日の新聞(両方とも再生紙)、ヤマネコ用の仔ネコ用トイレあるいは収穫した寝わら(ペレットグラス産品)、あるいは似たような種類のものが望ましい。

トイレに使用する製品は、もし食べても毒性がなく、消化できるものでなくてはならない。トウモロコシの穂軸、クルミの殻、削りくずあるいは粘土のくずは使用しない。

ウサギは毎日濁った匂いの強い尿を排泄し、小さく丸い糞便を大量にする。
■食餌について
ウサギの食事は草食動物で、絶え間なく食べる("少しづつもぐもぐ食べる動物"である)。推奨される毎日の食餌は以下のようなものである。

無限にある色々なイネ科の乾草あるいはチモシーの乾草。
高繊維のメンテナンスタイプのラビットフード(18%あるいはそれ以上の繊維)は、大人のウサギ(自宅繁殖させていない)の体重2.25kg当たり22.5g(1/8カップ)以上は与えない。
毎日濃緑色あるいは濃黄色の野菜の中で異なる3種類を選ぶ。例えば、アルファルファの芽、バジル、ビートの若葉、ブロッコリーの葉、芽キャベツ、ニンジンやニンジンの葉、コエンドロの葉、コラードの若葉、エンダイブ、ピーマン、パセリ、コスチャ、ケール、キャベツの外側の葉、キイチゴの葉、カモジグサ類、シバムギ、エンドウのさや(エンドウではない)、カボチャ、タンポポの葉。
体重2.5kg当たり(減量していないのなら)全量で大さじ1〜2杯だけの少量のフルーツ(3種類まで)。
高繊維のフルーツを置いておく:リンゴ、モモ、プラム、洋なし、メロン、キイチゴ、パパイヤ、ブルーベリー、ブラックベリー、イチゴ、パイナップル。
甘いフルーツは避ける:バナナ、ブドウ。

■住まいについて
住まいは、囲いはウサギが噛んで逃げ出すのを防ぐため、十分に丈夫なものにすべきである。部分的に頑丈なフローリングが奨められる。不潔な床の上、あるいは100%鉄条網でできた床で飼育されたウサギは、治療が必要となるぐらいの重度の足の潰瘍を起こす。

住まいは、一般に風、雨あるいは雪を防ぐ隠れ家ともなるように、また、直射日光や強い日差しを防ぎ日陰となるようにする。湿気、極端な気温、不安、他の動物(野生動物や飼われている動物)から守っていけるように、住まいを作るべきである。

野外飼育のウサギでは、たまった糞便はウサギ小屋から遠くへ離して堆肥にする。住まいの下にためておいてはいけない(空中に舞い散ったり、他の動物がこの汚物に関心を持つ)。ペットとしてのウサギは、ウサギのために作られた住まいを持たねばならない(電気コード等から距離を置くこと)。
■予防的看護
衛生管理は大変重要である。つまり、糞便や尿が通り抜けるような住まいの床でさえ、下に落ちた糞便や尿がたまらないようにすべきである。
・柔らかい毛を週に1〜2回はブラッシングしたり、櫛でといたりする。また、長毛種は毎日行う必要がある。
・必要に応じて爪を切る。
・もしウサギを室内飼育しているなら、グルーミングの次に、ネコ用の緩下剤あるいはパイナップルジュースを少量飲ませると、特に毛球症を防ぐことができる。
・地域によっては、週に1〜2回"ウサギに対して安全な"ノミ・昆虫の予防剤で処置する。
・少なくとも月1回はウサギの体重測定をする。
■雌雄の判別法
雌雄の判別法は、雄のウサギでは、ペニスが肛門にかぶさっている。そして、生殖開口部の両側をやさしく押すと、突き出させることができる。

雌雄どちらにおいても、鼠蹊部の袋が、泌尿器生殖器の開口部の横に位置している。そして、強い匂いの濃い色をした腺の分泌液で満たされている。
■早見表
生理学
寿命 5〜6年あるいはそれ以上
成獣の雄の体重 2〜5kg(品種による)
成獣の雌の体重 2〜6kg(品種による)
体表面積
直腸温 38.5〜40℃
二倍体染色体数 44
食物消費量 5g/100g/日
飲水消費量 5〜10ml/100g/日あるいはそれ以上
胃腸管通過時間 4〜5時間
呼吸数 30〜60回/分
1回換気量 4〜6ml/kg
酸素消費量 0.47〜0.85ml/g/時間
心拍数 130〜325回/分
全血液量 57〜65ml/kg
血圧 90〜130/60〜90mmHg
歯列 ・大きな上顎の切歯の後ろに2本の小さな管状の形をした切歯。
・全てオープンルート。
・切歯の成長は1年で10-12cm。
歯式 2-0-3-3/1-0-2-3

生殖
雄:buck 雌:doe
繁殖開始時期(雄) 6〜10ヶ月
繁殖開始時期(雌) 4〜9ヶ月
性周期の期間
(発情周期)
誘発排卵
妊娠期間 29〜35日
分娩 安産
分娩後発情 なし
胎児数 4〜10
仔ウサギ kittensあるいはbunniesという
出生時の体重 30〜80g
離乳する時期 4〜6週齢
繁殖適期 1〜3年
繁殖存続期間
(商業用の場合)
年に7〜11回子を生む
出産頭数 月に2〜4
ミルクの組成 脂肪12.2% 蛋白10.4% 乳糖1.8%

■繁殖と飼育法
繁殖と飼育法は、雌が容易に立ち上がれるくらいの十分な大きさの家を作るために、厚紙の箱あるいは木製の箱を使用する。雌ウサギが、箱の中で多くの時間を過ごすことになると、仔ウサギを踏みつけてしまうかもしれないので、大きすぎてはいけない。

雌ウサギは飛び込んでも入れるようにするが、仔ウサギは飛び出せないような高い出入口を、側面に(15.24cm床から離して)切って作る。仔ウサギの目が開いたら、仔ウサギが上り下りできるくらいの高さに出入口を低くする。

巣は通常、雌が自分でむしり取った毛を並べて作られる。もし雌の毛がなければ、フランネル、テリークロスあるいは化粧紙を使う。それが汚れたら取り替える。仔ウサギのために暖かい環境を準備する。箱の一側面の下の方に保温パットを備え付ける(雌ウサギがコードに触れないようにしておく)。これは巣がウサギの毛で作られなかったときにだけ必要となる。室内飼育では、毛で作られた巣は十分暖かい。

ウサギは、子どもに1日1回しか(まれに2回)授乳しない。母ウサギは授乳している一時的な間しか、仔ウサギのそばにいない。仔ウサギが授乳されているかどうか確認するために、飼育者に1日1回調べるように助言する。

仔ウサギの目が開く(10日目)までは、必要以上に邪魔しないようにする。もし何か不審に思うときは、毎日同じ時間に1日1回仔ウサギの体重を測る。仔ウサギを触ることをためらわないようにする。

皮膚にしわが寄っていなかったり、仔ウサギが暖かく、一緒に群になっているときは、その仔ウサギは授乳されていることになる。たとえ雌ウサギが最初の1日、仔ウサギに授乳しに姿を現さなくても、飼育者に仔ウサギを離してしまわないように伝える。雌ウサギは、ゆっくり授乳を始めるかもしれない(最初の授乳は仔ウサギ誕生から24時間であることがよくある)。それから、2-3日で(誕生から4日目までに)授乳できるようになるかもしれない。

仔ウサギが最初の2日間ずっと授乳されていないならば、補助的な給餌を行わなければならない。もし何頭かの仔ウサギで皮膚にしわが現れたら、1日1回か2回、補助的な給餌を行う。授乳が終わるたびに、排尿/排便をさせるため、仔ウサギを刺激する。綿花を丸めてぬるま湯に少し浸したものを使う。あるいは指で仔ウサギのお尻をやさしくこする。眼が開いたら、ペレット、若葉、乾草を与え始める。離乳時には、盲腸便あるいは母親の糞便を粥状にしたものを加える。

■母親のいない仔ウサギのためのミルクの配合法
ミルクのタイプ 固形% Kcal/ml 固形%として
脂肪 炭水化物 蛋白 灰分
ウサギ 31.2 2.06 49 32 6 6
ノウサギ 32.2 2.01 46 31 5 -
KMR Sub※ 33 1.78 26 43 22 -
エスビラック 33 1.78 43 34 15 -
マルチ-ミルク NA NA 30 55 NA -

※Pet-Ag
提案 : 脂肪と蛋白を増やすためにKMRあるいはエスビラックに卵黄かマルチ-ミルクを加える。また、乳酸も加える。

年齢による1日当たりの代用ミルクの総要求量※
年齢 KMR 乳酸菌ミルク※※
新生児 5ml 0.5ml
1週齢 12〜15ml 1ml
2週齢 25〜27ml 1ml
3週齢 30ml 2ml
離乳まで 30+ml 2ml

※1回の給餌で授乳しない。ボトルで2回給餌に分ける。あるいは注射筒でいくつか(望ましい量より少し少なく)に分ける。

※※仔ウサギ用代用ミルクのための市販の乳酸菌ミルク。1日に少なくとも2回給餌で授乳する。授乳量は品種の大きさによって様々である。
■ウイルス性疾患
ウイルス 臨床徴候
粘液腫ウイルス(ポックス) 顔面浮腫、結膜炎、腫瘍、皮膚病変
乳頭腫ウイルス 皮膚の乳頭腫
口腔内乳頭腫ウイルス 口や舌の裏の乳頭腫
ロタウイルス 下痢
コロナウイルス(全身性の) 胸水、心筋症
コロナウイルス(腸性の) 下痢
カリシウイルス 出血、肝臓壊死
■一般的に見られる臨床的疾患状態
胃腸内の疾患 ・24-28時間以上の食欲不振
・下痢あるいは糞便を認めない
・骨折(肢あるいは背部)
・創傷(自己損傷、環境、あるいは他の動物から受けた傷)
・眼の傷(Pasteurellaパスツレラ属が病因として根元?)
・飛節のただれ(細菌性の二次感染による問題を管理する)
老齢動物の状態 ・腫瘍
・心臓病(動脈硬化症、心筋症、アテローム性動脈硬化症)
神経学的徴候
(発作/痙攣)
・脳炎
・エンセファリトズーン症
・内耳炎(Pasteurella sp.パスツレラ属)
・中毒(鉛)
・代謝性疾患
呼吸器系疾患 ・呼吸困難
・肺炎
皮膚疾患 ・重度のそう痒症:ノミ
・蝿蛆症?:キュテレブラ属(通常室外飼育のウサギに見られる)
熱ストレス/日射病 ・発熱
難産、乳腺炎

ウサギの胃腸疾患に関するいくつかの原因として、

・毛球停滞
・異物
・食餌の中にある小さすぎるあらい食べ物
・盲腸内容うっ帯(Clostridium spp. クロストリジウム属)
・その他の細菌が関連した"腸性毒血症"
・細菌の二次感染を伴った重度コクシジウム感染
・歯の成長過剰/不正咬合(時々二次的にパスツレラ感染を起こす)。・食べることによる物理的損傷。
■人獣共通伝染病の可能性
・キャンピロバクター
・Taenia taeniaeformis
・ウサギに噛まれたり引っかかれたりすることによる細菌感染
・Psorptes sp. ソロプテス属
・ネコ条虫
・皮膚糸状菌症
・Cheyletella sp.
・Sarcoptes sp. ヒゼンダニ属
・Multiceps serialis
・ツメダニ属
・ムルチセプス・セリアリス
・サルモネラ
・野兎病
・パスツレラ