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all words by Dr.NORIHIRO KOMIYAMA

早期避妊手術、早期去勢手術のすすめ

2017/9/18 第3回改訂

去勢・避妊手術についても併せてご覧下さい。

◇早期不妊手術について◇
生後6-14週間で避妊手術や去勢手術が行われています
現在全米で150万頭以上の犬猫が早期不妊手術を受けました
この手術の副作用はまだ論議中ですが、猫では有益性が優位とされています
誰が早期不妊手術を考案したのですか?
なぜ早期不妊手術が考案されたのですか?
米国のアニマル・シェルター(動物保護施設)における問題とは?
本当に米国では早期不妊手術が支持されているのですか?
早期不妊手術は、通常の避妊・去勢手術と何か違う点がありますか?
早期不妊手術の場合の麻酔はどのようにするのですか?
早期不妊手術の場合の費用は普通の手術と変わりますか?

◇避妊手術・去勢手術とは?◇
犬・猫の避妊手術、去勢手術とは?
雄の去勢手術
雌の避妊手術(避妊手術後の肥満について)
避妊手費術、去勢手術の用について

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◇早期不妊手術について◇

生後6-14週間で避妊手術や去勢手術が行われています

不妊手術(去勢・避妊手術)を行う時期については、以前から6-9カ月(大型犬は1歳以降と遅くなる傾向があります)、メス猫では5ヵ月以降、しかし20年程前からアメリカでは、手術の時期について新しい提案が広く受け入れられるようになっていますが、最近は副作用の論議から少し時期を遅くしている傾向があります。

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現在全米で150万頭以上の犬猫が早期不妊手術を受けました

早期の不妊手術は、今までの獣医学の常識を破る画期的な提案とは言え、全米の獣医師間で多くの論争を生みました。しかしアメリカで本格的に採用されて20年たった現在、推定ですが150万頭以上がこの方法で手術を受けています。

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この手術の副作用はまだ論議中ですが、猫では有益性が優位とされています

大きな副作用などがある場合、たとえ動物のためと言っても医学的に受け入れられません。しかし、多くの犬猫が早期の不妊手術を受けているにも関わらず、現段階で医学的な副作用のために辞めるべきとの論議はほとんどありません。主にこの手術は、現在動物数の過剰問題に関心を持つ獣医師を中心に受け入れられています。
この早期の手術に関わらす、通常の不妊手術でも副作用があるのではないかと、 多くの論議がされています。特に犬の場合、大型犬では1年前の避妊手術は、 将来、整形外科に関する病気(股関節形成不全等)や骨に腫瘍(骨肉腫)ができる可能性があるのではないかと疑われています。また膀胱炎、尿失禁も疑う対象となっています。しかし手術を遅らせた結果での乳腺腫瘍の発生等との関係は考えると難しい問題です。
しかし例えばグレートデン、ドーベルマン・ピンシェル、 セント・バーナード、アイリッシュセツター、ロトワイヤー等は骨肉腫(多くが致死的?)の発症しやすい犬種ですから、これらの犬種は1歳以降に行う方が良いとする考えもあるでしょう。

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誰が早期不妊手術を考案したのですか?

早期不妊手術の発案者はフロリダに住むDr. リーバーマンで、約36年前に100例を手術し、何ら問題がないと判断しました。その後5年間で1600例 (犬と猫の合計)の手術を行い、やはり医学的に問題がなかったとのことです。そこで1989年エンジェル・メモリアル・アニマル・ホスピタル(米国の最先端の専門医療の動物病院の代表的機関)内のマサチューセッツ動物虐待防止協会(MSPCA)にて追試験を依頼しました。そこでの報告も特に副作用はありませんでした。

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なぜ早期不妊手術が考案されたのですか?

早期不妊手術が発案された背景にはペットの増加問題がありました。つまり、去勢・避妊手術をしていない動物から子供がたくさん生まれ、誰も飼育できない状況で、最終的に安楽死もやむなしという状況が起っています。そうした状況を解決する有力な手段として、早期の去勢・避妊手術が発案されたわけです。
新しい飼主に譲渡する前(ゆえに3カ月前後に行われる)に、不妊手術をしておけば?との発想でこの手術のアイディアが浮かんだそうです。米国のアニマル・シェルター(動物保護施設)では積極的にこの方法を受け入れ、人間の都合で、飼育できない犬猫が1頭でも産まれないようにみなで努力しているのです。

最近では特に猫のアレルギーを持つ飼主さんが諦めず猫を飼育する場合に、猫からのアレルギーを減弱するために早期に手術を受けさせる例もあります。手術をするとアレルギーの生産が減少するためです。その他の手段としては、多数飼育を避けること、週に一回アレルギーを減じる薬剤でシャンプーをすること、猫に触った時はすぐさま手を良く洗うこと、カーペットより床を木、フローリング、タイルに変えること、掃除はほうきとはたきでなくヘパフィルターのある掃除機を使用すること、症状が出たら使い捨ての防塵マスクを使用すること、猫を寝室等には入れないこと、等が挙げられます。

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米国のアニマル・シェルター(動物保護施設)における問題とは?

アニマル・シェルターは、いろいろな理由で飼い主のいなくなった動物を引き取り、飼い主としてふさわしいと認められる人を選んで、新しい飼主になってもらう橋渡し役をしています。従来の方法では、新しい飼主が決まった約半数の犬猫が去勢・避妊手術をする年齢に達していないため、手術をしない状態で新しい飼い主に渡されていました。
シェルターでは新しい飼い主に必ず手術をするよう誓約書を書いてもらうのですが、実際には手術をしない人がいるため、飼育できない子供が生まれ、その子供たちがまたシェルターに戻ってくるという悪循環が起っているのです。このことはシェルターで働くスタッフの無力感にもつながっています。しかし早期不妊手術が可能になれば、その手術を行ってから動物を新しい飼主に渡すことができます。したがってこれまでの悪循環が断たれることに期待できます。

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本当に米国では早期不妊手術が支持されているのですか?

現在アメリカにおける獣医学の最高権威団体「アメリカ獣医師会」や、小動物臨床界の総本山「アメリカ動物病院協会」を含め主要な7つの動物関係の団体が、早期不妊手術を支持するという声明を出しています。一部に懐疑的な意見を述べる獣医師もいますが全米で受け入れられつつあります。

現在米国で早期避妊・去勢手術を支持している団体(アメリカ)
・アメリカ獣医師会(AVMA)
・アメリカ動物病院協会(AAHA)
・アメリカ動物愛護協会(AHA)
・アメリカケンネルクラブ(AKC)
・アメリカ動物虐待防止協会(ASPCA)
・米国ヒューマン・ソサイエティ
・猫愛好家協会(CFA)

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早期不妊手術は、通常の避妊・去勢手術と何が違う点がありますか?

やはり早期に行うので、この手術には最新の注意が必要となります。このES-N ( Early Spay Neuter )早期避妊手術―去勢手術に限りませんが、通常の不妊手術でも最も重要なのは、その手術の安全性です。
特に不妊手術と言えば、健康な状態で手術をするわけですから、その安全性には根拠が必要となります。手術の安全性に結びつく多くは、麻酔の安全性に関する問題になります。敢えて言えば、「この早期不妊手術の欠点?があるとすれば、いかに手術の安全性、即ち麻酔の安全性を確保するか、できるかにかかってきます。」
その理由は、未熟な動物に麻酔をして手術するわけですから、麻酔の安定性の問題があります。ゆえに、この問題でこの手術をするのをためらう動物病院もあって当然です。
早期の手術は特に猫の雌の場合に多く行われますが、手術の術式で比べますと、通常の時期の手術に比べてまだ若いので脂肪等が少ないためと、卵巣と子宮がまだ小さいため、手術自体は、行いやすい傾向がありますが、体が小さい分やりにくいと言う獣医師もいます。

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早期不妊手術の場合の麻酔はどのようにするのですか?

手術の安全性は、この麻酔の安全性の問題と言えます。例えば、30-40年前でしたら、手術前に簡単に身体検査のみして、即前処置(沈静、鎮痛剤等)もせずにいきなり手術もあったかもしれませんが、現在では特にシェルターの動物を除いて、このようなことは行われていないはずです。
できるだけ安全な麻酔をすべきなのです。ゆえに麻酔も注射麻酔(ケタミン等)ではなく、吸入麻酔(気管チューブを使用する)ですればより安全に行われるはずです。 しかしこれらは行う獣医師の慣れにもよります。麻酔の原則は、慣れた麻酔がその獣医師にとって一番安全な麻酔とも言えるからです。
また、原則的にできるだけ短い麻酔時間で行えれば麻酔がより安全になります。麻酔は何よりもいかに麻酔管理をするかによります。理想的な麻酔中の管理とは、動物の直接の管理と、3つ以上(できれば5つ以上)の異なるモニター(酸素飽和度、心電図、血圧、呼吸数、呼気中の炭酸ガス、体温等)で行う麻酔管理です。
麻酔中はできれば、特別な麻酔中に使用できる、医療器具の保温の敷布(このパットの中は温かい水が循環している)が必要となります。これは手術中の体温の低下を防ぐためで、特に体が小さい猫や、若齢や高齢の動物の麻酔にはきわめて重要です。
できうれば麻酔中は、静脈への点滴(皮下点滴ではない、これは普通の輸液で本来点滴ではないので、紛らわしい言葉で、個人的には使用すべきではないと思います)を行うとより安全に手術が行えます。脱水も予防でき、血圧も安定し、麻酔からの覚醒も早くなります。手術が終われば、覚醒時(麻酔から覚める時)の管理も重要となります。

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早期不妊手術の場合の費用は普通の手術と変わりますか?

多くの動物病院では、ペットの増加問題が公衆衛生上深く関わってくるので、不妊手術であまり利益をあげるべきではないと考えています。しかし一番の問題は手術がいかに安全に行われるかにかかってきますが、この麻酔の安全性の問題が、直接費用の問題に結びつくのです。
手術の前にどんな検査をするのか?ということが問われています。現在では最低限、簡単な5-6項目の血液検査は常識的に行われていると思いますが、より安全に行うには、特に例えば身体検査でなにか異常を疑われたりすれば、血圧、X線検査、尿検査、心電図検査等は、日常的に行われていると思います。 麻酔も前記したように、より安全な吸入麻酔で行い、各種のモニター、滅菌料(手術器具・手術衣・ 手術用布使用しているか等)、麻酔係(麻酔の経過を記録する)、手術で行っているか等、項目は30項目程ありますが、これらの項目をどんどん抜けば、もちろん費用はどんどん低下しますが、問題はあくまで手術の安全性の根拠です。
慣れた獣医師の場合、通常の避妊手術の手術時間は約15〜20分程度かかりますが、この早期に行う手術では、特別な用具の使用(卵巣と子宮を特殊な止血できる電気メスを使用して、ヘモクリップで結檠した場合)により早く手術を終わらせることができます。
結論、最近の傾向として、この早期不妊手術は、術式は少し簡単なのですが、麻酔管理が少し難しく、より安全に行おうとすると、普通の避妊手術より高くなることがあるということです。どこまで安全に行うかは、行う前に動物病院とよく話しあうことがとても重要です。また、手術前に費用を聞き依頼するが常識となっています。

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◇避妊手術、去勢手術とは?◇

犬・猫の避妊手術、去勢手術とは?

犬・猫は人間の良き伴侶となり心に豊かさを与えてくれます。また、人間が犬・猫のみならず他の動物たちを虐待する権利は何もなく、この限られた地球上に生存する動物たちと共存共栄を計ることが、生命の尊厳、強いては人命の生存を計ることにつながるのです。地球上に動物が生きて初めて人間も生きていく事ができると思います。 ガリガリに痩せて薄汚れた捨て犬・捨て猫を見て、心の痛まない人間はまずいないと思いますし、そんな不幸な犬・猫を1匹でも少なくするため避妊手術、去勢手術をお勧めします。避妊手術は雌の場合で、卵巣摘出術(Ovariotomy)、卵巣子宮摘出術(Ovariohistoectomy)のどちらかが行われます。またスペイ(Spay)と呼ばれることもありますが、これも避妊手術のことで、Spaying (Ovariohysterectomy)のことであり、卵巣子宮摘出術のことです。雄の場合は、これらの手術のことを、去勢手術、性腺摘出術、生殖腺切除術の総称として、ゴナデクトミー(Gonadwctomy)と呼ばれます。これらは去勢(Castration)、精巣(睾丸)摘出術(Orchiectomy)のことです。

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雄の去勢手術

犬猫の去勢手術は睾丸の両方取ってしまうため確実性があり、屋外への遁走・ 放浪癖が少なくなります。従って嗅傷・交通事故・伝染病の感染の機会が減少するという長所があります。手術も比較的簡単で短時間です。その後は発情によるうるさい鳴き声も減ります。また肛門周囲腺腫などの病気も去勢手術をすることでほとんど防げます。去勢手術をする最適な時期は以前は生後8-9ヵ月頃と言われていましたが、実際にはより早期に行うことができ生後6-14週間で可能です。(早期避妊手術の項目を参考)

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雌の避妊手術(避妊手術後の肥満について)

この手術はおなかを切開して卵巣・子宮を取り出します。早期に手術をすることで、比較的多発する「悪性腫瘍の乳ガン」にかかる心配もほとんどなくなります。また、子宮蓄膿症・子宮内膜炎等子宮に関する病気がすべてなくなります。 そして発情がなくなりますので、鳴き声がうるさくて眠れないということもなく妊娠の心配もなくなります。
避妊手術をする最適な時期は生後5-6ヶ月頃と言われていましたが、実際は生後6-14週間で可能です。(早期避妊手術の項目を参考)よく避妊手術をすると太って動作が鈍くなると言われますが、太りすぎの原因は カロリーの取りすぎなのです。ゆえに不妊手術の後の食餌で重要なことは、手術前の食餌の約25%減量してフードを投与することです。猫でしたら、缶詰食(ドライフードに比べて缶詰は炭水化物が少ないから)に変えると、肥満は防止できるでしょう。
犬猫の特性として、特に3つの特性(欲望?)があります。まずは、「食欲」、「行動欲」、「ホルモンの欲(性欲)」です。避妊手術をすれば、最後のホルモンの欲は無くなります。あえて言えばこれが避妊手術の目的です。二番目の欲である、行動欲は、同じ環境であれば、変わりません。よって最後に残るのか、最初の欲である、食欲です。あとの二つの欲が無くなる(行動欲は変わらないとして)と最初の食欲に欲が集中しがちになります。もうホルモンの欲が無くなるので、精神的にも安定します(これが性格が変わった、大人しくなったと言われる誤解です。性格は変わりません、そう見えるだけです。ただ心配事、関心事が無くなったと解釈すると判り易いでしょう)、解釈としては、避妊手術をすると、関心が食欲に集中するので元気になったように見える、ということです。また避妊手術は知能や気性にも影響しません。

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避妊手術、去勢手術の費用について

避妊手術、去勢手術にかかる費用は、動物病院では出来るだけ低く抑えてあると思います。これは公衆衛生上深く関わってくるので、不妊手術であまり利益をあげるべきではないと考える動物病院が多いからです。
私達の病院では、例えば卵巣子宮摘出は開腹する手術ですから、人の病院で行なわれている開腹手術と全く同じように全身麻酔と完全な無菌操作を必要としますが、避妊手術は公共のサービス的な意味合いで行なうものであり、そこから利益をあまり、あげるべきではないと考えています。
したがって当院でかかる手術関係の費用は、術前の身体検査、麻酔前処置、 全身麻酔料(最も安全な吸入麻酔)・手術技術料・滅菌料(手術器具・手術衣・ 手術用布等)・滅菌ガーゼ・吸収性縫合糸(マキソン又はPDS)・手術室使用料・ 血液検査料(最低7項目以上)・血圧、心電図、酸素飽和度等の異なる5種類によるモニター料・麻酔 管理係り又は記録係の人件費などにかかる費用です。

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避妊手術に関して良い啓蒙書がありますので機会があればぜひご覧下さい!