研修先の動物病院の選び方
 

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日本ベェツグループのクレド

 

 晴れて社会の一員として獣医師となる皆様へは、お伝えしたいことがいっぱいあります。これから話す内容は、現在研修中の獣医師の方にも参考になると思います。

 これからあなたが獣医師として活躍できるか否かは、「あなた自身の率直さと受け入れ先の能力(研修制度の有無)」にかかっています。過去に臨床の経験があるかないかを心配する方もいますが、実はこれはほとんど関係ありません。どのように診断し、治療していくのか、正しいプロセスを研修先が教えてくれるからです。それよりも、飼い主さんといかに話し合えるか、飼い主さんと共に考え、様々なことを決める能力を研修先で身につけることのほうが重要です。あなたが研修医になりましたら、どうぞ話し合い中心のコミュニケーション能力を高めてください。よき指導者の先輩から話を聞いたり、本を読んだり、インターネットを通じて文献を調べたりし、自己の能力を高めることに努力してください。

 では、どのように研修先を選べばよいのでしょうか。研修先の動物病院の選択において最も重要なことは、一番最初の研修先の選択です。

 研修先は一般的に、自分自身の過去の実習を基本に経験を踏まえて選びます。そして、最後に迷ったら自身の感性にたよって決定することが多い。しかし、この感性による選び方で将来の自身の運命がいかようにも左右されてしまうということも起こりえます。獣医療の先人のアドバイスや知恵も活用して慎重に選択しなくてはなりません。

もう少し具体的に研修先病院の選択ポイントを説明します。

 まず、自身の将来の展望を考慮して「動物病院のタイプ」を判断します。「動物病院のタイプ」を簡単に判断する方法は「患者さんが“予防”と“病気”どちらでの来院が多い動物病院か」です。前者は、ワクチン接種、歯磨き指導、歯石除去等の各種の予防処置を中心にした予防医学の確立を志す「一般医療の動物病院」で、後者は、病気を患い来院する患者さんの「診断、治療に重きをおいた動物病院」です。後者には、更に高度医療を対象とする「専門医療の動物病院」もあります。これは他の動物病院で治らなかった病気の治療を中心に行う動物病院です。

 一般的な勤務の形態を望むのなら、通常(標準医療)の動物病院を選びます。これらの病院の患者さんは約半数以上が予防処置のために来院します。もし、専門的に獣医学を学ぶのであれば、専門医療を行う動物病院を選ばなければなりません。しかしその場合は、始めの2-3年、多大な苦労を伴うことを覚悟しなければなりません。一つの学問体系を学ぶことはそれだけ大変なことなのです。通常は臨床を始めて1-2年以内に一つないし二つの専門領域を選び、それを中心にして学んでいくという方法です。 「一般医療」と「専門医療」の違いは私の病院のホームページを参照してください。

 ・三鷹獣医科グループでの一般医療について
 ・三鷹獣医科グループでの専門医療について

 「一般医療」と「専門医療」の違いを簡単に言えば、一般医療の動物病院では、病気の動物の来院時に病名を診断(約80%)せずに、症状を中心に治療(対症療法、支持療法)を進めます。それでもその約80%以上の病気の症状は抑えられますが、合併症の有無や症状はまだだが潜んでいる病気、予後の判定や老化(加齢、高齢)なのか病気なのかの判定等は難しくなります。

 これに対して専門医療は、例えば、慢性腎不全に対しての病名(腎盂腎炎、水腎症、糸球体腎炎等)を明らか(約80%以上)にし、その原因療法にて治療していきます。 上記した腎不全に対しても、IRIS (International Renal Interest Society--国際獣医腎臓病研究グループ)の分類によって治療したり、心臓病は米国獣医内科学会のガイドラインにそった治療を中心に進めて行くなど、いずれも科学的な根拠に基づいた方法がとられます。自身の判断で「この犬は咳が続くから、心不全で薬を処方する」などのレベルでは時に誤りになります。だいたい心臓病の犬の咳は半年も1年も続きません。これは殆どが他の病気、呼吸器系(気管、気管支、肺等)の病気です。

 一方で、最近は「脱専門化医療」が特に注目されています。これは「専門外専門医」を育てること、「総合医」を育てることで、プライマリケアができる獣医師を育てることです。しかしこれを指導できるのは、卓越した知識をもつ獣医師のみです。あなたを直接指導するのは、その現場にいる獣医師ですが、共通した正しいと思われるプロセスで指導されないと、後になっての修正は難しくなるでしょう。

 動物の病気の治癒率は、獣医師の診断と治療の能力及び、施設、人員の充実度で違ってきます。実際に使用できる標準以上の施設、備品の構成、必要な物が必要なだけあるかということです。また人員の充実度は、後述3で述べる「働く職員の構成」を参考にしてください。また働く職員で常に気をつけることは、継続教育についてです。最近のより進んだ獣医学を学ぶには、すぐれた教育制度が重要です。これらは後ほど述べます。

 まずは、知っている動物病院や紹介された動物病院のホームページを調べてください。その際は飼い主の立場で見てください。コミュニケーションを重視した(に基づく)医療(Communication Based Medicine)エチケットを重視した医療(. Etiquette Based Medicine)証拠に基づく医療(Evidence Based Medicine)絆中心の医療(Bond Center Practice)を心掛けている動物病院を選ぶことが重要です。書いてある内容で大体、どのような動物病院かが判るでしょう。

 

ここで5年後の小動物臨床の未来予測のお話をしましょう。2020年問題をご存知でしょうか?2020年になると、小動物臨床は「冬の時代を迎える」というものです。というのも2014年現在、動物病院に通院する7歳以上の犬は52%、猫は46%です。2020年の頃には年齢的に多くが生存していません。犬の飼育頭数も7年連続して減少、ここ10年間で 半減(犬の登録頭数も10年間で48.3%減少)しています。猫は横ばいです。唯一エキゾチック・ペットは増加傾向にあります。このことから、特徴がなく、良質で高度な獣医療を提供できない動物病院はより地方に移転か廃業となるだろうと予測されているのです。研修先を決める際に、この2020年問題を念頭におくのもひとつかもしれません。

 

 2015年現在、小動物臨床には実に多くの求人がありますが、自身の将来を考えた研修先を選ぶために、是非以下の8項目を参考にしていただきたいと思います。

 

1)動物病院は、必ず実習を体験してから選ぶ。

 実習先の病院のホームページで事前調査してから実習に望み、現場でその通りか確認します。雰囲気を始め、様々な場面に立ち会って、どのようなポリシーで 動物病院が運営されているか自身の目でみて考えて判断してください。

 実習の際には、診断、治療のプロセスに注目します。注意すべきは、どのように診察しているか、病歴の聴取と身体検査はどうか?診断に科学的根拠はあるか? 診断、治療方針は誰が、どのようにして決めているのか?検討が加えられているか?毎回同じようなABCの治療で処置していないか、例えば腎疾患等を疑う症例で採尿される場合、きちんと膀胱穿刺にて尿検査(沈査等の尿分析のため)がされているか、超音波検査で左右の副腎を確認できているかです。何よりもより正しい診断を心掛けているかです。入院動物の半数以上は、病名(心不全、腎不全は病名ではありません)が判定されているかです。

 例えば犬猫の嘔吐する原因には200もあり、診断には根拠が重要です。20-30年前ならいざしらず、元気、食欲のない犬猫に対して病名に困ると、「ストレスだ」とか「風邪(犬猫に風邪という病名はありません)でしょう」などと飼い主さんに説明する病院は避けたほうが無難でしょう。

 また、「もう高齢だからできるだけそのままに」とか、「麻酔が危ない」「手術はこの歳では無理にしないほうが良い(これはある意味では正しい判断です、その獣医師は安全な麻酔、管理ができないからという理由において)」というスタンスの病院も、これから獣医学を学ぶ動物病院としては今一歩です。加えて、患者さんが何かオートマティックに流れ作業で、数だけこなされてないかにも注目します。理由なしに毎年、各種のワクチン等を勧め「はい、元気ですね、ワクチン終わりました、また来年ですね」方式の動物病院は、学問を学ぶには不十分でしょう。あなたの獣医師免許のみを必要としているのかもしれません。

 ここで何よりも重要なのは誰があなたを指導するかです。指導してくれる獣医師の知識の深さが、動物病院を選ぶ、根拠となりえます。

 職員全員が入院動物を観察する訓練をされているかどうかも評価します。ただ単に設備の良さや建物の外見の良さより、病院を動かしているスタッフの質が重要です。質の高い獣医療を提供するスタッフがいる病院のみが設備を有効に活かすことができるのです。

 また、患者さんの立場で診療がなされているかにも注意します。患者さんの求める説明に対してどのように対応しているか、何か病院のやり方のようなものがあってそれを押し付けていないか、診療後に患者さんに電話するなどその後のフォローをしているか等、評価基準は様々ありますが、自身の過去の人生経験を総動員して、じっくりと観察して判断されたし。できれば研修期間は3日間設けることが理想的です。

 次に、職員が10人以上の動物病院では、就業規則が病院のどこかに掲示してあるはずですから、確認してください(※詳しくは(7)参照)。加えて、その規模の動物病院でしたら、何かあった場合に相談窓口となる職員が在籍しているか否かというのも重要です。事務局長なりマネージャークラスの人間がいるか否か、働く職員には重要な点です。

 

2)院長(代表者)の人柄、人物像をよく評価して動物病院を選ぶ。面接の際に質問したいこと3点。

 面接前に必ずその動物病院のホームページを調べ、院長、代表者等の言わんとしていること、理念(philosophy)、方針(policy)、信条 (credo)、任務(mission)、価値(values)、展望(vision)に注目しておきます。その院長の履歴も参考にして、面接時にはどのような経験と心掛けで開業したのかを尋ね直します。自身の動物病院の自慢話しばかりする所は避けた方が良いでしょう。飼い主さんとのトラブルが多いことが予測されます。もしあなた自身に発言の機会があまり与えられなかった場合には、人を指導する能力が問われます。

 また指導者の根底には、人に対する暖かさ、優しさが必要ですので、それが感じ取れれば良いでしょう。まずはじっくり院長なり、その代表者(特に代表者が獣医師でない場合はその経営理念を聴くことが重要です)の話を聴きます。次にあなたに十分に発言の機会が与えられたかどうかです。ここでの総合的な判断は、人に対して優しさを感じるか、学問に対する情熱、人間としてのリーダーシップを感じるか、誠実であるか、嘘偽りはないかです。動物医療の技術が向上するに並行して、診療の態度も向上する必要があります。

 面接はある意味では、あなたがされているだけではなく、あなたが動物病院を面接しているのです。面接される機会を通じて、逆に面接者が動物病院を選ぶことができます。まず「始めと終わりは挨拶から始まり挨拶に終わったか」「手順よく質問はされたか」「2人前後で対応されたか」で「あなたの受け答えが記録用紙に記載されたか」も確認しましょう。

 面接の際すべき重要な質問は大きく3点です。

 一つめは、院長の経歴。ホームページ等で記載されていない場合はどこで何を学んだかを尋ねます。20-30年前ならいざ知らず、特に都市部で最近10年以内に開業した獣医師の修行期間が2-3年前後では、良質な指導は難しいかもしれません。現在は動物病院の開業までの期間は平均7−8年です。これは時代と共に長くなっています。米国では12-15年が平均です。

 次に2つめ、労働環境です。「総体的に、労働環境についての説明をお聞かせください」と尋ねてもよいのですが、確認したいポイントは以下の点です。実際に有給休暇は皆が取っているのか、将来的な昇給の制度はどのようなものか、社会保険は何時から加入可能か、働くにあたって雇用の契約書は交わされるのか、就業規則(実際に掲示しているか確かめる)はあるか、もしあなたが女性なら、働く女性に対しての配慮(例えば産休等)はあるのか、また年に1-2回の健康診断も実際に行われているか。また重要な事項である給与についても訊いておきましょう。初めの給与からの昇給の基準や、過去実績での勤務3,5,10年後の給与の水準がどうかといった問題です。根本は自身がどれだけ獣医学を学んだかによりますが、勤務10年で給与が50-60万円前後の獣医師もいれば、同じ10年で35万程度の獣医師もいます。

 そして三つめ、本来の目的である教育の制度がどのようになっているかです。例えば国内外の講習会、研修会の参加について、援助、補助の制度はあるのか等です。どんな環境で学べるかを訊き出します。(※詳しくは(5)参照)

 

3)働く職員の構成、人数、言葉づかい、態度、雰囲気を見極める。

 そこで働く職員が何を考えて働いているかを考えます。一言で言えば「楽しくなければ職場ではない」のです。どんなシステムで運営されているか、責任者は誰か、担当するマネージャー的な人はいるのかもそれとなく調べましょう。(※(1)参照 )

 また職員の構成、人数も確認します。良質な獣医療を保つには、適正な職員数が必要です。適正な職員数は毎日の外来数と入院動物を合計した数と、フルタイム(1日8時間、週40時間)の職員数を割った数で判定できます。理想的には2-3で、標準的な獣医療でも5以下までです。8を越えると無理があり、10を超えるとかなり問題となるでしょう。8-10以上は適切な医療が行われていない可能性がきわめて高いと思われます。例えば外来数が25件で入院動物が10頭の場合、合計35で、良質な獣医療の職員数は11-18人が理想的です。標準的な獣医療でも7-8人は必要です。4−5人であればきわめて問題となるでしょう。この数字はあくまでも実際に現場で働く職員数で、総職員数(休みがあるのでより多いはずです)ではありません。

 

4)何と言っても、学術が一定の水準以上の動物病院を選ぶ。

 動物病院は何と言っても「質の良い医療を提供できるか」、すなわちよく勉強している動物病院かどうかで決めましょう。そのためには、勉強ができる体制でなければなりません。例えば学術本(日本語、英語)が300冊以上(理想的には500冊以上)、5年以内発行の各分野本が5冊以上、学術月刊誌を最低でも 3冊以上購読 (通常は5冊、理想的には10冊以上購読)があるか、できれば手術等の動画のDVDが50以上観閲できれば申し分ないでしょう。最低でも、これらの図書費が各動物病院で、いくらまで認められているかが重要です。最低月5万から10万円以上が適当な金額です。病気の動物を一頭でも多く救いたいという思いの強さは学術書の数と正比例すると思います。

 次に重要なのが、どのような教育の制度があるかです。年間最低でも4回から7回の学術支援(経費は病院持ち)での講習会の出席(無料講習会を除く)は必要と思われます。また3年以上の勤務で、海外の講習会(例えば外科手術の実習等)への派遣等です。質の高い獣医療を提供する動物病院は必ずと言っていいほど教育の重要性を認知していて、質の高い教育制度を持っています。特に新人の獣医師を指導する獣医師は人間性(これは難しい問題であるが)のみならず、できうれば卓越した獣医学の基本をマスターした獣医師(良質の環境下での最低7年以上の経験者)であるべきです。

 どんなに設備(ハード)が良くても、それを動かす内容すなわち学術(ソフト)が良くなければ病院は動きません。病気を診断、治療するには、その獣医師の能力、設備、スタッフの数の3本の柱が必要です。毎日の症例(カルテ)の検討会はあるか、自由に使用できるコンピューターが数台あるか、米国の VIN(Veterinary Information Network)に加入(世界最大の獣医学のデータベースでここに質問するとほぼすべての臨床上の疑問は解決する、また日本にも規模は小さいがVMNというそのレプリカがある)しているか等も判断の材料になります。

 実習時に手術に立ち会う機会があると思いますので、外科関係の注意点も挙げておきます。まずは基本中の基本、専用の手術室があるかどうかです。そして麻酔される動物がどの程度検査されているのか、麻酔の直前に聴診したか、麻酔の係り(麻酔記録帳の記載をしているか)はいるか、麻酔のモニターは、最低3種類以上の異なる方法でなされているか(理想的には5種類以上、心電図、酸素飽和濃度、血圧、呼吸中の炭酸ガス濃度、体温等)、縫合糸はどのようなものが使用されているか、袖の長い滅菌された手術着を着用したか、手術室に入室する全員に帽子とマスクの着用は義務づけられているか等。

 

5)できるだけ社会保険に加入している動物病院を選ぶ。

 法的には動物病院はサービス業なので、社会保険(厚生年金、社会保険、雇用保険、 労災保険)の加入義務はありませんが、会社(法人)組織の動物病院は加入義務があります。しかし非法人組織の動物病院でも、法定福利費を適正に負担しない (すなわち保険未加入動物病院)と、働く立場の技能者の医療、年金など、いざというときの公的保障が確保されないことがあります。関係法令を遵守して適正に法定福利費を負担する動物病院ほど不利益になるという矛盾した状況が生じます。

 どういうことかというと、この社会保険は、社会に対する登竜門で未加入では社会的な責任は果たせないと思われます。特に長期に働く獣医師やVTにとって将来の年金や不慮の病気や各種事故に対しての補償等が大いに違います。社会保険加入の多くの動物病院はその支払いに多大な犠牲を強いられます。社会保険に加入しているがゆえに倒産の危険もあるでしょうが、働いてくれた職員の老後の笑顔を期待して、社会的な責任の義務を果たす必要はあると思います。何よりも勤務中の予期せぬ病気、偶発的な事故に対して個人の国民保険より保障等が手厚いのです。開業して5-6年までの動物病院では、経営的に社会保険の加入は無理でしょうが、分院を持つまでの財産基盤があるのであれば社会保険未加入というのは、ちょっと問題かと思われます。

 

6)完全週休2日制、有給休暇をきちんと消化できる動物病院を選ぶ。

 現在でも始めの1年は修行時代ゆえに、週1回のみのお休み(その分他の勤務日の労働時間が1日分程、短ければ良いが)の動物病院もあるようです。30年前ならともかく、今の時代の社会情勢と合致しません。勉強は勉強、休息は休息です。人間は休息をしないと良いアイデアも出ませんし、なによりも仕事の効率が落ちます。それに有給休暇がきちんと消化できる動物病院であるのかも確かめましょう。 もし面接の際に労働条件のことを説明されなければ、それとなく「一応の労働環境(給与、休暇等)についての説明をお聞かせください」と言って尋ねましょう。年に1-2回の健康診断も行われているかも確認しましょう。面接時に聞きそびれたら、実習時にそれとなくVTさんに「みな有給休暇取っていますか?健康診断受けていますか?」などと訊いてみるのもよいでしょう。習い事、 見習い、修行時代に関係なく、誰もが働く者の権利として半年たてば有給休暇が発生します。動物病院も例外ではありません。(※詳しくは(2)参照 )

 

7)就業規則のある動物病院を選ぶ。

 すべての働く環境の条件は、就業規則に記載されているはずです。これがなければ 「働くルールが不明の職場」と解釈されます。規定では10人以上の職場では、就業規則が必要ですが10人いなくても職場のルールがわからなければ働き難い況も起こりえます。就業規則はだれもが見られる場所に明示するのが規則ですので、研修の際には、病院の何処に就業規則があるか確認しましょう。

 それ以上に重要なのはその内容です。就業規則は病院の職員の秩序を維持し、業務の円滑な運営を期すため、職員の就業に関する服務規律、労働条件その他の就業に関する事項を定めたものですので、その内容に沿ったものでなければなりません。職員になろうとする人には、その就業規則がすべてです。ここはじっくり自身の目で確かめる必要があると思います。

 また就業規則がいつ改定されているのかも重要です。5-6年も改定されていないようでしたら、今の時代に合わない内容があるかもしれないからです。

 

8)獣医師会関係に所属している動物病院を選ぶ。

 医学の世界において、一人では良い仕事はできません。仲間のバックアップが必要となります。臨床をすべて知るDrは存在しません。みなの助けが必要となります。所謂「一匹狼」的な存在では良い仕事は難しいでしょう。

  通常、開業獣医師であれば、関連した法人格の持つ組織(都道府県の獣医師会、日本動物病院協会等)に加入するのは当然の成り行きでしょう。動物病院は社会に対して繋がりがあり、共に協調して事を進める連帯の精神が必要と思われるからで す。同時に社会に対して貢献しやすい環境となるからです。また最近は関係する団体も様々あります。獣医業界以外での法人格のある社会奉仕団体にも関係し社会活動をする動物病院かどうかという点も、選択の良い基準になると思います。


9)できればエキゾチック・ペットも診察する動物病院を選ぶ。
 小動物臨床を志すなら、ぜひとも知っておきたいのが、このエキゾチック・ペットの臨床です。現在ではすべての動物病院がエキゾチック・ペットの臨床をしているわけではないので、それだけ学ぶ価値があると思います。一般臨床を目指すなら特にそうです。これからの臨床は多様性を求められる傾向にあります。研修先の動物病院がエキゾチック・ペットの臨床をしていないと、次の研修先、又は特に開業志向のある場合にはそれなりに不利になります。理由は、現在飼育頭数が増加しているのはエキゾチック・ペットのみだからです。実際、多くの開業したての動物病院では犬猫はまったく来ずに来るのはエキゾチック・ ペットばかりというのが現状です。「獣医学の原点は救急医療と野生動物にあり」と言われ、それに近いエキゾチック・ペットの臨床には価値があります。これらの医学はなるべく獣医師となったら早期に学ぶのがコツです。犬猫とは違う独自の生態があり、これらが犬猫の臨床にも応用できる場合があるからです。但しこれからは、ただ単にエキゾチック・ペットを学ぶ程度では、多くのトラブルが予想され不十分と思われます。ただ単に自己流の経験にものを言わせるのではなく、それなりの証拠に基づいた学問体系で学ぶ必要があります。多くの学術書を参考とし、インターネットを駆使して米国を中心とした各種エキゾチック・ペット関連の学術団体の最新情報を学ぶ必要があると思われます。

 

10)最後に迷ったら、自身の本能で「居心地がよさそうか」で選ぶ。

 過去の自身の生きてきた経験を持ってしても選ぶ病院に迷ったら、最後は自身の本能で「居心地の良さそうな動物病院かどうか」を選ぶ基準としましょう。少なくても3つ以上の動物病院から、実習を通じて決断する必要があります。労働条件にもよりますが、給料等の条件は平均値より少し上の基準で選ぶのが懸命です。

  最低限の条件は、その研修先の動物病院が、あなたの目線で、全国の動物病院の平均以上かどうかです。特に俗に言われる「指導者なき動物病院」は避けるのが懸命です。あなたの将来の獣医師像は「あなたを指導する獣医師」によって大半は決まってしまう傾向にあるからです。

 あなたはあくまでも獣医学を学び、人生を学び、社会人となるわけですから、自身が学んできた経験を生かして、先輩、知人のアドバイスを生かして勇気を持って進むことをお勧めします。そこには苦労と同時に喜びも見出すことができると思います。「志ある所に道あり」 “Where there is a will , there is a way“

 

 

 

 日本ベェツグループ(三鷹獣医科グループ、新座獣医科グループ)
1.13.2015改定W
文責: 小宮山典寛


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