動物病院で猫の診察を受けられる飼い主の方へ

- 猫は子犬ではありません!猫には猫の独自の診断、治療の基準があります。
- より良い医療を受けるには?それは飼い主が積極的に医療に参加することです
- あなたの猫は根拠のある診断・治療を受けていますか?
- これは皆様が御利用なされた獣医療無料相談を参考にして制作しました
- 知って得する動物の病気の診断法と治療法の方法をお知らせします!
- これを知って動物病院へ行きましょう、良き診断と治療を受けるために
Dr.小宮山がお知らせする渾身のアドバイスです
動物病院では通常、犬と猫を診察しますが、実際は犬と猫では、その診察はとても、違います。私が猫の臨床を始めた1972年当時(30年前)では、「猫は小さい犬」で猫は犬の臨床の、その延長線上、にありました。その当時の医療は、現在と比べると、各段の差があります。その当時は、まさしく羅針盤のない航海(いろいろ天候に左右されたり)のごとく、行くべき道を迷いつづけながら・・・・、の感があります。現在は羅針盤がありますが、やはりいろいろな要因に影響を受けながら進んで(しかしその方向はわかっています)いるのが現状でしょう。
その当時は、猫の汎白血球減少症の予防接種のみで、猫の伝染性鼻腔気管支炎、猫の伝染性カルシウイルス感染症の予防接種はありませんでした。また猫の猫白血病ウイルス、猫の免疫不全、猫の伝染性腹膜炎の知識はありませんでしたし、ほんの少しの知識で診療を行っていたのが、猫の糖尿病、猫の慢性腎炎、猫の麻酔、猫の肝炎、猫の膀胱炎、猫の巨大結腸症でした。現在では、その当時はほとんどまったく、わからなかった、または当時にはない病気である、猫の炎症性腸疾患、猫の喘息、猫の心筋症、猫の甲状腺機能亢進症、猫の好酸球性肉芽腫疾患、猫のリンパ腫、猫の膵炎、猫の胆管炎/肝炎胆管肝炎、猫のリピドージス、猫の黄疸、猫の全身性の高血圧、猫の口内炎等多くの病気が判明しています。ようやく猫の臨床の、暗い暗黒時代から、抜け出たようです。
しかし、そのためには、上記の病気の診療には、科学的なトレーニングを積んだ獣医師又は、常に最新の獣医学に関心をもつ獣医師が望ましいのです。現在では、獣医界で有名な言葉として、「猫は小さな犬ではない!」と言う格言が知られつつあります。これは猫の診療を犬の診療の延長線上で診療しないことと言うことです。
実際多くの点で猫は、小さい犬ではないのです。ここが重要です。現在の動物病院の主な動物は、犬なのです。多くの都会の動物病院では、犬より猫がわずかに頭数(ちなみに当動物病院では、猫:犬の比率は6:4です)として、多くなりますが、猫の診療は、犬を基本として診療すると、多くの点で間違いが起っても不思議ではありません。猫は犬とは多くの病気で診断、治療が違ってきます。猫の動物病院、猫専用の動物病院、猫の病院といくら名前は変わっても、猫には猫独自の病気があり、猫は猫の診療を独自にトレーニングされた、獣医師が行うのが理想的です。猫の臨床は犬とは大いに違います。なぜなら猫の病気の始まりは、食欲不振、元気消失、体重減少と言う、病気の当たり前の症状が出ることが多く、疑う病気が多くありすぎ?その独自の病気のいろいろを知らないと診断・治療がむずかしくなることがあるからです。
猫の医療の本質とは?より良い医療を受けるために知るべきことは?
動物の医療は、性差、年齢各々の動物種の違いによる病気は、かなりはっきりしています。
                これらの特徴の違いと、病歴の聴取を基本において診断をします。猫の診療、治療の際にはその動物の性格も関係することを知ってください。そのような触られない猫すなわち凶暴となる猫(テリトリー・キャト)は、診療時にかなりな面でハンディ(欠点)となります。
                これらの猫に満足な獣医療を行うためには、あらかじめ沈静、麻酔とかが必要となることがあります。
                この理由は人間と動物の安全のためです。そしてそのようなテリトリー・キャトも通常の猫と、同じような獣医学の恩恵が受けられるようにするためです。身体のすみずみまで調べる手順を省かないために、通常の検査や治療に少しでも近づくためにとの思いからです。
                普段から、動物の社会性を重視して、躾についても充分に関心を持って動物に接しましょう。
                普段から、子供の時から体のすみずみまで、触れるように、スキンシップを心がけましょう。
                このことはその猫の命に関係することも、十分ありうることなのです。例えば生涯薬を飲むことになった場合などに、飼い主の方がそれをできなければ、生命に大きく関係してきます。
                最近のより高度化した獣医学は、驚くほど、動物の診療は進歩、発展をし続けています。
                その恩恵を受けるためには、動物病院を選ばなければなりません。どこも同じではありません。
                何かを行う場合でも、できないといわれても、その病院でいろいろな原因(例えば設備がない、技術がない、経験がない、人員がいない等)できないのであるかもしれないからです。とりわけ猫の医療はさまざまですので、何をどれだけ行うかは、よく説明を聞いて、お決めください。
                動物病院の守備範囲は広く、得意、不得意(又は症例数が少ないため)の分野があります。
                何をどれだけできるか?どこまでできるか?を積極的に聞き出しましょう。これが重要です。
                その際、料金は幾らか、あらかじめ必ず聞きましょう、最初に動物病院が提示するものです。
                動物病院で提示された金額では、支払いがむずかしい場合は、遠慮なく申し出ましょう。
                本来動物病院の料金は、良く説明を聞いた上で、飼い主自身が支払い金額を決めるものです。
                ゆえに健康な時に保険に入るのも一方です、負担する金額が少なくなりますから。
                より良いより高度な診断、治療を望む飼い主の方は、ぜひに保険の加入お勧めします。
                猫の医療は動物の種類によって、どんな病気に罹るかある程度わかります。
                また猫の医療は年齢によって、どんな病気に罹るかある程度わかります。
                また猫の医療は性別によって、どんな病気に罹るかある程度わかります。
                動物を最初に診察した時点で、それらの病気の話を聞いておくと役に立ちます。
                その際に、あなたの猫の環境にあった、予防プログラムを獣医師に提示してもらいましょう。
                猫はあなたを見れば、いつでもどこでも安心します。しかしその現す態度は違うかもしれません。
            猫はそ知らぬ顔をしながら、あなたを待ち、心のなかで全身でその喜びをかみ締めているのです。
猫の医療の特徴とは?飼い主は何を知るべきか?対症療法(支持療法)か?原因療法か?
動物を診療するドクターは、Witch Doctor(魔法使い)と言う表現が当たるかもしれません。なぜかと言うと、その病気の状態が、ある一定のラインを超えると、単に通常の診療ではなく、徹底的にその病気の原因を探らないと、言葉を喋れない動物は、その病気の程度がわからず、命を脅かされることが、あるからです。
このことは米国の人間の医療方式に少し似ているようです。熱がある場合は、水を良くのんで脱水を防ぎ、風邪を引いた時は、まずはうがいをして、アスピリンを飲んで休息と睡眠を増やすこと。しかしそれで治らない場合は、徹底的に検査して調べると言うことです。
猫の医療に当てはめてみましょう。通常の身体検査や尿や便の検査ですむ病気は単兆候性(1つの病気の症状のみ)の症状(病気)です。
例えば、猫は元気であるが、下痢をしている場合。
            猫は元気であるが、食欲がない場合
            猫は元気であるが、嘔吐をしている場合
            猫は元気で食欲があるが、嘔吐をしている場合
            猫は元気で食欲があるが、下痢をしている場合
以上は単兆候性(1つの病気の症状のみ)の症状(病気)です。長期でない限り通常の対症療法(原因を追究せず、動物の体力を補って、自然治癒を期待する療法)でも普通問題がありません。
これに対して、徹底的にその病気の原因を調べる場合は、多兆候性の(複数の病気の症状を持ち合わせる場合)の症状(病気)です。すなわち2つ以上の病気の症状を持ち合わせる場合です。これらの場合に、通常の診断、治療(原因療法でなく対症療法)を繰り返している場合は、致命的となる場合があります。
例えば、猫は元気がなく、下痢をしている場合。
            猫は元気がなく、食欲がない場合猫は元気がなく、嘔吐をしている場合
            猫は食欲がなくて、下痢をしている場合
            猫は食欲があって、下痢と嘔吐をしている場合
            猫は食欲がなくて、軟便と嘔吐をしている場合
            猫は咳をしていて、元気がない場合
            猫は呼吸が苦しそうで、元気がない場合
            猫は血尿があって、元気がない場合
こんな場合は、徹底的にその原因を追究する必要があります。それには注意深い病歴の聴取、身体検査、尿検査、糞便検査、血液検査、血清生化学的検査、X線検査、心電図検査、血圧検査、各種ホルモンの検査等、それに超音波検査や内視鏡検査なども必要になる場合があります。
これらの要因以外にも、高齢であるとか、痩せている、その症状が長く続いているとか、の場合も徹底的にその原因を追究する必要があります。ようするに、2個以上の症状があるのに、まんぜんと、たいした検査をせずに、現在の治療を続けていると、その後には、危険が待っている場合が大いにありうると言うことです。しかしここで注意すべきは、採血して、血液検査(これは比較的し易いから)だけの検査等で終わっていると、総合的な評価にはおぼつかないと言うことです。
考えてもください、例えば人間で、ここ数日、熱かあって、咳も続き、食欲もあまりない、そんな場合に医師は何か身体検査のみで、またはしても血液検査のみ終わることはありえないのです。何か最低限、胸のX線検査ぐらいは行うでしょう。
しかし動物病院では、検査の必要なのがわからない?のお始めとして、検査できない(設備ない?今壊れている?)、検査しない(面倒くさい?人手がない?)、検査してもわからない(各々結果の判定のトレーニングを積んでない)からしない等、いろいろな理由で、行われないことが少数ですが、存在していることです。
しかしこれらの検査について、もう一つどうしても説明をしておかねばならないことがあります。それは検査をすれば、それなりのお金がかかると言うことです。あらかじめその検査に幾ら掛るか、聞いておくべき事柄です。医療を行う人間には、その行う医療に対して説明の義務があるからです。
しかしなんと言っても、人間の生活の方が大切でから、飼い主の方は、自身の生活を圧迫しない程度で、動物の医療費を払うことお勧めします。最近の高度の獣医療を行えば、より料金は高くなります。
何をどれだけ、行うか?あらかじめ獣医師と十分、話し合いをし、自分の希望の獣医療と、金額を提示して、それに合う獣医療を、お受けになることをお勧めします。結論は獣医師の説明を聞いた後に、医療費は飼い主自身が決めると言うことです。獣医師は単にお勧めを提示するだけなのです。
医療費について、関係した事柄として、もう一言もうしあげます。それは、普段健康な時にこそ、例えば予防接種等の際に、保険に入ることをぜひお勧めします。これらは健康な時にのみ入れるものです。万が一に病気になった際には、この保険を利用して、より良い診断、治療が受けられるでしょう。
また獣医療に関係しますが、この分野は以前はあまり語られずにいた分野ですが、最近になってより、広まってきましたが、それは動物の躾とかの問題です。これは「人と動物の絆」とも関係します。どんなに病気を予防したり、治療しても、躾をなおざりにしてしては、やはり人と動物の幸福な関係はむずかしいと思われます。飼い主の静止を振り切って、急に飛び降り、外傷に合う、そんな不幸な事故で動物病院へ運ばれてきます。なんとかこんな事はさけたい、予防したいと多くの獣医師は思っています。どうぞ躾にも関心を持ち、良い躾をお願いいたします。
また躾と言えば、凶暴となる猫(テリトリー・キャト)は、その扱いに普通以上の事柄が必要です。これは猫の診療で最もむずかしい問題です。飼い主以外には、凶暴となる猫の扱いです。最も重要なことは、そのような猫に育てないように注意することです。どうぞ猫の躾に関心をもってください!
はっきり言うとそのような猫は、通常の医学の恩恵が受けにくくなります。 飼い主以外の他人を見ると、触ると、凶暴となる猫の場合は、どんなに動物病院ががんばっても、ストレスが非常に強くなります。特に高齢になるとより問題は深刻化します。
しかし最近は、各種ないろいろな猫で使用できる向神経薬(例えばアミトリプチリン)や特殊なスプレー(例えばフェリウェイー)安全な沈静剤、麻酔剤の出現によって、また猫がくつろげる環境を作るための、環境(猫は本来三次元の動物です、2段式の架台等)を作り出すことにより、より安全性が増していますが、それでもかなり問題はあります。動物病院では、凶暴で触れない猫には、飼い主の方と相談の上、まず沈静剤等の処置(人間と動物の安全のために)を行います。できれば動物病院に来る前に薬剤を飲んで来院してもらいます。
あるばあいには麻酔も必要になるかもしれません。これらはいろいろな検査、治療、処置を行うためです。しかしこれらは、凶暴な猫をなんとかして押さえつけて検査、治療を行う危険とどちらが、動物のため(その動物を押さえる人間の安全のための問題もありますが)になるかを天秤にかけての話です。ですから普段から、あなたの猫は多くの人々と馴れ親しむことが重要です。スキンシップできるようにしておくことが重要です。凶暴な猫は結局はかなり医療面で、制限を受けた診断、治療となることが多く医学の恩恵が制限されます。
以上にように最近の獣医学の進歩は目を見張るものがあります。特にそのなかでも、特に強調しておきたいのは、「鎮痛剤」についてです。動物の病気においても、この痛みの問題は、たいへん重要な問題なのですが、今までは比較的軽視されていました。その理由に一つにそれらを使用すると、副作用の問題がありました。しかし最近はより副作用の少ない製剤がありますので、以前より安全に使用できます。
例えば手術後にしても、鎮痛剤を使用すれば、より合併症が少なくなります。昔は猫は、痛みに強いから?がまんさせる、なんて暴論がありましたが、現在は、猫も痛みはすべての病気がより悪化する原因であって、できるだけ取り去るよう、努力するのが、獣医師に課された課題であるわけです。
ですから何かの理由で、まんぞくに動物の治療ができない場合には、その担当の獣医師に、このことだけは告げましょう、「最低限、痛みだけは押さえてください」と言うと良いでしょう。もし次の治療時にその病院に続けて治療しない場合には、その鎮痛剤の使用した時間を覚え、そしてできればその鎮痛剤の名前と投与量を聞いておきましょう。医療に遠慮は禁物です。この理由は、次に鎮痛剤を打つタイミングと副腎皮質ホルモン(通常は鎮痛剤とは同時に使用しない方がよいから)であるステロイド(猫の臨床にはよく使用される)を使用する際の目安を決めるためです。ただ単に長命を目指すより長寿を目指してよりよい環境作りをする方がよいと思われるからです。
動物病院の治療についての飼い主の方が気を付けることは?
- 今受けている治療はどちらの治療ですか?
- 対症療法(支持療法、緩和療法)ですか? VS 原因療法ですか?
もし上記の単兆候性(1つの病気の症状のみ)の病気の症状で、症状が軽く、長期でなければ、対症療法(支持療法)でも、取りあえずは大丈夫でしょう。この治療の利点は、治療の費用が安いことでしょう。
このことは、人間の病院の軽い風邪を引いた時の治療と似ているかもしれません。風邪の原因である、ウイルスに対しては、治療せず、体力を付け、二次感染を防ぐために、抗生物質(細菌感染のみ有効、ウイルスには効果ありません)を使用して、ウイルスの活動が治まるのを、待つと言う、方法です。いわゆる病気に対する抵抗性を強くして、自然に病気が治まるのを待つと言うやりかたです。
しかし上記の方法は、原因療法ではありません。対症療法(支持療法)です。これらの治療で病気が治まる確率は、80%です。10頭中2頭が治りません。原因療法が必要です。
            しかし、もし上記の多兆候性の病気の症状(複数の病気の症状を持ち合わせる場合)の場合は、対症療法(支持療法)では不十分な可能性が大です。気をつけましよう。原因療法を心掛ける動物病院にての受診をお勧めします。この原因療法を行うには、良く動物を調べなければなりません。
医療(獣医療)の現場では、受身では、よほどの状況に恵み合わなければ良い医療にめぐり合わないことが多いのです。最近あつたことですが、私が知り合いの獣医師を尋ねた時に、奥さんが「胆石の摘出手術」をした後でもう元気になったと言う。彼が曰く、最初は1週間入院予定で開腹手術の予定であったが、たまたま知人に会った時、胆石の手術の話をすると、うちの家内の場合は胆石の摘出の際に、お腹切らず内視鏡で胆石を摘出し、入院も1日のみだったと言う。経過が長いとか合併症がない場合は、内視鏡でできると聞いたと言う。それを聞いて、あわてて、内視鏡のできる病院を探し、そこで手術を受けたと言う。お腹を切らずにすんだ、良かったと喜んでいました。知らなければ、開腹手術で1週間の入院だったと言う。この違いをどう考えるかです。
猫の場合も例えば、異物を飲んだ場合統計上は75%内視鏡にて取り出せます。赤ちゃんが何か異物を飲んだ場合もまずは内視鏡で取り出そうと医師は努力します。いきなり開腹手術は考えません。
以上のように飼い主みずからが、医療に参加し、より良い医療を目指す態度が必要と思われます。飼い主の方は自己のもつ社会の常識を総動員して、対処すれば、おのずと道は開かれると信じています。
実際、猫の高度な獣医療を行うには何が必要でしょうか?
- 例題その1猫の慢性腎炎(猫の進行性腎疾患)
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14歳の雄(未去勢)の猫で、名前はモコちゃん、他の病院にて猫の慢性腎炎と言われ治療中、最近食欲がなく、あまり食べず、体重も減少してきたとのことで来院する。どんな慢性腎炎(これは病名でない)と聞くと調べてない、わからない(聞いていない)とのこと。ただ腎臓が悪いと言うことで、治療していたとのこと。さっそく、超音波で調べると、尿管に結石が詰まった原因の片側性の重度の水腎症であった。これは内科での治療対象ではなく、外科手術で治すべき症例であった。さっそく、その水腎症の腎臓を摘出したこところ、腎機能は正常の上限となり、食欲と元気が回復した。しかし腎臓が1個なので今後も、腎臓の監視は必要となる。その後モコちゃんは生涯腎臓の薬を飲みながら、最終的には、飼い主が在宅療法(飼い主自身が、モコちゃんに皮下輸液を行う)を行い16歳4ヶ月まで生存しました。がんばったね!モコちゃん、安らかにお眠りください。 猫の慢性腎炎(猫の進行性腎疾患)、猫の貧血、猫の腹水、猫の心不全等は、診断名ではありません。病気の反応を示した症状です。診断が付かないと、治療はその原因に迫れず、対症療法(支持療法)となります。例えば俗に猫の慢性腎炎(慢性的に腎臓が悪いと言うだけ)と言われる状態の主な病名には以下があります。 猫の間質性腎炎 両方の腎臓が小さくなるもので、瘢痕性腎炎とも呼ばれます。これは治療は内科療法で一般的な治療となりますが、症例によっては腎臓の移植が適応となることもありますが、いろいろと問題もあります。 猫の腎盂腎炎 腎盂に細菌が集まります。治療には輸液と共に抗生物質が必要です。 猫の糸球体腎炎 俗にネフローゼ症候群とも呼ばれ、治療にはステロイド等を使用します。 猫の水腎症 通常は片方だけ多く大きくなります。治療は外科手術です。最終的には大型腎/小型腎症候群と呼ばれる状態になります。 猫の多発性腎嚢胞 腎臓にいくつもの嚢胞ができます。ペルシャ猫に多発します。これも最終的には大型腎/小型腎症候群と呼ばれる状態になります。 猫のアミロイドージス アビシニアンに素因を持ち、腎臓にアミロイド(腎類澱粉症)が沈着します。 猫の腎リンパ腫 これは猫の代表的な腫瘍です。多くは両測性ですが、片側性の場合は摘出します。抗癌治療が通常選ばれます。 それゆえに 猫を専門的に診察するには、高齢猫に多い、慢性腎不全(進行性腎疾患)の、その病気の原因を分類できることが、理想です。それを見つけることが出来れば、本来の原因となっている病気を見つけるこができるからです。原因がわかれば、それに対する治療ができることがあるからです。原因がわからない場合は、通常の慢性腎不全としての治療となります。その原因を見つけるには、腹部の超音波、血清生化学的検査、尿分析、腹部X線検査、血圧検査等が中心となります。 
- 例題その2猫の下部泌尿器症候群(FLUTD)/猫の膀胱炎/猫の尿閉
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日本猫の雄のポキちゃん、2歳は突然何回もトイレに行きますが、なにも出ません。そしてまたトイレに行き、同じことを繰り返します。そのうちに、だんだん元気もなくなり、苦しそうです。病院に来る途中で1回吐いたとのことです。診察すると、かなり弱っていて、ほぼ昏睡状態です。膀胱を触ると、硬くまるで、ビリヤードのボールみたいです。さっそくその硬い膀胱に穿刺して、中の液体をほとんど抜くと、赤い色の尿が抜けました。そして静脈に点滴をセットし、自動輸液装置にて開始しました。その後も尿がでないため、尿道にカテーテル(細い管)を挿入し、そこから尿がでるようにしました。初回の血液検査にて、尿素窒素(BUN)が150mg/kg、クレアチニンが8と高く、典型的な尿毒症で急性腎炎です。これは非常に緊急な状態です。特に嘔吐の症状があるので、尿毒症を強く疑っていましたが、血液検査の結果からも証明されました。尿を抜いた時点で、しかしポキちゃんは、治療によって、これらの異常な値は、24時間後、3日後、5日後となり、尿素窒素(BUN)が45mg/kg、クレアチニンが2とだいぶ落ち着いてきました。これらの急性腎炎は、その尿路の閉塞が解消すれば、正常になることは、大いに期待できます。そもそも急性な病気は、治ると正常に成りうりますが、これに反して慢性の病気は、治療しても正常になることは、まずありえません。今回の状態は俗に尿閉(尿路閉塞)と言われ、比較的に若い雄猫に発症しやすいものです。これらは、すべて急性の緊急疾患です。 私達の動物病院の夜間の緊急例では、猫の尿閉は、6~7例中、1例を占めています。特に冬季に多いようです。これらは猫の下部泌尿器症候群(FLUTD)/猫の膀胱炎と言われています。この尿石症はストラバイト(ストルバイト)結石(三重燐酸塩)が多いのですが、比較的年齢が進んだ猫はシュウ酸カルシュウムの結石が多く最近この傾向は増加しています。内科療法にあまり反応せず、短期間(通常半年)に何回か再発する場合は、外科手術によって治療は可能です。 それゆえに 猫を専門的に診察するには、この古くて新しい病気、下部泌尿器症候群(FLUTD)―以前はFUS(猫泌尿器症候群)と呼ばれたーの診断と治療を学ばなくてはなりません。この病気はなかなか複雑なところがあり、正しい方法で診断・治療しても一部の例ですが、満足な結果が得られないことがあるかもしれません。特に慢性の経過(例えば、膀胱の弛緩麻痺―膨らんだ膀胱が小さくならないー、膀胱の壁が厚くなる等の問題)の例ではそういえます。しかしほとんどはうまくいくはずです。 
 それらの診断には、腹部X線検査や腹部超音波、尿分析等の結果を血液検査、血清生化学的検査と組み合わせて判断する必要があります。またカテーテルの挿入の処置及びその管理等いろいろ幅広い知識が要求されます。
- 例題その3猫の三重炎―肝臓(胆管炎/肝炎胆管肝炎)、膵炎(急性/慢性)、腸管(炎症性腸疾患)
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12歳の雑種猫、避妊雌、半年前から少しずつ体重の減少、最近になって黄疸ぎみで、食欲も不振、元気もあったり、なかったりの状態で来院。すでに動物病院を2軒転院している、初めの病院は、風邪?と言われ抗生物質を処方されるが、状態はかわらない、2軒目の動物病院は、黄疸ぎみであるが歯石、歯肉炎(口が臭い)があるので、歯が悪い、それが原因でしょう、と言われその治療するが、改善せず、3軒目として当院に来院した例 高齢の猫は「高齢猫の病気の原因は、90%以上は腹部にある」と言う、猫の医学の独自の法則があります。この猫は当院に来院した時には、肝臓機能(ALTが高値)が悪く、黄疸(ビリルビンが高値)があります。これは猫の病気を専門的に語れば、最近話題の病気である、猫の三重炎(三つの臓器重複した病気)(Feline Triad)と言われる状態です。これは猫の黄疸(イエローキャット)の代表例でもあります。以前の獣医学では、「猫は黄疸になったら、治療は無理で殆どは死亡する」と言われたものです。 すなわち、肝臓(胆管炎/肝炎胆管肝炎)、膵炎(急性/慢性)、腸管(炎症性腸疾患)の3つの病気が、重なりあった状態です。これを解明するには、最終的には、腹部の超音波検査が必要です。肝臓、胆嚢、膵臓、腸管等丹念に描写していきます。ですから、高齢の猫の病気を解明するのは、どうしても腹部の超音波検査にて、その画像を解析し、針又は生検針により、肝臓の一部の摘出が(生検)が必要です。しかしこのことを行うには、かなり専門的に訓練された獣医師のみ可能です。 それゆえに 猫を専門的に診療するには、猫の腹部の超音波検査と生検(臓器の一部を採取すること)の重要性と、それらの医療機器と使いこなす技術が必要となります。特に猫の膵炎は犬とはかなり違います。また高齢の猫の病気の原因は90%以上腹部にありますので、特に腹部の超音波検査が診断のカギとなります。膵炎の診断は腹部の超音波でなされます。以前は黄疸の猫は助からないと言われましたが、現在ではその状況は改善し、かなりの期間生きられことが多くなってきました。 
- 例題その4猫の全身性高血圧
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10歳の雄、シャム猫のロコちゃん、健康診断にて来院する。それなりに元気だがとのこと、最近はあまり同居猫と遊ばなくなつたり、また動きが敏捷でなくなったとのこと。尿、便、血液検査、血清生化学的検査、甲状腺機能検査にては特に異常は見られず、腎臓の機能検査にて正常内の上限値であった。続いて行われた眼底検査にて、網膜の剥離が認められたので、また胸部X線検査にて、心陰影の増加、大動脈弓の拡大が疑われた。続いて行われた、血圧の測定検査にて、収縮期圧195、拡張期圧135、平均動脈圧180と高く、胸部の心エコーにて左心室壁が7mmと肥厚していた。 これは典型的な猫の全身性高血圧症である。今後は眼底検査、腎機能検査と血圧の検査を重点的に管理する必要がある。猫の高血圧を疑う所見として、突然の失明、眼出血、鼻出血、精神活動の変化、泣き叫ぶ、呼吸困難等が認められことがあるが、比較的最近になって、これらの病気の概要が明らかとなりつつある。 それゆえに 猫を専門的に診察するには、猫の眼底検査、猫の血圧の測定、猫の胸部心エコーの検査が重要となりますので、それらの病気を知る事と、循環器系の医療機器を使いこなす技術をもつことが理想です。この猫の全身性高血圧症は、最近の発見された病気で、これも猫の血圧が日常的に測定できるようになったから判明した病気です。しかし猫も人間と同じように、ストレス、興奮によって血圧は上昇しますので、1回のみでなく、総合的に判定することが必要となります。 
- 例題その5猫の甲状腺機能亢進症
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12歳の避妊手術済の雌のトンちゃん、最近なんとなく、食欲が低下し、体重も減少してきたとのこと。また、ときどき下痢と嘔吐をするとのこと。過去に3回動物病院へ受診していろいろな検査を受けたが、原因はわからず、対症療法(支持療法)のみを受けていたとのこと。高齢であることや、過去に甲状腺の検査を受けていないことを考慮して、甲状腺機能のホルモン(T3)のテストを行ったところ、数値が異常に高く(6.0mg/dl)出たので、同時に胸部心エコー検査をした所、左心室壁が6.5mmと肥厚していた。さっそくメルカゾールにて治療を開始したところ、2.0mg/dlとなり、その症状は安定化してきました。 この病気は、心臓の病気、消化器の病気、肝臓の病気、腎臓の病気と4つの病気の症状が、複雑に出てくるため、この病気のことを知らないと診断がぜんぜんできないのです。これは猫の甲状腺機能亢進症と言う、最近になって少しずつ発見されつつある、比較的新しい病気です。 それゆえに 猫を専門的に診察するには、常に新しい学問を学ぶ意欲が重要です。そのためには、月に2~3回以上は、勉強会に出席する獣医師を選ぶのが望ましいのです。 
- 例題その6猫の鳴鳥熱(鳴禽熱-めいきんねつ)
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3歳の雄の雑種の猫、ホロちゃん、1ヶ月まえより周期的に原因不明の高熱と嘔吐時々下痢、とのことで来院する。当院で4件目の動物病院とのこと。最初の動物病院で、血液検査、x線検査、尿検査等を受けたが、原因はまったくわからないとのこと、2軒目では、治療のみ1週間受けるが、状態は良くなったり悪くなったりとのこと。3軒目では内視鏡検査を進められたとのこと。 4軒目の当院での診察にても、一般的な検査をしてもはっきりした異常は認めなかったので、より高度な検査に進んだ。病歴の聴取の際、まれにこの猫が外出するとのことなので、そこで飼い主に再度、狩をする傾向があるか?何か以前に外で何かを食べた様子はないか?と聞くと、たまたま面会に来ていた、父親から、そういえば以前、外出からもどると、口の中に「鳥の羽」の一部らしいものがついていたことがあると証言。さっそくサルモネラ(多くの野生の鳥はサルモネラ菌を保有していることあり)も疑い、そこで抗生物質を猫のサルモネラの適応のものに変えた所、2日後には、下痢と嘔吐もとまり、熱も平熱となる。その途中に以前に検査を依頼したサルモネラ、クリプトスポリジウム、ジアルジア、クロストリジウム・パーフリンゲン、細菌の過剰繁殖(抗生物質反応性腸症)の結果が出て、やはり糞便のサルモネラの培養結果が陽性との検査センターからの報告がありました。これは猫の鳴鳥熱(鳴禽熱-めいきんねつ)―songbird fever(singing bird fever)―だったのです。動物病院に行って、しつこいほど、いろいろ病歴を聞かれることが、いかに重要かの例です。家族全員、総がかりで、猫の観察状態を動物病院に報告いたしましょう。また外出して、狩をする猫?にこの病気の傾向があります。 それゆえに 猫を専門的に診察するには、動物病院はいろいろと、飼い主から情報を引き出さなければ、良い臨床にむすびつかないことがあります。注意深い観察力と同時にその病気自体を、獣医師が知ることが重要です。知らない病気はまず診断できないのですから。 
- 例題その7猫の炎症性腸疾患
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日本猫のタマちゃんは、8歳で2~3年前からたまに吐くことがあり、ここ3ヶ月前からは毎日のように吐くようになり、いろいろと動物病院へ行くがよくならず、体重が4.5kgから3kgとなり痩せたとのこと。猫は毛を飲むからしょうかないと言われたが、このままでは、あまりにしのびないとのことで、来院する。まずは猫の炎症性腸疾患を疑い、サルモネラ、クリプトスポリジウム、ジアルジア、クロストリジウム・パーフリンゲン、細菌の過剰繁殖(抗生物質反応性腸症)等一通りの検査後は、こんな場合の最重要な検査である、内視鏡(胃カメラ)検査を行った。過去も内視鏡の検査を行ったとのことであるが、ただ単に胃の中を見ただけで、異常な所見はなかったと言う。内視鏡検査で重要なのは、生検(胃や十二指腸の一部を採取して、それを病理学的に調べること)を行うことです。その結果タマちゃんは、猫の炎症性腸疾患で最も多い リンパ球性プラズマ性腸炎との病理検査を得た。またタマちゃんは、腹部の超音波で、胆管炎/肝炎胆管肝炎を疑う所見もあり、その続発症として発症したようである。この病気は、リンパ腫の場合も考えられるため、治療は比較的むずかしいものである。その後タマちゃんは、なんとか食事療法を併用しながらも嘔吐をコントロールしながら、その後半年はがんばったが、力尽きました。合掌。 この病気は、猫の炎症性腸疾患と呼ばれ、多くはリンパ球性プラズマ細胞性腸炎です。まれに好酸球性や好中球性胃腸炎の場合もあります。 それゆえに 猫を専門的に診察するには、猫の内視鏡検査が重要です。その操作性に慣れていることと、生検(腸の一部を採取する)ができること、またその動物病院が専用の動物の病理検査所と契約していることが要求されます。 
- 例題その8反応性の口内炎
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日本猫のレイちゃんは、3歳の雄で以前から、口の中が痛そうで、よく噛むことができず、そのつど動物病院へ行き、注射(ステロイド剤)をしてもらうと、また食べ始めるが、最近は体重も減少してきて、元気に遊ばなくなったとのこと。いろいろ動物病院へ行ったが、治療の反応はあまりよくないとのこと。これ以上の治療は限界と言われたと言う。さっそく診察しょうとすると、もう口の中を開けようとすると嫌がる。典型的な反応性の口内炎のようである。猫白血病ウイルスは(-)であったが免疫不全症は(+)であった。このような重度の場合は、麻酔にての口腔内の歯石・歯垢の除去を始め生検(組織の一部を採取して、それを病理学的に調べること)をして、切歯以外の歯を抜歯することによって、最大限の効果が得られる場合がほとんどである。この場合は歯そのものが異物として反応しているからです。 この病気は、猫のリンパ球性プラズマ細胞性口内炎でした。 それゆえに 猫を専門的に診察するには、その獣医師が、歯の診療にも興味を持ち、人間の歯科医と同じような機器(高速ドリル等)をもって、抜歯等の各種の処置や歯のX線検査ができることが、理想的です。 
- 例題その9猫の肥大性心筋症
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7歳の雄の、プーリーちゃんは急性の呼吸困難で、夜中の2時過ぎに当動物病院へ担ぎ込まれました。大分苦しそうで、もがいています。もう立つこともできません。調べると心臓に雑音があり、口の中は紫色(チアノーゼ)となり、後肢の肢の先のパッドの部分の色が変化しています。そのツメを切つてもほとんど出血しません。この症例は典型的な猫の心筋症のようです。ここ数年健康診断はしたことがないとのことでした。この病気は突然に起こることがあります。定期的な注意深い身体検査や胸部のX線検査、心エコーを専門的レベルで行うと、この病気があるかほとんどはわかります。しかし、ひとたびこのように腰が麻痺した状態になると治療はきわめてむずかしくなります。この原因は血液が血管で詰まることで起こります。ですから、なんとか詰まった血管の流れを良くしょうと治療をするのですが、その程度が重度であると、治療はきわめてむずかしくなります。幸いプーリーちゃんは比較的軽い症例だったのと早期に治療ができたことにより、救命することができました。その後は血液が詰まらないように、一生涯の投薬が必要となりますが再発することが多いようです。心臓の超音波検査では、プーリーちゃんの左心室の壁の厚さは、8mmもあり、猫の肥大性心筋症と診断されました。本来この病気は多くが症状が出ると救命するのはたいへんむずかしくなります。 それゆえに 猫を専門的に診察するには、猫の循環器系のすなわち猫の心臓病の中で、最も多い猫の心筋症を診断できる技術をもつことが理想的です。そのためには、心エコー検査はなくてはならない技術となります。 
- 例題その10猫の一時性糖尿病
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8歳のシャム猫の雄、肥満ぎみのジャムちゃんは、糖尿病と言うことで、2箇所の動物病院での入退院を何度か繰り返しいました。その理由は何度か低血糖症の状態に陥り、心配になった飼い主が、当院に来院しました。よくしらべてみると確かにフルクトサミン(2週間前後の期間の血糖値を示す)も高く、糖尿病の状態ではあるのですが、その程度は比較的軽いものでした。そこでまずは食事療法にて体重の減少を目指すこととしました。それと同時に、過去にインスリンにて数回にわたって、低血糖状態となっているとのことから、糖尿病の症状があまり出ていないことから、2種類の経口の血糖剤にてコントロールを始めました。特にジャムちゃんは入院すると、興奮のため、血糖値の極端な上昇がみられる猫でした。またジャムちゃんは尿路の感染症がありました。これも猫の糖尿病をコントロールしにくくなる要因として知られています。2ヶ月には体重が4.8kgから4.6kgと少しだけ減少しました。このころになると、体重の減少の効果と血糖降下薬の効果が出て来たようで、血糖は150~250mg/dlで維持され血糖値は安定してきました。その後ジャムちゃんは半年後には、体重が4.4kgとなり、血糖降下薬も1種類で隔日投与となり8ヶ月には不要となりました。 この例は猫の一時性糖尿病とか潜在性の糖尿病の分類できます。しかしその後の経過はやはり不定期に血糖が上昇する傾向にありました。またジャムちゃんはステロイドを使用すると、一時的に血糖が上昇する傾向がありました。もし使用する場合はきわめて慎重に少量投与するか、使用しないのが理想的なようです。今後の経過の観察が重要です。猫の糖尿病に肥満は大敵です。まずは体重のコントロールから始める必要があります。 それゆえに 猫を専門的に診察するには、最近の研究が著しい、猫のいろいろなタイプの糖尿病の診断・治療を学ぶ必要があります。特に治療の分野においては、いろいろな研究結果が報告されています。それらを絶え間なく努力して勉強する必要があります。またむずかしい猫の内分泌の病気も理解する努力が必要です。糖尿病一つの病気のみを理解するのは難解で、その関係する病気のいろいろも勉強する必要があるのがコツとなるからです。 
- 例題その11猫の典型的な糖尿病性ケトアシドージス
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6歳のノンちゃん、シャム猫、雌は、最近食欲が減少ぎみで、何となく元気がなく、吐くこともある、そして歩き方も少しよろよろする、とのことで、来院しました。尿検査にて、ケトン体が検出されました。 これは糖尿病になかでも、急性と言われるタイプの糖尿病です。インスリンも早く効くタイプのレギュラーインスリンで輸液と同時に治療が開始されました。そして慎重に少しずつ血糖値を下げていきました。猫の糖尿病は血糖値が変動しやすく、低血糖症の症状もわかりにくいことがあるので、そのコントロールには専門的なより高度な知識が必要となります。歩き方の問題は、猫ではときどき認められるもので糖尿病性神経症と言われる状態です。治療開始後、食欲も出てきて少し元気になりました。真の血糖の状態を知るにはフルクトサミン(2週間前後の期間の血糖値を示す)の値が必要です。猫は特に初回の入院での血糖値のコントロールは困難です。始めは少し入院して、症状を少し安定させた後、退院してから1週間後ぐらいから、本格的に血糖のコントロールを始めました。そのために血糖値曲線を調べました。ノンちゃんは幸い合併症もなく、その症状も落ち着き、食餌療法も併用して、少し血糖値が高いながらも、落ち着いてきました。今では長時間インスリンでコントロールしています。 猫の糖尿病は特に特別な知識が必要とされる病気です。それらの要求される知識がないと、なかなかコントロールがむずかしく、獣医師仲間でも、この病気に対するむずかしさが何時も話題となります。猫の診療にて、飼い主の方が獣医師に対して不信を抱く病気の、おそらくNo1と思われます。 
 何が問題となると言うと、インスリンの種類、打つ場所、時間、食事の量、内容と時間、インスリンの抗体産生、インスリンの保存法、ストレス、興奮の度合い、他の病気の発見、合併症、その症状の度合い、血糖値曲線等いろいろと乗り越えなければならない問題が多くあるからです。
- 例題その12脂肪肝ぎみの猫に対するアプローチ、長期間の食欲不振の猫のチューブ栄養
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3歳の避妊済の雌の日本猫のロコちゃんは、いつも体重がオーバーぎみで、以前は5.5Kgもありました。しかし3ヶ月ぐらい前から、だんだん食欲不振となり、2箇所の動物病院へ通院し、いろいろな薬もためしてきまたとのことですが、効果なく、現在では4.2Kgまで減少してきたとのことです。しかし腹部の脂肪はまだたっぷりですが、背中の部分は痩せて骨が目立つようになってきました。このような猫は米国では脂肪肝(肝リピドージス)が多いのですが、我国やオーストラリアでは、比較的まれな病気です。肝臓の針の生検(参考程度ですが)では、典型的な脂肪肝とは診断できませんでしたが、いくつかの空胞細胞が認められました。我国ではこの典型的でないタイプが多いようです。猫の治療の原則は飢えさてはいけないです。このタイプの猫は俗に「食べることを忘れた猫?」として知られています。 治療の中心はチューブ栄養です。これは短期間には鼻からチューブを固定して入れたりしますが、長く食欲不振が予想される場合は、直接胃に対して特殊なチューブを入れ固定します。その際には麻酔が必要となります。猫は犬と違い飢えさせてはいけないのです。ですから肥満の猫に対して絶食はできません。肝臓が異化作用して、脂肪肝になる可能性があるからです。 それゆえに 猫を専門的に診察するには、長期間食欲不振の猫に対するアプローチである、チューブ栄養の外科的な処置ができる必要があります。このような処置を施すことによって、従来は、口からチョロチョロと食事を投与するだけでは、助からなかった症例も、より多くの栄養が摂取できて、助かる比率が従来の方法に比べて、上昇します。ゆえに猫には、猫の独自の獣医学があり、決して犬の延長ではありません。特に主な犬と違う病気をリストして少し解説してみましょう!以下の項目は、犬と違い猫独自のもので、猫の診療を専門的に行うのにぜひ必要な項目です。 
動物病院にて以下のようなことがあれば、もう一度考えましょう!
病気の原因をよく調べず対症療法(支持療法)中心の、典型的な動物病院の例とは?
元気なし、下痢や嘔吐で、熱があり、動物病院へ行くと
はい、「風邪」ですと言われました。
あなたの猫が病気で動物病院へ行くと、「風邪」ですと言われたことはありませんか?猫の風邪、これはまぎわらしい表現です。病名でもありません。なんでも人間の風邪と似たものとして、説明し、その病気の原因を探らずに、何か治療しょうとする心がけです。本来猫に「風邪」と言う病名はありません。私の病院には米国、英国の主な獣医学書がありますが、猫に「風邪」と言う項目、病名はありません。猫に存在しない病気、風邪(人間には風邪症候群として記載はあります)を、人間にように、風邪だからしょうがない、と説明する、非常に不適切な表現です。しかし猫で、伝染性鼻腔気管支炎と言う病気は、結膜炎、クシャミ、発熱を伴い、人間の風邪の症状にあまりにも似ています。英国の獣医学書に昔は「猫の鼻風邪」としての記載は過去あります。しかしあくまで説明のための表現で、病名ではありません。
慢性腎不全といわれました、これからどれだけ生きられるでしょうか?
その原因の程度によります。
猫が高齢になると慢性腎疾患になる確率が高くなります。猫の慢性腎炎(猫の進行性腎疾)、猫の貧血、猫の腹水、猫の心不全等は、診断名ではありません。病気の反応を示した症状です。厳密に言うと、原因がわからないと、診断が付かないと、治療はその原因に迫れず、対症療法(支持療法)となります。その病気がむずかしいとしばしば診断がつかないことがあります。例えば俗に猫の慢性腎炎(慢性的に腎臓が悪いと言うだけ)と言われる状態の主な病名には以下があります。
| 間質性腎炎 | 両方の腎臓が小さくなるもので、瘢痕性腎炎とも呼ばれます。これは治療は内科療法で一般的な治療となりますが、症例によっては腎臓の移植が適応となることもありますが、いろいろと問題もあります。 | 
|---|---|
| 腎盂腎炎 | 腎盂に細菌が集まります。治療には輸液と共に抗生物質が必要です。 | 
| 糸球体腎炎 | 俗にネフローゼ症候群とも呼ばれ、治療にはステロイド等を使用します。 | 
| 水腎症 | 通常は片方だけ多く大きくなります。治療は外科手術です。最終的には大型腎/小型腎症候群と呼ばれる状態になります。 | 
| 多発性腎嚢胞 | 腎臓にいくつもの嚢胞ができます。ペルシャ猫に多発します。これも最終的には大型腎/小型腎症候群と呼ばれる状態になります。 | 
| アミロイドージス | アビシニアンに素因を持ち、腎臓にアミロイド(腎類澱粉症)が沈着します。 | 
| 腎リンパ腫 | これは猫の代表的な腫瘍です。多くは両測性ですが、片側性の場合は摘出します。抗癌治療が通常選ばれます。 | 
それゆえに高齢猫に多い、慢性腎不全(進行性腎疾患)の、その病気の原因を分類できることが、理想です。それを見つけることが、出来なければ、本来の原因となっている病気を治せないことがあるからです。
出来物(腫瘍)を見ただけ触っただけで、はいこれは「癌」でしょう
はい、これ(アガリスク?)でもあげて
見ただけで、触っただけ言うのは、飼い主に治療を諦めさせるため暗示?このようなことを言うのは、飼い主に治療をあきらめさせる、獣医師側の暗黙のサイン?かもしれません。
必ずその出来物を調べるのが、獣医学の常識です。癌でないかもしれませんし、癌(癌はたしかに多いが?)であっても、問題はその種類です。癌の半分は適切に治療すれば治ります。癌は、「早期発見、早期治療」が医学の原則であり常識です。時間がたてば、治療に反応しにくくなります。これは治療の機会を逃すことにもなります。皮膚の塊を見ただけで癌?です、はいこれ(アガリスク?)でもあげて、様子みてください?と言うのでは、あまりにも獣医学が不十分です。どう考えてみても人間の病院で、そんなことは、ありえない、起こりえないことでしょう。これは別にアガリスク茸(当動物病院でも、これらの椎茸類の製剤は使用しています)を否定しているのでは、ありません。しかし、見ただけで、触っただけで、はいこれは「癌」です又は、これは癌でしょう?はいアガリスク茸では、そんな使用法をされては、アガリスク茸が泣きます。本来の使用法ではないからです。
咳が出て止まらないのです、薬をかえても治らない、なぜですか?
その原因は調べましたか?
問題は、飼い主が検査を拒否した場合は話は別ですが、その獣医師が何を調べて、咳の原因としたかです。少なくても病歴の聴取、身体検査、心電図、胸部X線検査等は必要です。猫では続けて、吐くような咳をすることがあります。これは猫の喘息とか猫のアレルギー性気管支炎とか、猫の好酸球性気管支炎とか、いろいろな病名で呼ばれている、猫独自の病気がありますが、まづはこれを疑います。シャム猫は素因があるようです。前触れもなく、急に立ち止まって、ゲー、ゲーします。数回すると、ケロとして、又もとの普通の猫に戻ります。診断には気管洗浄も必要になることもあります。気管支が問題の場合は、咳が長く続く場合は気管支を洗浄して、なにがあるか、細菌(培養する)、アレルギー(好酸球あり)、ガビ(酵母菌)、腫瘍(腫瘍細胞)と、なにが見えるかによって診断し治療します。このような手順で診断しても、一部の咳は止まらない難治性の場合もあります。上記のこと、特に心電図、胸部X線検査、気管洗浄等を、ほとんど行わずしては、良い医療とは言えないでしょう。
吐いたり、下痢したりで、病気で動物病院へ行くと
はい、「中毒」ですと言われました。
食欲不振、吐いたり、下痢したりの症状で、身体検査のみで、まして別に飼い主の訴えがないのに、はい、中毒です。と言う言葉ですますのは、短絡的です。動物の医療は、飼い主の訴えが非常に大切です。なにか中毒に思い当たる場合は別として、中毒の診断の診断するのは、なかなかたいへんです。飼い主は、いろいろな状況において、あらゆる可能性を獣医師に知らせると良いでしょう。各々の中毒は、その毒の種類によって各々診断が違うのです。ただ血液検査で肝臓の数値が異常?と言って中毒を疑っては、これも不十分の獣医療です。中毒は注意深い、病歴の聴取と、各種の身体検査、臨床検査、その他、その中毒の独自の検査が多くは必要です。
吐いたり、下痢したり、病気で動物病院へ行くと
はい、「ストレス」ですと言われました。
なにか異常があると、なんでもストレスと言うのは、病気の原因を追究しようとしない、獣医療の代表です。特に検査して何も異常がない(何の検査をしたかにもよりますが)からと言って、その原因をストレスとされては動物がかわいそうです。ストレスが原因とされるのは、非常にまれ(厳しい訓練中のシェパードなどでは報告があります)で、その診断には大腸の生検(その一部を採取)が必要になります。
ですから動物とは易しく接して、動物の好む動機づけ(強制によらない)での、よい躾をしましょう。
皮膚の脱毛、その部分の毛が抜け落ちている
これはストレスによる円形脱毛症です。
また動物もストレスが原因で、「円形脱毛症」になる?そんな報告は、世界の獣医学術文献でどこにもありませんし、また発表もありません、これは人間であるから、動物もあるであろう?そしてそれが、いつのまにかに、ある?とすり替えられることが、動物医療には、ままありますが、この「円形脱毛」が最たるものでしょう。
病気の原因は、貧血だと言われた、できるだけ治療してみましょうか?
と言われました。
貧血(血液量が不足している)や腹水(お腹に水が貯まっている)は、病名ではありません。病気を示している症状、病気の反応による結果です。問題はなぜ貧血しているのか?その原因を突き止めるのが獣医師の役目です。貧血の原因である、その病気の原因を見つけて、それを治療します。少なくともその貧血が、再生性(血液が作られているが、すぐに壊れるので、血が足らなくなる)か、非再生性(血液が造られていないから、血が足らなくなる)かわ最低限区別すべきです。そのためには、血液検査以外の検査も必要になります。しかし重度の貧血はしばしばその治療は、むずかしいことがあります。
耳が痒い(耳を見るだけ)、皮膚が痒い(皮膚を見るだけ)で薬を渡される
これをくり返す。
皮膚病の基本の診断は、その皮膚(この場合は耳の中の成分)の部分を、掻き取ったり、少し削ったり、して、その病変の一部を顕微鏡で調べ、何があるか調べるのが基本です。そしてかゆい、かゆい皮膚病は、寄生虫、細菌感染、カビとか酵母の種類(水虫の様なもの)を、いろいろ顕微鏡以外の検査も取り入れて調べます。慢性の治りにくい皮膚病は、生検(皮膚の一部分を摘出する)する必要があります。そしてその皮膚の一部を病理学的に調べます。原因を調べずして、ただ単に治療を、えんえんと繰り返すことは、良い獣医学ではありません。
( ※皮膚病に関する最新情報)
病気が診断されたら、その診断の根拠を聞くのも良いことです
これをいやがるのは要注意。
もし診断が付いたと思われたら、その診断の根拠を聞くと良いでしょう。何を元に診断をくだしかです。もし検査の結果があるなら、その数値と共にぜひ記録用紙をもらいましょう。問題は、確かな獣医学の根拠に基づいた診断であるかです。これを「根拠のある獣医学」とか、「科学的に裏づけられた獣医学」、「科学的に証明された獣医学」とか言います。治療についても同様です。その診断した獣医師の自己流で診断されたものでなく、広く受け入れられている方法で診断(治療も同じです)されることが重要です。しかし根拠に基づかない診断、治療がすべて良くないと言っているのでありません。その根拠にもいろいろな程度があるからです。根拠に基づかないと思われる場合は、あらかじめ飼い主に説明してから行うのが、理想の獣医学です。
(※根拠に基づいた獣医療)
高齢だから検査できない?と言われた。
この言葉をくり返す。
この意味は、検査をする気がない、と解釈して良いでしょう。理由は恐らく、検査をするのがめんどうだ、検査をする設備がない、する人員がない、検査しても結果を判読する能力がないからしない(これは正統な理由かな?)と言う理由でしょう。要するにできないことはしたくない、との逃げ口上と解釈してよいでしょう。高齢は病気ではありません。
但し本当に問題点となるのは、行動上に問題のある動物です。例えば人間を見れば噛み付く、襲い掛かる犬猫は問題があります。しかし現代獣医学はそんな場合は、うまく精神安定剤を使用するなり、その他のいろいろな手段を用いて、落ち着かせます。多くの検査は一次検査(ほとんどストレスなく行える検査)で動物を横にしたり、採血をしたり、するだけのものなのです。
(※各種検査と結果の解釈、※動物病院の検査と料金)
高齢だから麻酔、手術できない?そのまま様子みましょう。
この言葉をくり返す。
これは殆どの場合、その獣医師の獣医療上の技術上の問題であって、私には(私の獣医療技術では)できない危険です、と言う意味でしょう。ある意味では正直な答えです。または私はしない(これも重要です、できないものはできないのですから、これも真実の訴え?)と言うことでしょう。
より専門的な動物病院では、多くの場合、どんな高齢動物も、ちゃんと術前の検査して、その検査に合格すれば、多くの場合、麻酔(最近のより良い麻酔薬を用いれば?)や手術(その内容にもよりますが)ができるものです。この問題は微妙ですが、本来手術すれば、助かる、寿命が延びる可能性がある動物がときどき、この問題でむずかしくなるようです。
(※手術を受ける際の注意点)
皮膚に1cm以上の出来物(腫瘍?)あるのに、もう少し様子みましょう?
と言われた。
出来物(腫瘍?)の治療の原則は、小さい内に発見して摘出することです。そしてそれが腫瘍か?また腫瘍であれば、どんな腫瘍か?調べます。それは腫瘍の種類によって治療法が違うからです。「もうすこし様子をみましょう」とか、「たぶんそのうちになくなるでしょう」と言う言葉は、禁句です。見た目ではわかりません。もしその腫瘍が悪性なら、癌の治療の原則は、「早期発見、早期治療」(治療や診断は早い時期の方が良いと言う意味です)は獣医学でも同じです。
嘔吐、下痢が3ヶ月も続いていますが
いろいろ違う薬剤を処方する、を返すだけ。
長期間(2~3ヶ月以上)の時々の下痢や嘔吐の原因をしらべるには、通常の検査以外に、多くの場合内視鏡(胃カメラ)が必要となります。これは胃や十二指腸の腸の一部を内視鏡で採取して、それを病理検査にて、どんな状態であるかを調べる、鑑別するのが、現代獣医学の常識です。内視鏡で調べると、多くはリンパ球性プラズマ細胞性胃腸炎が多いのですが、問題は治療です。特にタンパク質が低い、低蛋白血症の猫はさらに治療が難しくなります。下痢や嘔吐が止まらない、そんな場合は、サルモネラ、クリプトスポリジウム、ジアルジア、クロストリジウム・パーフリンゲン、細菌の過剰繁殖等を調べた後、まずは内視鏡の検査による、生検又は及び開腹による腸管の全層の生検(これで最終的にリンパ腫と判る場合がある)が必要となります。
(※下痢と嘔吐の原因と治療)
おもちゃを飲み込みました、X線検査で胃にあります
すぐお腹を切開して取り出しましょう。
もし猫が異物を飲んだ場合、まだ胃の中にある場合は、約75%は、内視鏡(胃カメラ)で取り出せます。まずは、獣医師は吐かせて安全かを考えます。吐かせて危険と思われる場合(何か鋭敏な角度のある異物等)は吐かせません。次に内視鏡での摘出が可能であるかを考えます。必ずしも腹部を切開する必要はありません。
(※下痢と嘔吐の原因と治療)
歯が臭く、虫歯と言われましたが
猫にも虫歯ありますか?
猫で口が臭いから虫歯があると言うのは、間違いです。口臭の多くの原因は歯周病です。猫に虫歯(う蝕)もありますが、比較的まれと考えて良いでしょう。猫の歯の役割は、人間のように臼(うす)のような、噛んでこする(咀嚼)のではなく、ほとんどの歯は咬合することないからです。歯は食べ物を細かくする(ゆえに小さい食事を与えれば歯がなくても生きられます)、相手の攻撃から自身の身を守る(又は武器として)、獲物を取る武器としての3つの働きがあります。できるだけ、2~3ヶ月以上になったら、できれば毎日(週1回でも効果あります)、同じ場所、同じ時間に歯を磨きましょう。初めての動物を動物病院へ行って、予防接種の際などに、歯磨きのことをきけば、きっとその動物病院は飼い主にとって指導の良い動物病院です。
胃液(黄色い液を)を、吐いて動物病院に行きましたが
胃液を吐いたのですね胃炎です。
黄色い液を吐くことは、さほどめずらしいことではありませんが、それは胃液ではありません。それは胆汁液です。もう胃のなかに食事がなく、それでも反射運動によって、吐いている証拠です。胃液の場合は、無色透明です。問題はなぜ吐いたかが重要です。時にそれをしらべるのは、むずかしいのですが、基本的には、いままでの環境の変化を調べるのがまづ行うべきことです。
(※下痢と嘔吐の原因と治療)
ステロイドを長く与えているのですが、多飲多尿、多食になりました
どうしたら良いのですか?
何かの病気例えばアレルギー性皮膚炎の痒み等の治療の際、ステロイド(副腎皮質ホルモン)を比較的長く使用することも、ありますが、その副作用について、飼い主の方は、あらかじめその説明を聞いておくべきです。問題はどんな種類のステロイドをどんな量、どの位の期間、飲ませたかによります。その副作用の現れかたは、猫の状態等によっても違ってきます。猫は本来、ステロイドにたいして強いのですが、それでも限界もあります。一般的に言って、猫はステロイドに対し、人間より5~10倍は抵抗性(強い)があります。ステロイドの使用をやめると、その病気の症状がまた出てくるから、やめられないと言う論理です。段階的に減少していく(例えば1日ごとの投与等)のが普通のやり方です。もしステロイドを減少したり、止めると症状がでる場合は、他の薬剤に換えたり、減少したりして調節します。しかし最近、猫でのステロイド療法によって、うっ血性心不全が発症することがある、と言う報告があり、臨床獣医師は注意深く注目しています。
動物病院であなたの猫の最適な予防プログラムを制作してもらいましょう。
動物病院に行った時に、重要なことは、あなたのペットにあった、世界で一つの?予防プログラムを作成してもらうことです。これは、以下の事柄を考慮にいれて総合的に獣医師は考えます。
- 猫の種類
- 猫の年齢
- 猫の性別(避妊、去勢をしてあるか?何時したか?)
- その猫の飼育環境(多頭飼育、室内猫、室外猫、家族構成、地域猫)
- その猫の健康状態
- その猫の食事内容
- その猫の飼育目的
- 他の猫との接触の程度
- その猫の住む、地理的な病気の流行
- 飼い主のライフ・スタイル
- その猫の性格を考えての医療を考える
- その猫の家族歴(親、兄弟等の病気歴)
- その猫の入手先はどこか?
- いつから飼い始めたか
- 動物病院へ来るのは初めて(最後に動物病院へ行ったのはいつ?)
- 猫の過去の健康歴
- 猫の過去の飼育環境
- 飼い主の動物飼育歴
上記の状態を考えながら、獣医師に診察してもらいましょう。その診察した獣医師が、自己の持っている全能力を振り絞って、本当に飼い主のために必要なことのみを行うよう進めるための各々のプログラムです。
病気をより少なくする究極の方法とは?
猫の食事は年齢にあった食餌を与えます。毎日同じ量、回数、時間、場所で与えるのがコツです。そして常に一種類に限定(特別食を除く)せず、いろいろと適応の食事を与えると良いでしょう。猫を外で飼育すると、明らかに病気(伝染性、外傷、皮膚病等)は多く発症します。室内をお勧めします。最初に行く動物病院の診察で、その後生涯の健康状態の青写真を描がいてもらいましょう。繁殖をしない犬猫は、不妊手術を受けること。すると多くの病気が同時に防げます。よく躾けること、噛む、引っかく猫は診察がむずかしくなります。その都度処置が必要です。年に最低1回の健康診断、問題はこの時獣医師が何を調べるかで、すべて決まります。6歳以上は年2回、12歳以上は年3回のより重点的な病気に焦点を合わせた診療が最も重要です。年1~3年に一回は予防接種を受けましょう。毎年必要とは限りませんまたノミの駆除も重要です。歯石の除去も重要です。できれば同じ場所、時間で歯を磨きましょう。できない場合は動物病院にて相談。
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