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all words by Dr.NORIHIRO KOMIYAMA

スナネズミの飼い方と病気

性質について
食餌について
住まいについて
予防看護について
早見表
繁殖
一般的に見られる臨床的疾患状態

人獣共通伝染病の可能性

『エキゾチックペット獣医学ハンドブック』
(日本ベェツ・グループ発行)
スナネズミの項目より一部を転載
■性質について
スナネズミは友好的で、めったに咬まない。ほとんどのスナネズミは昼間活動的であるが、あるものは夜行性である。スナネズミは穴を掘る動物で、穴に隠れる。そして、かすかなチューチュー鳴く声を発する。成獣同士を初めて一緒にケージに入れるとケンカをし、時には死ぬまでケンカをすることがある。

春期発動期前に安定させた大きなグループでは、過密状態にならなければ一緒に仲良く暮らすことがよくあるが、性別に分けておく方が最もよい。雌は雄よりも、より攻撃的でケンカ好きな動物であるかもしれない。スナネズミは縄張り行動をする。臍の近くの腹部に位置する腺から、両性とも黄褐色のかびくさい臭いの分泌物(臭いのマーキング)を産出する。また、尿や糞便ででも縄張りにマーキングする。

スナネズミの20%が、取り扱うのに触る、あるいはその他の緊張の多い経験に続いて、てんかん様の発作を短時間の間(数秒から数分間)起こす。治療は必要ない。足をドンドン踏みならすことは、一般的なコミニュケーション、警報、興奮状態の行動である。
■食餌について
食餌については、蛋白量18〜22%の市販の齧歯類用のペレットが推奨される。スナネズミはヒマワリの種だけを選んで食べるので、種子を主体とした混合食は、栄養要求を満たさない(結果として骨折、発育、骨の成長の問題がでてくる)。スナネズミは尿を凝縮することによって水分を一定に保ち、特に葉の多い野菜を得ていれば、ほんの少量の水しか飲まない。しかし、ストロー管に入った新鮮な水を常に用意すべきである。

子どものアレチネズミは、15日齢で固形の餌を試食し始めるかもしれない。手の届くところへ柔らかくて小さいペレットと、水の入った小さいストロー管を用意する。
■住まいについて
住まいについては、ワイヤー、スチール、アルミニウム、あるいはプラスチックの囲いを使う。安全なワイヤーメッシュのふたが付いた水槽を使うことができるが、湿気が多くなり尿や糞便が蓄積して、より問題が多くなる。寝床は、堅木の削りくず、あるいは再生物から作った寝床は、少なくとも3インチの深さにする。また、ペーパーナプキンを細かく裂いたもの、タオル、あるいはその他のきれいで乾燥した吸収性のあるものや、すり減らないような材料を使うことができる。囲いは、糞便が蓄積するために、少なくとも毎週1回掃除すべきである。

寝床として、砂やトウモロコシの穂軸およびネコ用のトイレの砂は避ける(穴を掘ったり、穴に潜ったりする傾向があるので、顔への擦過傷を起こす原因となりうる)。トリやハムスター用に売られている人工繊維の寝床を材料にするのは避ける(小さな繊維が足に巻き付いたり、餌にはいるかもしれない)。もしもそれを食べたら、胃腸管につまるかもしれない。隠れるためのロール状の厚紙、あるいは箱、運動用の回し車、およびかじるためのきれいな天然の枝あるいは木を用意する。12時間毎の照明と暗がりの周期を用いる。
■予防看護について
・よい管理と衛生。
・アレチネズミが穴を掘るときに鼻に潰瘍が形成する原因とならないような寝床を使う。
・良い品質の齧歯類用に処方された食餌を提供する。
■早見表
生理学
寿命 3〜5年(雌は雄より長い)
成獣の雄の体重 65〜100g
成獣の雌の体重 55〜85g
体表面積 10.5cm2/g
直腸/体の温度 37〜39℃
染色体二倍体数 44
食物消費量 5〜8g/100g/日
(食餌に含まれる水分に依存する)
水分消費量 4〜7ml/100g/日あるいはそれ以上
(食餌に含まれる水分に依存する)
呼吸数 90〜140回/分
酸素消費量 1.4ml/g/時間
心拍数 250〜500回/分
血液量 6.6〜7.8ml/100g体重

生殖
膣の開口 41日あるいは28g
繁殖開始(雄) 70〜85日
繁殖開始(雌) 65〜85日
発情周期間 4〜6日(多発情)
交配 夕方
着床 授乳中は遅れるかもしれない
排卵 自然排卵
妊娠期間
(授乳しない)
24〜26日
妊娠期間
(同時に授乳)
27〜48日
分娩後発情 生殖能力あり
産子数 3〜7(平均5匹の仔)
出生時の体重
(産子数に依存する)
2.5〜3.5g
離乳時の体重 3.3〜6.0g
離乳年齢 21〜24日
繁殖存続期間
(商業用の)
12〜17ヶ月(4〜10匹の仔)
年間当たりの仔 平均7
平均生産指標 繁殖する一対の雌雄当たり1/週以上

■繁殖
繁殖と子育てについては、12〜14時間の日射周期でコントロールされた環境下では、アレチネズミは年中子どもを生むだろう。雌雄一対で維持するのが最もよい。多婚性動物の雄に従う雌の群では、もし8週齢前のアレチネズミで構成されていればうまくいくことができるが、ケンカすることがよくある。

子どもは毛のない状態で生まれ、6日で毛が生え始め、10日で見事な被毛になる。眼は16〜20日で開く。雄は母親や子どもと一緒に飼育できる。受精していない交配は、結果として14〜16日続く偽妊娠を起こすかもしれない。

雌は子どもがとても小さかったり、あるいは自分が授乳を止めたら、子どもを殺すかもしれない。これは、野生で生き残るための行動であるかもしれない。次の交配/同腹子では、子どもの数が正常であるかもしれない。母親は、もし不安であったり、過密状態であったり、病気であったりすると、子育てを放棄したり共食いしたりするかもしれない。

ほとんどの雌は、かなり頼りになる母親である。見捨てられた子どもの里子は、もしホストの雌が似たような年齢の子どもを持っていれば、可能である。
■一般的に見られる臨床的疾患状態
・粗雑な被毛
・"鼻のただれ"
・てんかん様発作
・下痢
・急死
■人獣共通伝染病の可能性
ペットとしてのアレチネズミを飼育しているヒトに対するいくつかの潜在的な健康の危険:アレチネズミのコロニーにおいて、Salmonellaサルモネラ属の細菌あるいはHymenolepis膜様条虫属の条虫の発生はまれである。