プレーリードッグの飼い方と病気
『エキゾチックペット獣医学ハンドブック』
(日本ベェツ・グループ発行)
プレーリードッグの項目より一部を転載
プレーリードッグの性質について
プレーリードックの行動は昼行性である。プレーリードックは冬眠しないが、寒さのひどい気候では、数日間睡眠状態を示すかもしれない。プレーリードックは、興奮させたとき、飼い主を見たとき、あるいは警告の状態として”ほえる”。プレーリードックはよじ登る傾向があるが、機敏ではないので簡単に落ちる。
社会的動物であるプレーリードックは、注目されたり仲間と交わることが欠かせない。プレーリードックは穴を掘ることが好きなので、それをすることができるだけの、十分な寝床を準備する。
プレーリードッグの食餌について
食餌については、齧歯類用の食餌(ペレット、ブロック)、角状のアルファルファ、自由菜食のチモシー/乾草。肥満を防ぐために完全に成長した後は、固形飼料やアルファルファを減らす。ビタミンD過剰症を起こす可能性があるので、サル用の餌を与えない。水は大きな水飲みボトルに入れて与える。頻繁に洗浄すること。
住まいについて
住まいについては、穴、薄暗くした空間、および穴を掘るための十分に深い寝床(堅木の削りくず、再生紙、ペレット)を用意する。側面が頑丈な住まいは、寝床の材料を保つのに役立つ。大型齧歯類用/ウサギ用の囲いが使用できるが、穴を掘っている間中、寝床の材料を散らかすのを防ぐために、中に箱を置く。巣箱は“にせの”隠れ家として役に立つ。
- 住まいの温度:20.5~22℃
- 住まいの湿度:30~70%
予防看護について
- 爪は頻繁に切りそろえる必要がある:ネコ用の”柔らかい爪”タイプの爪カバーを使うことも考慮する。
- 捕獲された野生のプレーリードックは、ハンタウイルス、外部寄生虫、呼吸器の寄生虫を調べる必要がある。
雌雄の判別
- 雄では陰嚢が簡単に見える。
- 雌では肛門と膣溝が隣接して接近している。
早見表
| 生理学的 | |
|---|---|
| 寿命 | 10年 | 
| 成獣の体重 | 0.5~2.2kg(雄は普通雌よりも重い) | 
| 体温 | 35.3~39.0℃ | 
| 心拍数 | 83~318回 | 
| 歯列 | 切歯と頬の歯はオープンルート | 
| 生殖学的 | |
| 性成熟 | 2~3年 | 
| 排卵 | 自発排卵、単発情性、1月から3月の間に2~3週の周期 | 
| 妊娠期間 | 30~35日 | 
| 胎児数 | 2~10(平均5頭) | 
| 年間出産頭数 | 1 | 
| 正常授乳期間 | 6週 | 
一般的に見られる臨床的疾患状態
| 不正咬合 | |
|---|---|
| 皮膚真菌症 | Trichophyton mentagrophytes、Microsporum gypseum | 
| 外傷および落下による脊椎の骨折 | プレーリードックを高いところへ登らせないようにすべきである | 
| 足皮部の皮膚炎 | 細菌性:Staphylococcus aureus黄色ブドウ球菌 | 
| 腫瘍 | 腎皮質の腺癌、胃の腺癌、原発性肝細胞癌 | 
| 呼吸器疾患 | 細菌性 | 
| 慢性肝炎 | |
| 捕獲された野生動物 | 
 | 
人獣共通伝染病の可能性
- エルシニア
 Yersinia pseudotuberculosis(エルシニア・シュードツベルクローシス)
 Y. pestis
 Y. enterocolitic
 急性、亜急性、慢性あるいは潜在性がありうる
 病原体を経口摂取し、糞便中にばらまかれる
- Clostridium piliformes 毛状のクロストリジウム
- 狂犬病(自由に歩き回るプレーリードックで報告されている)。
- Trichophyton mentagrophytes 毛瘡(白癬)菌
- Microsporum gypseum 石膏状小胞子菌
- Salmonella sp. サルモネラ属
- 外部寄生虫(ダニ、ノミ、シラミ)
- ハンタウイルス(捕獲された野生動物)
