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all words by Dr.NORIHIRO KOMIYAMA

No.1〜15

1) 薬の副作用で胃潰瘍になった?
2) 若年性白内障はどういう病気なのか?
3) ドッグフードをぜんぜん食べません。
4) ニキビダニ感染と診断されましたが治療法は?
5) フィラリア検査でミクロフィラリアと診断されました。
6) 水頭症になった場合、治療によって長生きできますか?
7) 帝王切開では、どのような縫合方法が一般的なのでしょうか?
8) 上の歯がグラグラしているのに気がついたのですが。
9) 腎臓が悪くなる原因として、どういうことが考えられますか?
10) 最近、目ヤニ(涙か?)がよく出るようになったのですが。
11) ジステンパーのウイルスの消毒法について。
12) 心臓病と乳腺のおでき(たぶんガン)のために苦しんでいます。
13) M・ダックス(♀)のリウマチのことで相談します。
14) 豚のゲンコツを食べた次の日に、糞の一部が白くなります。
15) 近頃鼻の色が少しずつ抜け、ピンク色がかってきました。

目次 No.1〜15 No.16〜30 No.31〜44
No.46〜60 No.61〜75
1)Q:薬の副作用で胃潰瘍になった?
3歳のシー・ズーのシロが両後脚を内股にして歩くので、病院でレントゲン検査を受けた結果、椎間板ヘルニアと診断されました。脊髄注射と内服液の治療を始めて間もなく、1日に5回くらい吐くようになりました。食欲もなく、水を飲んでも吐きます。内容物は焦げ茶色の液体に、未消化のフード、薬、微量の鮮血が混じっています。内服液が強すぎて、胃潰瘍になったと診断されました。優先的に胃を治すために、ヘルニアの薬をストップしましたが、後脚は悪くなる一方で、今では自力で立ち上がることすら困難な状態です。設備上の理由により、ヘルニアの手術は受けられません。数日前から、睡眠中に下半身がブルブル震えるようになりました。このような病状の場合、日本ではどのような治療法が可能ですか。治療のために、シロを日本へ連れて帰ることも真剣に考えていますが、成田空港はヘルニアの犬を受け入れてくれるでしょうか。もちろん、狂犬病と6種混合ワクチンは接種済みです。上海はペットケアに乏しく、適切なケアができません。治療方法やアドバイスをお願いいたします。(シー・ズー/3歳/♀ 上海市/ホサニ悦子)
1)A
シー・ズーはダックスフンドとともに、椎間板ヘルニアを起こしやすい犬種として知られています。もちろん、手術プラス内科療法という治療法がベストですが、いろいろな事情で内科療法を行ったのだと思います。内科療法ではステロイド剤を使 いますので、たまに胃潰瘍等を起こすことがあります。

あなたの愛犬の場合は、やはり胃潰瘍の治療を行うことが大切でしょう。胃潰瘍を予防する薬はいろいろあり、「H2ブロッカー」が代表的な薬です。食事は、消化のよいものを少量ずつ与えましょう。胃潰瘍は嘔吐するとき出血を伴う場合があります。嘔吐がなくても、胃潰瘍がある場合があります。食欲があれば胃潰瘍はないと考えられるので、常に食欲があるかどうかに注意してください。

ヘルニアのケアについては、上海には鍼治療等を受けられる動物病院があるはずです。そのような治療を受けてみたらいかがでしょうか。ヘルニアでは、膀胱炎(尿が出る)から腎臓炎となり、末期の尿毒症を起こして死亡するというケースが最悪です。排尿排便ができる状態にすることが大切です。特に尿の場合、お腹から膀胱に触って、出してあげることが必要になる場合もあります。少し慣れればできますから、先生に教えてもらってください。また、尿を観察し、血が混じっていれば膀胱炎が疑われますから、先生に報告してください。また、水をいつでも飲めるようにしておいてください。
2)Q若年性白内障はどういう病気なのか?
4歳のW.H.ホワイト・テリアが1カ月くらい前から、光線の具合で目が白く見えるようになりました。散歩中も、ベンチの角や電柱に頭をぶつけるようになったので、ホームドクターに診てもらったところ、若年性白内障と診断されました。設備のある病院で検査したところ、片目は光を通さず、もう一方の目はかすかに光を通すのでぼんやりは見えているといわれました。手術は非常に複雑で難しく、100%成功するわけではないといわれ、手術をするべきかどうか悩んでいます。また、漢方などで進行を阻止することはできるのでしょうか。若年性白内障はどういう病気なのか、手術をしたほうがいいのかどうかなど、もっと詳しく知りたいと思います。もし、手術をしなかった場合、今後どういうことに注意しればよいのか、アドバイスをいただけますか。 (W.H.ホワイト・テリア/4歳/♂ 千葉県/H.A)
2)A
手術をすべきかどうかということですが、白内障の中では若年性白内障は最も手術がしやすいものです。しかし、動物の場合、手術はすべてうまくいくということはありません。手術がうまくいくかどうかは、犬の状態と手術を行う医師の技術にかかっています。あなたの愛犬の場合、もう少し目の検査が必要だと思います。

家庭でできる検査方法があります。犬を台の上に置いて、丸めたティッシュペーパーを上から落とします。犬は見えればそれを追います。その検査を左眼と右眼で、また明るいところと暗いところでやります。

もうひとつの方法は、犬を真っ暗な場所に5分くらい置いて、目の前の10センチくらいのところでカメラのフラッシュをたきます。そのとき犬がまったく光に反応しなければ、網膜を損傷していますから、手術をしても治りません。もし失明してしまった場合、特に慣れない環境で物にぶつかったりしないように、気をつけてあげてください。いずれにしても眼の病気は難しいので、眼科に詳しい獣医師に診察してもらうことが望ましいでしょう。
3)Qドッグフードをぜんぜん食べません。
ぼくの犬(パピヨン)はドッグフードをぜんぜん食べません。肉は、モグモグとおいしそうに、ペロリと食べてしまいます。どんなにお腹がすいていても、ドッグフードを食べません。栄養がかたよってしまうのが、不安です。いろんなものを食べさせたいのですが、どうやって食べさせたらいいですか。 (パピヨン/4カ月/♀広島県/H.I)
3)A
結論をいえば、あなたの犬は贅沢なだけです。ドッグフードを食べない犬はいません。飼い主が、おいしいものしか食べないようにしつけてしまったのです。犬は頭がいいので、ドッグフードを出されると「食べてもいいんだけど、食べないでいると、飼い主はもっとおいしいものを出してくれる」ことがわかるのです。これまでの世界の文献を見ても、ドッグフードを前に出しておいて、餓死したという犬の報告はありませんから。ドッグフードを食べさせるには、だんだん慣らしていく方法があります。よく知られているのは、10日間で変える方法です。まず、犬が健康な状態のとき、1日間、少しかわいそうでも食事をあげません。2日目に今までの食事(おいしい肉)3分の1、ドッグフード(細かくしたほうがいい)3分の2を混ぜて与えます。これを3日間 続けてください。その次の3日間は、今までの食事とドッグフを半分ずつ混ぜて与えます。最後の3日間は、今までの食事3分の2、ドッグフード3分の1を混ぜて与えてください。そして、その次の日からドッグフードだけを与えます。この方法を試してみてください。あるいは、無理にでも口の中にドッグフードを入れ、味を覚えさせる方法もあります。いずれにしても、自分の好きなものしか食べないと、病気にかかったとき、非常にたいへんなことになりますので、ドッグフードを食べるようにしつけてください。
4)Qニキビダニ感染と診断されましたが治療法は?
3歳のスムースのチワワが、3カ月くらい前に、耳がかぶれ、かゆがるので病院に連れていきました。ニキビダニ感染と診断され、治療しています。全身に広がることもなく、耳も治りましたが、まだ治療が終わりません。どのくらいで治療が終わるのでしょうか。2週間に1回の注射、1週間に1回の注射をそれぞれ受け、1日に2回、薬を飲ませていますが、吐いてがかりいます。2〜3日薬を飲むのを休むと元気になるのですが、吐くときは1日に10〜15回くらい吐き、最後に白い泡みたいなものを吐きます。注射を打ったり薬を飲ませることをできるだけやめたいのですが、ニキビダニを減らすにはほかに方法がないのでしょうか。免疫機能の低下が原因といわれましたが、どうすれば予防できますか。詳しく教えてください。食いしん坊で、食べ物に好き嫌いはありません。(チワワ/3歳/♂ 宮城県/C.S)
4)A
ニキビダニ症は、皮膚病の中でも最も治りにくいものとして知られています。1歳前後の若いときに発症すると、治療の有無に関わらず、だいたい2〜3歳までには消えてしまいます。しかし、3歳以降に発症した場合は非常に治りにくく、ひどいケースでは、生涯にわたって治療が必要となることもあります。最近は、新しい治療法が数多く考案されています。たとえば、ある種のフィラリア予防薬を通常より多く、2〜3カ月間飲ませる方法などがあります。

飼い主の方にできる治療法としては、まず温度管理が大切で、暑い場所で生活させないことです。また、皮膚が乾燥しているとよくないので、ベビーオイルを少し塗って、皮膚を湿らせてあげるとよいでしょう(ただし、塗りすぎてベタベタにするのは逆効果)。定期的に根気よくシャンプーをすることも、とても大切です。一般的には硫黄の入ったシャンプーを使うとよいでしょう。

なかなかよくならず、かえって悪化するような場合は、かかりつけの病院で、愛犬の将来の経過の予測、現在の治療法、起こり得る副作用などについて聞いてみるのがよいでしょう。十分に納得できなければ、皮膚病のより得意な病院に相談するのもよいかもしれません。
5)Q:フィラリア検査でミクロフィラリアと診断されました。
12歳のジャーマン・シェパードですが、昨年フィラリア予防薬を飲ませるのを何度か忘れ、今年のフィラリア検査でミクロフィラリアと診断されて、投薬を受けました。先生は、フィラリアの卵や幼虫を幼虫のまま死ぬようにするというような説明をされました。それなら1日も早く飲ませたほうがいいような気がしますが、5〜11月の期間しか投薬しないといわれました。よく理解できませんので、わかりやすく説明していただけますか。(ジャーマン・シェパード/12歳/♀ 岐阜県/M.S)
5)A
おそらくその主治医の先生は、予防薬を忘れた期間が短いので、成虫はいないと推定して、治療法を選ばれたのでしょう。フィラリアの幼虫の寿命はだいたい1〜2年ですので、通常に予防薬を与えながら、幼虫が自然死するのを期待しているのだと思います。これもひとつの方法といえるかもしれませんが、あまり積極的とはいえません。もし成虫がいる場合、成虫の寿命は5〜6年ですから問題だと思います。

最もよい方法は、まず成虫がいるかどうかを超音波検査等で調べます。あるいは、超音波の設備がない場合でも、成虫がいると仮定して、成虫を駆除することです。フィラリアの成虫の駆除にはヒ素剤を使用しますが、この治療法は慎重に行わないと、動物が死亡することもあります。そのため、この方法を好まない獣医師も多いと思います。通常は、きちんと検査等を行えば問題はありません。成虫を殺した後に、幼虫を殺すプロセス(これにはまた別の薬が必要です)をとりますので、治療期間は約半年に及びます。こうして、成虫と幼虫を駆除してから、予防薬を投与するのが最もよい方法です。

問題は、あなたの愛犬に現在、成虫がいるかどうかです。心配でしたら、超音波検査の設備のある病院で診察してもらうとよいでしょう。ご質問の予防薬の期間ですが、地域や気温などによって蚊の発生する時期に多少違いがありますから、それに伴って違ってきます。通常は、5、6月ごろから11、12月ごろまで飲ませます。それ以外の期間は不要です。
6)Q水頭症になった場合、治療によって長生きできますか?
チワワに多いそうですが、大泉門が開いたままで、閉じる可能性は低いといわれました。アカルスとコクシジウムの治療のため通院していましたが、これは治ったようです。しかし、先生からは水頭症に気をつけるようにいわれました。家では、頭などをぶつけないように気をつけているのですが、とても元気で、ぬいぐるみやおもちゃなどで遊んでいるときなど、コツンコツンとぶつけているようです 。あまり神経質になってはいけないと思うのですが、心配です。もし、水頭症になった場合、治療によって長生きできますか。また、1度だけですが、抱いているとき、急に口がクチャクチャして泡を吹いたことがあります。すぐにおさまり、ケロッとしましたし、その後そのような症状は出ていません。てんかんの可能性は考えられますか。(ロングコート・チワワ/4カ月/♂ 東京都/M.S)
6)A
チワワは、泉門(頭のてっぺんのへこんだ部分)が開いたままになっているのはふつうですが、問題はその大きさです。愛犬はどの程度開いて(へこんで)いますか。約1cm前後ならふつうは大丈夫ですが、2cm以上くらい開いていると問題が起こることがあります。いずれ水頭症など、いろいろな病気の発症が考えられます。通常は年齢が進むにしたがって閉じてくるものです。水頭症は軽い場合は治りますが、重症の場合は深刻です。

最も重要なことは、その部分を強く刺激しない、打たないように気をつけることです。頭を叩くことは絶対にやめて下さい。高いところから落ちないように気をつけてください。もし心配なら、1cm以上の場合は、できたら1度、頭部のX線検査を受けて、頭部および頸部を調べるとよいでしょう。チワワには、「環軸亜脱臼」という首がフラフラして安定しない病気も多発します。この病気は頭を無理に下げると発症しやすいので、気をつけてください。急に泡を吹いたということですが、すぐに治まったのでしたら「てんかん」の可能性はあまり考えなくてもよいでしょうが今後も続けて起これば要注意です。また今後、どのようなときに起こるか、気をつけて観察して ください。
7)Q帝王切開では、どのような縫合方法が一般的なのでしょうか?
初産のとき、陣痛がこなかったため、帝王切開で出産させました(生まれた仔 犬はメス1頭)。ブリーダーさんに経過を説明したところ、切開部分を閉じるのにホッチキスのような閉じ方をすると、仔犬が失明する可能性があるので、縫い直してもらったほうがいいといわれました。もう1度、麻酔をかけるのはとても心配だったので、やめましたが……。帝王切開では、どのような方法が一般的なのでしょうか。教えてください。(W.H.ホワイトテリア 4歳♀ 兵庫県/Y.G)
7)A
最近では、手術の切開部分を縫合する際、ホッチキスのような特殊な器具を使用することがあります。おそらく、ブリーダーさんは、閉じるときに使った針が、仔犬がお乳を吸うときに目に当たって傷つくことを心配して、そのようにいわれたのでしょう。確かに、その心配が絶対にないとは言い切れませんが、現実には針が仔犬の目に当たることはまずありませんし、1週間から10日前後で切開部が癒合すれば、針を除去しますから通常は問題はありません。ですから、おっしゃるように、もう1度麻酔をかけて縫合することには、まったく意味がないでしょう。一般的には、帝王切開では仔犬がお乳を吸うことを考え、柔らかい糸で縫合することが多いでしょう。しかし、ホッチキスのような器具を使うと、麻酔時間が短くなる(当然、術後の合併症は少なくなる)など、いろいろなメリットもあります。
8)Q上の歯がグラグラしているのに気がついたのですが。
仔犬の頃、牛皮を喉に詰まらせて以来、ガムや固いおやつを食べなくなりました。食事は丸飲みします。口臭が強く、歯茎は色も悪いし弱いので、歯磨きをすると血が出ることもあります。現在、実家で飼われているため、私は月に3回程度しか会えず、そのときだけ口腔ケアを行っています。最近、上の歯がグラグラしているのに気がつき、全体的に歯がもろくなっている感じがします。知人から「あまり長生きしないかもしれない」といわれ、心配です。体重減少も見られます。病院へ行けばいいのですが、なかなか行けません。(M.ダックス・ロング 5歳8カ月♂ 熊本県/M.K)
8)A
あなたの愛犬は、おそらく重度の歯肉炎にかかっていると思われます。口臭が強いのは、歯石が溜まっていることが原因で、歯の根元が黄色くなっているはずです。歯石は非常に有害な物質です。愛犬は毎日毒素を飲み込んでいることになり、それが全身にまわって体に悪影響を及ぼしていると考えてください。体重減少も、おそらくその影響でしょう。対応としては、まず全身麻酔をして、完全に歯の掃除をしなければなりません。ですから、そのような治療ができる病院を見つけて、早く処置をしてください。その後は、家で定期的に歯磨きをすることをお勧めします。歯磨きの方法については、病院で指導してもらってください。
9)Q腎臓が悪くなる原因として、どういうことが考えられますか?
生後10カ月のシー・ズーですが、最近、食欲がなくなり、1日中寝てばかりいるので、獣医さんに診てもらったところ、腎臓が悪く、貧_だといわれました。現在は、いただいた療法食と1日2回の内服薬(カプセルでKRH102と書いてあります)を与え、様子を見ています。腎臓が悪くなる原因として、どういうことが考えられますか。生後2カ月でわが家に来たときから、水をたくさん飲む犬でしたが、何か関係ありますか。現在でも、よく飲みます。また、この先、薬を飲み続けることで、他の臓器に影響が出ることがありますか。その他、日常生活で気をつけることがあったら、教えてください。(シー・ズー 10カ月♀ 石川県/H.Y)
9)A
10カ月のシー・ズーで腎臓が悪い場合、ほとんどが先天的なものです。特にシー・ズーとラサ・アプソは、先天的な腎臓病(腎臓の皮質形成不全)をもって生まれてことが多い犬種です。あなたの愛犬は腎臓が悪いといわれたわけですが、より適切な治療を行うには、腎皮質形成不全を含め、どういうタイプの腎臓病なのかを調べる必要があるでしょう。調べる方法としては、腎臓の超音波検査をし、細胞の一部をとる検査(生検)を行わなければなりません。これらの検査のできる病院は数多くはありませんが、もし行えば最も正確な診断ができるでしょう。今後どのくらい生きることができるかを知るためにも、現在の状態(初期か中期か末期か)を正しく判定する必要があります。

KRH102はクレメジンという薬で、日本で比較的最近、開発されたものです。簡単にいえば、腎臓の悪い毒素を吸収してしまう作用がありますが、同時に他の薬を投与した場合、その薬も吸収してしまいます。また、犬に投与する場合、かなり大量でないとあまり効果はないという報告もあります。日常気をつけることは、まず良質のタンパク質を少量与えることです。タンパク質を多く食べると、腎臓に悪影響があるといわれています。水は自由に飲ませてください。また、なるべくストレスのない環境で生活させましょう。
10)Q最近、目ヤニ(涙か?)がよく出るようになったのですが。
もうすぐ4歳になる雑種です(ラブラドールが混じっているようです)。最近、目ヤニ(涙か?)がよく出るようになり、目頭のところが茶色になりました。かなりまめに拭いたり、目薬(人間用)で拭いたりしていますが、全然よくなりません。動物病院の先生に診てもらいましたが、「目薬で拭いてあげてください」といわれただけでした。部屋で飼っています。体重は20_で少し太り気味です。食事は手作り(野菜、肉、魚などの水煮)が主で、ときどき缶詰やドッグフードを与えています。食生活に関係があるでしょうか。(雑種 4歳♀)
10)A
目ヤニが出るとのことですが、問題はその原因です。原因としては、一般的な細菌感染か、あるいは先天性の目の異常(眼瞼内反症、眼瞼外反症)が考えられます。全身症状(体全体の異常)に伴って、目ヤニが出ることもありますが、愛犬は元気なので、おそらく目だけの局所的な病気でしょう。 治療法としては、抗生物質の入った眼軟膏等を数日間使用して、様子を見ることもあります。軽い刺激による感染症などは、通常この方法で治ります。1日に2〜10回程度、こまめに使用してください。眼瞼内反症はまぶたが内側にめくれているもの、眼瞼外反症は逆に外側にめくれているものです。これらは最終的には手術が必要となります。食生活にはまず関係ないと考えてよいでしょう。眼科の得意なより専門的な病院で、もう一度診察を受けることをお勧めします。
11)Qジステンパーのウイルスの消毒法について。
ペットショップから来たばかりの犬ですが、鼻水、咳、くしゃみが治らず、検査したところ、ジステンパーでした。症状はそのうちおさまり、元気になったのですが、後遺症を考え、ペットショップで交換してもらうことにしました。ところが、家の中にジステンパーのウイルスがいるので、2〜3カ月は犬を飼えないといわれました。病院も同じ答えでした。犬舎はハイターで消毒し、天日干しを繰り返しています。部屋も洗えるものは洗い、ハイターで拭きました。1日も早く新しい犬を迎え入れられるよう、アドバイスをお願いします。(キャバリア 2カ月♂ 富山県/M.O)
11)A
ジステンパーのウイルスが2〜3カ月間生存するのではないかという問題についは、かなり以前はそのようにいわれたこともあるかもしれません。しかし、現在ではそのようなことはないと考えられています。このウイルスは、熱、紫外線、乾燥状態、洗剤、消毒剤などに反応し、効力を失います。したがって、犬が生活していた環境を掃除したり、消毒したりすれば、ウイルスは死滅します。特に比較的温暖な地方では、ハイター等で掃除すれば、ウイルスはすぐにいなくなります。しかし、このウイルスは寒い環境下では長く生存し、氷点下に近いところでは数週間、凍結状態では数カ月から数年間は生存するといわれています。このようなウイルスの特徴から、寒くない場所や時期であれば、犬の生活していた環境を掃除・消毒した後、すぐにでも仔犬を迎えてもまず問題はないでしょう。ただし、その際には、仔犬の健康状態に十分に注意しましょう。特に寄生虫がいると、予防注射を打っても、効果が弱くなりますから、寄生虫の検査が重要です。そして、ワクチンの回数を多めにすれば(通常は生後2カ月頃と3カ月頃の2回)、まず心配はないでしょう。
12)Q心臓病と乳腺のおでき(たぶんガン)のために苦しんでいます。
まごは心臓病と乳腺のおでき(たぶんガン)のために、1年半も苦しんでいます。苦しそうに咳をしているとき、薬を与えたり、抱いてやるほか、ただ見ていることしかできず、心が痛いです。獣医さんからも、「今度何かあったら、楽にさせることも……」といわれています。お別れのときは必ず来るし、私が看取らなければいけないと思っているのですが、しっかり見送ることができるかどうか心配です。獣医さんにお任せすれば、簡単だと思うのですが……。(マルチーズ 11歳♀ 神奈川県 /M.N)
12)A
まず、乳腺腫瘍は、遅くとも3歳半頃までに避妊手術をすれば、ほとんど防げる病気であることを知っておくべきです。今後犬を飼うことがあり、子どもをつくらない場合(あるいは子どもをつくった後)は、避妊手術をしておくとよいでしょう。心臓病は、高齢になると多発しますから、発症そのものを抑えることはできませんが、発症を遅らせることは可能です。

大切なことは、若いときから定期的に健康診断を受け、早期発見を心がけることです。あなたに今できることは、できるだけ犬の苦痛をやわらげるように、十分に看護することです。一番大切なことは、心臓病の特別食がありますので、それを食べさせることです。同じような食事を自宅でつくることも可能なので、つくり方については、病院で聞いてください。

次に大切なことは、できるだけ安静を保つことです。そして、三番目の治療法が投薬です。錠剤をいやがる場合は、液体にするなど、飲ませる努力も必要です。四番目は、換気をよくし、暑すぎたり寒すぎたりしないように、環境に気をつけることです。また、心臓病の犬は、末期になればなるほど痩せてきますので、少なくとも毎月、できれば一週間ごとに体重を測り、病状の進行状態をチェックすることも必要でしょう。苦痛があまりに大きい場合は、最後の手段として安楽死等を考えなければならないこともありますから、やはり心の準備は必要だと思います。できるだけ、犬が苦しまないような環境づくりをしてあげてください。
13)QM・ダックス(♀)のリウマチのことで相談します。
3歳7カ月のM.ダックス(♀)のリウマチのことで相談します。初めは、椎間板ヘルニアの疑いがあるということで、後肢のよろけが目に付いたのですが、次第に後肢の手根関節の腫れや、脚の付き方が普通の犬より深い(ペタペタしている感じ)ことも気になりだし、かかりつけの病院から紹介してもらい、98年2月、獣医大付属病院で診察してもらうことになりました。その結果、椎間板には異常はなく、慢性関節リウマチと診断されました。以来、月に1度程度、血液検査を行い、薬による治療を続けていますが、手根骨の破壊が思いのほか早く進んでおり、この状態では、関節固定術も行えないといわれました。しかし、ホームドクターの先生は、関節固定を行わないと、パッド以外の場所で着地していることにより、皮膚がダメになってしまうといいます。また、小さいときから、後肢の膝蓋骨が脱臼しており、最近の診察では、十字靱帯が切れてしまっていることがわかったのですが、いずれの手術不可能とのことです(手術をしても、次々と破壊が起こるそうです)。私としては、どうしてよいかわかりません。少しでも犬の苦痛をやわらげてあげたいし、日常生活で飼い主にできることはないでしょうか。与えて良い食べ物や、悪い食べ物はあるのでしょうか。飼い主ができる日頃のケアについて、アドバイスをお願いします。(M.ダックス 3歳7カ月♀ 埼玉県/K.K)
13)A
関節リウマチはなかなかやっかいな病気で、治療が非常に難しく、飼い主の方にできることはかなり限られています。それでも、日常のケアは治療の一環としてとても大切です。まず、温度管理をしてください。暑すぎても、寒すぎてもいけません。特に寒い環境では、痛みを強く感じ、病気が悪化することがあります。犬が過ごしやすい一定の温度を保つことが大切です。また、床が滑る場所では足腰に負担がかかり、苦痛を伴います。したがって、ジュウタンの上など、足腰をしっかりと踏ん張れる場所で生活させてください。また、寝るところも、柔らかい布団を敷くなど、関節が固いところに当たらないようにします。

食べ物は刺激性のあるものを避け、良質のタンパク質を少量与えます。薬は通常、免疫抑制剤が使われます。特にステロイド剤等を使用している場合、多飲多尿になり、尿をあちこちにすることもあるので、その世話も必要です。皮膚を保護するために、薬を塗ることも効果的でしょう。比較的強い薬を使用することが多いので、担当の先生からどんな副作用が出るかを聞いて、それに対してどのようなケアをするべきかを教えてもらうことも大切です。
14)Q豚のゲンコツを食べた次の日に、糞の一部が白くなります。
ブタのゲンコツを1日おきにおやつとして与えていますが、ゲンコツを食べた次の日に、フンといっしょに白い糞が別に出てきます。カルシウムが多すぎるのでしょうか。トンソク半分をパックにしたものが売られていますが、ビタミン、ミネラルは入っているのでしょうか。(柴犬/♂1頭、♀3頭:シェパード/♂1頭)
14)A
最近、いろいろなおやつが販売されていますが、それらにカルシウムが含まれていることは多分に考えられます。しかし、現在はドッグフードを正常量食べていれば、病気でない限り、カルシウムが不足することはありません。かえって、カルシウムをとりすぎて病気になることが指摘されています。また、カルシウムが多いから白い糞が出るということはないと思います。成分にもよりますので、製造メーカーに直接聞いてみるのがよいでしょう。トンソクには当然ミネラルは入っていると思われますが、いろいろな食べ物にビタミンやミネラルが入っているかどうかについても、メーカーに問い合わせるのがよいと思います。しかし、入っていたとしても、その量や内容が重要となります。なお、おやつはあくまでもおやつとしてときどき与えるのであればいいのですが、これらを主食にしてはなりません。
15)Q近頃鼻の色が少しずつ抜け、ピンク色がかってきました。
1歳のG.レトリーバー(♀)の鼻が近頃少しずつ色が抜け、ピンク色がかってきました。生まれたときはもちろん、つい最近まで真っ黒で、塗れた黒い鼻が自慢でしたが、このままでは間もなくピンク色になってしまいそうです。ほかの犬を見ていると、特にレトリーバー系にかなり見つかります。飼い主さんに聞いてみると、生まれつきピンク色だったという人は少なく、ほとんどが成犬になってから、色が抜けたそうです。これまで、ミックス、シェパード、ハスキーを飼ってきましたが、色抜けしたことはありません。どうして色が抜けるのでしょうか。進行を止めることはできないのでしょうか。また、色が抜けてしまった鼻を、元に戻すことはできないのでしょうか。足の裏の「あんぱん」(パッド?)も少しピンクがかってきています。ちなみに母犬、父犬とも、鼻は真っ黒です。(ゴールデン・レトリーバー 1歳/♀)
15)A
鼻の色が変化するということはかなり聞かれますが、これは遺伝的なものです。多くの場合、成犬になって色が少し薄くなってきます。もちろん、色は薄くならないのがふつうですが、薄くなるのは通常、遺伝的な要因によりますから、無理に進行を抑えることはできません。ある場合は、進行が自然に止まることもあります。また、まれに色素が抜ける病気もあります。これも、遺伝的な要因であるとされています。通常、色が抜けてしまった鼻を医学的に元に戻すこともしません。これは人間でいえば美容整形の分野に入ります。どうしても黒くしたい場合、外科手術で(無理に)黒くする方法もないわけではありません。鼻に入れ墨をするような方法と考えればいいでしょう。