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all words by Dr.NORIHIRO KOMIYAMA

猫の最適な食餌/三鷹獣医科グループ

-猫の最適な食餌についてー

(低炭水化物食、特別療法食、手作り食、生食の勧め、その他)

―猫の食餌には炭水化物(糖質)は必要ではありません―

※今回の内容に関連した開示すべき利益相反(COI)関係にある企業などはありません。 

   ◆1.栄養学から猫の食餌を考える
   ◆2.猫の食餌の概念
   ◆3.ペットフードの表示について
   ◆4.過去にあったペットフードの問題、リコール情報
   ◆5.猫の低炭水化物食について
   ◆6.猫の肥満と糖尿病と炭水化物
   ◆7.癌について
   ◆8.ケトン体食でつくるケトン体質。その注意点
   ◆9.ペットフードに含まれる炭水化物について
   ◆10.健康な猫の食事に総合栄養食の缶詰食を勧める理由
   ◆11.猫の水分摂取について
   ◆12.ドライフードの問題点を解決するには、与え方
   ◆13.ドライフードから缶詰食へ、10日間変換法
   ◆14.猫のフードにおける炭水化物の成分比について
   ◆15.「猫の理想的な食餌とは」まとめ
    >>高齢猫に多い甲状腺機能亢進症
    >>猫の体温
    >>ストレスについて
    >>特別療法食について
    >>特別療法食と酵素と腸内フローラ
    >>多頭飼育における療法
    >>猫の手作り食等について
    >>ローフード食について
    >>その他の事項 ・加工食品
   ◇参考文献


1.栄養学から猫の食餌を考える

健康な猫にはどんな食餌をあげたら良いか?という素朴な疑問にお答えします。基本的な概念は、猫は完全な肉食動物ですから、まずは水分及び蛋白質(蛋白質は胃でアミノ酸に分解されてから体内に吸収される、猫には動物性の蛋白質が望ましい)、脂質(脂肪)、ビタミン、ミネラル、の各栄養素が必要な成分です。あれ?三大栄養素の一つである炭水化物がないのではないか?と思われるかもしれませんが、特に健康な猫の食餌には栄養学的に炭水化物を加える必要はありません(NRC2006)。

<猫の栄養学>
・水分+2大栄養素(蛋白質、脂肪)
・水分+4大栄養素 (蛋白質、脂肪、ビタミン、ミネラル)

栄養学の言葉の定義でも、必須アミノ酸とは、体内では十分摂取できず、食餌から摂取する必要があるアミノ酸、ヒトは成人で8種類(幼児10種類)(猫はタウリンを追加)、犬は10種類、猫は11種類:ロイシン、イソロイシン、バリン、トレオニン(スレオニン)、リジン(リシン)、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン(ここまでが成人)、ヒスチジン、アルギニン(幼児と犬猫で追加)、タウリン(猫のみ追加、ゆえに猫は11種類になる)です。

必須脂肪酸(オメガ6系のリノール酸とアラキドン酸)という言葉はありますが、必須炭水化物という言葉はありません。ゆえに猫に必要な栄養は、動物性蛋白質、脂肪、ビタミン、ミネラルと水です。

完全な肉食動物の猫は、高い蛋白質の負荷に対処して進化を重ねてきました。ゆえに理想的なエネルギー摂取量は下記をご覧ください。これらは、解剖学、生理学、行動学に由来する、猫の旧石器時代の食事から成り立っています。以前の栄養学では成猫で粗蛋白30-45%、粗脂肪10-30%と考えられていたようです(1997、2005 AAFCO)。ゆえに以下の数値はあくまで理想的な数値となり、実際には、現在では、このような食事を選ぶことは難しいと思われます。

・粗蛋白質…52%
・粗脂肪…46%
・可溶性無窒素物…2%
(炭水化物として)
(Hewson-Hughes J Expl Bio.2011)

例えば蛋白質ですが、チキン、家禽、牛肉、ラム、魚、肝臓または肉またはチキンの「副産物」から得ることができます。成猫用の許容される下限の蛋白含有量は26%、子猫が30%です(AAFCO 2007)。ゆえにこの含有量以下の猫のフードは選ばないのが賢明です。

しかしながら最も重要なのは、粗蛋白の吸収率の問題です。実際にその数字通りに蛋白質が吸収して、体に働いているかが、一番の問題です。例えば髪の毛ですが、粗蛋白は60%もあります。しかし髪の毛の実際の粗蛋白の吸収率は0%です。

ゆえに各々の会社に実際の蛋白吸収率を聞いてみる必要があります。しかし恐らく答えは得られないと思います。調べていないからです。あり得ない話でしょうが、鶏の副産物Chicken by product(栄養成分は鶏から)に毛が含まれていれば、高蛋白に成りますが、髪の毛は消化されないので、蛋白質は0%と同じです。

この粗蛋白の吸収率は、コンピューター状の数式で計算できるものではありません。これを明らかにするのは、食餌の給与試験(フードトライヤル)が必要で、膨大な経費が必要です。しかし大体の推定は出来るようです。療法食の代表的な会社の食餌は吸収率が90%前後、一般食の代表的な会社の食餌は、吸収率が50-75%と言う研究があります。

脂肪の栄養素としての働きは、炭水化物やタンパク質より、約2.5倍も高いエネルギー源となります。例えば炭水化物やタンパク質のカロリー量が4 kcal/gであれは、脂肪は9kcal/gとして効率よく働き、また細胞膜、性ホルモン、胆汁酸の原料ともなり、脂溶性ビタミンを吸収するためにも脂肪は重要となります。

脂肪酸は、「飽和脂肪酸」「不飽和脂肪酸」に分かれますが、不飽和脂肪酸は構造上の特徴から、オメガ3系脂肪酸やオメガ6系脂肪酸(この2つは体内合成できないので食べ物から得る必要があり、必須脂肪酸と呼ばれる)、オメガ9系脂肪酸に分かれます。

ここではより判り易いように、炭水化物をあえて与えない(ほんの少量は混在してしまうが)という表現を用いていますが、本意とする意味は、猫には栄養学的には炭水化物はほとんど必要がないということです(NRC2006)。炭水化物は本来は不必要なものであるということです。多すぎる炭水化物は、猫の健康の諸悪の根源と考えられており、このことは後ほど解説します。

Cat cell is what she eats cell, just like human.
(猫の細胞はヒトと同じように食べた細胞から成っている)
We are What we eat, Cat are What she eat.
(食はヒトなり、食は猫なり)

本来自身で単独で狩りをして食事をする動物は、その食べる狩りをして得た動物の栄養こそが体の成り立ちです。このことは猫の食事も医食同源(ペットだって医療食同源)です。ゆえに猫の食選びは飼い主さんの責任です。しかし食餌選びは、その猫の健康状態(健康な状態か?病気の状態か?何の病気か)によって大いに違ってきます。まさしく食は猫なり、生命なりです。

まずは猫の食餌により関心を持つことから始めるのが、猫と共存する第一歩でしょう。私達の動物病院で、猫の飼い主さんに、どんな食餌を与えているかを尋ねても、単に「カリカリのフード」と言うだけで、フードの名前、メーカー名を思い出せない飼い主さんが約40%います。猫の健康にとりわけ関心が高い専門医療の動物病院にかかる飼主さんでの話で、一般的な動物病院では半分以下のようです。 そのような場合に解決する良い方法があります。

普段から自身の猫の食餌の名前、周囲の環境、居場所、トイレ、飲んでいる薬(ついでに自身で飲んでいる薬も記録すると便利ですよ)等をスマートフォン等で写真を取っておくことをお勧めします。また食餌はくれぐれも、体重に基づいて規定量を守ってください。食べるからと多く与えないことが重要です。

猫は小さい犬ではありませんので、独自の食餌が必要です。しかし実際は猫の理想的な食餌は難しいことばかりです。なんせ、直前まで、生きていた小型動物を食べて暮らしていた猫に、なんであれ、それに置き換わるもの、できるだけ栄養成分が近いものを作ろうとしてもなかなか無理がありそうです。また膨大な研究開発費がかかるので、どこかで妥協せざるをえない状況だと思います。

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2.猫の食餌の概念

大きく二つに分けると、食餌の概念は以下のようになります。

・健康な時の猫の食餌(病気でない健康と思われる時の食餌について)
・病気の時の猫の食餌(病気を診断して、その程度に応じて栄養学的に対処する)

まず理解すべき状況として、健康な時の猫の食餌と病気の時の猫の食餌は、その病気の程度によってですが、少し違う概念と理解が必要です。食餌で病気になりにくい体質を作ることと、病気を治すことを目指すのが理想的ですが、病気になると猫は直ぐに食餌を一時的にでも食べなくなります。ここが犬とも違う点です。

ゆえに普段の健康な時に、できるだけ自然に近い食餌(キャットフードがない時代の食餌)を与えるのを目指すべきだと思います。しかし猫は何であれ病気になると、まず食欲が低下することが知られています。別の言い方をすれば、食べなければ病気の始まりとも言えます。

ペットフード公正取引協議会の分類では、幼齢期(成長期)、成齢期(維持期)妊娠期・授乳期、及び全成長段階に分かれているようですが、本来は、若齢期(1歳未満の時の場合の食餌)と高齢期(7歳以上の食餌)が重要で、その間の維持期(1-7歳の時の食餌)は成長後なので、比較的、総合栄養食であれば問題はないと思われます。やはり重要なのは、特別療法食(療法食)で、病気を診断した後に、その病気の程度によって、食餌を変える必要がある場合です。ヒトの医療でも多くの病気で診断後、食事の指導があると思います。

当動物病院で推奨する猫の食餌療法は、以下の3種類です。

・低炭水化物食(健康な猫には、出来るだけ低糖質食をお勧めします)
・特別療法食(主に病気療養中の食餌で、特定の病気に対して適応します)
・状況によりローフード、手作り食(主に健康な状態の1歳から7歳の場合)

ペットフードがない時代、猫が人々に飼育されていない時代において食事は? 別の言い方をすると猫の最も自然な食事、理想的な食事とは、何だったと思いますか?猫が日本に来たのは約1300年前の奈良時代のようです。仏教の経典を、ねずみの被害から守るために、中国から連れて来られたようです。猫が人と住むようになったのは、約4000年前頃にエジプトにて、リビア山猫が起源と言われています。

もうおわかりですね、ネズミです。生きた小型の小動物(ネズミ、モグラ、昆虫、小鳥、魚、爬虫類や両生類等)です。これらの小動物は生きているので、全ての栄養素が摂れるのです。 可愛い、可愛い猫ちゃん達が、生きた小動物だけを食べて生きてきたなんて、今の時代から考えると少し驚きませんが?しかしそれが現実です。外で頑張って自身の力で生活している猫ちゃんだって、人間が食事を用意しない限り自身で食事を得なければなりません。

では単独で狩りをして(ゆえに自身の体より小さい動物を狙う、多数で狩りをするオオカミ等は自身より大きい動物を狙える)いた時代の猫が1日の必要な栄養を摂るのに、ネズミに例えると、何匹必要なのでしょうか?

答えは7-8匹です。しかし現在の日本の猫は少し小さいので6-7匹でしょうか?ネズミ一匹のカロリー量は30-35Cal(ドライフード10-15粒程度)です。猫に必要なカロリー量は、安静時(室内猫)として1kg当たり50Cal(活動時60Cal、運動時70Cal)として計算すると、1kg当たり50Calです。例えば4kgの猫では200Calは必要となります。すると鼠が6-7匹となります。

猫はそのネズミを捕まえるのに、10-15回試みて、やっと一匹捕まえることができる程度ですので、一日に合計70回は狩りを試みている計算になります。ゆえに猫は一日7-8回も少量ずつ食餌(本来肉食動物は大量の食餌を1回で食べますが、それは自身より大きい獲物を集団で狩りすることが、できる肉食動物のみです)をしていました。この点でも猫は他の肉食動物と少し違っています。ここに猫の食餌は一日に何回与えるべきか?食べる量は?のヒント(猫は少量頻回の食餌が適している)が隠されています。

狩りをしていた頃の猫ちゃんたちは、炭水化物があまり無かったので栄養的には問題がない代わりに、何時でもほしい時に又は定期的に採食できるかが問題でした。お腹が空いていたと思われます。それに何と言っても外敵による外傷、出血、細菌感染の問題、ウィルス等による伝染病の問題、毒素、毒物との接触や、偶発的な事故、外は危険がいっぱいの世界でした。現在の家庭で飼育されている猫ちゃん達には、室外の危険が殆ど無くなった代わりに残った問題は食餌の問題です。生きた鼠に変わる良い食餌がないからです。

時と共に時代は変わり、人と動物の関係が見直されてきたこの近代、外から内へ、外の門番や外敵の排除のためから家族の一員として受け入れられた猫ちゃん。さて食事をどうしたものか?の問題のみが残されました。

この問題の対処として登場したのが、キャットフードです。1969年頃から日本でも少しずつ使用され始められたようで、まだ50年程度の歴史しかありません。また日本各地で動物病院が増えだしたのもこの時期です。猫が小型動物を食べた歴史5000年と、キャットフードを食べ始めてからの50年の歴史を比較すると、100:1です。

猫の体の中の遺伝子は、猫が狩りをしていた時代と少しも変わりません。そのために、狩りの時代の栄養に合う遺伝子に、少しでも合わせる必要があります。代々の親が食べた食餌が少しずつその子供の遺伝子に影響します。病気の遺伝子がオン、オフは栄養が細胞レベルで関与していることが判っています。(実験医学増刊 Vol.28 No.15 特集「エピジェネティクスと疾患」

1/100の歴史では急に身体は変えられません。猫の食餌は犬やヒトの食事とは違います。猫は蛋白質や脂肪を多くして、食餌から炭水化物(糖質、糖分)を出来るだけ少なくする必要があります。

肉食動物の猫は、トラやライオンと同じように栄養素の多くは、蛋白質と脂肪から得られます。食べる臓器で言えば、肝臓には2-3%の炭水化物があり、その他胃腸管の中には、もしその獲物が食べていれば、食べたある程度消化された、食渣の炭水化物は1-5%ほどあるでしょうから、少量の炭水化物は昔から、偶発的にでも食べています。例えば、食べていたネズミには、一匹全部を食べたとしても、体全体で5-8%の炭水化物がありました。

また鳥類、ウサギ、齧歯動物には9-10%の炭水化物がグリコーゲン(筋肉や肝臓にある糖分として貯蔵されている)として含まれています。 ゆえに総合的に言うと3-8%程度の炭水化物は食べていたことになります。しかしながら、特に若齢の野生の猫はネズミを食べる際に、しばしば消化管の臓器は、食べないで残すことが知られています。これは炭水化物を少なくする、自然の本能と考えられています。

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3.ペットフードの表示について

近頃の猫のペットフードの説明書きに使用されている言葉と言えば、

・ナチュラル・フード(農薬を使用しない、より自然に近いフード)
・オーガニックフード(有機栽培のできるだけ、自然のままのフード)
・グレインフリーフード(穀物を使用していないフード)
・ヒューマングレイドフード(ヒトが食べる品質と同程度のフード)
・ホリスティク・フード(各栄養素を自然の素材で組み合わせたフード)
・プレミアムフード(原材料に良質な素材を使用しているフード)

等、様々に表現されています。現在では、これらの言葉の使用には、厳格な規定や法的な規制はなく、発信する側が比較的自由に使用しています。これらは主にその材料の素材やそれを加工する過程を表現する言葉として用いられているようです。これらの言葉の使用法は、ペットフードの表示に関する公正競争規約に示されています。

ペットフードの分類としては、総合栄養食(成長段階における健康を維持できるような栄養素的にバランスのとれた製品)、間食(おやつやスナック又はご褒美として、限られた量を与える)、療法食(動物病院の指導のもとで食事管理に使用)、その他(副食、栄養補助食等)とあるようですが、これに水分(水道から浄水器を使用したものをお勧めします)が必要となります。ここでは断りのない場合を除いて缶詰食といったら、すべて総合栄養食(水を与えれば栄養的には満たされる)の缶詰のことを指しています。間食、副食系の缶詰は除いています。

例えばオーガニックの定義ですが、単に製品の作り方のみを説明しているだけで、その製品の品質や安全性については説明していません。ナチュラルの定義も、AAFCOによると、加工されていないもの、又は、物理的な、加熱、レンダリング(肉骨粉化)、精製、描出、加水分解、酵素分解、発酵のいずれかの処理を受けた植物、動物、好物由来のペットフードの成分とあります。

なおヒトの食餌の世界では、グルテンフリー食も話題になっていますが、このグルテンの過剰反応は現在の所、猫では報告がありません。このセリアック病と言われる、グルテン(小麦、大麦、ライ麦に含まれるタンパク質のアミノ酸が過剰に反応してしまう病気)は、犬でもまれで、近親交配したアイリッシュセッターに特異的に起こるとの報告があります。ゆえに猫の食餌にグルテンフリー食は必要ありません。

また少し馴染みのない言葉で、グレインフリー(グレインは穀物のこと、フリーは不使用の意味)と言うフードがありますが、これは原材料に穀類(米、大麦、小麦、とうもろこし等)は使用していませんと言う意味のことです。穀物は代表的な炭水化物ですから、これらを使用しないこと自体は素晴らしいことです。しかし穀類以外の炭水化物であるイモ類(ジャガイモやサツマイモ等の使用が多い)やマメ類(エンドウ豆の使用が多い等)を使用していれば、同じ炭水化物ですから、殆ど変わらないことになります。

何かグレインフリーフードは、炭水化物が含まれていないというイメージがあるようですが、もし穀類以外の炭水化物が使用されていれば注意が必要です。成分を確認する必要があります。飽くまでも問題は炭水化物の量の問題です。例えば、食品100g当たりの糖質が5g以下であれば「低糖質」という分類になるのですが、ジャガイモは100g当たり17.6g、サツマイモは100g当たり29.2g、エンドウ豆(ゆで)は100g当たり17.5g、塩豆は43.6gもあります。

最近では各々の糖質の含有量が本(食品別糖質量ハンドブック-江部-康二)などでも公開されていますので調べることもできます。現在の所、他の炭水化物が含まれているグレインフリーフードが他のフードより優れているなどの研究結果はありません(Kara M.Burns 2017)。より自然な食事であるとか、猫の健康やアレルギーに良いなどの証明も一切ありません(グレインフリーの真実、タフツ大学の獣医栄養学専門医Dr Lisa Freeman、 Grain-Free Diets – Big on marketing, Small on truth)。

あくまでも問題はその記載のある蛋白質、脂肪、炭水化物の%や、源材料名(最初に炭水化物でなく、動物性蛋白質である肉系(牛、ラム、鹿等)、魚系(ツナ、サーモン、カニ等)、鳥系(鶏、七面鳥等)があるかの問題です。所謂、肉が基本(ミートベース)、肉が最初(ミートファースト)が重要です。

炭水化物は記載がないのが望ましいのですが、あっても2-3番以降に記載があるものを選ぶことをお勧めします。記載のある保証分析値にて必ずお確かめください。目指すべき理想的なキャットフードは、如何なる炭水化物も、使用していない動物性の蛋白質由来のフードです。キャットフードは、原材料と保証分析値によって、選ぶことが重要と思われます。

猫のペットフードは、特にドライフードにおいてそうですが、さまざまな成分が製造過程で使用されているので、単純に一つの食品についての成分がその値を示すかが疑問でもありと考えられています。しかしあくまでも、すべてはAAFCOの基準の保証分析値が参考になります。御覧ください。この記載がペットフードの最低限の基準となると思います。

<AAFCO 栄養基準に基づく成分分析一覧表>
ドライフード
ウェットフード

但し犬においては、最近の研究で、健康な成犬に米、大麦、トウモロコシ、エンドウ豆についての血糖値の指数を測定したところ、エンドウ豆が最も低い血糖値を示し、米が最も高い血糖値を示したという研究発表があります。しかし注目すべきことは、エンドウ豆ベースの食餌の血糖値指数は、未加工のエンドウ豆の血糖値指数よりも高かったことで、これはエンドウ豆の血糖値指数が調理プロセス(押出)およびまたは他の成分の存在のために影響されたことを示唆しています。(Nutr Res 2012)

GI値とは、グリセミック・インデックス(Glycemic Index)の略で、その食品が体内で糖に変わり血糖値が上昇するスピードの値を言います。例えばジャガイモはGI値 は90(お米の88と変わらず)と高いのですが、サツマイモは55(GI値は55以下が低値と分類)とぎりぎり低値、エンドウ豆は低値の38です。しかしながら猫は血糖値が上昇するスピードが比較的にゆるやかである動物として知られています。 野菜のGI値一覧

ペットフードの低糖質のフードの健康上の利点について、ここ最近の10年でかなり多く論議されてきています。また現在ではその論文も増加しつつあります。ヒトでは、血糖値指数の低い食品が体重管理や慢性疾患予防に役立つことがいくつかの研究によって示唆されています。 しかし、同じことがペットに当てはまるかどうかを判断するには、より多くの研究が必要だと思います。

現在では、フードの表示は、「ペットフード安全法」によりそのフードの名称、ペットフードの目的、内容量、給与方法、賞味期限、成分(粗蛋白質、粗脂肪、粗灰分、粗繊維、水、の5項目が表示義務化)、原材料名、原産国名、事業者の氏名又は名称の記載義務があります。   

 ※参考文献:
 ・ ペットフードの安全性確保のための取り組み
 ・ 環境省自然環境局総務課動物愛護管理室
 ・ ペットフード安全法のあらまし 農林水産省 環境省
  ←全体版ダウンロードはこちら

 

 

しかしこれらは最低限の表示で、一定の指標ですが、まだまだ栄養成分の開示という点では不十分だと思います。できればビタミンやミネラルの情報も公開してほしいものです。現在では炭水化物の%やg数の記載義務はありませんが、公開して欲しい内容です。

また副産物(by-products)の開示もそうです。Chicken by- product(チキンの副産物)のみより、より明確にチキンの何処の部分の使用なのかの記載が欲しいものです。嘴を含む頭部、爪を含む脚、内臓、羽毛、皮、血腋、糞、肉骨粉等の使用の有無の記載がほしいものです。

また、原料にトウモロコシとあれば、実の部分を想像しますが、外皮、芯部、ヒゲ等の使用の有無は?ゆえに副産物と記載があり、その内容の詳しい記載がないフードは避けた方が無難かもしれません。できうれば輸入品のフードの場合は、ぜひ同じ製品の英語のホームページにて、内容が同じか、特に保証分析値や原材料名等を確認することをお勧めします。またGMO(遺伝子組み換え)の食品か否かの記載も欲しいものです。

キャットフードを購入する場合には不当な表示に注意を払う必要があります。例えば、常識的にも科学的根拠から考えても、加工品であるドライフードに、添加物不使用とか、無添加、自然食(ナチュラル)、天然食等と記載するのはかなり無理があります。

キャットフードを購入する際の最低限の基準として、AAFCO (アーフコ:Association of America Feed Control の基準に従っているペットフード会社を選ぶことをお勧めします。もちろん、これらの基準に従っているからすべて安心とは言い切れないでしょうが、これはペットフードの守るべき最低限の基準と言えるでしょう。現在では殆どのペットフードの会社がこの基準に従っています。この機関はラベル表示などに関するガイドラインを設定しており、日本のペットフード公正取引協議会の規約でも、AAFCOの栄養基準を採用しています。しかし基準を提示するだけの米国の半官半民の機関で、フードを検査したり認定したりはしていません。

キャットフードを選ぶ際には、まずは獣医師の診察を受けることをお勧めします。まずは身体検査受けてください。その際に、貴方の猫の生活様式、医学的な現在の状態、現在食べている食餌の量と与え方、その他健康に関連する質問があったかが問題となります。貴方の食べさせたいフードが本当に、貴方の猫に適応しているか?(もし否定されたらその理由と根拠を聞くことが重要です)健康状態によっては、ある種の食餌は健康に悪影響を及ぼす可能性があるからです。もし推薦された食餌があれば、その際には、なぜその食事が適応なのか?その理由を聞くこと、その理由の根拠もぜひ聞いてください。あとで後悔しないためにとても重要です。しかしながら数ある職業の中で、臨床をする医師(獣医師と人間の医師)という職業ほど、その能力に差のある職業はないと言われていますので、自身の過去に培った経験に基づいて御判断ください。

カルフォニア大学の栄養学専門医の大御所であるDr, Tony Buffingtonと言う教授は、キャットフードを選ぶ際に、以下の3つの重要点を指摘しています。   
1)貴方の猫の年齢、体系、環境、健康状態を考慮し、フードのラベルをよく読むこと。
2)原材料名、最初の成分は、純粋に良質な肉であること。 その順番(多い順)が重要。
3)保証分析値を調べる(後ほど調べ方を記載します)。

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4.過去にあったペットフードの問題、リコール情報

2007年に起こった中国産のペットフードのメラニン混入事件にてペットフードへの不信感が助長されましたが、過去にも猫のペットフードにはいろいろな問題がありました。1990年には日本でビタミンDの大量混入のための中毒の事例がありましたが、私の動物病院でもこの頃に診断(脊椎の骨が白くなり驚きました)した経験があります。嗜好性を高めるためとは言え起こってはならないとこですが、最近では米国でも起りました。2016年の6月に米国産のキャットフードによるビタミンDの中毒が認められ、その商品は市場から回収されています。

猫のペットフードは常に進化を続けていますが、なかなかの難関のようです。例えば1987年にDr,Paul Pionが猫の拡張性心筋症(猫の心臓病)の原因をタウリン(Taurine)の不足と発表してから、タウリンが猫のフードに強化されました。それ以前、米国では毎年10,000頭が拡張性心筋症で死亡していました。

更にさかのぼり1970年代にタウリン不足による、猫の網膜障害(眼の病気)が指摘されており、その後1981年にNational Research Councilの提案で、猫のペットフードにタウリンが加えられていましたが、まだ不足していたようです。猫のタウリン要求量は食餌の加工法によっても違ってきますが、現在の基準はウェットフードで2000mg/kg以上、ドライフードではその半数程度と報告されています。(AAFCO2007)

ドライフードによる尿のpHの調節もアルカリ尿から、酸性尿になりすぎるなど問題がありました。また尿のpHは食餌の回数によっても変化します。数回の食餌はpHを安定させ、1日2回の食餌はpHが大きく上下する傾向となります。(Lewis and Morris,1984)

各メーカーがいくら努力をしても車のリコールのように不合理?が発生してしまうようです。ゆえに自身が使用しているキャットフードをリコール情報があるか定期的に調べる必要があります。我が国のペットフードの製品のリコール情報ですが、あまり飼い主が知る機会が少ないようですが、下記より情報が得られます。調べると以外に多いことに気付くと思います。できうれば、キャットフードを新しく買う毎にリコールがあったかを聞くなど、情報を調べる癖を付けておくと良いでしょう。また輸入品のフードの場合は出来れば、同じ製剤での米国での動向も調べることをお勧めします。

<我が国のペットフード製品のリコール情報>
・日本のあらゆる商品のリコール情報の中のペット関連:「Recall Plus」
・クロネコヤマトのリコール情報:「リコール・自主回収」
・米国のリコール情報:「Recalls & Withdrawals」


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◆5.猫の低炭水化物食について

猫は肉食動物なので、普段の食事には、あえて炭水化物は与える必要がないのですが、この事実がなぜか、あまりはっきり伝えられていないようです。健康な猫であれば、炭水化物はあえて与えなくてもまったく問題はありません。(NRC2006) しかし現実問題として、これは少しむずかしいことであります。なぜなら、猫の通常のドライフードには炭水化物が40-50%も含まれています。知らず知らずのうちに、多い炭水化物を使用している現状があります。

この量の多さが最近になって健康上の問題として提起されています。40%以上の炭水化物は、消化機能の低下(下痢、嘔吐、鼓腸等)や高血糖を引き起こすと報告(Meyer&Kienzle1991)されています。

過去の猫の獣医学の報告でも、正常な猫は低炭水化物でも、正常な血糖値は維持されます(Kittlehut 1978)とあります。「哺乳動物であれば、食べ物はいろいろでも、ヒト、犬、ウサギ、馬、成牛、羊、山羊らは(新生児で同じだが、成熟するとやや低い)でほぼ同じ(kaneko1989)となります。しかし体温の高い鳥類の血糖値は高く200-300mg/dlもあります。これは飛ぶために、ブドウ糖の消費が激しいので、常に食べていることと関係があるのだと思います。それゆえに鳥類の体温は40-42℃もあります。

炭水化物を摂らなくても血糖が正常に維持できる理由は、脂肪や蛋白質に比べて、糖質は少ない酸素消費量でエネルギーを生み出すことができるので効率が良いのですが、脂肪や蛋白質(アミノ酸)が糖質の代わりにエネルギー源ともなりますし、肝臓ではアミノ酸や乳酸、脂肪から分解されたもので、血糖(ブドウ糖)を作っているからです。また、細胞も糖質が無くても脂肪や蛋白質のアミノ酸を燃焼させてエネルギーを作ることができ、脂肪と蛋白質、ビタミン、ミネラル、水があれば、細胞を作ることができるので、身体を正常に維持することができます。

また過去の獣医学の文献でも、猫は多量の炭水化物を効率的に利用する能力には限界があると報告されています。例えば、猫の小腸ではスクラーゼ、ラクターゼなどの二糖類の分解酵素の活性が低い(Kienzle1993)、猫の唾液中にはアミラーゼがありません、また膵臓のアミラーゼも、猫の場合は、犬のわずか5%しか産生しません(Kienzle1987,1993)。そのため食餌中の炭水化物の著しい変化には対応ができません

また猫は小腸内の細菌数が多い(Jhonston 2001,Gruffydd-jones1998)ことでも知られ、これが蛋白質や脂肪の消化率を良くしている(Zoran2002)と考えられています。猫の盲腸は瘢痕の程度しか存在せず、結腸も40cm程度しかなく短く、大腸内の細菌発酵による食物繊維やデンプンの利用が制限されていることを示唆しています。(Morris & Rogers 1989)

猫は食べ物をそのまま殆ど噛まずに、舌を上手く働かせて飲み込みます。猫は歯を上下に動かすのみで、左右には動かしません猫の歯の多くは、臼(うす)のようにすりつぶす働きのある歯にはなっていません。雑食動物特有の裂肉歯(carnassial tooth)は猫には瘢痕程度しかありません。ゆえに歯の構造から考えても炭水化物は不要なものと想像がつくと思います。

また猫は体の長さに対して腸の長さは約4倍で、人間は約10倍と言われ、腸の長さが短い程、肉食動物に適していて、草食動物のウシや羊では腸の長さは体長の約20-25倍もあります。この理由は植物である草は消化や吸収が悪く、ゆっくり時間をかけて分解しながら吸収するので、腸が長い必要があると考えられています。 また猫は犬と違い、肝臓のグルコキナーゼ活性が働かないので、炭水化物の代謝能力を制限しており(Kienzle 1993,Mcdonald et al. 1984)、猫の肝臓はフルトキナーゼも欠損している(Mcdonald et al. 1984)等、様々です。

また猫は犬と違い、リノール酸を不飽和化して、アラキドン酸を合成することは出来ません。(McLean & Monger1989)よって猫ではリノール酸もアラキドンサン酸もEFA((Nitrogen Free Extracts)=可溶無窒素物(ほぼ消化される糖質の量))となります。

最近、欧米では、特に肥満猫にはキャトキンス・ダイエット(これは造語で人間のダイエットの世界では、15年程前に、この低炭水化物食を提唱して、有名となったDr.アトキンスのダイエットをもじって、猫の場合はCatkins'diet(と呼んで話題作りをしているようです)を与えるように勧める欧米の獣医学の栄養学の専門医の意見が多くなりつつあります。

ヨーロッパでは、特に糖尿病の猫にLCHP Diet (低炭水化物・高蛋白)食をと言われ始めていて、論文も出ています。(Br J Nutr. 2012 May;107(9):1402)

Put your fat feline on 'Catkins' diet. 
(肥満猫にはキャトキンス・ダイエットを与える)

Put your feline diabetes on 'LCHP' diet.
(糖原病の猫にはLCHP・ダイエットを与える)

このことが最近ヒトの世界でも話題となっています。炭水化物を殆ど取らない食事はケトン体食と言われ、これを猫に与えるということです。ケトン体は体内の脂肪の分解によってできる物質で、炭水化物ではなく与えられた大量の脂肪からブドウ糖が作られ、脂肪から作られたブドウ糖は血糖値が上昇しません

猫が5%以下の低炭水化物の缶詰食を常食しているかは、猫のケトン体を測定すれば判ることがあります。最も簡単なのは、尿による試験紙です。ますはケトン体が⧺以上と判定できればかなり良い状態です。また尿よりも、より正確で簡単な血液検査もあります。例えば、血を一滴、試験紙に垂らすだけの方法(フリースタイルプレシジョンネオ™)等、これらの検査法でも役に立ちます。

猫がケトン体の体になれば、特に肥満、糖尿病、癌、痴呆、癲癇、アトピーに強い体質の猫になると言えます。ヒトの医学では、スウェーデンがこれまでの低脂肪を改めて、2016年10月に'LCHF' diet(低炭水化物・高脂肪)食を西側諸国では初めて国が推薦しました。

     →猫にはLCHP Diet (低炭水化物・高蛋白)食を勧める。
     →人間には'LCHF' diet(低炭水化物・高脂肪食を勧める。

この低炭水化物の言葉の定義ですが、現在では、低炭水化物食と判りやすい言葉が使用されています。問題はどれだけ炭水化物(糖質)を低くするかですが、一般的には40%以下のことをいうようです。

低炭水化物食の別の言い方には、糖質制限食(より厳密に言うと、炭水化物とは、糖質と食物繊維を合わせて言うので、糖質のみを制限し、食物繊維を制限しない食事のことを指す意味合いもある)、ロカボ(ローカーボン、低い炭水化物)、低インスリンダイエット(インスリンを出来るだけ低く抑えるため、糖質を避ける)、カーボカウント(これは食事中の炭水化物量を計算する単に炭水化物を計算するだけで低炭水化物とは違いますが、計算して低く抑える意味で使用されているようです)等があります。

人間の栄養の世界では約10年前から劇的に変化しているようです。ペット栄養の世界でも遅ればせながら、ごく最近になって、この変化の兆しが明らかになりつつあります。特にペットの世界の栄養の分野では、どうしてもペットフードの会社の研究が中心(お金になるから?誰がお金にならない研究にお金だすの?)になるのは、いたしがたないと思いますが、より情報の公開を勧め、より安全な食餌の開発を勧めてもらいたいと思います。

またペットの世界では、どうしてもまだ犬の研究が中心で、猫の研究は常に遅れる現状です。しかし最近は「ネコノミックス」の関係で少し見直されている兆しが見受けられます。今回のこの情報も、賛否両論があるのを知りつつ、遅ればせながらではありますが、いろいろと論議をされることを期待し、時期到来との判断から、発表しています。

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6.猫の肥満と糖尿病と炭水化物

肥満は代表的ですが、最近猫の糖尿病が、増加傾向にあります。これは猫が炭水化物を多量に含むドライフードを食べ始めたからと言う説が最近有力視されていますが、有力な最新の文献では、いまだ一つのみで(Ohlund et al,2016 Epidemiological study)で他の2-3の古い文献では否定されていますが、しかし理論的や解説的なものは数多く存在します。

人間もそうですが、猫も炭水化物(糖質と考えてください)を食べなければ血糖値は上昇しません。どんどん炭水化物を食べさせられているので、膵臓からのインスリンがどんどん出続けているうちに、ついには疲れはてて、少しずつしか出なくなり、糖尿病となるとの論理からこの説は成り立っています。炭水化物をどんどん食べさせて、血糖値をどんどん上げさせてインスリンを打つことを勧める、という状況に陥っていると解説されています。

猫が炭水化物(糖質)を摂るとなぜ肥満になるのでしょうか?糖質が体に入るとインスリンが膵臓から出て血糖を下げますが、大量のインスリンは脂肪細胞に血糖が運ばれて、脂肪に蓄積され蓄える働きがあるので肥満の原因となるのです。肥満は「慢性炎症」の原因となります。

この慢性炎症の検査は、犬ではヒトと同じように「CRP」値で判る(ヒトでは最近超高感度CRPにて健康診断にも応用されているようです)のですが、猫はCRP値は参考にならず、「SAA」血清アミロイドで測定します。CRPとほぼ同様の挙動(80%)となります。猫のSAA値はCRPのようにステロイドの影響も受けません。

この過程はヒトも同じようで、猫の肥満は3.9倍糖尿病になりやすいのです。しかしながら肥満の猫の体重のコントロールは、1週間に1-2%まででそれ以上の体重の低下は危険となります。ゆえに急速な低炭水化物は、肥満の場合は注意が必要です。

また肥満だからと言って、猫に絶食させると危険なことがあります。欧米では猫は3日間食べないと、肝臓のリピドージス(肥満の猫の肝臓に脂肪が溜まり、肝機能障害を起こす病気)になると言われていますが、アジア(オーストラリアも含む)の猫はそう簡単に肝リピドージスにはなりません。しかしながら猫は絶食(鳥類と同様に)をしてはならない動物での代表格です。猫の絶食の限度は4時間までとされており、特に肥満の猫には注意が必要です。

犬猫の糖尿病は、ヒトの糖尿病とどう違うの?とよく聞かれますが、犬の糖尿病は、ほとんど全てがインスリンが絶対的に不足するタイプであり、ほとんどがタイプ1(必ずインスリンが必要となる、インスリン依存性)の糖尿病です。人間では小児に多いので、小児型の糖尿病と呼ばれたりすることもあるようです。

しかしながら、猫の糖尿病の多くは、人間で言う、タイプ2の糖尿病でインスリンが全くでないのではなく、少しは出ているタイプが多いのです。俗に成人型糖尿病とも呼ばれます。ゆえにこの猫の糖尿病、早く発見して治療すれば、離脱(寛解)治療(インスリンが必要なくなる治療)が可能となる場合があります。 幸運なことに猫ではヒトで認められる3大副作用、神経麻痺、網膜症、腎臓障害等は寿命が短いので起こりませんが、併発疾患や持続性のストレスがあると、糖尿病性アトアシドージスを発症することがあります。

欧米の猫専門病院では、糖尿病に精通した獣医師が、糖尿病をできるだけ早期発見し、早期のインスリン療法で、インスリンが一時的にでも要らなくなる、離脱(寛解)治療を目指すことが行われており、離脱率を発表し、競いあう風潮さえあります。少なくても正しく治療すれば30-40%は一時的にでもインスリンから離脱できます。

蛋白質、脂肪は直接的には血糖値を上昇させません。炭水化物のみが血糖値を上昇させます。膵臓から出るインスリンは血糖の上昇を抑えるが炭水化物を多く食べて、インスリンを働かせ過ぎると、膵臓が疲れてきて、糖尿病になります。猫に知らないうちに炭水化物を食べさせて糖質(砂糖)漬けにしないように心がけること、これが猫の健康の第一歩です。

要するに猫に糖質(砂糖)を与えないと言うことです。猫の食事の嗜好性は、「甘み」ではありません。蛋白質と脂肪です。糖質を与えて血糖値を上げて、無理にインスリンを出させる、これが猫の肥満の原因の一つです。ゆえに昔の野生の猫にはこんなことは起こりませんでした

この猫の砂糖漬けの問題は、重大な問題で、砂糖を食べると、空腹の時間が短くなり、栄養が不足する恐れがあります。また砂糖は酸性の食べ物ですから、食べてそのままにしていると、体が酸性に傾きます。猫の身体は弱アルカリ性ですから、酸性に傾くと老化します。身体が自然にアルカリ性に直そうとすれば、大量のビタミン、ミネラルを必要以上に消費していまいます。

猫が通常の40-50%の炭水化物のドライフードを食べているとすると、4kgの猫で、14-38g の糖質を食べていることになります。と言うことは猫が毎日「角砂糖」を4-9個も食べている(糖質量1個4gとして計算)ことになります。

また炭水化物(砂糖)はドーパミン作用があり、気分が良くなる?ので、また体がまた欲しがります。これが砂糖の中毒の作用です。砂糖は血糖値を急激に上げて、またインスリンで急激に下がる、これらを繰り返していると、身体の反応が悪くなり、体重が重くなり、体のセンサーが十分育ったと勘違いして、早熟になり、ホルモンの乱れ等にも関係して多くの疾患を引き起こす原因となる可能性もあります。それらが体全体の炎症反応を引き起こします。

糖質が多い猫は、睡眠にも問題が。寝ている間に血糖値が上がると、アドレナリンが出て、コルチゾール値を上げ、血糖値が下がると、逆に下がる、といった具合で安定しません。すると睡眠を妨げ十分に休息が取れません。猫はヒトの2倍ぐらい睡眠時間を取りますが糖質が多いと、睡眠が浅く、あまり寝付けないようです。

猫の血糖値が上昇するこの問題は、食餌の面だけでなく、メンタルな面にもいろいろと影響を及ぼします。例えば猫は興奮すると、血糖値が上昇します。180mg/dl以上も簡単に上がります。一昔前は動物病院で血液検査をし、血糖値が高いのみで、糖尿病の症状もないのにもかかわらず「糖尿病かもしれないと言われたことがある」とよく聞いたものです。

ゆえに猫ちゃんたちには、興奮(耳を後ろに倒す-イヤーバック、もっと興奮すると耳が後ろに平になる-イヤーフラット-)をあまりさせないようにし、ストレスはほど良い程度で、くつろいで、ゆったりと過ごしてもらいましょう。猫は三次元の動物ですから、高い所も作り、室内では空気清浄器を使用して(猫は体型に比べて肺の容積が少ない)、運動はあまり出来ないでしょうから、代わりにマッサージ、階段の利用、安全な玩具、ボールフード入れ(おやつボール)、段ボール箱、爪とぎ等を用意して、猫にリラックスしてもらいましょう。そして猫といっしょにリラックスし、共に幸せを感じる時を共有しませんか?

意外な盲点は、猫を撫でている時に、イヤーバックが続けてあれば、緊張してストレスにあるが、飼い主だから、猫が我慢していることも考慮してください。猫のストレスと言うと、猫が「唸り声をあげて」怒っている時にストレスを感じていると思うでしょうが、これは意外に「ストレス発散」の行為であまりストレスにならない場合もあります。ゆえに不要な持続性のストレスは、猫に持続性の血糖値の上昇を来すことになり、避けなければなりません。

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7.癌について

ヒトの健康問題で最近では「人類の健康は糖質(砂糖)との闘いから始まる」とも言われているようですが、猫はより野生に近いので、この問題はより切実です。その解決法はヒト(甘い罠には弱いから)より、比較的簡単です。ドライフードを少しにして、ウェットフード中心(例えば缶詰食、以下は缶詰食と表現しますがウェットフードのことです)にすれば多くは解決します。

また「癌」と言う病気もそうです。例えば、蛋白質と脂肪を食べても癌細胞は成長しません。癌は「甘み」が大好物なのです。癌は甘みによって成長しています。要するに炭水化物のみが癌の栄養源となります。炭水化物が少なければ、癌細胞から生産される、乳酸塩の生産を阻害するのに役立ちます。癌細胞は貪食能が強く、栄養を糖質から得ています。

最近ヒトの医学では「癌」の検出に「PET検査」が用いられていますが、PET検査は、癌細胞が正常細胞に比べて3~8倍のブドウ糖を取り込む、という性質を利用して、ブドウ糖に近い成分(FDG)を体内に注射し、ブドウ糖(FDG)が多く集まれば、癌と判ります。

またヒトの癌治療の最前線である、プレシジョン・メディシン(精密医療)は、遺伝子検査によって、癌の治療薬である、分子標的薬を選ぶのですが、その際に使用されるのが、遺伝子カプセルです。これにもブドウ糖が用いられており癌細胞に到達しやすくしているのですが、動物医療ではまだこれらの医療はあまり応用されていません。しかし現時点でできること「糖質を出来るだけ断つこと」は可能です。

しかしこれだけでは癌は治らないですが、少なくても癌がある動物には、炭水化物で癌を育てるのではなく、蛋白質と脂質を与えて癌を飢えさせる方が良いと言うことです。要するに出来るだけ、低炭水化物食にして、脂肪(特に中鎖脂肪酸)を多く摂取すると、ブドウ糖が減少して癌細胞は死滅ぎみとなりますが、正常な細胞はケトン体を利用してエネルギーが得られるので問題ありません。

それが証拠に過去の野生の猫には癌と言う病気は少ないものだったようです。その一番の原因は寿命の短さですが、それ以外の主な要因には「低炭水化物の食事」と考えられています。米国の発表では犬の47%、猫の32%が癌で死亡(MAFAHS 2000)しています。

即ち犬の半数、猫の1/3は癌と言う病気で死亡しています。ヒトの世界では男性の半数、女性の1/3が癌で死亡している事実と何か似ているようです。主な要因として「猫に多くの炭水化物が与えられていること」が挙げられると思います。

私が動物病院を開業した40年前は癌の猫は10頭に1頭と言われました。医学が進歩した今日でなぜ猫の癌がこれ程増加しているのか、寿命が延びた、診断技術が向上しただけの理由ではこれほど増加しないと思います。

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8.ケトン体食でつくるケトン体質。その注意点

現在、欧米では、猫に超低炭水化物食(5%前後)を食べてもらい、猫の体を「ケトン体」の体質に近づけることが、最も寿命を長くする究極の方法と考えている獣医学の栄養の専門医が多くなりつつあります。しかし猫はヒトと比べて、なかなかケトン体が出にくい体質のようです。

痴呆症もしかり、糖質は脳内のβアミロイドの蓄積の原因となります。猫の難治性の癲癇の治療にも、薬剤とこの超低炭水化物食の併用を試すことをお勧めします(しかしまだこの方法の研究発表はありません)。ヒトの幼児の難治性癲癇の治療にも低炭水化物食が使用されています。これは炭水化物を殆どまったく与えない食事、すなわち「ケトン体食」を与える治療で、現在ではヒトの医療では、薬の効かない小児の難治性の癲癇に適応されているようです。この治療は保険でも認められています(2016年4月より)。

これらの状態では、その病気の程度によりますが、通常の低炭水化物食が、病気の回復を阻害することが考えられています。時には危険となる可能性もあります。このような場合のみ、ある程度の炭水化物(主に食物繊維等)が必要になる場合もありますので、注意が必要です。

もう一つ重要な注意点は、例えば猫の糖尿病でインスリン治療中の猫を、このより進んだ糖質制限食(特にスーパーと呼ばれる炭水化物殆どなしか全くなしの食事、すなわち「ケトン体食」の状態にしようとすると、血糖値が上がらなくなるので、インスリンが効きすぎて低血糖となり、危険な状態になることもあります。炭水化物の%と相談しながら、インスリンを調節する必要があります。

この方面に詳しい獣医師と相談しながら行ってください。この事例は、ヒトの糖尿病の方が、医師に黙って糖質制限をし、血糖値が上がらなくなっているのに、いつもの血糖値を下げる薬やインスリンをし、低血糖になる事例が多いのとまったく同じ状況です。

最近では日本でもヒトの食事の世界で、この低炭水化物ダイエットが話題になっています。ヒトも遺伝子的には肉食動物(人類の歴史700万年で、1年前から農耕を始め炭水化物を食べだしたので、人類が生まれて、1/700以下の炭水化物の歴史でしかない)の食事が適当とのことで、とりわけ戦後の飽食の時代でこの問題が脚光を浴びたのかもしれません。

特に健康な猫の食事をいかに「ケトン体食」にするかが問題です。経験上これはかなり難しいようです。いわゆる、ケトーシスの状態にするのです。いかに猫をケトーシスの状態にするかが究極の猫の健康法です。

猫の体がケトン体の体質になったかどうか判定するのは、比較的簡単で猫の尿のケトン体を測定すればよいのです。尿検査のペーパーを用いて、ツープラス(⧺)以上で合格です。またより正確に測定するには、血糖値を測るように、血液検査でも簡単にケトン体が測定できます。

誤解しやすいのは、このケトーシス(健康に良い状態)とケトアシドーシス(健康に悪い状態、時に危険な状態です)の区別です。致死的なケトアシドーシスとは、血液中にケトン体が増加して重炭酸イオンの緩衝機能が働かなくなり血液が酸性に変化した状態を指します。コントロールが出来なくなったケトーシスの状態です。しかしこのケトアシドーシスは、絶食、糖質制限食では起こりません。

ケトアシドーシスと診断するには、血糖値が異常に高い状態で、血液が酸性になって、ケトン体が出たらこれは、ケトアシドーシスです。通常脱水も伴います。直ちに集中的な治療が必要です。猫の糖尿病の治療中に起こることが多いと思います。または糖尿病が治療されない状態が長く続くと起こることがあります。

 

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9.ペットフードに含まれる炭水化物について

なぜキャットフードに不必要な、より多くの炭水化物が使用されているのでしょうか?炭水化物を入れると、原材料がより安くすむ?が一番の理由でしょうが、ドライフードの場合は、製造過程の問題で炭水化物を入れると安定した食事(乾燥状態の形状を維持できる、糊のような働き)が保てる?より効率よく品質管理(長持ち)ができる?等の理由も考えられます。

このような動物の医療の研究・開発には企業の力が必要となります。この分野(犬猫の食餌の研究)に国家の補助金は皆無と思われますし、どのように考えても、誰かが開発費を無償で出資するとは考えにくいので、ペットの栄養学の進歩発展のためには、産学共同で研究開発をする必要があると思われます。できうれば産官学連携が理想ですね。

我が国の獣医学は欧米に追い付け、追い越せと最近では大分進歩してきましたが、こと栄養学に関しては、まだまだ遅れているようです。世界が認める米国獣医師会の認定の獣医栄養学会の専門医は、全世界で約90人いますが、日本人は一人のみで、カルフォニア大学獣医学部で学んだ、金久保佳代先生(Dr. Kayo Kanakubo)のみです。彼女は活動の場を、栄養学を学んだ米国に移し活躍しています。

また日本には、猫の専門医も存在しません。これらの制度自体がない(米国にはあります)からです。最近になって、やっと、ねこの医学会ができた程度です。日本の獣医学は、まだ犬の医学が中心で、猫の医学は犬に比べると遅れているようです。

しかし栄養に関しては日本でも1998年に、日本ペット栄養学会が設立され、少しずつではありますが認知されつつあります。この団体はペットの栄養に関心を持ってもらうために、ペット栄養管理士の認定をしています。関心のある方は是非にトライしてください。現在獣医界の栄養学に関しては、この日本ペット栄養学会先制動物医療研究会一般社団法人比較統合医療学会等が栄養学セミナーを開催し、オピニオンリーダー的な役割を担っています。

■質問「私の健康な猫に何を食べさせたら良いのか?」の答え-
では実際問題、「私の健康な猫に何を食べさせたら良いのか?」の質問に、お答えしましょう。別の質問では「どのようにして低炭水化物食を選ぶか?」。
それはズバリ!「 缶詰食(ウェツトフードのこと)を中心に選ぶこと」です。
缶詰食でも出来るだけ炭水化物の少ない缶詰で、3-6種類の缶詰、そしてメーカーの違う缶詰食を選ぶことをお勧めします。

その理由は「いろいろな味を経験させて食べることを覚えてもらうと、病気した時も食べる機会が増す可能性があること」「もしその缶詰食に何か不合理があった場合に、一つの缶詰だけを食べ続けた場合には何か影響があるかも」「万が一にも生産中止になった時に困ること」等です。

しかし現在猫のペットフードの主流は、何と言ってもドライフード(97%?以上)で缶詰のように重くない)の便利さ、使用後の処置、保存のしやすさ、費用の安さ、手軽さ、持ち運び等で好まれています。欠点は、炭水化物が多く、水分量が少ない(13%以上はカビが生える?)等です。

しかしドライフードには良い使用法があります。その利点を生かし、例えば、缶詰食を1日2回とすれば、同時に4-5ヵ所に、ドライフードを5-7粒ずつ置きっぱなし(缶詰のように腐敗の心配はあまりないゆえ)にする方法です。もちろんドライフードは炭水化物のできるだけ少ないドライフードを選びます。猫は1日6-7回に分けて少しずつ食べさせるのが理想的な食餌方法です

缶詰食はドライフードより歯の健康に悪い?歯垢や歯石が溜まりにくい、とも言われてきましたが、現在ではこれは否定されています。犬のプードルにての疫学的な研究では、それ程の差はなかったと報告がありますが、猫も同様と考えられます。

その理由は、各々の猫の歯の特性を考えれば判ります。前歯(門歯)は切り裂くためのものではなく、犬歯は切り裂くがキャットフード切り裂く必要のない大きさであり。奥の臼歯が本来磨り潰す機能があるのですが、猫ではできません。

ゆえにドライフードも缶詰も歯垢や歯石の蓄積は同じです。これらの問題に対しては、2-3年に一回、麻酔にての歯石除去で対処(麻酔なしの歯石除去は、表面だけ落として一見白くなりますが、目に見えない歯垢は残り、その後より多くの歯石が蓄積します、痛み、恐れに対しストレス過剰状態となり可哀そうです)できます。勿論その後の歯の手入れは必要です。

また最近の糖質制限の考えでは、細菌の感染によって引き起こされる歯周病に対して、糖質制限は、ブドウ糖が過剰に血液中に流れ込むのを抑えるので、毛細血管を傷つけることなく、歯茎の糖化を防ぐ働きがあると考えられ、細菌感染を防ぐように働くので、歯石、歯垢による悪影響をかなり軽減できると期待されています。

 

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10.健康な猫の食事に総合栄養食の缶詰食を勧める理由

健康な猫の食事には、総合栄養食(一般食や副食でない、ドライフードは殆どが総合栄養食であるが、缶詰食は一般食や副食が多いので注意)の缶詰食を中心に選ぶことが基本です。その理由は?

<第一の理由…水分量が多い
水はあなたの猫にとって非常に重要であり、膀胱や腎臓を始め、尿管、尿道等の閉塞、泌尿器自体の病気、特発性膀胱炎等、糖尿病、便秘、他の多くの健康問題と関係があります。猫の病気の全体の半分以上に関係しているこの水分不足の問題は、ドライフードの致命的な問題です。ちなみに缶詰のみを食べる猫の排尿回数は2-4回ですが、ドライフードのみを食べる猫の排尿回数は、猫の正常な排便回数と同じ1-2回でしかありません。ドライフードのみを食べている猫は常に軽度の脱水ぎみと考えて良いでしょう。

<第二の理由…炭水化物が比較的少ない
猫は狩猟採集の肉食動物であるので、いくら生活環境や時代が変わろうとも、炭水化物が体に入ると、体が炭水化物に少しずつ慣れても、いわゆる人間で言う文明病と言われる病気に早く近づくことになります。いわゆるヒトの成人病の様な体系となり、体の炎症反応が進み多くの疾患を引き起こす原因となる可能性があります。 肥満、糖尿病、消化器の病気の根本的な病原に炭水化物が関係しています。

<第三の理由…動物性の蛋白質量が多く栄養バランスが良い
動物性の蛋白質量が多く栄養バランスが良く脂肪量もドライフードより多いものである。缶詰食は概して高蛋白、高脂肪、ビタミン、ミネラルも水も豊富である。ドライフードは動物性の蛋白質よりも植物性の蛋白質が多く使用されているので、猫の蛋白質としては適当ではない。

<第四の理由…本来、有害が疑われる科学物質の添加物の含有は必要がない
密封状態(酸素に曝されない)、遮光状態にあるので、保存剤、抗酸化剤等の必要がない、人間の食餌やペットフードに使用されている、一般的に安全と見なされている天然由来の添加物も、必要がない。

<第五の理由…小型動物に近い栄養と水分が得られ、食感が小型の動物に近い
小型動物に近い栄養と水分が得られ、食べる感触が小型の動物に近いので食べる感触がよく食欲が進み喜びます。ゆえに過食を防ぐため、給餌料を決めて与えることが重要です。より自然に近い食べ物なので嗜好性が高い。缶詰を食べた後の猫は幸せそうにスマイルしているかのようで、時に満足げにグルーミングを始める猫が多いようです。これらの心の安定が猫にはとても重要です。

<第六の理由…細菌感染、カビの発生、昆虫及び糞の混入がない
缶詰の製造過程にて殺菌された状態で、作られ、酸素、日光とは無縁の状態なので、細菌の汚染(嘔吐と下痢の原因)、カビの中毒、昆虫及び糞による呼吸器の問題、その他アレルギーの問題も起きにくい状態となる。

<第七の理由…缶詰食はドライフードに比べてカロリーが低い
缶詰食はドライフードに比べてカロリーが低いことで知られています。現代の猫は約半数が肥満ぎみと言われており、主な要因はドライフードによる過食と考えられています。

 

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11.猫の水分摂取について

猫と脱水の問題は、猫の病気や栄養学においても、差し迫った問題です。動物病院での猫の病気との闘いは、「脱水との闘い」ともいわれ、専門的に猫の病気を扱う動物病院では、多くの病気の猫に対して、夜を徹して点滴が行われています。

問題なのは「猫は単独で水を飲むのは、あまり得意ではない」ということです。猫の舌は食餌を送り込むのですが、犬の様にうまく舌を巻きこんで、水を飲むことができないのです。猫は、昔から食餌から栄養と同時に水分を得て来た動物です。ゆえに缶詰のように食餌に含まれた水分がとても重要なのです。猫は水分を単独ではなく、食餌に含まれる水分を摂取し生きて来た動物なのです。上記したように猫が水分の不足に陥ると、ありとあらゆる病気の要因となります。

特に猫にとってドライフードの水分量(3-11%)の少なさは問題です。1-3歳までに起こりやすい雄にみられる尿閉(尿が出ない、出にくくなる、この病気は下部尿路疾患といわれる)の問題の根本的な原因がドライフードによる水分不足です。事実、缶詰食を常食している猫で、尿閉になった猫の報告はドライフードの常食に比べものにならない程少数です。この尿閉のパターンには3つの特徴があり、「年齢は1-3歳」「雄」「ドライフードのみを食べている」ことです。

これは2-3ヶ月頃から与えられ始めたドライフードにより、若齢期から慢性的に初期の脱水状態(これは5-6%程度の脱水なのでなかなか判りません)があり、これが1-3年間ぐらい続き、ついには耐えきれなくなり1-3歳までに尿が出なくなるといった経過をたどることが考えられます。

その後の経過はどうかというと、治療したり、食餌を変えるなどで、一時的には治癒しますが、もし軽度であれ脱水の状態がその後には慢性的となり、7-10年も継続すると、また尿閉が再発したりすることもあります。ただ、この場合は比較的治りやすいものです。また10-13歳以上たつと慢性的な腎臓病や特発性膀胱炎の要因の一つになることも考えられます。

例え缶詰を与える場合も、食べ方と相談しながらですが、その半分量程度のお湯か水を加えてあげるのも、時に良い方法(特に腎臓病の治療中)となります。

猫という動物は、特にストレス状態の時はあまり水を飲みたがらないようです。家庭猫の子孫である、アフリカの野生猫のリビアヤマネコは砂漠にいて水を得る機会が少なかったようで、水分平衡を保つために、水分摂取量の低下を高濃縮尿で代謝(水を飲まなくても、尿を濃くして対応)してきたので、このことが、喉の渇きを鈍感にさせ、尿及び尿路の結晶や結石のリスクを増大させる要因になっています。

最近、増加傾向にある猫の尿管の結石は、大変な問題で、結石で尿管(腎臓と膀胱を結ぶ管)がつまれば、1-2日間の内科療法で解除できなければ、直ぐに特殊な外科手術が必要となります。猫の尿管結石(閉塞)について、をご参照ください。この手術は主に外科の専門病院で行われています。この主な要因の一つが水分不足です、とりあえずは缶詰食を中心にすることをお勧めします。

尿管結石

 

猫は昔から水分の補給は主に、捕食した小型の動物(例えば鼠)から得ていました。猫はなかなか水のみをあまり飲まない動物です。小型動物には単に水分のみならず、各種の均衡の取れた電解質も含んでいます。特に猫は、高齢になると喉の渇きのセンサーが鈍感になり、より水を飲む機会が少なくなります(ヒトと同じですね)。余程、活動すなわち運動後でないとのどの渇きを感じないようです。猫の飲水についての情報は、猫の飲水療法を参照してください。

最新の猫の医学では、「様々な程度の脱水」「炭水化物の多さ」「蛋白質の少なさ」の、三大要因が猫の健康に、有形無形の悪影響を及ぼしていると考えている、猫の専門医、栄養専門医が多くなりつつあります。我国ではまだこの考えを勉強している臨床家の獣医師は少数派です。

これらのことが本当のことなのか?猫の飼主の方は簡単に試すことができます。猫が健康な時に試してみてください。あなたの猫に缶詰を中心(80%以上)に2-3週間あげてください。缶詰を食べる場合のみの話ですが、猫の態度を観察してください。2-3週間(もっと早いかもしれません)たつと、何かとてもリラックスした態度に変わります。例えば、爪とぎ、グルーミングの回数が多くなったり、尿の回数が1-2回が3-4回になり、水を飲む量が半分(水分が満たされるから)になったり、動きが良くなったり、食べた後の顔や舌の動きが違ってきます。便秘ぎみの猫が改善したり、その他いろいろな変化に驚くことと思います。

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12.ドライフードの問題点を解決するには、与え方

あの小粒のドライフードは、どう考えても生きた小型動物に似ても似つかない(干からびている)ですよね、その点缶詰フードは、何か滅菌済みの小型動物の栄養がそのまま含まれている感じがしませんか?

しかしドライフードに対してもある程度の解決策はあります。まずは水分の問題ですが、食べる直前にドライフードにお湯(37℃以下)や水をかけて、ふやかしてあげればよいのですが、猫ちゃんがカリカリのドライフードを食べつけていると、往々にして食べてくれません。

犬の場合は問題なく多くが食べてくれます。お湯でふやかす方法は、特に水でふやかしても食べない猫に有効なことがあります。猫は冷たい食餌より、温かい食餌を好むことが学問的にも証明されているからです。

しかし水やお湯で湿らしたドライフードはカビが生える可能性がありますから、室温にもよりますが、できれば5-6時間、長くても12時間して食べない場合は廃棄してください。ドライフードをふやかしてあげる方法は、ドライフードでの、まれに起こる猫の誤嚥(ドライフードを喉に詰まらす)を防ぐ意味合いにもなります。特に若齢猫と高齢猫は、嚥下の機能が低下し誤嚥を起こすことがあります。必ず食餌の際には近くに水を置いてください

ドライフードで水分を与えるコツがいろいろあります。離乳食の頃から、湿ったドライフードに馴らしておく方法です。これで少しは違うようです。また急に水分に浸すのではなく、少しずつ、始めの1週間は、ドライフードの1/3のみ、水分を均等に加えてあげます、次の1週間は半分ずつ、次の1週間は湿ったドライフードを2/3にします。そして22日目にすべて湿らせて投与します。うまく行かなければ食べる時点の水分で止めておくのが重要な点です。

もし缶詰とドライフードを同時にあげたい時は、規定量を守り、ドライフードの上に缶詰食を置いてあげてください。缶詰食を先に食べさせることがコツです。低炭水化物ゆえに血糖値が上がりにくいのです。その後血糖の上がるドライフードを食べさせます。これはヒトで血糖値をゆるやかに上昇させるために、「野菜(その次は肉ですが)を最初に食べてその後、ご飯を」の論理と同じです。ヒトはベジタブルファースト、ミートセカンドですね。猫はミートファーストです。

これらの対策を取ることだけでも、例え炭水化物を食べても血糖値の上昇を少しでもゆるやかにすることができるので、有益な方法と思われます。ドライフードも必要で、前記したように数か所に少しずつ、猫のおやつ程度に使用するのが良いと思います。何らかの躾をする場合や猫とコミュニケーションを取って遊ぶ場合等にイベントとして、一粒ずつあげて猫と一緒に楽しい時間を共有しましょう。

また多頭飼育の場合、缶詰食を別々にお皿で食べさせている間に、他の猫ちゃんたちには、ドライフードをおやつ感覚で、手から、または床に2-3粒置いてゆっくり食べさせることにより、他の猫の食餌の邪魔になる機会を多少なりとも、少なくすることができます。

食餌は静かな、安全な環境で与えます。例えば、食べている猫の後に他の猫が回ったらそれだけで食べなくなることもあります。できるだけ容器はいつも使用している食器を使います。そして容器はできるだけ浅い容器で、猫のひげが当たらないようにするべきです。

もし猫が1-2日まったく食べなければそれはイエローカードであり、3-4日間まったく食べなければそれはレッドカードです。猫が食事をしないということは大変な病気を現しています。人と比較して1-2日あまり食べないからといって、たいした事ではないと勘違いしてはなりません。猫があまり食べない場合は食餌を手のひらに載せて与えたり、愛撫しながら猫に声をかけて安心するように仕向けます。猫が絶食に耐えられる時間は厳しく言うと4時間までと言われています。

静かな環境で食餌を与えることも心がけます。あまり食べない場合は、体温程度に食事を温めて(Sohail MA 1983)、香りを高めることも有効なことがあります。猫の鼻が詰まっている場合には、温めた水で鼻の周囲を清潔にしてあげると、より匂いを感じ食べ始めることもあります。

 

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13.ドライフードから缶詰食へ、10日間変換法

まれにドライフードだけを食べていると、缶詰食をまったく食べない猫もいるようです。 特に長期間ドライフードのみを与えている場合は時にそんな場合が起こりえます。そんな場合に応用できるのが10日間変換法です。これは本来食餌を変える時に行う手法ですので覚えておきましょう。

最初の1-3日目は新しい食餌(缶詰)を1/3、今までの食餌(ドライフード)を2/3与えます。4-6日目の3日間は今までの食餌を1/2、新しい食餌を1/2、7-9日目の3日間は今までの食餌を1/3、新しい食餌を2/3、最後の10日目に新しい食餌にすべて変換します。行う前日の食餌は少な目の方が良いかもしれません。

この場合は缶詰とドライフードは混ぜて構いません。要するによりよく食べてもらう機会を増やすためです。この方法で最も重要なことは、食べなくなった時点で、その前に戻すことです。例えば半々では食べたが、缶詰を2/3量では食べなかった時点で止めて、半々を食べさせることです。また半年後に半々から始めて、缶詰を少しでも多く食べてもらうように訓練できる場合もあります。できうればドライフードは多くても1/3までを目指しましょう。

日本では猫全体のうち、ほぼ缶詰だけを食べている猫は約4%,ドライフードと混合(例えば朝ドライ・フード、夜は缶詰)が29%、ほぼドライフードのみが62%、手作り食は1%、療法食は3%、その他は残飯やヒトの食餌等が1%との報告があります。

缶詰フードは、ドライフードより水分量が多く(70-80%)しかも、低炭水化物食です。大体どのメーカーでも缶詰食の炭水化物の平均値はだいたい15-25%だと思います。目指すべき猫の炭水化物は10%です。本当に健康な猫の理想的な炭水化物は約5%以下(この数値は、採食する野生の猫の摂取する炭水化物の量の%です)ですがこれはハードルが高いので、取り敢えず10%前後の缶詰を捜してください。体重で言うと、0.5-1.0g/kgが理想的な糖質量と考えてください。

私の個人的な見解の炭水化物の%は、40%以上は完全にアウトのレッドカード、30%はイエローカードで、20%は耐えるぎりぎり、できうれば、10%以下が目指す数値(理想は5%以下)となります。ちなみに現在の猫の栄養学の標準的な見解の炭水化物の%は35%ですが、欧米の栄養専門医や猫の専門医に個人的に尋ねると、ほとんどが炭水化物の%はできるだけ低い方が良いという見解を述べます。

では犬の栄養学の理想的な炭水化物の%はどうかというと、基本的には猫と同様ですが、より耐えることができます。現在犬は雑食性と言われますが、本来は何でも食べる肉食性です。犬の理想的な炭水化物は25%以下最適は15%以下)です。犬は猫に比べれば、家畜化が長い分、炭水化物に耐えることができるようです。

ヒトの世界では、米国心臓協会(AHA)が「1日の砂糖は、小児が25g以下、2歳未満は一切控えるべき」という提言がされています。25gというと、ティースプーン6杯程度です。また小児の1日の添加砂糖摂取量の上限を総カロリー量の5%未満とも発表しています。ゆえに「子猫に缶詰を与える」のは、大変理に適っていることと思っています。

ドライフードはかなりの低炭水化物でも18-27%ぐらいあるようですが、米国では5%以下の低炭水化物の猫用のドライフード、猫用の缶詰では炭水化物0%も、発売されています。ここで再度強調しておきたいのは、この低炭水化物食(蛋白質・脂肪食)は主に健康な時の食事です。病気の場合には少し違った状況になることもあります。例えば脂肪を制限しなければならない病気もあると考えられているからです。

ドライフードから缶詰フードに切り替える時期は、普段の健康な時、元気な時に行うことが重要です。何らかの元気のない時に行おうとすると、食事嫌い(フード・アバージョンfood aversion)を発症することがあります。

 

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14.猫のフードにおける炭水化物の成分比について

さて、どうやって猫の食事の炭水化物の%を調べることが出来るか?の問題が残っています。猫のフードの多くは、AAFCO (アーフコ:Association of America Feed Control Officials―米国飼料検査官協会、半官半民の団体)の基準に従っています。

問題なのはAAFCOの基準では、炭水化物の割合の%の表示義務はないので、多くのメーカーで、殆ど記載がありません。一部のメーカーでは自主的にある程度公表していますが、それはデンプン量の割合(デンプンとは糖質の多糖類で、穀類、豆類、イモ類のことで、炭水化物=糖質+食物繊維ですなわち糖質=炭水化物―食物繊維です)の記載であったり、乾物量分析値(水分量を含まない栄養成分量)等であったりします。

AAFCOの記載の推奨は保証分析値(公正競争規約により指示されている成分で、例えば蛋白質と脂肪は最低量、即ち%以上、脂質、繊維、灰分と水分量は最大量、即ち%以下で示されます)のようです。

これは例えば粗蛋白質28%以上と記載があれば、最低量28%はありますの意味で、数字以上の蛋白質が含まれている可能性もあります。ゆえに蛋白質を制限しなければならない病気(慢性腎不全等)の場合には注意が必要です。この数字の意味は、単に蛋白質の最低量を示しているだけです。蛋白質と脂肪は以上、繊維と水分量は以下と記載されます。

またドライフードと缶詰フードの栄養の記載ですが、缶詰の方が、ずいぶん水分量が多いことに気付かれたのではないでしょうか、例えば以下のようです。

 

缶詰フード

ドライフード

粗蛋白質

4.0%以上

35.0%以上

粗脂肪

1.5%以上

17.0%以上

粗繊維

1.9%以下

4.5%以下

水分

84.0%以下

8.0%以下

粗灰分

2.0%以下

8.0%以下

 

この保証分析値の記載では、キャットフードで一番知りたい、「炭水化物の割合の%」 の記載はありません。しかしながら、自身である程度の目安で、計算することは可能です。大体大まかに炭水化物の%を割り出すには、記載義務のある、各々の5つの成分「水分」「粗蛋白」「粗脂肪」「粗繊維」「粗灰分」を足して、その合計を100から引けばよいのです。

炭水化物の%=100-(粗蛋白+粗脂肪+粗繊維+粗灰分水分)

炭水化物(%)とは? ほぼ消化される糖質の量のことで、可溶無窒素物(NFE-Nitrogen Free Extracts)といわれ、数値が5%前後なら、理想的な合格ですがこれらの数値はウェットフードでないとあり得ない数値です。ゆえにキャットフードは缶詰食を中心にドライフードは付け足しで与えます。

ドライフードの炭水化物が多い原因がこれでお分かりですね。ドライフードの水分量の平均は3-11%で缶詰フードの水分量の平均は70-80%です。時に記載義務のある5成分の計が105などの100以上の数値になることがあります。これは「以上」「以下」が関係しているためです。いずれにしても自身が使用しているペットフードに関しては、そのメーカーに、確かな炭水化物の%と、その食餌の炭水化物のg数を尋ねる必要があります。

この缶詰の水分量の多さは各々の栄養素の%にも関係します。例えば蛋白質について説明すると、ドライフードと缶詰では、缶詰の方が随分少ない数値であるのに気がつくと思います。この理由は缶詰には多くの水分があるため値が低く出るのです。

ゆえに缶詰のように特に水分量が多いウェットフードの場合は、乾物量分析値(フードの水分量を除いた後の栄養成分の割合)の表示での記載がないと、比較が困難になります。乾物量分析値の%を割り出すには以下の計算式を利用します。

乾物量分析値の%=粗蛋白÷(100-水分)
例えば、4.0÷(100-84=16)=0.25、数値は25%となります。

ここで表している「粗」の意味は、成分そのもの以外の物質も含んだ値で、栄養成分を測定した結果の総称のことです。また灰分(かいぶん)とは、食品が燃え尽きたあとに残る不燃性(灰)のミネラル成分(カリウム、カルシュウム、マグネシウム、リン、鉄、等)の成分のことです。これらの成分も%での表示があれば望ましいところです。

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15.「猫の理想的な食餌とは」まとめ

私の約45年間以上の臨床経験で、猫で20歳以上(25-26歳の例もある)も生きた、20-30例を思い返してみると、偶然か?ほぼ全ての例で、缶詰が主でドライフードも少しは食べていた又は、殆ど缶詰食の猫でした。飼い主さん曰く「子供の時に、時々ドライフードを食べなくなることがあり、缶詰に切り替えたらよく食べたので、そのまま殆ど毎食缶詰を続けた」猫が殆どでした。ドライフードのみで20歳以上生きた猫の例は聞いたことがないのです。要するに「長生きした猫は生涯にわたり缶詰を中心に食べた」猫ちゃんたちだったのです。

缶詰食の欠点は、ドライフードより、1.5-2倍以上価格が高いことと、重いので移動、輸送費が大変、すべて使い切らない場合は、密閉状態での冷凍保存が必要、空き缶を処理する場合に良く洗って捨てる処置(この時に缶詰の内面の色の変化に注意してください、また缶詰を開けたらその匂いや色合い、がいつもと同じか確かめてください。しかし心理学ではこの食事の世話に時間を費やすことは、猫に対する愛情表現であり、人と動物の関係を構築することになるとも言われています。

最近ではドライフードであるが、缶詰フードの持ち味を生かした、フリーズドライのキャットフードもあります。これは手で解してフードの3倍量の水又はお湯(37度以下)を加えウェットフードになるものもあります。また猫のフードで半生タイプもわずかながら流通していますが、これの水分量は30-40%ありますが、その水分があるゆえに、缶詰のような密閉状態になっていないため、細菌やカビの繁殖を防ぐため保湿剤のグリセリン(以前はプロピレングリコールが使用されたが、これは猫の赤血球を破壊する毒物のように働くので禁止された)等を使用せざるをえません。ゆえに缶詰を食べない猫に、ドライフードから缶詰に切り替える時に使用する等、限定的な使用をお勧めします。

猫の理想的な食事とは、糖尿病用の食事だとも、よく言われますが、私の過去の臨床、経験でも、缶詰を常食としている猫を、糖尿病と診断したことはほんの僅かしかありません。 また缶詰食を中心にすると、外傷、誤嚥、伝染病等の病気を除いて、病気で動物病院に掛かる確率が、かなり減ることは容易に想像がつくと思います。

まず、ほとんどの消化器系と泌尿器系の病気が半分以下となることでしょう。ゆえにその他の伝染病や公衆衛生上の問題の予防や精神面の安定に力をそそぐことができるので、より快適な生活も容易となることでしょう。私の推定ですが、ドライフードのみを食べる室内飼いの猫の平均寿命は、8-12歳、半々程度の猫は、10-15歳、缶詰中心猫は、15-20歳、時に25-26歳まで生きます。

ではどのような缶詰食を選ぶかですが、前記したように炭水化物が10%以下(入手出来なければ出来るだけ炭水化物が低い値の缶詰)であり、各社の異なる缶詰を3-4種類(魚介類系のみから選ばないこと)選んで与えることをお勧めします。ここでいろいろ解説していますが、巷の数ある会社の缶詰から、医学的な事柄(炭水化物の量等)からどんな缶詰を選ぶかが、それなりに知識がないと、難しい場合があります。そのような時には本来ある人間的な観点、本能を働かせることで良い選択が可能になる場合もあります。

まずは信頼出来そうなペットフードの会社を選ぶことです。例えばホームページを見る際にも、世間の常識の眼で判断をする必要があります。例えば自身の会社の缶詰の利点のみを根拠なく言葉だけで強調したり、自然なもの、添加物なし等を言葉のみで強調したり、他の会社を選ばせないような強い記述がある会社は信頼できないでしょう。

この世の中、詳しい知識がなくても、貴方の持っている常識を総動員して働かせれば、意外と分かってしまうことも多いのではないでしょうか。各々の缶詰には、その特徴があり、その適応を知れば賢く選ぶことが出来るでしょう。

 

<高齢猫に多い甲状腺機能亢進症>

甲状腺機能亢進症の発症率がドライフードを常食としている猫より、缶詰食を常食している猫の方が少し高いのではないのか?という医学論文があります。ドライフードを常食としている猫より、缶詰食を常食している猫が、2-4倍発症率が高いとの報告です。

その理由は米国のキャットフードはドライフードより、ウェットフードの方が、ヨウ素の濃度が高い傾向にあるということからです。

現在は、すべてに受け入れられてはいませんが、猫の甲状腺機能亢進症の原因として、ヨウ素(iodine)、セレン(Se)の濃度の高さが、疑われています。ゆえにもし貴方の猫が7歳以上の高齢であれば、あなたが与えている缶詰食のヨウ素、セレンの含有量をメーカーに尋ねるとよいかもしれません。しかしこの値は、メーカーによって実に様々とのことで、一部のメーカーの缶詰食に濃度の高いものが存在するようです

猫のセレン(Se)の最小は要求量は0.13mg/kg(Wedekind,etc 2003)、適量は0.65-1.3mg/kg、上限値はおそらく1.3mg/kgまでとの報告があります。ヨウ素については不明な点が多いようですが、適量は0.46-3.5mg/kg、最小の中毒量は8.8mg/kg以上との報告があります。(Wedekind,Laurberg,etc)

ヨウ素やセレンは魚に多く含まれている傾向があるので、6-7歳を過ぎた頃からは、もし魚由来の缶詰食(匂いが強い)を選んでいた場合には、魚由来以外の缶詰も選ぶと良いかもしれません。しかし前記したように、缶詰でも様々な種類の缶詰を食べる習慣にしておけば、この問題の多くは解決します。

この猫の甲状腺機能亢進症は、猫の糖原病と共に猫の2大内分泌疾患として有名です。この甲状腺機能亢進症は高齢で、通常は10歳以上で起こります。ゆえに猫が7歳以上になったら、動物病院では、甲状腺機能亢進症を調べるために臨床症状と合わせて、T4を測定します。この方法で多くが診断できます。正常値は0.2-2mg/kgです。3-4mg/kgから疑い始め、5mg/kg以上で診断します。

ゆえに、もし猫が10歳過ぎて、甲状腺の値が5mg/kgとなったら、魚由来の缶詰から別の缶詰への切り替えや、現在では甲状腺機能亢進症のための専門の療法食がありますので、まずは、それらを試すことをお勧めします。値が正常であれば、切り替える必要はないでしょう。掛り付けの動物病院と御相談ください。

 

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<猫の体温>

最近私が感じていることの、炭水化物40%以上のドライフードを食べている猫の体温が、缶詰食の猫の体温より少し低いことです。本来の猫の体温は38.5℃前後ですが、病院で体温を測定すると若干興奮するので、多くが38.8℃前後になります。(最近は興奮が少ない眼球で体温を測る体温計があります。)一方、ドライフードのみの猫は興奮していても38.5℃前後です。この低体温は、あらゆる病気の素因になることが考えられます。

もしあなたの猫の体温が低い?と思われたら、時々足先を触ってください。朝、昼、晩と、違いがありますか?少し冷たいと感じるようであれば体温を測ることをお勧めします。そのような場合は私達の動物病院では、足先を表面体温計で測定しています。マッサージ(運動、深呼吸、リンパの流れ等の改善のため)とブラッシングを心がけて猫の低体温を少しでも改善させることをお勧めします。

 

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<ストレスについて>

猫ちゃんにストレスを必要以上にかけない生活を心がけてあげてください。ストレスで間違いやすいのは、例えばあなたの猫を撫でる時、マッサージする時、猫の顔の表情を見てください、じっと耐えていませんか?耳がフラット(耳が後ろ向きになる)になっていませんか、また耳がバック(耳が後ろに倒れる)も長い時間であればストレスと判断します。かえって怒ってくれた方がストレスは発散されるようです。猫とストレスの関係は最近になって、重要な問題として扱われています。

一番の問題は動物病院等に行く際に受けるストレスの問題です。ストレス過敏な猫ちゃんのためのいろいろな対策が、動物病院には用意されています。事前に与えるストレス軽減のための、サプリメントや薬剤も用意されていると思いますので、一度動物病院にご相談ください。

また、移動するケージについての注意点ですが、必ず上から猫を出せるタイプのケージを使用してください。横からの出し入れのタイプは神経質な猫には適しません。動物病院ではタオルを上手く使用して、時にケージから出さずに診察をする方法もあるからです。

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<特別療法食について>

特に病気の診断が確定された場合に、その病気に対して特別に処方された食餌で、栄養学的に病気に考慮された食餌のことを、特別療法食、特別食、療法食と呼んでいます。これらの食餌名は20年程前は、処方食と言われていましたが、農林水産省の指導で名前が変わりました。しかし英語名のプリスクリップション ダイエット(Prescription Diet)の名称は使用しても良いとなっています。しかし今だに処方食と言う獣医師もいて、変化に対応するのに苦よしているようです。

この食餌は各々の病気に対する特別な組成で作られているので、獣医師の診察を元に使用するのが原理原則です。健康時に例えば心臓食(Naが低い)腎臓食(蛋白質が不足する)肥満食(痩せる)を食べると、現在の健康に悪影響を及ぼすことが予測されるので獣医師の診断が必要となります。

特別療法食の問題点は以下の通りです。
1)何であれ重要なことは猫が食べてくれること。
2)特別療法食でも基本は水分豊富な缶詰食を与えること。
3)病気がどの程度かを判定して考慮することもある。
4)2つ以上の病気が複雑に絡み合っている例も考える。
5)食べない場合はどうするのか?原則は流動食の選択が必要。
6)いつまで特別療法食を与えるのかが問題となる。
7)病気にての蛋白、脂肪の制限の際の炭水化物をどう考慮するか。
8)多頭飼育の場合には、どの様に対処するか。
9)猫の蛋白質の減少は、例え腎臓病と言えども本当に必要か論議がある。

いくつかの病気が複雑に存在する場合は、通常は症状が重い方の病気に合わせて処方します。例えば、心臓病と腎臓病の併発は時々見られますが、原則的には、心臓病が改善されれば腎臓病も改善する傾向にあります。ゆえに心臓食が優先されますが、重度の腎臓病は、腎臓食が優先されます。特に高齢の猫では、いくつかの病気が複雑に絡み合っている例もあります。

食べない場合は、原則すべてチューブ栄養を利用することを考慮すること。例えば慢性腎臓病(以前は慢性腎不全と呼ばれる)はクレアチニン(腎臓病の程度判定)の指数が安定的に4以上であれば、チューブ栄養が適応になり、最も生きながらえることができることが証明されています。これを行わないと脱水と栄養失調で、体重の減少が早まります。

しかしながらこの特別療法食の一番の問題点は、実際に猫が食べるか?とう問題があります。これらの問題の対処法として、時にドライフードを食べさせるのではなく、缶詰食を食べさせることで解決することがありますが、それでも食べてくれない猫も多くいます。そのような場合には、その病気に関係のある臓器の特別療法食の缶詰を与える方法もあります。例えば心臓病の場合には、腎臓病の特別療法食の缶詰を与える等の方法です。

猫の食餌の犬と大いに違う点は真正の肉食動物につき、高蛋白、低炭水化物があくまでも食餌の基本要因です。これが全ての病気の状態にも言えるかが、論争点です。一部の病気(例えば慢性腎臓病)に対しては、適応出来ない状況があるのではないかと言われています。

ゆえに犬と違い猫の場合は、特別療法食はあまり出番がない状況とも言えると思います。低炭水化物の缶詰があらゆる状況に適応できる、あえて言えば、猫の糖尿病食が最も適応するとも言えるかもしれません。

特に低炭水化物が要求される糖尿病ですが、高炭水化物食に馴らされて、低炭水化物食を食べない猫のために、糖質での血糖値の上昇を抑えるために、食前にα-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)であるアカルボース(Acarbose)や、インクレチン関連薬の、経口薬のDPP-4阻害薬、注射薬のGLP-1受容体作動薬(この方がより猫には適応する?)が使用できますが、猫にはメトホルミン(インスリンを効きやすくする薬)は効果が不明です。またSGLT2阻害薬(尿での糖の排出を促す薬)は猫では禁忌とされています。

犬の膵炎で膵臓が機能不全になった時には、脂肪をまったく与えてはなりませんが、猫の場合にはこれも当てはまりません。では腎臓病ではどうでしょうか?例えば重度の腎臓病の場合には、蛋白質(アミノ酸)を控える必要がある場合がありと言われています。

なぜ腎臓病には低蛋白食が必要なのでしょうか?その理由の代表的な意見には、「高齢の猫は活動が低下するから蛋白質は必要ではない」「過剰な蛋白は腎臓から排出するので、より腎臓に負担がかかり、腎臓はより働きその後疲れ果てて、機能が悪くなる原因となる」等があります。そして、蛋白質は分解されると尿素となりますので、腎臓の機能が悪くなると、体内の尿素が増え、腎臓病の症状がより悪くなる恐れがあるのではないか?このような場合には低蛋白食が必要で、猫がいくら肉食動物だからと言っても、高い蛋白食は腎臓に負担を掛けるので、避けるべきと言われているのが現在の代表的な意見です。

しかしながら、この論理には以前から、本当にそうなのかと多くの疑問の声がありました。実際の臨床の現場では言われている程の蛋白制限は必要がないのではないか、この低蛋白食を利用しても予後が変わらない?どんどん痩せてくると、疑問を感じながら、行っている獣医師が少なからず存在します

そもそもこの概念は何処からかと言うと、人間の医療から来たものでした。1982年に人間の医師である、Dr.Barry M Brennerが提唱しました。これはブラナーの仮説と言われ、 獣医界でもペットフードの会社がこの仮説に従い、腎臓用のキャットフードを作りました。

1998年になって猫の腎臓病に低蛋白食は有効ではないのではないか、との発表があり、その根拠として、蛋白質やカロリー以外の要因で腎臓機能が悪化していると説明しています。(Dr. Finco,Dr.Browm,Dr.Crowell,Dr.Sunvold,Dr.Cooper, etc AJVR 1998;59:575-582)

その後2006年になって、それに対して反対意見があり、やはり低蛋白食(k/d)は必要であるとの見解が発表(Dr. Sheri J Ross,Dr.Carl A Osborne.etc. JAVMA Sept.15,2006,229:949-957)されました。このように低蛋白が必要か?必要でない?の論議続けられています。

最近になって、猫の臨床のバイブル的な教科書である、The Feline Patient. The 5th edition、Dr.Debra Zoran(栄養学専門医、内科専門医)では腎臓病の猫に低蛋白食は勧められないとの記載があり、また論争に火が付きました

その記載によると、猫は肉食動物(肉が基本、ミートベース)で蛋白質と脂肪が必要であって、炭水化物は必要でない、猫は蛋白質が不足すると自身の筋肉を消費して、体重が減少する。例えば、高齢の猫に低蛋白質食を与えると、炭水化物のため、体重は保たれるか、増加するが、これは筋肉が増加したのではなく、腹腔内の脂肪が増加しただめである。 この意味は、高齢の猫が痩せているのは、蛋白が不足しているためです。

また高齢の猫は、蛋白質の消化率が低下することが知られています。例えば12歳の猫は、25%蛋白質の消化率が低下することが報告されています。 これに12歳以上の高齢猫の慢性腎臓病に、より蛋白を減らしたら?どんどん痩せて体力が低下します。また慢性腎臓病は食欲が低下ゆえに痩せてきます。猫は若齢、成猫、高齢、妊娠、授乳の猫を問わず、高蛋白が必要と報告されています

またこの特別療法食の炭水化物の多さは問題になっています。糖尿病、癌、肥満、痴呆、癲癇の際に使用する特別療法食のドライフードには、もちろん通常の猫の食事の炭水化物含有量の40-50%よりも、もちろん少ないながらも16-18%もの炭水化物が含まれるものもあり、健康な時の食事ならまだしも、治療の時の食事では、その効果の程が疑われます。ゆえにそのような場合には、特別療法食と言えども他の特別療法食や普通の缶詰食を与えます

この特別療法食は、例えばアレルギーに対しては、猫は牛肉、乳製品、魚、が原因となることが多いのですが、それらの蛋白質の作用を弱める等の食事で対応します。まずは蛋白質を加水分解(蛋白質をより細かくした食餌)した食餌を与えます。これが無効な場合は、または下痢等で使用に耐えられない場合には、過去に食べたことがない蛋白質の食事(新槻蛋白食)を試します。例えば、カンガルー、ウサギ、ダチョウ、鹿等の肉です。これらの特別療法食も有効でない場合には、ローフードや手作り食を勧めたりする場合もあります。

その他、体重管理、心臓病、腎臓病、肝臓病、関節病、消化器病、癌等いろいろな病気に対して対処できますが、特別療法食の欠点である、前記した、肥満、糖尿病、癌、痴呆、癲癇の際に使用する特別療法食の炭水化物の%の多さです。ゆえにこれらの例の場合には炭水化物が10%前後の低炭水化物食の缶詰を与えます。

 

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<特別療法食と酵素と腸内フローラ>

特別療法食は製造過程でヒトと犬猫の安全(細菌感染等の汚染を防ぐ)のため、熱処理がされていますので、酵素が失われています。しかしながら、酵素が少ない食事を続けていても、多くの猫は、ある程度は自然に消化酵素(炭水化物のアミラーゼ、タンパク質にはプロテアーゼ、脂肪にはリパーゼという消化酵素)が分泌されるようになる可能性はあるようです。
一方、酵素を含んだローフードを続けていると、酵素の必要がなくなるので自然に消化酵素が分泌されなくなるとの報告もあります。(ノースウエスタン大学の生物学研究所が行った動物実験で、1943年に発表した「消化酵素の適応分泌の法則」) しかし一部の犬は消化酵素がうまく働かなくなるようで、その場合には、腸内細菌のフローラ等の乳酸菌の製剤(プロバイオティクスとプレバイオテックの合剤、すなわちシンバイオテックの製剤)等を加えることによって、この欠点を補うことができます。特に長期の抗生物質、ステロイド剤、鎮痛剤等の使用の際には特にこのことが適用になるようです。

少しこの腸内フローラの話をすると-
腸は体の最大の臓器(最大の血液量)であり、慢性の病気になると腸が弱る傾向にあり、腸管の機能が弱り、毒素、毒物が易しくはい込む(Leaky Gut Syndrome)状態となりミトコンドリアが少なくなると言うのが仮説です。また腸肝循環の環境も悪くなると考えられています。できうれば幼弱期には母乳を与えます。その際にはできれば母親も食事療法を行います。特に問題となるのは、悪性の癌などを代表として「体力の低下と共に食欲が低下して食べられなくなり、徐々に削痩する」のが最大の問題となります。

このような場合の適応として、健康食品としてプロバイオティクス(probiotics)があります。これは、有害な病原性細菌を抑制する抗生物質(antibiotics)に対して考案されたもので、宿主に有益に働く生きた細菌(=有用菌)によって構成される添加物と定義されています。要するに乳酸菌やビフィズス菌の様なものです。
プレとプロを合わせたものを、シンバイオティクス(synbiotics)。シンバイオティクスとは、プレバイオティクス+プロバイオティクスの意味です。この言葉も最近は使用されています。 「プレバイオティクス(prebiotics)…有用菌を育てる、食物繊維、オリゴ糖の様なもので、善玉菌を増やして、腸内環境を整える働きをする」+「プロバイオティクス(probiotics)」=「シンバイオティクス」
この分野は最近では、人間の医療も含めて、糞便移植療法として、統合獣医療においても行われ始めています。これは健康な若い猫の便を食べさせるという療法としても知られています。

 

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<多頭飼育における療法>

多頭飼育に関しては、どの様に対処するかは、より難しい問題です。各々の猫の食餌を別々に分けることは不可能を思われるからです。例えば、慢性腎臓病、糖尿病、アレルギー、関節炎、甲状腺機能亢進症、結石症、重度の下痢(炎症性腸疾患)、健康な猫3頭、子猫、それら11頭が居るとすれば、各々の食餌療法はどう対処すれば良いかという問題です。

結論的には、これらの疾患で絶対的に禁忌な食餌を与えてはならないのは、どの疾患であろうかと考えます。すると自ずと判ることは、重度の下痢の症例で、他の疾患の食餌を与えた場合には致死的な状況になるであろうことは容易に推定できます。他の各々の疾患には、それなりの缶詰食及び薬剤で何とか対処できるでしょう。勿論、理想的な食餌にほど遠いが、それなりに対応できると思われます。

 

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猫の手作り食等について-主に健康な状態の1歳から7歳の場合>

猫の食餌で難しいのは、この手作り食です。現実問題として、猫は犬に比べて食性の問題で手作り食は、ほとんど食べないか、あまり食べてはくれません。数日食べてもまた食べなくなる傾向にあります。それゆえに、多くの場合続かないのです。猫の特性を考えた栄養成分を考えないで作れば、食べてくれるでしょうが、短期間はともかく、いつも与えるには不可です。

しかし、栄養成分が満たされた食餌を、もし食べれば、手作り食(自家製食)はヒトと猫の関係においては、最適な食事であると考えられています。しかしながら猫の食餌の原則は、少量頻回の1日5-6回の給与が最適なので、この点においても少し状況は難しくなります。そのため、作り置きが必要ですが、果たして小分けして密閉保存しても日に数回の給与は難しいと思います。

ゆえにお勧めは、手作り食は1日2回にして、ドライフードを5-7粒、4-5ヵ所に据え置きする方法をお勧めします。また手作り食の難しい点は、食材です。添加物まみれの食材を使用すれば、より状況は悪くなります。

本来は、この手作り食は、犬の場合には、猫と比べて断然、適している環境にあると言えます。炭水化物も最大25%までは大丈夫ですし、なにより食べてくれます。勿論猫と同様にカルシュム、リン、ビタミンDは考慮しますが、猫のようにタウリンは加える必要ないので、同じ肉食獣でも猫とはぜんぜん違います。

犬とは違い猫の栄養学が特殊であると言う観点から考えると、一部の例外(最も理想的には栄養学の専門医でもある獣医師の指導、又は栄養学に関心のある獣医師、ペット栄養管理士の指導)を除いて猫の手作り食を作るには、無理があると言うのがその答えです。ちなみに現在我国の猫の飼主の約1%前後(米国では3%)のみが、この手作り食を利用(時々を含む)しているようです。

この手作り食が「食べにくい」以外の普及しない理由は?

もし貴方が手作り食を作って食べさせたい場合は、まずは獣医師の診察を受けることをお勧めします。身体検査(通常は尿検査、糞便検査、X線検査、最低限の血液検査も必要となります)を受けてください。その際に、貴方の猫の生活様式、医学的な現在の状態、その他健康に関する質問があったかが問題となります。

特に病気中の手作り食は、その病気に考慮して作らないと少しずつ、その病気が進行する恐れがあるからです。あとで後悔しないためにこれはとても重要です。

猫の手作り食、その栄養学は非常に難しく、多くの知識を学んで、原理原則を守れば、多くは問題がないとも思われますが、時には栄養障害、栄養の不足等の場合には注意が必要です。しかし栄養の過剰状態には比較的問題なく行えるかもしれません。特に病気の場合、妊娠、授乳期、肥満の場合、若齢期、高齢期はかなり、栄養学に精通した、専門の獣医師等と相談しながら行うのが望ましいのです。

ゆえにもし貴方がどうしても、いろいろな事情で手作り食を作って食べさせたいとしたら、獣医師又はペット栄養管理士の指導の元で、主に健康な状態の1歳から7歳の場合にのみ、お勧めします。何よりのお勧めは月に数回、何かの行事や記念の食事(イベント食として)として思い出作りのために与えることをお勧めします。

もし行うのであれば、まず手作り食は月に2-3回のペースの一部、例えば各種の野菜等をミキサーでスムージー状にするなどし、食餌の副食(栄養成分は満たされていない)とすれば食べる確率は高くなります。自身の健康の為にも役立つと思います。

実際に手作り食を利用する際には、給与時には必ず温める(体温程度、35-38℃前後、50℃以上は避ける)ことをお勧めします。この加熱ですが、電子レンジは使用しないでください。より食べやすくなることが研究によって証明されています。狩りした動物は直前まで生きていたので温かいのです。

猫の採食主義については、完全な肉食の猫には向いていません。トリプトファン、アルギニン、タウリン、リジン、ビタミンAが不足しますので、危険です。

手作り食の陥りやすい罠は、初めはよくても、だんだんと、面倒となり、手順を省く傾向にあることです。何時でも同じように作る一貫性が重要となります。この手作り食は、飼主の猫に対する愛情表現と同時に、食に対する不満、自身の不安や罪悪感からの解放の心持ちが根底にあるようですが、ヒトの好みと(甘みや味付けに塩)猫の好み(蛋白と脂肪)の違いを理解することも重要です。 手作りの際には、エネルギー、蛋白質、脂肪、炭水化物と繊維、それと見落としがちな、ビタミン、ミネラルの質や量を考慮して作る必要があります。各エネルギーの計算も必要となります。ゆえに多くの場合に猫の手作り食を常用する場合には、その不足する栄養を補うためにサプリメントが必要になるでしょう。 。

でもどうしても手作り食をトライしたいという方には、是非参考にしていただきたいホームページがあります。カルフォニア大学獣医学部でボランティアの助教授を勤めるDr, Sean J. Delaneyが作成した手作り食を作るためのホームページ(彼が設立したペットフードの会社のホームページ)です。すでに100万食の実績があるようです。特に英語に強い方なら十分に活用できます。所定の登録をすれば、無料で利用できますが、手作食を作るのがむずかしい病気や若齢、高齢の猫の場合は、獣医師との連帯が必要です。

比較的に稀な例ですが、時にこれらの手作り食は信じられない効果をもたらすことがあります。これはしばしば栄養の専門医の間でも話題になることですが、急性の病気(これらの場合猫は自力では食べることができません)ではなく、急性期から脱して比較的慢性の病気になった場合や、病気で再発を繰り返す慢性の状態等です。

また例え診断がついても、現代医療(主に西洋医療)ではなかなか、治らない治りづらい疾患、一度は治っても再発する場合や、時にだんだんに痩せて衰えて行く病気で、急性期から脱して、維持期に移行して、少しづつ食べるようになった場合に動物病院で使用する、特別療法食にも殆ど反応しなくなった場合や、免疫疾患、ある種のアレルギー疾患、癲癇、癌の治療期等に応用出来る場合があります。

特に消化器の膵臓関係の病気(時に同一臓器療法が有効で、膵臓の病気には、食べれば膵臓(例えば豚)を食べさせることもあります。これは猫が鼠を食べる時に、何処の部分から最初に食べるかで、弱った臓器を推定する方法で、最初に食べる内臓の何処の部分から食べ始めるかで判定します。

猫の食餌はなかなか犬より難しい問題が多く、試行錯誤を繰り返して科学的に研究中です。その理由は完全な肉食動物だからです。栄養学的にも猫に最も理想的な食事は、繰り返しますが、直前まで生きていた小動物(鼠等)です。それは当然のことながら、新鮮な未加工、未加熱、未添加で、生きた新鮮な栄養素です。野生動物によく言われることですが、獲物が取れないで状態での低栄養が存在しますが、食べていれは栄養の過不足は殆どないと考えられています。

現実問題として、手作り食があまり流行しないのは、大きな原因として、誰もスポンサーがいないからです。その食餌(食材は別にして)で誰も儲けない?から研究者がいない?少ない?のが、この手作り食が流行らない原因とも言われています。

結論、これらの手作り食の効用は、医学的には研究されていません。ゆえにホリスティク獣医学を学ぶ獣医師、栄養学の専門の獣医師以外の、獣医師に聞いても答えは得られません。学んでいないからです。教える人がいない?少ない?のも原因です。これは特に犬の手作り食で言えることでもあります。

 

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<ローフード食について(純粋なローフードは冷凍の生食で、冷凍庫が必要となる)>

猫にローフード食を与える場合は、猫が1歳から7歳までの病気の状態ではない健康な時にお勧めします。手作り食と同様に、何かのイベント食として少量、おやつ感覚で給餌することもお勧めです。このローフードを与える際に重要なことは、給与時には必ず温める(体温程度、35-38℃前後、50℃以上は避ける)ことです。

まずは獣医師の診察を受けることをお勧めします。身体検査(通常、尿検査、糞便検査、X線検査、最低限の血腋検査も必要となります)を受けてください。その際に、貴方の猫の生活様式、医学的な現在の状態、その他健康に関する質問があったかが問題となります。病気中のローフードは時に危険な状態になることもありえるからです。

その際には、貴方の猫においてのローフードの注意点もできれば、尋ねるとよいでしょうが、一般的に獣医師には生食についての知識はあまりないので無理かもしれません、健康診断を受けること自体が重要ですので、生食については、その方面に詳しい、獣医師やペット栄養管理士の指導を受けることをお勧めします。あとで後悔しないために、これはとても重要です。

ローフードの一番の問題点は、例え猫には良くても、人間側の環境の問題(動物由来感染症)を考慮する必要があることです。離乳直後からローフードを与えるのは、特に注意が必要と思われます。これは子猫が免疫を獲得しているか状態によります。初乳を飲んでいない猫には離乳直後にローフードを給餌してはなりません。

過去にはこのローフード食、甲状腺組織の混入により、チアミン欠乏症の甲状腺機能亢進症が発症する事故の事例もありましたが、現在では製造している会社もこの点は配慮していると思われます。このローフードは完全な肉食動物の猫においては、理論的には安全性が保障されれば、完璧な食餌になりうると考えることもできますが、賛否両論があります。

このローフードの考えを最も理想的に実現するためには、捕食動物を殺して直ぐに食べれば、最も自然に近くなりますが、この概念に近づけるために、多くのローフード会社は苦労しているようです。すべては製造元の信頼性による部分がこのローフードのすべてといえるでしょう。

ゆえにこのローフードの最も重要な点は、いかにして信頼できる製造元の会社を選ぶかということになります。製造元の信頼性による影響力の大きさが、ローフードの特徴です。

しかしながら猫に共通するローフードの注意点として、猫側の問題ではなく、人間側の注意点として、ヒトと猫の共通感染症―動物由来感染症(Zoonosis ; ズーノーシス)の問題があります。猫に対してローフードが安全だからと言っても、ヒトにも安全とは言いきれない場合が起こり得るからです。しかしいくつかの注意点を守ることによって、その可能性を限りなく低くすることができる(温める、取扱の問題等)と思います。

例えば問題となるのは、サルモネラ属、大腸菌、カンピロバクターです。生肉を汚染するかもしれない他の病原体はトキソプラズマ-ゴンヂ(トキソプラズマ症を引き起こす寄生虫)、クリプトスポリジウム、エキノコックス、クロストリジウムなどです。これらは猫には問題がなくても、人間には問題となる可能性がわずかながら存在します。

また原則的にこのローフードは室内猫にのみ、使用することをお勧めします。例えば室外にて、鳥類等を継続的に食べる猫は、その体調によっては、上記したサルモネラ等の慢性的な感染が猫自身に起こる可能性もあります。

ではどのような点にヒトは気をつければよいのでしょうか。
例えばローフードを手で直接触った場合、ローフードを食べている猫の排泄物を触った場合、家庭の掃除機からの感染に注意が必要です。よってローフードを取り扱った時には完全に手を洗うことや、使用した食器、用具、まな板をよく洗う等を行うべきです。

以下の環境にある家庭は特に気を付ける必要があります。

・1歳以下の乳幼児(免疫機能が十分でない)が同居している飼主の場合
・抗がん剤の治療(免疫機能が低下している)を受けている飼主の場合
・免疫機能が低下している病気を持つ飼主の場合
・高齢(75歳以上?)で免疫機能が低下している飼主の場合

猫にローフードを与える場合は、猫の体調を考えながら、少しずつ慣らしていきます。1週間毎に与える量を少量ずつ増加させながら、ローフード食に変換することをお勧めします。

>>>>ローフードの3週間(21日間)変換法とは?
・1日目から7日目の7日間:ローフード食1/3、今までの食事2/3
・8日目から14日目までの次の7日間:半分ずつ
・15日目から21日目までの7日間:ローフード食2/3、今までの食事1/3
・22日目から:完全にローフード食に変える。通常健康な猫であれば、問題なく与えることができます。

>>>>猫に対してのローフードを投与する際の注意点、とは?
これらの状態にある猫にはローフードは与えません。
・特に高齢で病気にて免疫の状態が低下している猫
・抗がん剤治療を受けていて免疫が低下している猫
・胃腸系の手術を受けた後の2-3週間の猫
しかし治療し免疫機能が回復した時点で与えることができます。

ローフードでよく言われることは、食べ物からの感染の問題は、犬猫の胃のpHは低く、1-2なので問題はないとか、犬猫は胃の通過時間が早いので問題は起こらないと言われることもありますが、これらの主張は間違いで、ヒト、犬、猫共に胃のpHは1-2ですし、通過時間もすべて同じことが医学的に証明されています。

またローフードの生食は、冷凍状態の-18度以下で保存されているので、安全であるともいわれることもあるようですが、フリーズトライをはじめこれらの方法で病原体は除去できません。実際にこれらの方法は、研究所において、細菌培養の長期保存に利用されています。

ローフードに懐疑的な意見では、生肉を給餌することは、飼主と動物が食物からの細菌性疾患に暴露する可能性が増加すると指摘(Lejeune and Hancock 2001)があります。野生の猫のように、直前まで生きていた生肉なら問題にならないのです。現在の見解では、ローフードが他の食事より優れているという獣医学の文献はまだありません。

肯定的な意見では「動物の健康に対する潜在的なリスクを認めないわけではないが(Volhaed and Brown,2000;Hofve and Simith,2001)感染した動物がヒトに伝搬する可能性のある細菌を理解していないことが問題である。健康な犬猫でも排泄物にサルモネラ、カンピロバクター、その他の細菌等を排泄している可能性はある。(Lejeune and Hancock 2001)しかしこれらの場合でも臨床的には動物は正常な場合もある(Haid and Madsen 1997)」との報告もあります。

 

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<その他の事項 ・加工食品>

猫に与える食餌として、加工食品は量にもよりますが、あまりお勧めしません。しかし現実には、「おやつ」や「ご褒美」として与える場合が多いでしょう。もし与えても5%以下、特に治療中は一切与えないが原則です。

 

 

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NPO法人 小動物疾患研究所 理事長
日本ベェツ・グループ(三鷹獣医科グループ、新座獣医科グループ)代表、院長
日本動物病院福祉協会(JAHA)の獣医内科認定医 
小宮山典寛

 

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