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all words by Dr.NORIHIRO KOMIYAMA

勤務獣医師の研修プログラム
レベル判定の基準(参考)

18大検査法の実施とその意義と応用の習得
(1)身体検査
(2)血液検査
(3)血清生化学検査
(4)凝固系検査
(5)細胞診
(6)尿検査
(7)糞便検査
(8)血圧検査
(9)心電図検査
(10)心音図検査
(11)胸部X線読影検査法
(12)腹部X線読影検査法
(13)骨格系X線読影検査法
(14)胸部超音波検査
(15)腹部超音波検査
(16)内視鏡検査
(17)眼科検査
(18)脳神経検査

14大重要専門科目の実施とその意義と基本の習得

(1)臨床皮膚病学
(2)臨床心臓病学
(3)臨床消化管病学
(4)泌尿器病学
(5)腫瘍病学
(6)内分泌病学
(7)眼科病学
(8)神経病学
(9)歯科病学
(10)行動心理学
(11)臨床麻酔学
(12)外科学
(13)クリティカルケア
(14)ホリスティック獣医学

エキゾチックペットの7大疾患の診断と治療の応用の習得
勤務獣医師の研修プログラムの流れ(犬・猫・エキゾチックペット)
18大検査法の実施とその意義と応用の習得
シグナルメントと身体検査で多くの病気は推定できますが、本当にその推定した病気か?その程度・進行度はどうか?他に合併症はないか?と推定するのは、以下の検査が役立ちます。検査時点での記録を参考にしながら、今後の推移を調べ、病気の全体像を推定します。
継続3年目の教育研修プログラム関連ページもあわせてご覧下さい。


(1)身体検査

継続3年目の身体検査は、より臨床に結びついた身体検査でなければなりません。このころの身体検査は、推定されるその病気とその症状が合っているか?またどの程度の異常かも考えながら行います。身体検査にての異常の成り立ちと推定される病名もよりその数が増加していることでしょう。

例えば左右の心臓をそっと触れば、左右が同じ拍動の強さなら、右心室の拡大がそれだけで疑えます。病歴の聴取をもとに、その異常な点を中心に、体全体に及ぼす影響をトータルに考えた身体検査法は最も重要な基本事項です。すぐに血液とか何か検査をするのではなく、科学的に裏づけられた(証明された)獣医学(EBVM)を実践するために、病歴の聴取と身体検査をまず徹底的に学ぶ必要があります。
  ■心臓系(循環器系)
  ■皮膚系(体表系)
  ■神経系(脳脊髄系)
  ■眼科系(感覚器系)
  ■骨格系(整形外科系)
  ■消化器系(胃腸系)
  ■泌尿器系(上部・下部泌尿器系)
たとえば心臓系(循環器系)を説明すると以下の通りです。

■心臓系(循環器系)
基本は心臓の触診と聴診、頚静脈拍動と脈診の4つが身体検査の基本です。例えば「咳」をする犬に、まず腹部からの圧迫等の影響を考えながら、始めに
  ・気管(発咳テストと聴診)
  ・気管支(打診と聴診)
  ・肺胞(打診と聴診)
  ・心臓(触診と聴診)
を系統的に調べます。また頚静脈拍動で拍動の有無と程度をしらべます。すると「咳」の原因が、心臓由来?心臓以外?(気管・気管支・肺胞由来?)であるかが、だいたい判ります。ただ単に「咳」をする動物にどんな咳ですか?くらいの質問では不十分です。

  ・頚静脈拍動
     右心拡大
     縦隔洞腫大
     心嚢滲出
     肺性心

これらの合理的な身体検査法を学ぶと、例えば腹水のある削痩した高齢犬で、頚静脈拍動が認められなければ(心臓由来ではないから)この腹水の原因は肝臓由来(たとえば肝臓の腫瘍等)がたちどころに強く疑え、腹水の分析の重要性が増すことになるのです。

例えば脈拍1つを取ってみても、動物種の違いを考えながら、心拍数と併せて数え、左右の違い・そのリズムと欠損・強さを調べ、以下のように異常を分類します。
  ・頻脈
  ・徐脈
  ・多動(強脈)
  ・減脈(弱脈)
  ・奇脈
そして心音・頚静脈拍動との関係を考えながら診断します。

レベル1-2では病歴の聴取からその異常を50%以上把握できるとこ。レベル3-4では身体検査の異常から、病気の推定が70%以上把握できること。レベル5では、病歴の聴取と身体検査で、2-3の病気を80%以上推定できることです。


(2)血液検査

スクリーニング検査としての血液検査は、
  ・赤血球系の評価(RBC, PCV, Hb, MCV, MCH, MCHC)
  ・白血球系の評価(WBC, Band, Seg, Lym, Mon, Eos, Bas)
  ・血漿部分の評価(TPP, Fib, II, Plat, Ret, RPI)
  ・骨髄系の評価
  ・血液ガス検査の評価
からなる総合的な検査システムです。スクリーニング検査の原則は、その臨床症状と併せ考えて、その解釈もできることが要求されます。

例えば貧血に対する評価であれば以下のように分類し原因を考えます。

再生性?
出血性? 体内?体外?
溶血性? 自己免疫性?薬物?毒物?寄生虫?
非再生性?
慢性腎性? エリスロポエチン産生低下による
栄養性? 鉄欠乏性―慢性出血・腫瘍・内外の寄生虫
炎症性? あらゆる型の炎症・外傷・骨折・腸炎
骨髄抑制性? 汎血球減少症
―白血球減少・血小板減少・腫瘍等で起こる

レベル1-2ではCBCが理解出きる事、レベル3-4ではCBCに加えて骨髄系の評価や白血球系の評価や血漿部分の評価や血液ガス検査の評価ができること、レベル5では各々の細胞が98%以上判定でき、上記すべてがより理解できるが要求されます。



(3)血清生化学検査

各検査の意義と実施方法を学びます。また血清生化学的検査もより実践的な解釈が要求されます。あくまでもこれらの検査は、他の検査の結果と考え合わせて、いろいろ考えます。
  ・胆汁酸検査
  ・甲状腺検査
  ・ACTH刺激試験
  ・フルクトサミン
  ・低用量デキサメサゾン検査
  ・高用量デキサメサゾン検査
等の、より実践的な解釈が要求されます。ただALTやALPが高いから、肝臓が悪いと言うレベルの獣医学から脱し、より理論づけられ応用できる論理で、複雑なこれらのCBCや生化学検査を解釈することが要求されます。この時期は血液の塗抹標本にてもヘモグラムの読影のみならず、その解釈も大まかにできることが要求されます。

レベル1-2では、だいたいの生化学検査の読み方ができること。レベル3-4では その他の生化学検査の意味と適応もわかること、レベル5では各々の生化学検査の適応と解釈を理解し応用できることが要求されます。


(4)凝固系検査

最初に行うべき検査は、CBCと血小板・プロトロンビン時間(PT)・活性化部分トロンボプラスチン(APTT)・部分トロンボプラスチン時間(PTT)です。

各々の検査の大体の意義やその解釈を理解しておくと良いです。実際の臨床にあたってはその時の状況を考えながら、疑う病気を考えながら行うと良いでしょう。

・DICや肝疾患→血小板減少、PTとAPTT延長
・ビタミンK欠乏・ワルフィリン中毒・肝疾患→血小板正常、PTとAPTT延長
・血友病A, B, C→血小板正常、PT正常、APTT延長
・ビタミンK欠乏・肝疾患→血小板正常、PT延長、APTT正常
・ヴォンウィルブランド病→血小板正常、PT正常、APTT正常又は延長

  ・第1選択検査
     CBC
     血小板
     プロトロンビン時間(PT)―外因性を意味する
     活性化部分トロンボプラスチン(APTT)―内因性を意味する
     部分トロンボプラスチン時間(PTT)―APTTより少し精度は劣化
  ・第2選択検査
     フィブリノーゲン
     出血時間
     凝集時間
     FDP

レベル1-2では、第1選択検査がだいたい理解できること、レベル3-4では第2選択検査までも、だいたい理解できること、レベル5では各々の凝固系検査の適応と解釈を理解し応用できることが要求されます。


(5)細胞診

FNA(針吸引)から始まって、いろいろな押捺標本などの細胞にて以下の分類の確認やその細胞診の方法と処置法を学びます。

腫瘍性?
悪性?
良性?
上皮性?
非上皮性?
独立円形細胞? リンパ腫・肥満細胞腫・形質細胞腫・組織球腫
・可移植性性器肉腫・メラノーマ・脂肪腫?
非腫瘍性?
炎症性? 細菌・真菌・無菌
非炎症性? 過形成(増殖)―嚢胞性もある?の鑑別

レベル1-2ではほとんどの細胞が腫瘍性か非腫瘍性がか判定できること。レベル3-4では、できれば過形成(増殖)・上皮性・非上皮性・独立円形細胞もほとんど判定できること、レベル5では、より確かに判定できることです。


(6)尿検査

この尿検査は、尿分析とも呼べる検査で、CBCと深く結びついて解釈する必要があります。本来は血液検査より手軽に行えるはずですが、その尿の採取に関して、血液より難しい場合があります。それでも勤めてCBCと同時に分析することが重要です。特に費用の点で、2回目の血液検査ができない場合には、この尿検査にて少しでも病状の把握に役に立ちます。この尿検査は、単にテストペーパー(Dip&Read)の結果のみならず、比重や沈査の所見と総合的に合わせて判定します。
  ・色
  ・透明度
  ・pH
  ・蛋白
  ・ブドウ糖
  ・ケトン体
  ・ウロビリノーゲン
  ・ビリルビン
  ・潜血
  ・比重
  ・尿沈査

レベル1-2ではCBCと関係した項目を考え、レベル3-4では尿分析と比重をより考慮して臨床を考えレベル5では総合して、より深く尿検査所見と他の疾患との関係を考えて実施できるようなレベルです。


(7)糞便検査

直接顕鏡から始まってからいろいろな間接法(浮遊法)また以下の列記する、各々の適応する検査の実施またその意義や解釈を覚えます。また疾患のある動物は、直腸検査も同時の行うと良いでしょう。この検査は食事の内容を調べながら、消化管系の疾患のみならず、日常のルーティンな検査項目としても行います。
  ・グラム染色法
  ・潜血検査
  ・脂肪滴検査
  ・ズダン染色
  ・硫酸亜鉛沈殿法
  ・培養検査(白血球増加・発熱・糞便内白血球)

レベル1-2では、直接顕鏡がだいたい理解できること、レベル3-4では各種の間接法(浮遊法)も、だいたい理解できること、レベル5では各々の糞便検査の適応と解釈を十分理解し応用できることが要求されます。


(8)血圧検査

従来はあまり重要視されなかった血圧の測定は、現在の最先端の小動物臨床においては重要な検査項目となっています。5-10kg以下の動物は主にドプラー式の血圧計を用い、それ以上の動物は、オシロメトリック法にて測定されます。特にこの血圧の測定は麻酔のモニターのみならず犬や猫の臨床において(腎臓疾患・全身性高血圧症等の発見のため)重要であります。特に最近では猫の臨床において、この血圧の測定の重要性が再確認されています。その血圧を測定する目的は以下に列記します。
  ・麻酔のモニターとして
  ・全身性高血圧症の診断として
  ・腎疾患(特に糸球体腎炎)の早期発見のため
  ・薬物(血圧効果作用のある薬剤等)のモニターのため
  ・循環器疾患の薬剤作用のモニター(外来でできる)のため
  ・手術の術式のモニターとして
  ・死亡率の推定のため

レベル1-2では麻酔と関係した血圧が理解できること、レベル3-4では血圧と他の疾患をより考慮して臨床を考えレベル5では総合して、より深く血圧所見と他の疾患との関係を考えて実施できるようなレベルです。


(9)心電図検査

循環器系を調べるには、まず病歴の聴取と身体検査を行い、次のステップは心電図検査です。心電図検査はあくまで、不整脈の確認が目的であります。まずは犬猫の以下について、各々の大まかな意義と治療を学び、その他の検査とあわせて評価します。
  ・心房性不整脈(心房性早期収縮・心房性頻脈・心房粗動・心房拍動・洞房停止)
  ・房室結節性不整脈
  ・房室接合部性不整脈
  ・心室性の不整脈(心室早期収縮・心室性頻脈・房室解離・心室粗動・心室細動・心室停止)
  ・脚ブロック
  ・1-3度のブロック
  ・電解質障害
  ・薬物への影響
  ・補足的に心臓の拡大を示唆の判定

レベル1-2では、上記の4つの疾患の大まかな診断、治療が理解できること、レベル3-4では上記のすべてを、大まかに診断、治療、その経過や予後について理解できること、レベル5では各々の心電図検査の適応と解釈、代表的な疾患名、その診断、治療、その経過のフォロー、定期的検診、予後、合併症を理解し実践的な適用ができることが要求されます。


(10)心音図検査

補足的な意味合いにての心音図検査があります。これは自己の聴診の能力を確認できます。クリックやどんな雑音かの判定のため、また雑音の分析の初心者には役立つ検査です。例えば収縮期性雑音や拡張期性雑音の分類等に役立ちます。教育病院にてはより確かな聴診の学習機器として役立ちます。

レベル1-2では、クリックやどんな雑音なのか判定がだいたい理解できること、レベル3-4では各種の収縮期性雑音や拡張期性雑音の分類等も、だいたい理解できること、レベル5では上記のすべての心音図検査の適応と解釈を十分理解し応用できることが要求されます。


(11)胸部X線読影検査法

肥満・年齢の変化を考えながら、肺胞の評価をするために、以下を調べ学ぶこと。

骨の構造
気道
心臓の陰影
主な血管走行

(臨床症状と
外貌も考慮)
肺胞性パターン→湿性の咳(粘液を伴う)
→白いもやもやパターン→不透明・不透過性パターン

肺水腫
→エアーブロンコグラム(気管支内空気充満像)パターン
→奇異性呼吸(Pradoxioal respireation)
肺水腫の成因
  ・コロイド浸透圧→心因性は正常、非心因性は異常
  ・制水圧→心因性は異常、非心因性は正常
  ・血管浸透性→心因性は正常、非心因性は異常
  ・心因性・非心因性(電気ショック・癲癇後、上部気道閉塞
・吸引等)
  ・神経性→脳が強い刺激を受ける(癲癇後、頭部外傷)
  ・上部気道閉塞(首吊り・異物・咽頭麻痺・短頭種症候群)
  ・全身性の炎症性反応→敗血症・膵炎
  ・直接の肺胞炎症→煙の吸引(吸引性)


肺炎・炎症
→陰影度が高い(白い)、肺の血管が見えにくい
→境界が不鮮明(ill-defined)
→粘液を伴う咳
  ・気管支肺炎→
  ・吸引性肺炎→右中葉か左前葉
  ・血行性肺炎→斑状・左右・後葉に起こりやすい
  ・好酸球性浸潤(PIE)→アレルギー性・フィラリア
  ・肉芽腫性→斑状の真菌パターン
  ・悪性組織球腫(バーニーズマウンテンドッグ)他

肺の腫瘍→後葉、丸く、1-2cm以上75%は腺癌、扁平上皮癌は90%転移する。肺胞癌もある。
  ・肺の出血→1-2日間後には消える?
  ・肺の捻転→胸の深い犬、右中葉、その他は左前葉、しばしば胸水あり
  ・肺の膿瘍→通常、空砲を呈する
  ・気管食道婁→食道内異物、食後や飲水後に悪くなる傾向あり


間質性パターン→呼吸困難・呼吸速拍
→肥満・高齢・呼気・無構造像パターン(人工産物時、露出不足)
→多重白色腺を認める、重症で網状(蜂の巣状)
→病気の推移、過去病パターン
 肺胞性パターンと気管支パターンの間
 猫の肺転移は間質性パターンが多い

気管支性パターン→乾性の咳/湿性の咳(粘液を伴う)
→ドーナツ(リング状)サイン・格子状(レール状)サイン
→高齢パターン・過去病パターン・喘息パターン
 アレルギーパターン、最終的に肺気腫(肺の過剰な拡張)
 気管支周囲の水腫(心不全との鑑別が必要)
 右中葉症候群
 軟骨異栄養症犬の気管支の石灰化場合
 臨床症状(気管支炎・咳等)が重要

血管パターン→高齢・過去病・喘息・アレルギーパターン
フィラリア・循環過剰(動脈菅開存症L→R、VSD)
結節性パターン→高齢・過去病・喘息・アレルギーパターン
→肺血管・胸壁病変・異所性骨(Heterotopic)(人工産物)
  寄生虫   転移
  外傷性ブラ 膿瘍
  真菌症   原発性肺腫瘍
  好酸球性肉芽腫
  空砲を呈する、結節病変(Cavitary nodules)
         気腫性ブラ
         転移(上皮性腫瘍)
         肺吸虫(Paragonimus)
         膿瘍
         原発性肺腫瘍

混合パターン→すべての混合したパターン
心臓病 →削痩・頻脈・心拍数増加・咳は深い乾性
・咳の期間は3-4ヶ月・雑音重度・左心房拡大・肺門部の肺水腫
呼吸器病 →肥満・呼吸性不整脈・心拍数低下・咳はガンの鳴き声
・咳の期間は6ヶ月・雑音なし-軽度・右心室拡大・気管支像の優位

レベル1-2では、各々のパターンの判定がだいたい理解できること、レベル3-4では心臓病と呼吸器病の区別ができ、各々のパターンのその意義や成り立ちが、だいたい理解できること、レベル5では上記のすべての胸部X線撮影検査の適応と解釈を十分理解し応用できることが要求されます。


(12)腹部X線読影検査法


以下の代表的な腹部X線像について診断できることが要求されます。
  ・胃捻転・拡張症候群
  ・子宮蓄膿症
  ・妊娠鑑定
  ・閉塞像(腸閉塞・捻転等)
  ・腹膜炎
  ・腹腔内腫瘍
  ・消化管内異物
  ・腹膜のヘルニア像
  ・門脈大静脈短絡(肝臓の縮小像等)
  ・重度の副腎皮質機能亢進症
  ・重度の糖尿病


そのためには以下の問いかけに対して、各々の臓器に対して確認をします。
  ・サイズ
  ・形
  ・位置
  ・陰影度
  ・存在・存在しない

また上部消化管造影・静脈性尿路造影の方法とその意義、その実際の実地法を学習すること。また陰影の低下が確認された場合は、以下について考える。
  ・陰影度の低下
  ・脂肪無し(削痩)
  ・液体(腹水)
  ・腹膜炎
  ・子犬・子猫
  ・腫瘍の転移


レベル1-2では、陰影の低下が確認された場合の判定がだいたい理解できること、レベル3-4では上部消化管造影・静脈性尿路造影の方法とその意義、その実際の実地法ができ、ほとんど理解できること、レベル5では上記のすべての腹部のX線撮影検査の適応と解釈を十分理解し応用できることが要求されます。


(13)骨格系X線読影検査法

まずは骨のX線学の基本として
  ・骨端Epiphysis →原発性 軟部組織↓
  ・成長板phsis 外骨膜↓
  ・骨幹端metaphysic →原発性→転移性 皮質骨↓
  ・骨幹diaphysis →転移性 内骨膜↓骨髄↓

  ・皮質骨の破壊→motheaten 虫食い状の骨破壊像→悪性
           geographic 地図状の骨破壊像(骨がまったくない)→通常良性
           permeative 浸潤性または透過性→小さな穴
  ・辺縁
  ・移行帯 Zone of Transition
  ・骨膜の破壊

また発育性骨疾患としての10大疾患、
  ・汎骨炎
  ・骨軟骨症/離断性骨軟骨炎
  ・肘関節形成不全
  ・肘関節形成不全(肘突起分離症・離断性骨軟骨炎・内側鉤状突起分離症)
  ・成長版の疾患
  ・肥大性骨異栄養症(HOD)
  ・頭蓋下顎骨症(CMO)
  ・レッグぺルべスパーセス病
  ・骨軟骨形成不全骨軟骨症(OC)
のX線検査による診断と治療の基本を学びます。

また骨腫瘍として
  ・原発性→良性→骨軟骨腫 Osteochondroma
       →内軟骨腫 Enchondroma
  ・原発性→悪性→骨肉腫90%
       →軟骨肉腫
       →腺維肉腫
       →脂肪肉腫
       →血管肉腫

そして関節の腫瘍
  ・かっ膜肉腫→穴があく
  ・腺維肉腫
  ・血管周囲腫


レベル1-2では、骨のX線学の基本がだいたい理解できること、レベル3-4では発育性骨疾患の10個がだいたい診断でき、骨と関節の腫瘍も、だいたい診断できること、レベル5では上記のすべての疾患の診断と治療をより十分理解し応用できることが要求されます。


(14)胸部超音波検査

まずは左心室系の検査のための、右下からのアプローチにて、長軸像と短軸像が描写できるように訓練します。またPomboにての計測の方法を学びます。各々の心臓の断面を、頭の中でその図が書けるようになるまで訓練します。以下の典型的な症例の画像を学びます。また雑音のある場合はカラードプラー法の基本を学びます。
  ・弁膜疾患(僧帽弁閉鎖不全・三尖弁閉鎖不全等)
  ・心筋疾患(肥大性心筋症・拡張期性心筋症・拘束性心筋症)
  ・心膜疾患(心嚢炎)
  ・先天的心疾患(心室中隔欠損症・PDA・肺動脈狭窄症等)
  ・心臓糸状虫症(フィラリア症)

レベル1-2では、右下からのアプローチにて、長軸像と短軸像が描写でき上記の5つの疾患がだいたい判定できること、レベル3-4では左下からのアプローチにて、長軸像と短軸像が描写でき、疾患がより診断できることと、カラードプラーが扱えること、レベル5では上記のすべての検査の適応と解釈を十分理解し応用できることが要求されます。


(15)腹部超音波検査

基本的な理論とテクニックの習得以外に、犬の場合、以下の各臓器が描写できることが条件です。
  ・肝臓や胆嚢から始まって
  ・胃腸管
  ・膵臓
  ・脾臓
  ・左の腎臓と副腎
  ・腰椎下リンパ節
  ・膀胱
  ・前立腺
  ・睾丸
  ・右の腎臓 等

レベル1-2で要求されるテクニックは、まずは時計回りに肝臓、胆嚢、胃腸管、左の腎臓、膀胱、異常があれば子宮、前立腺、睾丸、右の腎臓を描写できることで、特に肥満した犬の正常な「右の腎臓」を1分以内に描写できることです。レベル3-4では上記に加えて肝臓や腎臓の生検、胆汁液が採取できることや腰椎下のリンパ節及び、食後等の異常なガス発酵の状態を除いて、正常なあらゆる犬の「左の副腎を50%以上」を2分以内に描写できることです。レベル5では上記の条件で正常な「左の副腎を95%以上」を2分以内に描写できること、「右の副腎を50%以上」3分以内で描写できることです。


(16)内視鏡検査

まずは使用する前の準備をしたのちに、実際の内視鏡を使用します。内視鏡検査は単に異物の摘出のみならず、胃腸管に起因する消化器病の診断と治療方針の決定に必要な機器となります。いろいろな犬猫に対して、どう内視鏡を使用するかが問題となります。

まず食道の状態から調べ、噴門を通過して、胃内に入り、位置関係を調べた上で、始めに十二指腸に入れます。いかに入れるかが内視鏡の第1関門です。十二指腸内の位置関係の確認(胆管乳頭・膵管乳頭等)、及び、生検の方法や手順について学びます。内視鏡検査は単に異物の摘出のみならず、胃腸管に起因する消化器病の診断と治療方針の決定に必要な武器となります。

レベル1-2では、内視鏡が十二指腸に入れられるかの練習をするか、その方法の詳細を学びます。レベル3-4では内視鏡が十二指腸に入れることができ、生検もできること。レベル5では上記のすべての内視鏡検査の適応と解釈を十分理解し応用できることが要求されます。


(17)眼科検査
各々の検査の適用と意義とその解釈及びその実施方法について適応を考えながら行います。
  ・視覚反応
     瞬き反射
     瞳孔反射
     シルマーティアー
     フルオルセチン
     眼脂の培養検査
     眼圧(トノペンXLとシェツ氏法を使用)
     倒置法―眼底(視神経・血管・タペタム・網膜等)
     検眼鏡―眼底(視神経・血管・タペタム・網膜等)
     細隙灯―眼底(視神経・血管・タペタム・網膜等)
     ゴニオスコピー(隅角鏡検査―ゴニオスコープにての前房隅角の検査)

レベル1-2では、上記の5つがだいたい理解できること、レベル3-4では眼圧測定とその解釈、眼底検査等も、だいたい理解できること、レベル5では上記のすべての眼科検査の適応と解釈を十分理解し応用できることが要求されます。


(18)脳神経検査

基本的な6ステップルールすなわち、全身状態の観察・触診・姿勢反応・脊髄反射・脳神経・知覚を学びます。これらを管理するには、まずは精神状態・姿勢・歩様の観察、次に筋肉・骨の異常を見るための触診・特に脳神経、対不全麻痺や四肢不全麻痺のための、病変の位置決めのための姿勢反応と脊髄反射と皮筋反射・感覚の各評価をマスターします。またUMNとLNUの違いも学びます。
  ・脳神経
     前脳(大脳皮質と視症)痙攣発作・行動の変化・サークリング
     小脳
     前庭(末梢性と中枢性の区別)脳幹 斜頸
  ・姿勢反応(正常な立位を維持するための複雑な反応)
     固有知覚反応
     手押し車反応
     片足跳び(ホッピング)
     姿勢性伸筋突伸反応
     踏み直り反応
     片肢歩行反応
  ・脊髄反射
     膝蓋反射
     屈曲反射
     上腕二頭筋反射
     上腕三頭筋反射
     肛門反射
     交差伸展反射
  ・UMN(上位運動ニューロン)
     これは痙攣性を現す筋肉緊張の亢進性の麻痺で、高反射・過剰反射であり、
     筋腺維性萎縮を認めない
     病変より後方の知覚の減退・運動失調・CPの異常・排尿反射の減退
  ・LMU(下位運動ニューロン)
     これは弛緩性を現す筋肉緊張の消失性の麻痺で、低反射・反射消失であり、
     筋腺維性萎縮を認める
     脊髄反射や筋肉の緊張度の低下-消失、10位で筋肉の萎縮が起こる

レベル1-2では、基本的な6ステップルールがだいたい理解できること、レベル3-4では特に脳神経・対不全麻痺・四肢不全麻痺のための、病変の位置決めのための姿勢反応と脊髄反射と皮筋反射、感覚またUMNとLNUの違いも、だいたい理解できること、レベル5では上記のすべての神経検査の適応と解釈を十分理解し応用できることが要求されます。

14大重要専門科目の実施とその意義と基本の習得
継続3年目の教育研修プログラム関連ページもあわせてご覧下さい。


(1)臨床皮膚病学

まずは掻痒のアプローチ、すなわち、以下の4つを順をおって調べる過程を学習します。また脱毛のアプローチと脂漏へのアプローチの基本も学びます。
  ・外部寄生虫感染
  ・細菌感染
  ・真菌感染
  ・アレルギー性皮膚炎

また犬の皮膚疾患の最も一般的な18大疾患である、以下の診断と治療を覚えるのが勤めで、これで皮膚疾患の95%がカバーされます。

  ・蚤アレルギー
  ・膿皮症
  ・脂漏性皮膚炎
  ・アトピー
  ・毛包虫
  ・疥癬
  ・マラセチア感染
  ・食事アレルギー
  ・円盤性紅斑性狼瘡
  ・外耳炎
  ・爪ダニ
  ・天疱瘡
  ・皮下脂肪織炎
  ・皮脂腺炎
  ・肢端舐性皮膚炎
  ・成長ホルモン反応性皮膚炎
  ・ブドウ膜皮膚症候群
  ・耳ダニ

また猫の最も一般的な7大疾患である、以下疾患の診断と治療を覚えます。
  ・外部寄生虫
  ・粟粒性皮膚炎
  ・好酸球性肉芽腫
  ・内分泌疾患
  ・真菌性疾患
  ・アレルギー性疾患
  ・細菌感染(下顎のアクネ・爪周囲炎・粟粒性皮膚炎)

レベル1-2では掻痒のアプローチの基本的な診断と治療ができること、レベル3-4では脱毛のアプローチと脂漏へのアプローチについても基本的な診断と治療ができること、また犬の皮膚疾患の最も一般的な18大疾患と猫の最も一般的な7大疾患の診断と治療がだいたいできること、レベル5では上記の項目以外も、皮膚病の総合的なアプローチができ、最先端獣医療を実践できること。


(2)臨床心臓病学

レベル1-2では、病歴の聴取と身体検査、心電図と、胸部X線検査(心臓病の3大検査)にて犬の5大心臓病(以下に列記)の診断と治療がほとんど行えること。
  ・弁膜疾患(僧帽弁閉鎖不全・三尖弁閉鎖不全等)
  ・心筋症(肥大性心筋症・拘束性心筋症・拡張期性心筋症)
  ・先天的心疾患(PDA・肺動脈狭窄症・大動脈弁狭窄症・心室中隔欠損症)
  ・心臓糸状虫症(フィラリア症)
  ・肺性心臓病(呼吸器病からの原因)

レベル3-4では、より深く各々の検査(心臓の触診・聴診・頚静脈拍動・脈診)の解釈と、現在の症状との関係の把握、心電図(16大検査法の実施を参照)と、胸部X線の読影を総合的にできること。その結果、上記に5つ加えた犬の10大疾患(以下に列記)、猫の3大心臓病のそのほとんどが診断と治療できること。
  ・心嚢炎
  ・左房破裂
  ・腱索の断裂
  ・細菌性心内膜炎
  ・心臓腫瘍


猫の3大心臓病(以下に列記)
  ・心筋症(肥大性心筋症・拘束性心筋症・拡張期性心筋症)
  ・全身性高血圧
  ・先天的心疾患

またレベル5の例としては、上記以外にも、猫の胸部超音波検査(特に左心室肥大)にて左心室肥大の7つの疾患の鑑別ができ心臓病の総合的なアプローチができ、最先端獣医療を実践できること。
  ・心筋症(肥大性心筋症・拘束性心筋症・拡張期性心筋症)
  ・肺性高血圧
  ・甲状腺機能亢進症
  ・末端肥大症
  ・高粘張度症候群
  ・大動脈弁狭窄不全
  ・糖尿病



(3)臨床消化官病学

消化器の病気はただ単に嘔吐と下痢の治療ではなく、そのアプローチ法が重要であります。その嘔吐と下痢の原因追求には、いろいろの角度から調べる必要があります。消化器病と思っていたら、内分泌の病気であったと言う場合もあるからです。消化器病を総合的に学びますが、治療法においては特に以下の薬剤の使用法についてその応用を学びます。
  ・食事療法
  ・粘膜保護剤
  ・H2ブロッカー
  ・蠕動亢進剤
  ・抗生物質
  ・免疫抑制剤
  ・制嘔剤
  ・グルココルチコイド
  ・利胆剤

猫の場合は、以下の疾患の基本と応用について学びます。
  ・黄疸
  ・胆管肝炎
  ・膵炎
  ・脂肪肝

これらと内視鏡の検査を併せることによって、以下の26の疾患を学ぶことによって消化管病学の95%以上が学べます。
  ・好酸球性胃腸炎
  ・萎縮性胃腸炎
  ・急性胃腸炎
  ・慢性胃腸炎
  ・リンパ球性プラズマ細胞性胃腸炎
  ・胃拡張―胃捻転症候群張―胃捻転症候群
  ・異食症
  ・胃食道逆流症
  ・出血性胃腸炎
  ・巨大食道症
  ・巨大結腸症
  ・下痢と嘔吐(急性と慢性)
  ・誇張
  ・コクシジウム
  ・口内炎
  ・回虫症
  ・鉤虫症
  ・ジアルジア
  ・条虫症
  ・食道炎
  ・食糞症
  ・蛋白喪失性胃腸炎
  ・糞線虫
  ・メレナ
  ・幽門狭窄症
  ・リンパ管拡張症

レベル1-2では嘔吐と下痢のアプローチの基本的な診断と治療ができること、レベル3-4では猫の黄疸・肝疾患の基本的な診断と治療ができること、また犬の消化管疾患の最も一般的な26大疾患の診断と治療がだいたいできること、レベル5では上記の項目以外も、消化管病の総合的なアプローチができ、最先端獣医療を実践できること。


(4)泌尿器病学

猫の慢性腎炎・下部尿路系疾患の診断と治療及び犬の上部から下部尿路系疾患である腎臓・尿管・泌尿器系の病気、特に結石症についての診断と治療を学びます。
  ・アミロイドージス
  ・糸球体腎炎
  ・腎盂腎炎
  ・腎結石
  ・水腎症
  ・腎嚢胞
  ・腎周囲偽嚢胞
  ・尿路感染症
  ・尿失禁
  ・上皮小体機能亢進症
  ・前立腺肥大
  ・前立腺嚢胞
  ・前立腺炎
  ・尿石症
  ・ファンコニー症候群

レベル1-2では犬猫の慢性腎炎・下部尿路系疾患・結石のアプローチの基本的な診断と治療ができること、レベル3-4では上記の15の疾患の診断と治療がより詳しくできること、レベル5では上記の項目以外も、泌尿器病の総合的なアプローチができ、最先端獣医療を実践できること。


(5)腫瘍病学

細胞診及び生検の重要性を学びつつ各々の3大発生頻度順に学んでいきます。もちろん各種の生検・骨髄検査・超音波検査等を組み合わせての総合的な評価が必要となります。腫瘍は通常高齢のため、飼い主とのインフォームド・コンセント(説明と同意)が最も重要となります。腫瘍があるから、すぐに外科手術で摘出すれば良い、抗癌剤で叩けば良いと言うわけにはいきません。その抗癌剤の種類の選択には、飼い主の意向を取り入れて、その方法を考えます。また副腫瘍症候群や急性溶解症候群やDICや抗癌剤の管理と安全な取り扱いにも注意し、総合的な獣医療にての対応が必要です。

犬の7大腫瘍である以下の診断と治療を学びます。
  ・乳腺腫瘍
  ・肥満細胞腫
  ・リンパ腫
  ・口腔内腫瘍
  ・骨腫瘍
  ・腹腔内腫瘍
  ・皮膚の腫瘍


猫の7大腫瘍である以下の診断と治療を学びます。
  ・リンパ腫
  ・皮膚の腫瘍
  ・乳腺腫瘍
  ・肥満細胞腫
  ・骨髄形成不全
  ・骨腫瘍
  ・口腔内腫瘍


レベル1-2では犬猫の3大腫瘍(上記から3つ)の基本的な診断と治療ができること、レベル3-4では7大腫瘍の診断と治療がだいたいできること、レベル5では上記の項目以外の腫瘍、その他の診断、治療に総合的なアプローチができ、最先端獣医療を実践できる知識を持っていること。


(6)内分泌病学

まずは犬の10大内分泌疾患である以下の診断と治療を学びます。これらは比較的に内分泌の病気として多いからです。すなわち、甲状腺・膵臓・副腎・上皮小体(副甲状腺)の4つの臨床的な機能の基本的な事柄を学びますが、この内分泌の病気は、総合的な獣医学の知識を必要とします。
  ・甲状腺機能低下症
  ・糖尿病
  ・糖尿病性ケトージス
  ・副腎皮質機能亢進症
  ・副腎皮質機能低下症
  ・低血糖
  ・上皮小体機能低下症
  ・上皮小体機能亢進症
  ・小人症
  ・多腺性自己免疫性症候群


猫は5大内分泌疾患である以下の診断と治療を学びます。
  ・糖尿病
  ・糖尿病性ケトージス
  ・低血糖
  ・甲状腺機能亢進症
  ・小人症

レベル1-2では犬の4大内分泌疾患(上記より4つ)と猫は4大内分泌疾患(上記より4つ)の基本的な診断と治療ができること、レベル3-4では上記の診断と治療がほとんどできること、レベル5では上記の項目以外も、内分泌病の総合的なアプローチができ、最先端獣医療を実践できること。


(7)眼科病学

また疾患については以下の36大疾患についての診断と治療・対処法について学びます。眼は全身病と言われるように、眼の中を見れば全身の病気を示している場合もあります。そのため、血圧や神経病、また視力等いろいろな検査を組み合わせた総合的な診断が要求されます。特に猫の臨床では、眼底(FIV・FeLV・FIP・トキソプラズマ等)を見ることが重要です。
  ・結膜炎
  ・角膜潰瘍
  ・緑内障
  ・赤目(レッドアイ)の鑑別(ブドウ膜炎・緑内障・上強膜炎・結膜炎)
  ・乾燥性角結膜炎
  ・白内障
  ・眼瞼内反症
  ・眼瞼外反症
  ・角膜変性(浸潤)
  ・視神経炎
  ・上強膜炎
  ・水晶体脱出
  ・前ブドウ膜炎
  ・前房出血
  ・第3眼瞼の突出
  ・眼球突出
  ・乳頭浮腫
  ・眼瞼炎
  ・ホルネル症候群
  ・網膜剥離
  ・流涙症
  ・角膜炎(潰瘍性)
  ・角膜炎(非潰瘍性)
  ・角膜ジストロフィー
  ・角膜変性(浸潤)
  ・虹彩萎縮
  ・新生児眼炎
  ・前房蓄膿
  ・第3眼瞼の脱出
  ・瞳孔不同
  ・斜視
  ・眼球陥入
  ・ブドウ膜黒色腫
  ・網膜変性
  ・睫毛乱生
  ・コリー眼異常


レベル1-2では上記の10個の疾患の基本的な診断と治療ができること、レベル3-4では20-30大疾患の診断と治療がだいたいできること、レベル5では上記の項目以外も、眼科の総合的なアプローチができ、最先端獣医療を実践できること。


(8)神経病学

基本的な6ステップルールすなわち、全身状態の観察・触診・姿勢反応・脊髄反射・脳神経・知覚を学びます。これらを管理するには、まず精神状態・姿勢・歩様の観察、次に筋肉・骨の異常を見るための触診、特に脳神経・対不全麻痺や四肢不全麻痺のための、病変の位置決めのための姿勢反応と脊髄反射と皮筋反射、感覚の各評価をマスターします。またUMNとLNUの違いも学びます。そして痙攣・発作の鑑別診断とその治療、特に癲癇発作について学びます。この時点で覚えるべき17大疾患は、
  ・癲癇・発作(他の疾患との鑑別)
  ・椎間板疾患
  ・水頭症
  ・頚部脊椎障害
  ・小脳形成不全
  ・髄膜炎・髄膜脳炎・髄膜脊髄炎
  ・聴覚障害
  ・中耳炎・内耳炎
  ・前庭疾患
  ・ミエロパシー
  ・三叉神経麻痺
  ・攻撃行動(犬猫)
  ・昏迷と昏睡
  ・脳の損傷(頭部外傷等)
  ・ホワイトシェーカー症候群
  ・変形性脊椎症
  ・ミオクローヌス

レベル1-2では基本的な6ステップルールの基本的な検査と診断と治療ができること、レベル3-4では脳神経・対不全麻痺や四肢不全麻痺のための、病変の位置決めの姿勢反応と脊髄反射と皮筋反射、感覚の各評価またUMNとLNUの違い、そして痙攣・発作の鑑別診断とその治療、特に癲癇発作と17大疾患の診断と治療がだいたいできること、レベル5では上記の項目以外も、皮膚病の総合的なアプローチができ、最先端獣医療を実践できること。


(9)歯科病学

口腔内診査法及びその記録法から学びます。そして予防的歯科処置(例えば歯石・歯垢の除去法についていかに進め効果的に行うかをステップ別に学びます)の基礎を学びます。犬においては歯科の問題が、病気の内では1番多い疾患(2歳以上で95%以上?)であるので、まずは記録して、簡単な抜歯(特に乳歯遺残)についても基本を学びます。
  ・口腔内診査法
     歯肉縁上の歯石除去法
     歯肉縁下の歯石除去法
     ポリッシング(研磨)
     歯肉切除
     簡単な抜歯
     フッ素の塗布
  ・乳歯遺残抜歯術
  ・犬歯・臼歯の抜歯術
  ・歯肉と歯周ポケットの外科的処置
  ・歯肉弁根尖移動術
  ・歯肉弁歯槽骨弁形成術
  ・口鼻瘻管形成術
  ・歯内療法
  ・猫の歯頚部病巣
  ・口蓋裂傷
  ・上顎切除術
  ・下顎切除術


レベル1-2では口腔内診査法の基本的な予防と診断と治療ができること、レベル3-4では上記の7つの処置の診断と治療がだいたいできること、レベル5では上記の項目以外も、歯科学の総合的なアプローチができ、最先端獣医療を実践できること。


(10)行動心理学

最近注目されているこの分野は、人と動物の関係を考える良い機会ともなります。我々獣医師がいくら病気を予防したり、治療したりしても、この行動上の問題があって、不幸にして交通事故で死亡したり、攻撃的で人に危害を加えたりしていては、病気の治療もむなしい限りです。ゆえに我々臨床を行う獣医師は、この行動心理学もある程度知る必要があります。以下の7項目が学ぶべき事柄です。
  ・オペラント方式の躾の指導法
  ・分離不安症
  ・猫の排尿問題行動
  ・犬の人間の対する攻撃行動
  ・猫の人間の対する攻撃行動
  ・飲食関係の問題行動
  ・音響恐怖症


レベル1-2ではオペラント方式の躾の指導法の基本的な事柄ができること、レベル3-4では上記の治療がだいたいできること、レベル5では上記の項目以外も、行動心理学の総合的なアプローチができ、最先端獣医療を実践できること。


(11)臨床麻酔学

各ステージ別、体のサイズの違いによる、猫・エキゾチックペットの麻酔法及び覚醒法を学びます。麻酔を行う直前の身体検査(特に聴診)が重要でまた前処置の有無も重要です。麻酔即外科手術であり、外科手術即鎮痛剤と言えるかもしれません。
  ・心臓系に障害を持つ動物の麻酔法
  ・肝臓系に障害を持つ動物の麻酔法
  ・腎臓系に障害を持つ動物の麻酔法
  ・小型犬の麻酔法
  ・大型犬(肥満)の麻酔法
  ・猫の麻酔法
  ・エキゾチックペットの麻酔法
  ・その覚醒法
  ・麻酔前後の鎮静剤・鎮痛剤の使用法
  ・麻酔のモニター法
     術前(動物の状態のチェック法)・術中の異なる3種類以上のモニター法の解釈、例えば
       心電図(始めの波形と比較し、心拍数は80-120)
       酸素飽和濃度(95-100が望ましい)
       心音(必ず固定しそのリズムと音量を聴く)
       呼気中の炭酸ガス濃度(正常値30-45mmHgが望ましい)
       体温(32度以上)
       血圧(収縮期圧70以上、平均動脈圧60以上)
     術後(動物の状態のチェック法)
       体重(術中の輸液量と失血量を考えながら、術後の体重を必ず測定します)
       体温(術後の体温も必ず測定します。もし37度以下は38.5度になるまで)

レベル1-2では麻酔器及び麻酔管理の基本的な事項と健康な犬猫の麻酔が安全に出来る事、レベル3-4ではエキゾチックペットも含めていろいろなステージの麻酔及び麻酔管理ができ、術後の管理も出来ること。レベル5では上記の項目以外も、麻酔の総合的なアプローチができ、最先端獣医療を実践できること。


(12)外科学

犬の4大胸部外科手術
  ・肺葉摘出術
  ・PDA
  ・心膜切開術
  ・横隔膜ヘルニア

犬の40大軟部組織外科手術
  ・卵巣子宮摘出術・去勢手術・子宮蓄膿症・外傷手術(一般的な症例)・断脚術
  ・臍ヘルニア・胃切開・乳腺腫瘍摘出術・膀胱切開術・腸切開術
  ・腸吻合術・胃チューブ設置術・幽門形成術・尿道結石摘出術・帝王切開術
  ・扁桃腺切除術・脾臓摘出術・腎臓摘出術・停留睾丸摘出術
  ・腫瘍摘出術・胃捻転・咽頭婁チューブ設置術・空腸チューブ設置術・軟口蓋伸長症
  ・片側性被裂軟骨側方変位術・門脈大静脈短絡・会陰ヘルニア・肛門嚢摘出術
  ・声帯切除術・外耳道全摘出術・耳血腫・気管虚脱修復術・肝葉摘出術
  ・胆嚢切開術・食道切開術・腹腔琲液法・口蓋裂・外鼻腔狭窄・異所性尿管

犬の13大整形外科手術
  ・膝蓋骨脱臼・前十字靭帯断裂・大腿骨頭切除術
  ・骨折のピンニングとワイヤー法・骨折の各種プレート法・脱臼
  ・半月板切除術・椎間板ヘルニア・頚部椎間板疾患
  ・環軸亜脱臼・関節固定術・上顎切除術・下顎切除術

猫の18大軟部組織外科手術
  ・卵巣子宮摘出術・去勢手術・外傷手術(一般的な症例)
  ・乳腺腫瘍摘出術・膀胱切開術
  ・腸切開術・腸吻合術・胃チューブ設置術・帝王切開術・腎臓摘出術
  ・尿道婁設置術・巨大結腸症・横隔膜ヘルニア・前頭洞円鋸術
  ・腫瘍摘出術・胆嚢切開術・甲状腺切除術・爪切除術


レベル1-2では7大手術である卵巣子宮摘出術・去勢手術・子宮蓄膿症・外傷手術(通常の程度)・乳腺腫瘍摘出術・臍ヘルニア・胃切開ができること、レベル3-4では以下の27種類の外科手(卵巣子宮摘出術・去勢手術・子宮蓄膿症・外傷手術(一般的な症例)・断脚術・臍ヘルニア・胃切開・乳腺腫瘍摘出術・膀胱切開術・腸切開術・腸吻合術・胃チューブ設置術・幽門形成術・尿道結石摘出術・帝王切開術・扁桃腺切除術・脾臓摘出術・腎臓摘出術・停留睾丸摘出術・猫の尿道婁設置術・猫の巨大結腸症・横隔膜ヘルニア・猫の前頭洞円鋸術・大腿骨頭切除術・前十字靭帯断裂・膝蓋骨脱臼・骨折のピンニングワイヤー締結法(一般的な症例)、レベル5では上記の項目以外も、外科手術の総合的なアプローチができ、最先端獣医療を実践できること。


(13)クリティカルケア

これらの救急の疾患が、臨床獣医学の原点であり、この分野の獣医学は、急性病の特徴である格言「診断より治療を優先する」ことが重要であり、また慢性病はその逆で、「治療より診断を優先する」することが重要です。まず学ぶべき事柄としては、
  ・輸液療法
  ・猫の尿閉
  ・犬の検索の断裂
  ・HBC
  ・猫心筋症
  ・急性肺水腫
  ・猫のアレルギー性喘息
  ・子犬の低血糖
  ・急性胃捻転―拡張症候群
  ・椎間板ヘルニア
  ・出血性胃腸炎

レベル1-2では、輸液療法を理解し実施できること、上記の診断と治療がだいたいできること、レベル3-4では、上記の疾患の診断と治療がほとんど出来ること、レベル5では上記の項目以外も、クリティカルケアの総合的なアプローチができ、最先端獣医療を実践できること。


(14)ホリスティック獣医学

このホリスティック獣医学の分野では、多くの部分が、根拠のある証明された獣医学―EBVMではありませんが、過去の歴史を紐解くと、時代と共に証明されることもあります。できるだけEBVMにそった、理論立てできるものを使用する必要があるでしょう。当院でお勧めのホリスティック獣医学の主な項目は以下の通りです。
  ・脂肪酸療法
  ・抗酸化療法
  ・核酸療法
  ・メシマコブ療法
  ・小紫胡湯+十全大補湯


レベル1-2では脂肪酸療法・抗酸化療法を学び、レベル3-4ではその他の療法を学び、レベル5では、非常に興味をもっていろいろ学びます。

エキゾチックペットの7大疾患の診断と治療の応用の習得
継続3年目の教育研修プログラム関連ページもあわせてご覧下さい。


その正しい飼育環境の指導と、12種類のエキゾチックペットの代表的な7つの疾患の診断と治療をマスターします。病歴の聴取と身体検査をもとに、その飼育環境(エキゾチックペットの病気の多くの原因は食事等の飼育環境にある)を考えながら、各々のエキゾチックペットの独自の病気や特性を考えて診療を行います。また各々の動物の麻酔と代表的な外科手術についても習得します。

種類 7大疾患
ウサギ 毛球症、パスツレラマルトシータ、下痢症、不正交合、斜頸、耳ダニ、膀胱炎
ハムスター 下痢症、脱毛、腎炎、外傷、腫瘍、不正交合、頬袋の膿瘍
フェレット 副腎腫瘍、耳ダニ、毛球症、インフルエンザ、慢性肝炎、膀胱炎、コクシジウム
飼鳥 細菌感染症、そ嚢炎、破行、腹囲膨満、気道炎、嘴の過剰症状、毛引症
ビタミンA欠乏症、肺炎、代謝病骨疾患、外傷、膿瘍、膀胱結石、寄生虫(線虫類)
イグアナ 代謝性骨疾患、異物、外傷、寄生虫、腎炎、指や尾の壊死、寄生虫(回虫・コクシジウム)
プレーリードッグ 外傷、不正交合、下痢症、上部気道感染症、肺炎、慢性肝炎、皮膚糸状菌症
モルモット 肺炎、腸炎、脱毛、不正交合、膀胱炎、膀胱結石、不正交合
リス 肺炎、外傷、下痢症、不正交合、髄膜炎、血尿、癲癇
気管支炎、挫傷、下痢症、肺炎、外傷、寄生虫(大腸バランチジウム・ジアルジア)、代謝骨疾患
チンチラ 内部寄生虫(コクシジウム・ジアルジア)、毛食い症、肺炎、皮膚糸状菌症、不正交合、下痢症、熱中症
スナネズミ 肺炎、下痢、腎炎、心臓病、皮膚糸状菌症、顔面の皮膚病、不正交合

レベル1-2では各々の3大病の基本的な診断と治療ができること、レベル3-4では各々の7大疾患の診断と治療(外科手術も含めて)がほとんどできること、レベル5では上記の項目以外も、エキゾチックペットの総合的なアプローチができ、最先端獣医療を実践できること。

勤務獣医師の研修プログラムの流れ
  (犬・猫・エキゾチックペット)
病歴の聴取と身体検査とインフォームド・コンセント(説明と同意)

18大検査法の実施とその意義と応用の習得
身体検査・血液検査(血清生化学的検査を含む)・凝固系検査・細胞診・尿検査
・糞便検査・血圧検査・心電図検査・心音図・X線検査(胸部・腹部・骨関節)
・眼科検査・超音波検査(胸部・腹部)・脳神経学的検査・内視鏡検査

14大重要専門科目の臨床の基本と応用の習得
皮膚病学・心臓病学・消化管病学・泌尿器病学
・腫瘍病学・眼科学・神経学・歯科学
・内分泌学・麻酔学・行動心理学・臨床外科学
・クリティカルケア・ホリスティック獣医学

エキゾチックペットの代表的な12種類の7大疾患の診断と治療の応用の習得

ライフタイムにて、各々の基本と応用を徹底してマスターすること!

継続3年目の教育研修プログラム関連ページもあわせてご覧下さい。


三鷹獣医科グループ 院長 小宮山典寛
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