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all words by Dr.NORIHIRO KOMIYAMA

Dr. 小宮山の伴侶動物へのやさしい(優しい)獣医学
最も実践的な獣医療のために

猫の心筋症

猫の心臓病の分類
先天的心臓病
心奇形
心膜疾患(心嚢疾患)
弁膜疾患
後天的心臓病
心筋症
心膜疾患(心嚢疾患)
弁膜疾患
心臓糸状虫症
心臓腫瘍
猫の心臓病の分類
心筋症 95〜98%↑
猫の心臓病はほとんどが心筋症
猫の心筋症の分類
肥大性心筋症 拡張性心筋症
拡張不全心拍↓ 収縮不全収縮↑
猫の心筋症の二次的原因
腎不全全身性高血圧
栄養性タウリン欠乏
代謝性甲状腺機能亢進症
末端肥大症、糖尿病
浸潤性腫瘍、アミロイドージス
炎症性毒素、免疫反応、感染
中毒性ドキソルビシン、重金属
猫の心筋症の分類
・肥大性心筋症 
・肥大性閉塞性心筋症
・拘束性心筋症
・拡張性心筋症
猫の心筋症
身体検査

・しばしば無症状である
・呼吸器病の症状あり
・急性の後躯麻痺
・体重減少
・すみに隠れる
・倦怠感
猫の心筋症
身体検査

・聴診の異常(85〜90%)
・頚静脈拍動〜怒張
・第3度までのソフト・ママー
・心不整脈(25%)
・頻脈
・呼吸困難
・遮断心音
 
猫の心筋症
身体検査

呼吸困難と後肢麻痺
※呼吸困難と呼吸速拍
※大動脈血栓栓塞症
猫の心筋症
身体検査
胸部の触診法
聴診の前に触診を!
心臓の触診拍動、
位置、脈との関係
猫の心筋症
身体検査

・猫で咳をするのはアズマとフィラリアのみ?
・猫で開口呼吸するのは胸水か心筋症?
猫の心筋症
心電図
心電図に異常がなくても心筋症を除外しないこと
・左脚前束ブロックのみが最も多い
・第誘導の深いS波陰性
・第誘導と第aVL誘導のqR波陽性
・洞性頻脈
・高いR波
猫の心筋症
心電図

・猫の不整脈は抗不整脈剤で治療する事は10%以下である
・心筋症の治療をする
肥大性心筋症
病態

・左心室拡張機能不全
・求心性肥大を呈する
(心室腔の容積はあまり増加せず心室の壁が肥厚する)
・圧負荷(心室が上昇した圧に対して拍出すると)
肥大性心筋症
特徴

中年〜高齢
・雄>雌
・ぺルシャ猫に多い
・メイ・クイーンは遺伝?
肥大性心筋症
臨床症状

・急性呼吸困難(肺水腫又は両室不全)
・血栓栓塞症
・突然死
肥大性心筋症
胸部X線読影

・バレンタイン型の心臓
(重度な左心房と左心耳の拡大のため)
・全体的な心拡大 
・肺うっ血と肺水腫
肥大性心筋症(対称性)
60〜80%?
肥大性閉塞性心筋症(非対称性)
20〜40%?
(ノースカロライナ 20%)(AMC 60%)
猫の左心室肥大
6mm以上で肥大と判定

左心室肥大の類症鑑別
・肥大性心筋症、細菌性心内膜炎
・大動脈弁狭窄症、貧血
・糖尿病
・甲状腺機能亢進症
・末端肥大症
・リンパ腫、血管肉腫
・慢性腎炎(高血圧症)
化学療法(ドキソルビシン)等による心臓中毒症
肥大性心筋症
治療
βブロッカー(アテノロール)
・心拍数を150以下にする
・心拍数を120/分ぐらいが目安
・心臓に選択的に作用するプロプラノロールのように
β2に作用せず、β1に選択的作用する
肥大性心筋症
治療
βブロッカー(アテノロール)
アテノロール(テノーミン):ゼネカ製薬
1日1回  6.5〜12.5mg/頭
25mg(1/4錠) 50mg 錠
肥大性心筋症
治療
カルシウムチャンネルブロッカー
   塩酸ジルジアゼム
・ヘルベッサー(田辺):1日3回
30mg 60mg 錠  6〜7.5mg/頭
・ヘルベッサーR:徐放性 1日1回
100mg 200mg cap 3.75mg/頭
肥大性心筋症
治療
カルシウムチャンネルブロッカー
ベシル酸アムロジピン(ノルバスク)
・全身性に作用するので
心筋症の治療には使用しない
肥大性心筋症
治療
急性期
安静
酸素吸入
フロセマイド
2%硝酸ニトログリセリン(0.3cm)
胸腔穿刺
ドブトレックス
肥大性心筋症
治療成績
・心不全があれば平均生存期間は約3ヶ月
・心不全がなければ平均生存期間は約2年8ヶ月
・血栓栓塞症があれば平均生存期間は約2ヶ月
肥大性閉塞性心筋症
・雑音が高い場合に疑う
・心室中隔左心室壁の厚さが31以上になった時
(コーネル大学の報告)
・収縮期の左心流出路の閉塞?
拘束性心筋症
中間型心筋症?
不特定型心筋症
拘束(中間型?)型心筋症
・中間型心筋症とはDR,Harpsterが拘束性心筋症
との違いを指摘し提唱された病名。
・拘束性心筋症の病名は獣醫學において乱用?
されている傾向がある。
・人では形態的/病理組織学的検査にて診断。
不特定型心筋症
これらの診断は肥大性心筋症や拡張性心筋症の
診断基準に当て嵌まらない原発性の心筋症で、不
特定型の心筋症と呼ばれることもある。
拘束性心筋症
・心室の収縮機能は正常か軽度に低下するが、
心房は大きく拡張する。
・局所又は全身性に心筋又は心内膜下の線維形成によって起こる。
拘束性心筋症の特徴
1) 左心房と左心耳が著しく拡大
2) 左心室腔は正常か軽度に減少
3) 心内膜が高エコー性となる
4) 左心室の対称性が失われる
(乳頭筋が歪んで見える)
5) 大多数は僧帽弁逆流がある
6) 左室収縮機能 EPSS ,SF等は
正常かわずかに減少
7) 全身性血栓栓塞症に成り易い
8) 線維性の癒着や沈着が特徴
9) 胸水より肺水腫が起こり易い
10) 重度な不整脈に成り易い
拘束性心筋症の治療法
上室性や心室性の頻脈性不整脈があれば
βブロッカーやCaチヤンネルブロッカーを使用する

肥大性心筋症より予後は悪い
・安静
・フロセマイド
・胸腔穿刺
・低ナトリウム食
・ACE阻害剤
・抗血小板作用剤
・SFの低下があればジキタリス
拡張性心筋症
1987年にDr.Pionによってタウリン欠乏症と判明。
その後、急速に減少する。
拡張性心筋症
特徴
・左心室の拡張と運動低下
・眼底検査も忘れずに
・血中のタウリン濃度を測定
・現在では最高でも4%以下?
拡張性心筋症
治療法
・タウリン:250〜500mg/頭/日
・うっ血性心不全の治療
・胸腔穿刺
・FADプロトコール