三鷹獣医科グループ

犬

動物別情報


よくある質問

1~10

1

薬の副作用で胃潰瘍になった?

3歳のシー・ズーのシロが両後脚を内股にして歩くので、病院でレントゲン検査を受けた結果、椎間板ヘルニアと診断されました。脊髄注射と内服液の治療を始めて間もなく、1日に5回くらい吐くようになりました。食欲もなく、水を飲んでも吐きます。内容物は焦げ茶色の液体に、未消化のフード、薬、微量の鮮血が混じっています。内服液が強すぎて、胃潰瘍になったと診断されました。優先的に胃を治すために、ヘルニアの薬をストップしましたが、後脚は悪くなる一方で、今では自力で立ち上がることすら困難な状態です。設備上の理由により、ヘルニアの手術は受けられません。数日前から、睡眠中に下半身がブルブル震えるようになりました。このような病状の場合、日本ではどのような治療法が可能ですか。治療のために、シロを日本へ連れて帰ることも真剣に考えていますが、成田空港はヘルニアの犬を受け入れてくれるでしょうか。もちろん、狂犬病と6種混合ワクチンは接種済みです。上海はペットケアに乏しく、適切なケアができません。治療方法やアドバイスをお願いいたします。(シー・ズー/3歳/♀ 上海市/ホサニ悦子)

シー・ズーはダックスフンドとともに、椎間板ヘルニアを起こしやすい犬種として知られています。もちろん、手術プラス内科療法という治療法がベストですが、いろいろな事情で内科療法を行ったのだと思います。内科療法ではステロイド剤を使 いますので、たまに胃潰瘍等を起こすことがあります。

あなたの愛犬の場合は、やはり胃潰瘍の治療を行うことが大切でしょう。胃潰瘍を予防する薬はいろいろあり、「H2ブロッカー」が代表的な薬です。食事は、消化のよいものを少量ずつ与えましょう。胃潰瘍は嘔吐するとき出血を伴う場合があります。嘔吐がなくても、胃潰瘍がある場合があります。食欲があれば胃潰瘍はないと考えられるので、常に食欲があるかどうかに注意してください。

ヘルニアのケアについては、上海には鍼治療等を受けられる動物病院があるはずです。そのような治療を受けてみたらいかがでしょうか。ヘルニアでは、膀胱炎(尿が出る)から腎臓炎となり、末期の尿毒症を起こして死亡するというケースが最悪です。排尿排便ができる状態にすることが大切です。特に尿の場合、お腹から膀胱に触って、出してあげることが必要になる場合もあります。少し慣れればできますから、先生に教えてもらってください。また、尿を観察し、血が混じっていれば膀胱炎が疑われますから、先生に報告してください。また、水をいつでも飲めるようにしておいてください。

2

若年性白内障はどういう病気なのか?

4歳のW.H.ホワイト・テリアが1カ月くらい前から、光線の具合で目が白く見えるようになりました。散歩中も、ベンチの角や電柱に頭をぶつけるようになったので、ホームドクターに診てもらったところ、若年性白内障と診断されました。設備のある病院で検査したところ、片目は光を通さず、もう一方の目はかすかに光を通すのでぼんやりは見えているといわれました。手術は非常に複雑で難しく、100%成功するわけではないといわれ、手術をするべきかどうか悩んでいます。また、漢方などで進行を阻止することはできるのでしょうか。若年性白内障はどういう病気なのか、手術をしたほうがいいのかどうかなど、もっと詳しく知りたいと思います。もし、手術をしなかった場合、今後どういうことに注意しればよいのか、アドバイスをいただけますか。 (W.H.ホワイト・テリア/4歳/♂ 千葉県/H.A)

手術をすべきかどうかということですが、白内障の中では若年性白内障は最も手術がしやすいものです。しかし、動物の場合、手術はすべてうまくいくということはありません。手術がうまくいくかどうかは、犬の状態と手術を行う医師の技術にかかっています。あなたの愛犬の場合、もう少し目の検査が必要だと思います。

家庭でできる検査方法があります。犬を台の上に置いて、丸めたティッシュペーパーを上から落とします。犬は見えればそれを追います。その検査を左眼と右眼で、また明るいところと暗いところでやります。

もうひとつの方法は、犬を真っ暗な場所に5分くらい置いて、目の前の10センチくらいのところでカメラのフラッシュをたきます。そのとき犬がまったく光に反応しなければ、網膜を損傷していますから、手術をしても治りません。もし失明してしまった場合、特に慣れない環境で物にぶつかったりしないように、気をつけてあげてください。いずれにしても眼の病気は難しいので、眼科に詳しい獣医師に診察してもらうことが望ましいでしょう。

3

ドッグフードをぜんぜん食べません。

ぼくの犬(パピヨン)はドッグフードをぜんぜん食べません。肉は、モグモグとおいしそうに、ペロリと食べてしまいます。どんなにお腹がすいていても、ドッグフードを食べません。栄養がかたよってしまうのが、不安です。いろんなものを食べさせたいのですが、どうやって食べさせたらいいですか。 (パピヨン/4カ月/♀広島県/H.I)

結論をいえば、あなたの犬は贅沢なだけです。ドッグフードを食べない犬はいません。飼い主が、おいしいものしか食べないようにしつけてしまったのです。犬は頭がいいので、ドッグフードを出されると「食べてもいいんだけど、食べないでいると、飼い主はもっとおいしいものを出してくれる」ことがわかるのです。これまでの世界の文献を見ても、ドッグフードを前に出しておいて、餓死したという犬の報告はありませんから。ドッグフードを食べさせるには、だんだん慣らしていく方法があります。よく知られているのは、10日間で変える方法です。まず、犬が健康な状態のとき、1日間、少しかわいそうでも食事をあげません。2日目に今までの食事(おいしい肉)3分の1、ドッグフード(細かくしたほうがいい)3分の2を混ぜて与えます。これを3日間続けてください。その次の3日間は、今までの食事とドッグフを半分ずつ混ぜて与えます。最後の3日間は、今までの食事3分の2、ドッグフード3分の1を混ぜて与えてください。そして、その次の日からドッグフードだけを与えます。この方法を試してみてください。あるいは、無理にでも口の中にドッグフードを入れ、味を覚えさせる方法もあります。いずれにしても、自分の好きなものしか食べないと、病気にかかったとき、非常にたいへんなことになりますので、ドッグフードを食べるようにしつけてください。

4

ニキビダニ感染と診断されましたが治療法は?

3歳のスムースのチワワが、3カ月くらい前に、耳がかぶれ、かゆがるので病院に連れていきました。ニキビダニ感染と診断され、治療しています。全身に広がることもなく、耳も治りましたが、まだ治療が終わりません。どのくらいで治療が終わるのでしょうか。2週間に1回の注射、1週間に1回の注射をそれぞれ受け、1日に2回、薬を飲ませていますが、吐いてがかりいます。2~3日薬を飲むのを休むと元気になるのですが、吐くときは1日に10~15回くらい吐き、最後に白い泡みたいなものを吐きます。注射を打ったり薬を飲ませることをできるだけやめたいのですが、ニキビダニを減らすにはほかに方法がないのでしょうか。免疫機能の低下が原因といわれましたが、どうすれば予防できますか。詳しく教えてください。食いしん坊で、食べ物に好き嫌いはありません。(チワワ/3歳/♂ 宮城県/C.S)

ニキビダニ症は、皮膚病の中でも最も治りにくいものとして知られています。1歳前後の若いときに発症すると、治療の有無に関わらず、だいたい2~3歳までには消えてしまいます。しかし、3歳以降に発症した場合は非常に治りにくく、ひどいケースでは、生涯にわたって治療が必要となることもあります。最近は、新しい治療法が数多く考案されています。たとえば、ある種のフィラリア予防薬を通常より多く、2~3カ月間飲ませる方法などがあります。

飼い主の方にできる治療法としては、まず温度管理が大切で、暑い場所で生活させないことです。また、皮膚が乾燥しているとよくないので、ベビーオイルを少し塗って、皮膚を湿らせてあげるとよいでしょう(ただし、塗りすぎてベタベタにするのは逆効果)。定期的に根気よくシャンプーをすることも、とても大切です。一般的には硫黄の入ったシャンプーを使うとよいでしょう。

なかなかよくならず、かえって悪化するような場合は、かかりつけの病院で、愛犬の将来の経過の予測、現在の治療法、起こり得る副作用などについて聞いてみるのがよいでしょう。十分に納得できなければ、皮膚病のより得意な病院に相談するのもよいかもしれません。

5

フィラリア検査でミクロフィラリアと診断されました。

12歳のジャーマン・シェパードですが、昨年フィラリア予防薬を飲ませるのを何度か忘れ、今年のフィラリア検査でミクロフィラリアと診断されて、投薬を受けました。先生は、フィラリアの卵や幼虫を幼虫のまま死ぬようにするというような説明をされました。それなら1日も早く飲ませたほうがいいような気がしますが、5~11月の期間しか投薬しないといわれました。よく理解できませんので、わかりやすく説明していただけますか。(ジャーマン・シェパード/12歳/♀ 岐阜県/M.S)

おそらくその主治医の先生は、予防薬を忘れた期間が短いので、成虫はいないと推定して、治療法を選ばれたのでしょう。フィラリアの幼虫の寿命はだいたい1~2年ですので、通常に予防薬を与えながら、幼虫が自然死するのを期待しているのだと思います。これもひとつの方法といえるかもしれませんが、あまり積極的とはいえません。もし成虫がいる場合、成虫の寿命は5~6年ですから問題だと思います。

最もよい方法は、まず成虫がいるかどうかを超音波検査等で調べます。あるいは、超音波の設備がない場合でも、成虫がいると仮定して、成虫を駆除することです。フィラリアの成虫の駆除にはヒ素剤を使用しますが、この治療法は慎重に行わないと、動物が死亡することもあります。そのため、この方法を好まない獣医師も多いと思います。通常は、きちんと検査等を行えば問題はありません。成虫を殺した後に、幼虫を殺すプロセス(これにはまた別の薬が必要です)をとりますので、治療期間は約半年に及びます。こうして、成虫と幼虫を駆除してから、予防薬を投与するのが最もよい方法です。

問題は、あなたの愛犬に現在、成虫がいるかどうかです。心配でしたら、超音波検査の設備のある病院で診察してもらうとよいでしょう。ご質問の予防薬の期間ですが、地域や気温などによって蚊の発生する時期に多少違いがありますから、それに伴って違ってきます。通常は、5、6月ごろから11、12月ごろまで飲ませます。それ以外の期間は不要です。

6

水頭症になった場合、治療によって長生きできますか?

チワワに多いそうですが、大泉門が開いたままで、閉じる可能性は低いといわれました。アカルスとコクシジウムの治療のため通院していましたが、これは治ったようです。しかし、先生からは水頭症に気をつけるようにいわれました。家では、頭などをぶつけないように気をつけているのですが、とても元気で、ぬいぐるみやおもちゃなどで遊んでいるときなど、コツンコツンとぶつけているようです。あまり神経質になってはいけないと思うのですが、心配です。もし、水頭症になった場合、治療によって長生きできますか。また、1度だけですが、抱いているとき、急に口がクチャクチャして泡を吹いたことがあります。すぐにおさまり、ケロッとしましたし、その後そのような症状は出ていません。てんかんの可能性は考えられますか。(ロングコート・チワワ/4カ月/♂ 東京都/M.S)

チワワは、泉門(頭のてっぺんのへこんだ部分)が開いたままになっているのはふつうですが、問題はその大きさです。愛犬はどの程度開いて(へこんで)いますか。約1cm前後ならふつうは大丈夫ですが、2cm以上くらい開いていると問題が起こることがあります。いずれ水頭症など、いろいろな病気の発症が考えられます。通常は年齢が進むにしたがって閉じてくるものです。水頭症は軽い場合は治りますが、重症の場合は深刻です。

最も重要なことは、その部分を強く刺激しない、打たないように気をつけることです。頭を叩くことは絶対にやめて下さい。高いところから落ちないように気をつけてください。もし心配なら、1cm以上の場合は、できたら1度、頭部のX線検査を受けて、頭部および頸部を調べるとよいでしょう。チワワには、「環軸亜脱臼」という首がフラフラして安定しない病気も多発します。この病気は頭を無理に下げると発症しやすいので、気をつけてください。急に泡を吹いたということですが、すぐに治まったのでしたら「てんかん」の可能性はあまり考えなくてもよいでしょうが今後も続けて起これば要注意です。また今後、どのようなときに起こるか、気をつけて観察してください。

7

帝王切開では、どのような縫合方法が一般的なのでしょうか?

初産のとき、陣痛がこなかったため、帝王切開で出産させました(生まれた仔犬はメス1頭)。ブリーダーさんに経過を説明したところ、切開部分を閉じるのにホッチキスのような閉じ方をすると、仔犬が失明する可能性があるので、縫い直してもらったほうがいいといわれました。もう1度、麻酔をかけるのはとても心配だったので、やめましたが……。帝王切開では、どのような方法が一般的なのでしょうか。教えてください。(W.H.ホワイトテリア 4歳♀ 兵庫県/Y.G)

最近では、手術の切開部分を縫合する際、ホッチキスのような特殊な器具を使用することがあります。おそらく、ブリーダーさんは、閉じるときに使った針が、仔犬がお乳を吸うときに目に当たって傷つくことを心配して、そのようにいわれたのでしょう。確かに、その心配が絶対にないとは言い切れませんが、現実には針が仔犬の目に当たることはまずありませんし、1週間から10日前後で切開部が癒合すれば、針を除去しますから通常は問題はありません。ですから、おっしゃるように、もう1度麻酔をかけて縫合することには、まったく意味がないでしょう。一般的には、帝王切開では仔犬がお乳を吸うことを考え、柔らかい糸で縫合することが多いでしょう。しかし、ホッチキスのような器具を使うと、麻酔時間が短くなる(当然、術後の合併症は少なくなる)など、いろいろなメリットもあります。

8

上の歯がグラグラしているのに気がついたのですが。

仔犬の頃、牛皮を喉に詰まらせて以来、ガムや固いおやつを食べなくなりました。食事は丸飲みします。口臭が強く、歯茎は色も悪いし弱いので、歯磨きをすると血が出ることもあります。現在、実家で飼われているため、私は月に3回程度しか会えず、そのときだけ口腔ケアを行っています。最近、上の歯がグラグラしているのに気がつき、全体的に歯がもろくなっている感じがします。知人から「あまり長生きしないかもしれない」といわれ、心配です。体重減少も見られます。病院へ行けばいいのですが、なかなか行けません。(M.ダックス・ロング 5歳8カ月♂ 熊本県/M.K)

あなたの愛犬は、おそらく重度の歯肉炎にかかっていると思われます。口臭が強いのは、歯石が溜まっていることが原因で、歯の根元が黄色くなっているはずです。歯石は非常に有害な物質です。愛犬は毎日毒素を飲み込んでいることになり、それが全身にまわって体に悪影響を及ぼしていると考えてください。体重減少も、おそらくその影響でしょう。対応としては、まず全身麻酔をして、完全に歯の掃除をしなければなりません。ですから、そのような治療ができる病院を見つけて、早く処置をしてください。その後は、家で定期的に歯磨きをすることをお勧めします。歯磨きの方法については、病院で指導してもらってください。

9

腎臓が悪くなる原因として、どういうことが考えられますか?

生後10カ月のシー・ズーですが、最近、食欲がなくなり、1日中寝てばかりいるので、獣医さんに診てもらったところ、腎臓が悪く、貧_だといわれました。現在は、いただいた療法食と1日2回の内服薬(カプセルでKRH102と書いてあります)を与え、様子を見ています。腎臓が悪くなる原因として、どういうことが考えられますか。生後2カ月でわが家に来たときから、水をたくさん飲む犬でしたが、何か関係ありますか。現在でも、よく飲みます。また、この先、薬を飲み続けることで、他の臓器に影響が出ることがありますか。その他、日常生活で気をつけることがあったら、教えてください。(シー・ズー 10カ月♀ 石川県/H.Y)

10カ月のシー・ズーで腎臓が悪い場合、ほとんどが先天的なものです。特にシー・ズーとラサ・アプソは、先天的な腎臓病(腎臓の皮質形成不全)をもって生まれてことが多い犬種です。あなたの愛犬は腎臓が悪いといわれたわけですが、より適切な治療を行うには、腎皮質形成不全を含め、どういうタイプの腎臓病なのかを調べる必要があるでしょう。調べる方法としては、腎臓の超音波検査をし、細胞の一部をとる検査(生検)を行わなければなりません。これらの検査のできる病院は数多くはありませんが、もし行えば最も正確な診断ができるでしょう。今後どのくらい生きることができるかを知るためにも、現在の状態(初期か中期か末期か)を正しく判定する必要があります。

KRH102はクレメジンという薬で、日本で比較的最近、開発されたものです。簡単にいえば、腎臓の悪い毒素を吸収してしまう作用がありますが、同時に他の薬を投与した場合、その薬も吸収してしまいます。また、犬に投与する場合、かなり大量でないとあまり効果はないという報告もあります。日常気をつけることは、まず良質のタンパク質を少量与えることです。タンパク質を多く食べると、腎臓に悪影響があるといわれています。水は自由に飲ませてください。また、なるべくストレスのない環境で生活させましょう。

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最近、目ヤニ(涙か?)がよく出るようになったのですが。

もうすぐ4歳になる雑種です(ラブラドールが混じっているようです)。最近、目ヤニ(涙か?)がよく出るようになり、目頭のところが茶色になりました。かなりまめに拭いたり、目薬(人間用)で拭いたりしていますが、全然よくなりません。動物病院の先生に診てもらいましたが、「目薬で拭いてあげてください」といわれただけでした。部屋で飼っています。体重は20_で少し太り気味です。食事は手作り(野菜、肉、魚などの水煮)が主で、ときどき缶詰やドッグフードを与えています。食生活に関係があるでしょうか。(雑種 4歳♀)

目ヤニが出るとのことですが、問題はその原因です。原因としては、一般的な細菌感染か、あるいは先天性の目の異常(眼瞼内反症、眼瞼外反症)が考えられます。全身症状(体全体の異常)に伴って、目ヤニが出ることもありますが、愛犬は元気なので、おそらく目だけの局所的な病気でしょう。治療法としては、抗生物質の入った眼軟膏等を数日間使用して、様子を見ることもあります。軽い刺激による感染症などは、通常この方法で治ります。1日に2~10回程度、こまめに使用してください。眼瞼内反症はまぶたが内側にめくれているもの、眼瞼外反症は逆に外側にめくれているものです。これらは最終的には手術が必要となります。食生活にはまず関係ないと考えてよいでしょう。眼科の得意なより専門的な病院で、もう一度診察を受けることをお勧めします。

11~20

11

ジステンパーのウイルスの消毒法について。

ペットショップから来たばかりの犬ですが、鼻水、咳、くしゃみが治らず、検査したところ、ジステンパーでした。症状はそのうちおさまり、元気になったのですが、後遺症を考え、ペットショップで交換してもらうことにしました。ところが、家の中にジステンパーのウイルスがいるので、2~3カ月は犬を飼えないといわれました。病院も同じ答えでした。犬舎はハイターで消毒し、天日干しを繰り返しています。部屋も洗えるものは洗い、ハイターで拭きました。1日も早く新しい犬を迎え入れられるよう、アドバイスをお願いします。(キャバリア 2カ月♂ 富山県/M.O)

ジステンパーのウイルスが2~3カ月間生存するのではないかという問題についは、かなり以前はそのようにいわれたこともあるかもしれません。しかし、現在ではそのようなことはないと考えられています。このウイルスは、熱、紫外線、乾燥状態、洗剤、消毒剤などに反応し、効力を失います。したがって、犬が生活していた環境を掃除したり、消毒したりすれば、ウイルスは死滅します。特に比較的温暖な地方では、ハイター等で掃除すれば、ウイルスはすぐにいなくなります。しかし、このウイルスは寒い環境下では長く生存し、氷点下に近いところでは数週間、凍結状態では数カ月から数年間は生存するといわれています。このようなウイルスの特徴から、寒くない場所や時期であれば、犬の生活していた環境を掃除・消毒した後、すぐにでも仔犬を迎えてもまず問題はないでしょう。ただし、その際には、仔犬の健康状態に十分に注意しましょう。特に寄生虫がいると、予防注射を打っても、効果が弱くなりますから、寄生虫の検査が重要です。そして、ワクチンの回数を多めにすれば(通常は生後2カ月頃と3カ月頃の2回)、まず心配はないでしょう。

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心臓病と乳腺のおでき(たぶんガン)のために苦しんでいます。

まごは心臓病と乳腺のおでき(たぶんガン)のために、1年半も苦しんでいます。苦しそうに咳をしているとき、薬を与えたり、抱いてやるほか、ただ見ていることしかできず、心が痛いです。獣医さんからも、「今度何かあったら、楽にさせることも……」といわれています。お別れのときは必ず来るし、私が看取らなければいけないと思っているのですが、しっかり見送ることができるかどうか心配です。獣医さんにお任せすれば、簡単だと思うのですが……。(マルチーズ 11歳♀ 神奈川県 /M.N)

まず、乳腺腫瘍は、遅くとも3歳半頃までに避妊手術をすれば、ほとんど防げる病気であることを知っておくべきです。今後犬を飼うことがあり、子どもをつくらない場合(あるいは子どもをつくった後)は、避妊手術をしておくとよいでしょう。心臓病は、高齢になると多発しますから、発症そのものを抑えることはできませんが、発症を遅らせることは可能です。

大切なことは、若いときから定期的に健康診断を受け、早期発見を心がけることです。あなたに今できることは、できるだけ犬の苦痛をやわらげるように、十分に看護することです。一番大切なことは、心臓病の特別食がありますので、それを食べさせることです。同じような食事を自宅でつくることも可能なので、つくり方については、病院で聞いてください。

次に大切なことは、できるだけ安静を保つことです。そして、三番目の治療法が投薬です。錠剤をいやがる場合は、液体にするなど、飲ませる努力も必要です。四番目は、換気をよくし、暑すぎたり寒すぎたりしないように、環境に気をつけることです。また、心臓病の犬は、末期になればなるほど痩せてきますので、少なくとも毎月、できれば一週間ごとに体重を測り、病状の進行状態をチェックすることも必要でしょう。苦痛があまりに大きい場合は、最後の手段として安楽死等を考えなければならないこともありますから、やはり心の準備は必要だと思います。できるだけ、犬が苦しまないような環境づくりをしてあげてください。

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M・ダックス(♀)のリウマチのことで相談します。

3歳7カ月のM.ダックス(♀)のリウマチのことで相談します。初めは、椎間板ヘルニアの疑いがあるということで、後肢のよろけが目に付いたのですが、次第に後肢の手根関節の腫れや、脚の付き方が普通の犬より深い(ペタペタしている感じ)ことも気になりだし、かかりつけの病院から紹介してもらい、98年2月、獣医大付属病院で診察してもらうことになりました。その結果、椎間板には異常はなく、慢性関節リウマチと診断されました。以来、月に1度程度、血液検査を行い、薬による治療を続けていますが、手根骨の破壊が思いのほか早く進んでおり、この状態では、関節固定術も行えないといわれました。しかし、ホームドクターの先生は、関節固定を行わないと、パッド以外の場所で着地していることにより、皮膚がダメになってしまうといいます。また、小さいときから、後肢の膝蓋骨が脱臼しており、最近の診察では、十字靱帯が切れてしまっていることがわかったのですが、いずれの手術不可能とのことです(手術をしても、次々と破壊が起こるそうです)。私としては、どうしてよいかわかりません。少しでも犬の苦痛をやわらげてあげたいし、日常生活で飼い主にできることはないでしょうか。与えて良い食べ物や、悪い食べ物はあるのでしょうか。飼い主ができる日頃のケアについて、アドバイスをお願いします。(M.ダックス 3歳7カ月♀ 埼玉県/K.K)

関節リウマチはなかなかやっかいな病気で、治療が非常に難しく、飼い主の方にできることはかなり限られています。それでも、日常のケアは治療の一環としてとても大切です。まず、温度管理をしてください。暑すぎても、寒すぎてもいけません。特に寒い環境では、痛みを強く感じ、病気が悪化することがあります。犬が過ごしやすい一定の温度を保つことが大切です。また、床が滑る場所では足腰に負担がかかり、苦痛を伴います。したがって、ジュウタンの上など、足腰をしっかりと踏ん張れる場所で生活させてください。また、寝るところも、柔らかい布団を敷くなど、関節が固いところに当たらないようにします。

食べ物は刺激性のあるものを避け、良質のタンパク質を少量与えます。薬は通常、免疫抑制剤が使われます。特にステロイド剤等を使用している場合、多飲多尿になり、尿をあちこちにすることもあるので、その世話も必要です。皮膚を保護するために、薬を塗ることも効果的でしょう。比較的強い薬を使用することが多いので、担当の先生からどんな副作用が出るかを聞いて、それに対してどのようなケアをするべきかを教えてもらうことも大切です。

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豚のゲンコツを食べた次の日に、糞の一部が白くなります。

ブタのゲンコツを1日おきにおやつとして与えていますが、ゲンコツを食べた次の日に、フンといっしょに白い糞が別に出てきます。カルシウムが多すぎるのでしょうか。トンソク半分をパックにしたものが売られていますが、ビタミン、ミネラルは入っているのでしょうか。(柴犬/♂1頭、♀3頭:シェパード/♂1頭)

最近、いろいろなおやつが販売されていますが、それらにカルシウムが含まれていることは多分に考えられます。しかし、現在はドッグフードを正常量食べていれば、病気でない限り、カルシウムが不足することはありません。かえって、カルシウムをとりすぎて病気になることが指摘されています。また、カルシウムが多いから白い糞が出るということはないと思います。成分にもよりますので、製造メーカーに直接聞いてみるのがよいでしょう。トンソクには当然ミネラルは入っていると思われますが、いろいろな食べ物にビタミンやミネラルが入っているかどうかについても、メーカーに問い合わせるのがよいと思います。しかし、入っていたとしても、その量や内容が重要となります。なお、おやつはあくまでもおやつとしてときどき与えるのであればいいのですが、これらを主食にしてはなりません。

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近頃鼻の色が少しずつ抜け、ピンク色がかってきました。

1歳のG.レトリーバー(♀)の鼻が近頃少しずつ色が抜け、ピンク色がかってきました。生まれたときはもちろん、つい最近まで真っ黒で、塗れた黒い鼻が自慢でしたが、このままでは間もなくピンク色になってしまいそうです。ほかの犬を見ていると、特にレトリーバー系にかなり見つかります。飼い主さんに聞いてみると、生まれつきピンク色だったという人は少なく、ほとんどが成犬になってから、色が抜けたそうです。これまで、ミックス、シェパード、ハスキーを飼ってきましたが、色抜けしたことはありません。どうして色が抜けるのでしょうか。進行を止めることはできないのでしょうか。また、色が抜けてしまった鼻を、元に戻すことはできないのでしょうか。足の裏の「あんぱん」(パッド?)も少しピンクがかってきています。ちなみに母犬、父犬とも、鼻は真っ黒です。(ゴールデン・レトリーバー 1歳/♀)

鼻の色が変化するということはかなり聞かれますが、これは遺伝的なものです。多くの場合、成犬になって色が少し薄くなってきます。もちろん、色は薄くならないのがふつうですが、薄くなるのは通常、遺伝的な要因によりますから、無理に進行を抑えることはできません。ある場合は、進行が自然に止まることもあります。また、まれに色素が抜ける病気もあります。これも、遺伝的な要因であるとされています。通常、色が抜けてしまった鼻を医学的に元に戻すこともしません。これは人間でいえば美容整形の分野に入ります。どうしても黒くしたい場合、外科手術で(無理に)黒くする方法もないわけではありません。鼻に入れ墨をするような方法と考えればいいでしょう。

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クッシング症候群について教えてください。

14歳になる雑種ですが、血液検査をしたところ、ALTが185もあり、ALPも706でした。クッシング症候群の疑いがあり、もう治らないといわれました。状態が悪いときは、左足をあげて立ったり、人間が抱くと、痛がりました。足にさわっても痛がらないのですが。食事はヒルズのシニアとメンテナンスを混ぜて与えていますが、あまり食べてくれません。体重も10kから8.5kに減り、やせています。他のドッグフードは喜んで食べますが、ALTの数値を考えると、ヒルズ以外は与えたくありません。しかし、食べないので、肝臓にやさしく、おいしくて体重を維持できるものをさがしています。食事は着色料や添加物の入っていないフードを与えたいと思っていますが、適正量の3分の1しか食べません。水をよく飲みます。食べ過ぎるとすぐお腹をこわし、便に血が混じります(以前、痔になってからです)。クッシング症候群について教えてください。また、どんな食事をどのように与えたらよいか、犬のためにどのように対処したらよいか、教えてください。(ミックス/14歳♀ 和歌山県/Y.K)

重要なことは、あなたの愛犬が本当にクッシング症候群、すなわち副腎皮質ホルモンの増多症かどうかを鑑定することです。これは各種の検査で比較的簡単にわかりますが、診断してからは少し複雑です。ただ水をよく飲むからとか、ALTやALPが高いからといって、この病気とは限りません。糖尿病、子宮蓄膿症、慢性腎炎、その他の病気でも水をよく飲みますので、鑑別が必要となります。

一般的には、この病気の犬は水をよく飲み、食事をたくさん食べ、尿もよくします。また、全身が脱毛したり、お腹が出てくることなどが、典型的な症状です。鑑別は、ACTH刺激ホルモンまたは少量のデキサメサゾン検査のどちらか、あるいは両方により行います。もし診断が確定したら、また別の検査を行い、副腎腫瘍か下垂体性かを鑑別します。したがって、少し複雑です。

食事は、良質のタンパク質を規定量与えるのがよいと思います。できればより専門的な病院で、再検査をしたほうがよいでしょう。

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家から出ると動かなくなります。また、気管支炎は完治しますか?

最近、犬を飼いはじめました。あまりにもかわいいので、早くお散歩に行きたいのですが、家から1歩外に出ると、座り込んだまま動かなくなります。少し離れたところから、「オイデ」と言ってもダメです。家の中では、うるさいくらい走り回っています。犬は外に出ると喜んで走り回ると思っていたのですが、間違いなのでしょうか。リードを引っ張っても動きません。また、咳が出るので獣医さんに連れていったら、気管支炎だといわれました。薬をもらって飲ませていますが、まだよくなりません。気管支炎は完治しますか。犬自身は食欲もあり、とても元気です。咳は、遊んで暴れたあとなどに出ます。(柴犬/3カ月半/♂ 大阪府/ペンネーム・ラブリーだいすけ)

かわいい犬ということでよいですね。散歩の件に関しては、無理に外へ出すことはないと思います。あなたの愛犬のように、外へ出るとまったく動かなくなる犬もたまにいます。年齢が増すにしたがって、徐々に治ることはありますが、生涯まったく治らないケースもあるようです。ですから、無理には連れまわさなくてもよいでしょう。どうしても外に出て散歩をさせたいと思うのなら、適当なところまで犬を抱いていって、その場で少しおろして周りの環境に慣らし、また抱いて家に連れ帰ってくるとよいでしょう。これを何回か繰り返していると、少しずつ外で歩くようになるかもしれません。

咳が出ることについて、動物病院で気管支炎だといわれたということですが、問題はどんな方法で診断されたかです。レントゲン検査等の結果、気管支炎と診断されたのなら、その診断が正しい確率はかなり高くなります。もしあなたの愛犬が首輪をしていて、それを引っ張るときに特に咳が出るのでしたら、気管虚脱(気管支の一部が狭くなる)や、気管の未形成(気管支自体が生まれつき小さい)などの病気があります。通常の薬を投与して、気管支炎の症状が治らない場合は、それらの病気も疑われますので、より専門的な病院で調べてもらったほうがよいでしょう。

いずれにしても、あなたの愛犬はもともと上部の気道の炎症があるようです。首輪を引っ張られると咳が出る場合は、気管の先天的な異常や重度の炎症があると考えていいでしょう。その場合、胴輪にすることを考える必要があります。ただし、引っ張る力が強い犬では、人間が引っ張られ、危険なことがありますので、注意してください。

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病院に連れて行ったら、アレルギーだといわれました。

生まれたときは、パピーフード、少し大きくなってからは、ドライフードをミルクに浸したものや、生タイプにミルクをかけたものを食べていました。成犬になってからは、ドライフードはまったく食べなくなってしまいました。お腹が空いたら食べるだろうと思って用意しても、絶対に食べません。仕方がないので、缶詰を与えています。そのためかどうかわかりませんが、体中を掻きむしるので、病院に連れていったら、アレルギーだといわれました。脚の付け根、肉球の爪の生え際、目の周りなどをかゆがり、赤くただれてかさかさになっています。目ヤニも出て、目が充血しています。夜中、特にかゆくなるようで、うなり声をあげて掻いたり嘗めたりしています。外耳炎もあり、アレルギーが原因といわれています。食事やおやつは牛肉や牛製品が中心だったので、牛アレルギーといわれ、鶏肉中心の食事に変えるように指示されました。食事を少しずつ変え、病院からもらった薬を飲むことで、かゆみや痛みはいくらかなくなったようです。このまま薬を飲み続けなければならないのでしょうか。アレルギーは治るのでしょうか。とても心配です。(シー・ズー/5歳♀ 福島県/T.S)

症状をお聞きすると、やはりアレルギーが最も疑われると思います。アレルギーにもいろいろありますが、まず、ノミアレルギーでないかどうか調べます。ノミが見つかった場合、現在ではよい薬がありますので、ノミを駆除してください。もし、ノミが見つからなくても、予防のために処置する必要があります。

次に、食事アレルギーか吸引アレルギー(アトピー)が疑われますが、愛犬は牛アレルギーと診断されたようです。食事アレルギーは、食事を変える(過去に食べたことのない食事を与える)ことによって治療します。どういう食事を与えるかは、獣医さんの指示に従ってください。アトピーである可能性もあります。アトピーの原因の70~80%はハウスダストマイトと家に住むチリダニです。このアレルギーは6カ月~3歳くらいの年齢で発症し、7歳以上で発症することはまれです。したがって、年齢が診断を下すときの助けになります。

治療には、まず家をこまめに掃除することが重要です。特に殺ダニ用の掃除機で掃除するとよいでしょう。一般に、アレルギーは暖かい環境で症状が悪化します。したがって、夏は症状が悪化し、冬はおさまることが多いでしょう。ただし、食事アレルギーは季節とは関係がありません。

また、皮膚が乾燥しすぎると、非常にかゆがります。皮膚の乾燥を防ぐ簡単な方法があります。酢と水を1対1くらいの割合で混ぜ、霧吹きで軽くスプレーしてあげてください。状態によって、かゆがっている部分に1日に1~2回スプレーすると、かなり効果があります。アレルギーの症状はだいたい皮膚に現れますから、皮膚病に詳しい獣医師によく相談し、治療方針を決定するのがよいでしょう。

まれに、特異的な免疫特性をもつ犬がいます。このような犬は、アレルギーが非常に治りにくい体質をもっています。いずれにしてもアレルギーは治る病気ではなく、いかに症状を抑えるかが治療のポイントになります。薬は種類を変えながら、飲み続けることになるでしょう。その際、副作用のことをよく聞いておくことが重要です。いたずらに副作用を恐れて、薬をやめてしまうと、危険な場合もあります。獣医師と連係プレーをとり、根気よく治療を続けてください。

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徐々に麻痺が進み、腰をひねった際、歩けなくなりました。

3歳のオスのパグです。4カ月のとき、背中にコタツ板が当たり、脊髄損傷になりました。徐々に麻痺が進み、昨年夏、腰をひねった際、歩けなくなり、排泄コントロールもできなくなったため、岐阜大学家畜病院で神経を圧迫している骨を除去する手術を受けました。深部の痛覚はあり、現在は足先を刺激すると蹴り返してきます。尻尾も、排泄の際や歩こうとするときは上がります。立とうとはしますが、1~2秒しか立てず、すぐ座ってしまいます。歩けないので、車椅子をつくろうと思い、病院を通じて業者に問い合わせたところ、立とうとする犬の場合、車椅子の乗せると、怪我をしたり、うまく作動しないことが多いといわれました。岐阜大では、手術は成功したので、外科的にはほかにすることは何もないといわれ、またかかりつけの病院でも、以前は内服治療を受けていましたが(8カ月~1歳3カ月)、副作用が出たためその後治療はしていません。家でマッサージをしたり、屈伸運動をさせたりし、立つ練習をしています。散歩をさせてやりたいのですが、いい方法はないでしょうか。犬のためのリハビリ用車椅子はないのでしょうか。情報がないため、専門の開業医がいるのかどうかわかりません。尿は1日に3~4回、私がお腹を押してさせています。大便は、腹圧がかかると出ています。後ろ脚はかなり動かして歩こうとするようになりましたが、まだこすって歩いています。(パグ/3歳♂ 愛知県/C.N)

動物が神経障害を起こすと、飼い主の方は非常に看護が大変ですが、できるだけのことをしてあげてください。家庭でできる方法をお話しします。まず、リハビリが大事です。最もよい方法は泳がすことです。水に慣れていない犬は、なかなか水に入ろうとしませんが、最初は浅いところから始め、手で支えながらゆっくり歩かせたりします。慣れてくると、泳ぐ動作をするようになります。このようなリハビリ運動をして、脚の筋肉量を落とさないことが大切です。運動をしないと、脚の筋肉量が落ちてしまい、脚を使おうとしても使えなくなります。

2番目のリハビリ方法として、後脚の前、腹部の後ろのあたりをタオルで巻いて軽く引き上げ、後ろ脚が少しだけ床に着くようにして歩かせる方法があります。これは、床の滑らないところで行ってください。絨毯などを敷いた場所がよいでしょう。

3番目には、動物を仰向けにして、後ろ脚の屈伸運動をしてあげることです。痛がらない程度に、朝昼晩、それぞれ40~50回くらい行うとよいでしょう。

内科療法では、神経の炎症をとる内服薬を使ってもムダでしょう。また、もうステロイド剤を使用する時期でもないと思います。副作用が出たのは、ステロイド剤の副作用で水を大量に飲んだためと思われます。薬に関しては、実際に効果があるかないかはわかりませんが、理論的にはビタミンB剤を中心とした薬の投与が考えられます。

その他の方法として、効果については論議があるところですが、東洋医学を応用することです。レーザーを使用する方法や、鍼や灸などがあります。時間的にも経済的にも余裕があれば、これらの療法も試されたほうがよいと思います。ただし、確実によくなるという保証はありません

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いろいろな方法で食事をさせるのですが、食べてくれません。

4カ月のM.ダックス(♂)と3カ月のアイリッシュ・セッター(♂)がいます。最近、引っ越しをしました。M・ダックスが食事をせず、ドッグミルクはよく飲みむのですが、少しやせてしまいました。いろいろな本に書いてある方法で食事をさせようとするのですが、食べてくれません。少し前までユカヌバのパピー用を与えていましたが、皮膚の状態がよくなかったので、ソリットゴールドに変えました。ドライフードとdbfのビーフを主に与えています。間食にブタの耳、牛の爪、ペディグリー・デンタボーンを与えています。耳と爪はよく食べています。通常の食事を食べさせるには、どうしたらいいでしょうか。(M.ダックス/4カ月♂ 埼玉県/Y.U)

通常の食事をさせるには、根気がいると思います。方法としては、幼犬でなければ(あなたの愛犬は、質問時には幼犬でしたが、現在はだいぶん大きくなっているでしょう)、犬の調子がよさそうなときに、1~2日の間、水だけを与え、食事をまったく与えないようにします。犬が本当にお腹が空いてきたときに、食べさせたい食事を3分の1から半分くらい与えてみます。それを食べれば、続けて食べさせるようにします。もし食べない場合は、食べさせたい食事と今まで食べていた食事を半分ずつ、あるいは前者3分の1と後者3分の2を混ぜて与え、食べさせたい食事に慣らしていきます。

また、ほかに、10日間食事改善法という方法があります。まず1日か2日絶食し、その後の3日間は食べさせたい食事を3分の1、今までの食事を3分の2、次の3日間は5分5分にし、次の3日間は食べさせたい食事3分の2、今までの食事を3分の1にして与え、10日目に食べさせたい食事だけにする方法です。以上のふたつの方法のどちらかを選んで、食べさせてみるとよいでしょう。

神経質な犬の場合、引っ越しがストレスになった可能性もあります。できるだけストレスを与えず、犬が興味をもつようなことをしたり、変化のある生活をすることも効果があるでしょう。たとえば、犬の好きな運動をさせると、お腹の空くので、食事を食べるようになるかもしれません。工夫してみてください。

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近々血液検査をして、アレルゲンの特定をする予定ですが。

6カ月のW.コーギー.Pのアレルギーが心配です。細胞検査、カビ検査、検便は、どれも問題となる所見はなく、ノミに関しても、フロントライン・スプレーを毎月噴霧しており、ノミとりコームを使っても発見されません。ドクターにかかって1カ月になります。近々血液検査をして、アレルゲンの特定をする予定ですが、たいへん手間のかかる作業になるそうです。与えた食事や体調に関するデータを添付します。因果関係、治療方法などについて、一般論を誌面でうかがえたら助かります。(W.コーギー.P/6カ月♀ 福岡県/S.S)

状態からみると、吸引アレルギー(アトピー)だと思います。コーギーはアトピーの好発犬種で、若い年齢で発症するケースがよく見られます。(食事アレルギーも少しは関与しているかもしれませんが、犬の場合、発症率はアトピーが90%、食事アレルギーが10%です。)アトピーの治療で重要なことは、環境を整えること、すなわち家の中の掃除を徹底的にすることです。アトピーの原因の70%以上は、ハウスダスト(家の中のチリ)やハウスマイト(ダニ)です。もしできれば、環境も変えてください。たとえば、床は絨毯をやめてフローリングにするほうがよいでしょう。人間の場合と同じで、アレルゲンとなる物質を家の中から排除することが、一番大切な治療です。

アレルゲンの特定をする予定とのことですが、行わないよりは行ったほうがいいでしょう。しかし、その特定は容易ではありません。また、寄生虫がいると擬陽性となりますので、まず糞便検査やノミ・ダニの検査をし、いないことが確認されてから行うとよいでしょう。完全な治療法はありません。最近、人間で使われている抗アレルギー剤、すなわちヒスタミン系統の薬が使われてきています。しかし、動物の場合、効果はあまり高くありません。ただし、犬は代謝率が高いので、抗ヒスタミンを人間よりも多く使用すると、ある程度効果が高くなることがわかってきました。

その他、最近よく話題になる脂肪酸などを与えるのもよい方法ですが、値段の高いのが欠点でしょう。最も効果の高いのは、従来使われているステロイド剤ですが、使いすぎると副作用が現れます。したがって、症状が非常に悪いときにだけ使ったり、間隔をあけて使ったりします。 人間の場合、除感作といい、アレルゲンを少しずつ注入する方法があります。動物の場合、最低3~9カ月の治療期間を要し、完全に行えば70%は有効といわれていますが、行うことはなかなか難しいようです。

あなたの犬は、まず病気の抵抗力を増すこと、すなわち定期的に糞便検査をし、ワクチンを受け、フィラリアやノミの予防をきちんとすることにより、体力が落ちないようにすることが必要でしょう。4~5歳以上になると少しは落ち着いてくることもあります。根気よく、季節の変化や室温などにも気を配りながら、どのようなときにアトピーが出てくるかを観察するとよいでしょう。この観察に基づいて、症状が出そうな時期にきちんと治療をするのがコツとなります。なかなか大変なことですが頑張ってください。

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右側腰のあたりに直径4cmくらいのしこりができています。

右側腰のあたりに直径4cmくらいのしこりができ、少し押すと痛みがあるのか悲鳴をあげます。急いでかかりつけの病院へ連れていきましたが相手にされず、逆に飼い主である私が神経質になっているので、安定剤でも飲んだほうがよいとまでいわれました。別の病院で受診し、何かしこりがあることは間違いないといわれ、抗生物質を処方されましたが、排膿(膿が出る)されるまで待つしかないということでした。1月ばかり前に、タール便が出て、かかりつけの病院に右腰あたりに、下痢止めの注射(2日間)をされました。それが原因なのでしょうか。抗生物質を出してくれた先生は、副作用でしこりのできる下痢止めはあるが、今はあまり使われていないといっていました。最近、右肩にも、見てわかるくらいの大きさのしこりができています。食欲や元気はあり、便も普通に戻っています。このまま様子を見るだけでよいのでしょうか。とても心配です。(ヨークシャー・テリア/9カ月♂ 北海道/T.N)

医学上の常識として、もし注射を打った部位にしこりができれば、注射のせいを疑うのは当然のことです。きちんと滅菌し、正常の手続きで皮下注射を打ち、その結果しこりができたという場合、誰が打ってもそうなるので、ある程度致しかたないことでしょう。しかし、注射以外でもしこりができることはありますので、原因の判定は非常に難しいところです。

しこりを少し押すと痛みがあるということですが、しこりが固いのか軟らかいのか、熱があるのかないのか、また注射を打ってからどの程度の時間で広がったのかということが重要となります。通常、注射が原因となった化膿の場合、切開したり、針を刺して排膿したりして、化膿止めを打てば治ります。腫瘍等の場合は、そのような処置だけでは治りません。しかし、あなたの犬はまだ9カ月ですから、腫瘍の発生の可能性は少ないと思います。原因としては、異物の混入、圧迫による刺激、いろいろな細菌感染などが考えられます。

もし、その出来物がどんどん大きくなるようでしたら、ちょっとした外科手術が必要になると思います。あまり大きくならないうちに、もう少し積極的な動物病院を見つけて、再受診したほうが賢明でしょう。

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よくしゃっくりをし、けっこう苦しそうです。

4カ月になるゴールデンですが、家に来たときからよくしゃっくりをし、かなり長く続いてけっこう苦しそうです。今のところ、自然に治っていますが、大丈夫でしょうか。また、両耳の付け根の間の頭の部分に、人間の喉骨のような骨が突き出ています。2カ月くらいのときは、目で見てもわからず、さわると少し出ているかなと感じる程度でした。ほかの仔犬の頭に触ると、やはり同じようになっているので、一応安心しましたが、4カ月頃からすごく目立つようになり、今では人間の男性の喉骨のような大きさです。これは骨であり、肉の塊でないことは確かです。成犬になれば、目立たなくなるのでしょうか。手術をすれば治るのでしょうか。ほかに影響はないのでしょうか。(ゴールデン.R/4カ月♀ 岐阜県/M.S)

「犬がしゃっくりのようなものをしている」ということをよく聞きますが、医学的には動物がしゃっくりをするという報告はありません。おそらく何らかの呼吸器系の刺激や異常により、しゃっくりに似た動作をするのでしょう。一般的には、4カ月程度の仔犬の場合、上部気道の感染症などが原因でそのような症状が出ることがあります。軽い場合は、年齢が進むに従って自然に治ることが多いのですが、きっとあなたの愛犬もそのような経過をたどったのかもしれません。

両耳の付け根の骨のような部分については、実際に見てみないと何とも言えません。ある程度やせている動物では、その部分が目立つことがあるようです。しかし、何か呼吸器系に奇形があるとすれば、先ほどのしゃっくりのような動作の問題とも絡めて、専門的な病院で、上部気道系のエックス線検査等を受けたほうが安心かと思われます。動物があまりやせていなければ、通常はあまり目立たないので、問題にならないと思います。

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血液検査をしたところ、赤血球の値が高すぎるといわれました。

病院でフィラリア検査のため血液検査を行ったところ、赤血球の値が高すぎるといわれました。通常は45%くらいのところを59%あり、心配だといわれました。下痢や嘔吐を起こしたときは、診せてくださいといわれましたが、今のところは大丈夫です。ただ便が軟らかくなることが、たびたびあります。また、血液の流れが悪くなると、心臓に負担がかかるともいわれました。眠っているとき「ハッハッハッ」と息が荒くなることもあります。赤血球の値が高いと、どのような症状が出るのか、また治療はどうすればいいのか、詳しいことを教えてください。(日本犬ミックス/2歳3カ月♂ 岐阜県/M.S)

赤血球の値が高い場合、いろいろな病気や状態が考えられます。現在のところ、愛犬はある程度元気なようですが、定期的に検査をすることが大切です。1カ月おきくらいに検査を受け、どのような推移をたどるか調べてみるとよいでしょう。1カ月後に正常になることもあります。

通常、赤血球の値が高いと、脱水した状態を示していることが多いものです。また、この場合は、血液中のタンパク質の値も高くなります。「腸性毒血症」という病気もあり、ひどい下痢や嘔吐を起こします。この病気であれば、輸液や点滴により血液を薄めるという治療法がとられます。主治医の先生は、この病気を心配しているのでしょう。

最も難しい病気としては、真性の赤血球増加症があります。この病気であれば、いずれ動くとすぐに疲れたり、呼吸困難を起こすなどの症状が出てくるでしょう。これには有効な治療法はなく、瀉血、すなわち多すぎる血を抜くという方法がとられるくらいです。また、心臓の奇形のために、赤血球の値が高くなることもあります。よく運動をする動物でも、赤血球の値が正常値より高いケースが見られます。これは病的状態ではなく、普段から呼吸が苦しくならないように、赤血球の値が高くなっているのです。いずれにしても、今後、十分な経過の観察が必要となるでしょう。

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リウマチは治る見込みがないのでしょうか?

3歳のM.ダックスです。大学の家畜病院でリウマチだと診断され、そのときいただいた薬はよく効き、1週間くらいで目に見えてよくなりました。しかし、主治医からもらう薬はあまり効き目がないようで、2週間飲ませても状態が好転しません。大学病院は主治医から紹介されたので、主治医が大学病院に診断結果や薬の種類などを詳しく聞いてくださるということでしたが、なかなか聞いてもらえず、効果のある薬を出してもらえません。リウマチは治る見込みがないのでしょうか。症状が出たのは昨年の8月頃ですが、大好きな散歩の量が減っていき、立ち止まって動かなくなることが多くなりました。膝蓋骨脱臼も認められるということで、これからどうしていくべきか悩んでいます。犬にも痛みの自覚はあるはずとのことですが、少しでもよくなるように、飼い主として何かできることがあるでしょうか。(M.ダックスフンド/3歳♀ 埼玉県/K.K)

リウマチと診断されたということですが、おそらく関節リウマチのことをいっているのでしょう。これは難病のひとつです。薬の効き目ですが、同じ薬でも、初期の1~2週間は効いても、その後は効かなくなることがしばしばあります。主な理由は、長期間、大量にその薬を投与できないからです。

もし、どうしても最初の薬を知りたければ、大学病院に電話するか、あるいは受診を申し込み、薬の名前や処方量を聞くのがよいでしょう。そして、掛かり付けの病院に報告したらどうでしょうか。いずれにしても、リウマチは長期治療を要し、治るということはあまりないと考えなければなりません。できるだけ進行を遅らせたり、症状を抑えたりしながら、症状が消失するのを期待するしかありません。

飼い主にできることは、まず寒さに対する防御をきちんと行うことです。そして、規則正しい生活をし、運動も無理しない程度に、愛犬が動く範囲でさせるのがよいでしょう。立ち止まって動かなくなるのは、膝蓋骨脱臼と関係があるかもしれません。これは手術等によって治りますので、別の問題と考えてよいでしょう。また、もし痛みがあれば、鎮痛剤が必要になります。問題はどんな鎮痛剤をどれだけ使うかですので、よく動物病院の先生と相談なさるのがよいでしょう。

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走りまくり逃げてしまいます。しつけ方を教えてください。

一緒に生活しているロゴくんは、ふだんは特に問題のないよい子なのですが、時々びっくりするようなことをしでかしてくれます。近くのグラウンドでボール遊びをするのですが、ピーピー音のする軟らかいボールを、今までに10回以上飲み込んでしまいました。運良く、ウンチと一緒に出てきましたが。しかし、先日食べてしまったイチゴ形のオモチャは、3週間近くたっているのにまだ出てきません。ロゴはすごく元気で、よく食べよく遊び、これまでと少しも変わりません。空気が抜けているとレントゲンに写らないと聞きましたが、どうしてよいか困っています。しつけの問題かもしれませんが、ボールを飲み込んでしまうことに関しては、叱るタイミングがどうしてもうまくいきません。私をせせら笑うように、走りまくり逃げてしまいます。しつけ方を教えてください。(ラブラドール.R/♂ 大阪府/N.H)

年齢が書いてありませんが、おそらく3~4カ月前後と思われます。この時期には、きちんとしたしつけが必要です。詳しいしつけ法についてはいろいろな本がありますので、参考にしてください。できれば訓練を受けさせ、このような事故が起こらないようにしつけてもらうのがよい方法でしょう。一般的には、ボールを飲み込まないためには、ボール遊びをさせないことです。ボール遊びを始めて、ボールを飲み込んでから叱っても、効果はありません。ある行為をやめさせたいときは、動物がその行為を行う直前に、制御することが大切です。たとえば、その行為をしようとしたら、スワレといって、その行為をさせないような訓練が必要です。そうしなければ、今後何度でも繰り返すでしょう。

飲み込んだボールについては、直後ならば、スプーン3杯くらいの塩を飲ませ、その後に水をたくさん飲ませることによって、吐かせることができる場合もあります。しかし、1~2時間以上たっていると、難しいでしょう。現在はまだ症状が出ていないということですが、もし下痢や嘔吐などの症状が出たら、すぐに動物病院で調べてもらうとよいでしょう。レントゲン撮影をした場合でも、食べ物が一緒に入っていれば、異物を見つけること難しいでしょう。どうしても見つけたければ、絶食時にバリウム造影をすればわかりますが、現在健康であればどうしても必要な検査というわけではありません。大事なことは、ボールが出てくるか、いつも便を気をつけて調べることです。

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時々尿に混ざるものが何であるのか判明せず、不安です。

8歳になるシー・ズーですが、3年前に子宮蓄膿症になり、手術をしました。その際に、ヘルニア(出ベソ)の手術もしたのですが、最近になってまた少し出ベソになりました。1年ほど前から時々ですが、尿に何か混ざります。トイレシーツにポツンと点のような痕が残っており、時には色が赤いこともあります。病院で診察していただいたのですが、尿検査では血尿も認められず、「心配ないと思う」と言われました。しかし、時々尿に混ざるものが何であるのか判明せず、不安です。元気で食欲もりますが、何もしなくても大丈夫なのでしょうか?(シー・ズー/8歳/♀ 福島県/H.H)

現在は、卵巣と子宮の全摘出手術が獣医学的に最も正しい避妊手術の方法とされています。まれに変法として、子宮だけをや卵巣だけを摘出するという方法もあります。これら変法の1つ、たとえば卵巣だけをとって子宮を残す方法の一番の欠点は、将来、子宮蓄膿症などの病気にかかる可能性が高いことです。避妊手術を行う目的には、そのような子宮の病気を防ぐこともあるのですから、子宮を残す場合はその目的を果たすことができません。また、もし手術で卵巣の一部が残ってしまうと、時間がたつにつれて徐々に卵巣が再生し、手術前とまったく同じように発情徴候が出たりしますので、避妊手術の意味がなくなります。

数十年前には卵巣だけ摘出する方法が行われていたようですが、現在は動物病院の99%以上は卵巣と子宮の摘出手術をしていると思います。卵巣だけ摘出する方法は、手術も簡単で、その分料金も安いという利点はあるでしょうが、欠点の方が大きいといえます。

また、卵巣を残して子宮だけをとることもあるでしょう。自然の本能を残したいという考えから、そのような変法を選ぶのかもしれません。それは個人の動物に対する考え方の問題でしょう。したがって、あなたの愛犬にも、卵巣と子宮の摘出手術をお勧めします。主治医の先生に今後もかかる場合は、卵巣と子宮を摘出してくださいとお願いすればいいのです。いずれにしても、前の犬はなぜ卵巣だけとったのか、もう一度聞いてみるとよいでしょう。

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同じような虚弱体質の仔犬が生まれる可能性はあるのでしょうか?

5カ月になるマルチーズのオスですが、生後約2カ月でわが家に来た次の日から、食欲不振と激しい下痢が続き、ずっと病院通いです。超虚弱体質と診断され、気長に構えるしかないと言われています。症状は徐々に安定し、体重も増え始めていますが、処方薬を手放すことはできないし、少しでも疲れさせると、途端に食べなくなるので、まだまだ注意が必要です。ところで、この子が今後順調に成長していくとして、繁殖させても大丈夫でしょうか。あるいは去勢した方が、この子のためにはいいでしょうか。もし繁殖させた場合、この子のような虚弱体質の仔犬が生まれる可能性があるでしょうか?また、これから一生を健康に暮らしていくには、どのような注意が必要でしょうか。(マルチーズ/5カ月/♂ 埼玉県/C.I)

結論としては、愛犬がこれから健康に暮らしていくことができるかどうかは、獣医師の診断能力にかかっているといえます。お話の経過から、まず疑うのことのできるのは、先天的な心臓の奇形あるいは腹部の奇形でしょう。先天的な心奇形をもつ犬は、150~200頭に1頭くらいの割合で生まれます。愛犬の場合、同胎犬やほかのマルチーズに比べて体重が少なめということですので、ますます心奇形を疑うことができるでしょう。できれば、心臓の部分(前肢の付け根の後ろの胸の部分)を両手でさわってみてください。何かドキドキ拍動するようなら、心奇形が疑われます。これまで心臓の検査を受けたかどうかわかりませんが、より専門的な病院で心臓を中心とした検査を受けることをお勧めします。

いずれにしても、虚弱体質であることは間違いないようですから、繁殖はさせないほうがよいでしょう。オスはメスよりも避妊手術が比較的安全ですから、ぜひ去勢手術をすることをお勧めします。日常生活では、高いところから落ちないようにするとか、段差のない環境で生活できるように気を付けましょう。また、虚弱体質の犬は頭のてっぺん(泉門)に大きな穴があいているケースがあります。その部分をぶつけると意識を失うこともありますので、気を付けてください。そして、毎日の食事の量と排泄する便の量に注意しましょう。もちろん、伝染病やフィラリアなど、予防できる病気はワクチンや薬で予防することが大切です。

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大型犬にて、食事の量について悩んでいます。

5カ月半のバーニーズ・マウンテン・ドッグに現在与えているドッグフードは2~4カ月と5~12カ月の2つに分けられ、それぞれ体重別で量を決めるように表示されていますが、5カ月の方が量がかなり少なめに表示され、その通りに与えると少なすぎるように思います。しかし、大型犬なので、与えすぎて骨に異常が出ても困るので悩んでいます。現在は、2~4カ月の犬に与える量より多めの量を食べています。それでも足りないらしく、人間が食べているのを見ておねだりをします。お腹をこわすことはありません。人間の食べ物も与えてはいません。このまま多めに与えても大丈夫でしょうか。体重は20k(表示に従って与えると335g、2~4カ月を基準にすると505gですが、1日に530gくらい食べています。(バーニーズ・マウンテン・ドッグ/5カ月半/♀ 大阪府/K.S)

原則として食事の量は、それぞれのフードの表示を守ることが望ましいでしょう。愛犬の場合、食事を少し与えすぎのようです。つまり、カロリーが少し多いわけです。もし、愛犬の運動量が通常より多めであれば、普通より多くカロリーを摂取しても消費できます。しかし、実際には運動量でカロリーを消費することは並大抵ではありません。あなたの愛犬は、標準量の食事を与えて満足しないということです。この場合、きちんとしつけをして、欲しがっても与えないようにすることも方法の1つです。

もう1つの方法は、カロリーを増やさずに、満足感を与えることです。それは野菜を与えることです。野菜にはカロリーがほとんどありませんが、ある程度の量を食べればお腹はいっぱいになります。いろいろな野菜を軽く煮たり焼いたりして、与えてみてください。ただし、食事について最も大事なことは、与えた量の食事がきちんと消化されて排泄されているかどうかということです。もし少し軟らかめでしたら、食事の量が多いと考えてください。ですから、常に便を見て、食事の量を調節するとよいでしょう。そして、規則正しい生活を心がけてください。

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愛犬が椎間板ヘルニアになりました。

愛犬が椎間板ヘルニアになりました。神経にさわると、右脚に激痛が走るようです。手術をすると、9割の確率で下半身マヒになると言われました。そうなったときの介護の仕方などを教えてください。(シャーペー/6歳/♀ 宮城県/S.H)

シャーペーは椎間板ヘルニアにかかりやすい犬種です。まずあなたの愛犬の場合、本当に椎間板ヘルニアであるかどうかを調べる必要があるようです。手術をすると9割の確率で下半身が麻痺するといわれたそうですが、それは何かの間違いでしょう。現代の医学においては、手術ができる病院であれば手術をし、そのほかに内科療法を併用するのが最もよい治療法とされています。

また、状態によっては、内科療法だけでもある程度治すことができます。その場合も、正しい手術をすれば治る確率はより高くなります。たとえば、内科療法のみの場合、椎間板ヘルニアが一時的にでも治る確率が5割だとすれば、手術を行った場合は8割の確率で回復するでしょう。

主治医の先生が、椎間板ヘルニアの手術で治すことが難しいといわれたとしたら、あまり手術経験が豊富ではないことも考えられますので、より専門的な病院で診察してもらうとよいでしょう。もし下半身が麻痺した場合、看護は並大抵のものではありません。もし尿と便を自分でできなければ、生きていくことも難しくなります。

介護の方法としては車椅子を使うなどいろいろありますが、後脚がこすれて褥創(床ずれ)になることがあります。そのような場合は、柔らかいところに置いたりします。リハビリとしては、水深の浅い場所で泳がすことが最もよいのですが、なかなか難しいと思います。介護の方法は、専門的な先生に聞かれるのがよいでしょう。

31~40

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心臓の左側の部屋が大きくなり、お腹がふくれています。

愛犬の心臓の弁が悪くなり、汚い血液が逆流するということで、シュッシュッという音がしています。心臓の左側の部屋が大きくなり、お腹がふくれています。毎朝、喉に何か引っかかっているような咳をし、ひどいときはコテッと倒れてしまいます。酸欠になるそうです。病院には通っており、1年前から薬も毎日飲んでいます。治すことはできず、病気の進行を遅くするだけ、と聞かされていますが、咳が止まらないときや、倒れてしまったときも、抱いたり、撫でてあげることしかできず、やりきれません。咳をしながら、「苦しいよ!」というように寄ってきて、顔を私の体にくっつけます。咳が出るのは午前2時から4時ごろで、私は眠れません。もう少し楽にしてあげられる方法、した方がよいことなどがありましたら、教えてください。(マルチーズ/10歳/♀ 神奈川県/M.N)

愛犬の病気はおそらく僧帽弁閉鎖不全症でしょう。これは高齢の小型犬が非常にかかりやすい病気で、この病気の犬を飼っている方は同じように悩んでいます。特にあなたの愛犬の場合、程度がひどいようです。通常このような場合は、5~6種類、あるいは8種類くらいの薬を投与して症状を抑えますが、それでも十分にコントロールできないこともあります。

アメリカでは最終的に安楽死を選ぶケースが多いようですが、わが国ではその最後の手段を獣医師はあまり勧めない傾向にあります。あなたの愛犬も、すでにいろいろな薬の投与を受けていると思います。その上で飼い主の方に何ができるかということですが、まずできるならば愛犬に心臓病用の食事を与えることです。もしその食事を犬が受け付けない場合、症状のコントロールはより難しいでしょう。

次に、できるだけ安静を保つということです。そして、適度の温度の環境におくことです。特に体重が減り、お腹が膨れてきた場合はほとんど末期症状ですので、そうなると世界中のどんな専門的な医師でも助けることができず、最終的には、犬が苦しくないように、精神安定剤のような薬を使用することになるでしょう。もう1度主治医の先生とよく相談し、最も苦しくない方法を選んであげるのがよいでしょう。

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ダックスフンドの椎間板ヘルニアという病気について。

椎間板ヘルニアのため、3カ月前ごろから、満足に歩けなくなってしまいました。獣医さんに治療していただき、今は何とか歩けるようになりましたが、後肢がだいぶん小さくなったみたいです。現在のところ、排泄の方は心配ありませんが、このままマヒが進行すると、それも危なくなると聞き、不安に思っています。獣医さんの指示に従うのはもちろんですが、日頃の生活の中で気を付けてあげられることがありましたら、教えてください。あるテレビ番組の中で、犬の鍼の先生が、指で背中の周りを刺激すると効果があると言っていました。今2日に1度、アリナミンAを1錠飲ませています。食事はドッグフード(ドライ)を中心に、鳥ささみなどを混ぜて与えています。カルシウム剤も与えたいのですが、混ぜると嫌って食べなくなります。牛乳をよく飲み、下痢はしません。散歩は、気晴らし程度に30分ほど土手をブラブラ歩かせます。立ち止まったら、無理に歩かせていません。体重は4kg目途に、増えないように気を付けています。(ミニチュア・ダックスフント/2歳/♀ 埼玉県/K.K)

ダックスフンドは、椎間板ヘルニアという病気の宿命を背負っているともいえます。もちろんすべてのダックスに起こるわけではありませんが、起こってしまったら、飼い主の方が非常に苦労する病気です。

すでに起こってしまった後肢の萎縮については、有効な治療法はあまりないでしょう。萎縮を少しでも防ぐには、リハビリがよいでしょう。無理をせずにゆっくり30分くらい歩き、立ち止まったら休ませるという方法です。運動することにより痛くなれば休むという方法で、「トライ・アンド・エラー」と呼ばれます。ほかに、お風呂のようなところで泳がせるリハビリ方法があります。体が浮いて脚だけ動かすという理想的な方法ですが、泳ぎがあまり得意でない場合、無理に行わないでください。

また、常に排尿排便に注意することが大切です。麻痺が進行すると、排尿が困難になり、尿の時間が長くなったりします。最終的には便のほうも出にくくなりますが、通常、尿の麻痺が起こってから起こります。尿の色も重要です。オシッコがしにくくなると、尿の色が濃くなります。もちろん、水を飲む量も気をつけて見ているとよいでしょう。指で背中の周りを刺激するという方法は、いやがらなければ行ってもよいでしょうが、どれほど効果があるかは医学的には判明していません。

ビタミン剤は、与えないより与えたほうがよいこともあります。カルシウム剤は、与えると骨に悪影響を及ぼす場合があります。獣医師に処方された場合以外は、与えないでください。麻痺が進行するかしないかは、その病状によって違いますが、定期的な検診と規則正しい生活を心がけることが重要です。最も重要なのは、体重が増えないようにすることです。毎日あるいは少なくとも3日ごとに、体重測定をしてください。

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14歳になるヨーキーが右前脚を使わないで歩くようになりました。

14歳になるヨーキーです。8月下旬から右前脚を気にして、その脚をつかわずにケンケンしていたの、散歩にも行かず様子を見ていたのですが、全然よくなりませんでした。その1週間後、イスから飛んだとき、その脚をかばったせいか、立てなくなりました。病院へ連れて行ったら、左後脚の靱帯が切れているか、伸びているかのどちらかだと診断されまた。手術をするといいということですが、レントゲン検査も手術も全身麻酔が必要なため、年齢を考えて、痛み止めを与えるだけで様子を見よういといわれました。右前脚は足首の少し上の骨が腫れています。これもそのままにしておくといわれました。本当に、すべてこのままの状態でいいものでしょうか。詳しいことをもっと知りたいと思います。特に病気もなく元気な犬でしたが、散歩にも行けず、つま先でプルプルしながら立っています。食欲もありません。アドバイスをお願いします。(ヨークシャー・テリア/14歳♂ 神奈川県/H.H)

右前脚の足首の少し上の骨が腫れているとのことですが、もしそれが少しずつ大きくなっているようでしたら、かなり重大です。大きくなっていなくても、正常ではありませんので、最低限、神経のテストやX線検査をする必要があります。また、どのような場合でも必ず全身麻酔が必要というわけではありません。年齢を考えて痛み止めだけという治療法は、あなたが望んだのでない限り、かなりの医療の不足といえます。すぐに、より専門的な病院で診察を受けることが重要です。そして、どういう検査が必要か、検査の目的は何かどのような治療法が可能か、費用はどのくらいかなどを聞いて、納得してから検査や治療を始めるとよいでしょう

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オスのラブラドール(1歳6カ月)が初夏から毛が抜け始めました。

オスのラブラドール.R(1歳6カ月)が初夏から毛が抜けはじめ、真夏は気になりませんでしたが、9月に入った途端、背中の毛がごぼっと抜けるようになり、肌の上にフケのようなものが出ていて、ブラッシングすると柔らかい下毛が次々と抜けます。シャンプーはふだん、20日に1度くらいの割合でしています。8月30日、9月3、5日と続けて海や川で泳いだので、続けてシャンプーしました。そのときは、いつも使っているアロエの刺激性の少ないシャンプー(ペットショップで購入)ではなく、スーパーで購入したダニ・ノミ取りシャンプーを使いましたが、その後,症状が出ました。動物病院では、シャンプーが合わなかったか、あるいはシャンプーのしすぎといわれ、薬用シャンプーを処方されました。このシャンプーで洗った後はきれいになり,フケも見られなくなりましたが、2週間くらいでまたフケ状のものが見られるようになりました。臭いもあり、フケがある部分は少しごわごわした感じで、手が少し油っぽくなります。湿疹はありません。1カ月くらいでよくなるのでしょうか。慢性化の心配はないでしょうか。(新潟県/H.T)

皮膚病にはいろいろな原因が複雑に絡んでおり、しばしば慢性化して、経過がよくなったと思うと、また悪化することがあります。フケが出て、毛が抜けやすく、臭くて、油っぽいとのことですが、あなたの犬は俗に「犬の脂性」といわれる「脂漏症」かもしれません。これはラブラドールに起こりやすい病気です。

もしこの病気であれば、かなり皮膚病に詳しい病院でないと、治療はなかなか難しいかもしれません。悪化すると、皮膚が真っ黒になるでしょう。いずれにしても、診断には生検(皮膚の一部を取って調べる検査)が必要となるでしょう。

とりあえず、良質のドッグフードに変え、低アレルギーのシャンプーを週に2回ほど使用するとよいでしょう。問題はいかにフケを抑えるかですが、できれば「脂肪酸」の入った薬やフードを与えるとよいといわれています。この病気は、だいたい2歳までに発生します。いずれ、耳にも症状が現れるでしょう。特別な病気ですから、それなりの専門的な知識をもった獣医師でないと、治療は難しいと思います。あなたの話をよく聞いてくれる獣医師を探す努力をしてください。

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散歩中にニオイを嗅いで、そこにマーキングをします。

ゴールデン.Rのメスが散歩中にニオイを嗅いで、そこにマーキングをします。片脚をあげて、1日に2~3各くらいします。特にミックスのオス犬のいる家の前で、よくやります。家にいるもう1頭のメスのゴールデン.Rは、そういうことはしません。3歳になってから、マーキングのような行動をするようになりました。どうして、そのような行動をするのでしょうか。(ゴールデン.R 3歳3カ月♀ 高知県/C.N)

メスがマーキングのような行為をすることはまれです。行動上の異常を除くと、ホルモンに関係する病気の可能性もあります。行動上の異常とは、他の犬のしない異常な行動を起こしたり、他の犬のまねをすることなどです。まれに脳の病気が原因で、行動に異常が現れることがありますが、ほとんどは「しつけ」上の問題です。しつけの先生に相談してみたらいいでしょう。

ホルモンに関係する異常とは、メスなのにオスの生殖器の機能が残存していたり、両方の機能をもっている場合のことです。これを調べるのは大変です。もし出産させる予定がないのなら、不妊手術をすることをお勧めします。その際に判明するかもしれません。

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愛犬がずっと軟らかい便をしています。

知り合いのペットショップからもらった犬のユウが、ずっと軟らかい便をしています。父の話では、ペットショップでよく世話をしてもらえず、エサもちゃんと食べさせてもらっていなかったようです。ユウは1日に3回は便をします。エサは夕方1回与え、その後、15~45分散歩に連れていきます。大きいので、病院に連れていけません。(G.シェパード 2歳♂ 埼玉県/M.H)

ずっと軟らかい便をしているということですが、どのくらいの期間続いているのかわからないので、はっきり答えることは難しいです。いずれにしても、病院へ連れていって、原因を調べてもらってください。体が大きくても何でも、犬を動物病院に連れていけるようにならなくてはいけません。予防ワクチンを打つ必要もあるし、今回のように具合が悪くなることもあります。散歩することを考えれば、歩いて連れていくこともできるでしょう。また、車を使うこともできます。

今の段階で、どうしても連れていくことができないのなら、往診を依頼することもできるでしょう。いずれにしても、獣医さんに診てもらう努力は必要です。

通常、食欲があって便が軟らかい場合は、寄生虫、食べ過ぎ、食事の内容、感染症などの原因が考えられます。今後の問題として、飼い主が犬を動物病院へ連れていけるようにしてください。難しい場合は、しつけの先生に相談するのも方法です。

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予防接種でひどいアレルギーが起こります。

2歳のミックスのメスです。2カ月と3カ月の予防接種では問題はなかったのですが、1歳のときの接種でひどいアレルギーが起こり、接種の2時間後から嘔吐を繰り返し、顔が変わるほど全身にむくみが出ました。その後、1週間くらい調子をくずしました。2歳のとき、どうしようか迷ったのですが、薬を変えてもらって接種しました。3日くらいで元気になりましたが、やはりアレルギー症状が出ました。原因今後の対処法を教えてください。(大阪府/H.Y)

ワクチン接種が原因でアレルギーが起こることは、まれにあります。アレルギー症状がいつ起こるかはわかりません。初回に起こりやすいわけでもなく、何度か接種を受けているが大丈夫だったから、今後も起こらないという保証もありません。

通常、早いときは接種後5分くらいで、遅いときは2~6時間後に起こるようです。過去に起きたことのある犬は、次回にまた起こる可能性が高いので、次の接種時には十分に打ち合わせをしてください。たとえば、早めの時間に予約して、接種の数分あるいは数時間前に、アレルギーを抑える薬(抗ヒスタミン剤など)をもらって飲ませておくとよいでしょう。

そして、ワクチン接種後は、できれば数時間、病院に預かってもらい、様子を見てもらうとよいでしょう。通常は、何度かこのようなことを繰り返すと、自然に起こらなくなることが多いようです。

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仔犬の頃から片目が充血して、目ヤニや涙がいつも出ています。

1歳のキャバリアのメスです。仔犬の頃から、片方の目が充血していて、目ヤニや涙がいつも出ています。何度もティッシュで拭きますが、臭いニオイがします。獣医さんには、眼球が出ている犬にはよくあることだといわれました。別の獣医さんには、眼球に傷があるといわれました。どちらを信用してよいのか、困っています。今は目ヤニを拭くことだけしかしていません。また、イビキをかくのですが、ごくたまにブーッブーッと苦しそうに呼吸します。何もしなくても大丈夫でしょうか。(千葉県/A.I)

キャバリアは眼が飛び出ていない犬種に比べ、確かに眼の病気が多い犬種です。目ヤニの原因として、通常よく見られるのは細菌の感染です。他に、眼の下に毛が生えていたり、眼の下の部分が内側にめくれているなど、いろいろな原因があります。

通常、獣医師は原因となる基本的な病気を調べ、抗生物質を処方します。2~3種類の薬を試し、反応がよくなければ、目ヤニを少し取って染色し、細胞を観察したり、ある場合には培養によって、どんな抗生物質が効くかを調べるテストを行います。眼球に傷がある場合もあります。

検査方法としては、眼に染色紙を当ててお水を垂らすと、病変部が変色するのですぐにわかります。動物病院にも得意分野と不得意分野がありますから、眼の病気に詳しい病院を探し、検査をしてもらいましょう。

キャバリアはイビキをかきますが、あなたの犬のイビキの程度はかなり激しいようです。いずれ、喉のヒダを取る手術を受けなければならないでしょう。手術のできる病院を探し、時期について相談してみてはどうでしょうか。

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関節リウマチと確定診断され、歩行に障害が出てきています。

4歳8カ月のM.ダックス(♀)が2年以上前に関節リウマチと確定診断され、現在、微量のステロイド剤と軟骨を強化する薬を、毎日飲ませています。しかし、前肢の骨組織の破壊が進行しているらしく、歩行に障害が出てきています。家のなかを歩くときも、ポキポキと音がし、パッドの部分で着地できないので、皮膚の一部の毛がはげ、硬くなっています。免疫抑制剤は、血液検査の結果がよくなかったので、1年以上前から使用していません。素人判断ですが、前肢の手根関節部を保護するサポーターのようなものはないでしょうか。あるいは、家のなかでできるリハビリなど、少しでも犬の苦痛をやわらげ、運動機能の低下を遅らせるような方策を、ぜひ教えてください。(埼玉県/K.K)

関節リウマチは、程度の差こそあれ、大変な病気で、看護が重要となります。まず、重要な点は、比較的暖かい環境で過ごさせることです。寒い冬は暖房の必要があり、24℃程度の温度を保ちましょう。歩かせるときは、床にカーペットを敷くなど、滑らないように注意します。体重にもよりますが、リハビリはかなり困難です。厚い布団の上で過ごさせるのもよいでしょう。できれば、浅めの風呂に入れて泳がせるのがベストです。

肢への包帯は、少し専門的ですが「ロバートジョーン包帯」の変法がよいでしょう。一度獣医師におたずねください。いずれにしても、十分な休息と睡眠(夜は暗くする)をとらせ、温度管理をし、換気をよくして、できれば温泉療法などを組み合わせてください。

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「引きつけ」のような発作を起こすようになりました。

2歳7カ月のM.ダックス(♀)が、満1歳の頃より、「引きつけ」のような発作を起こすようになりました。発作時には、小刻みに震え出す→胸からお腹の筋肉が硬直する→口から泡のようなものを出すことがある。まれに失禁する→1~3、4分で硬直が治る、という経過をたどります。発作がおさまるとすぐに元気になるので、落ち着いてから病院で処方された薬(錠剤)を与えています。発作の起こる間隔は、昨年の夏頃までは1カ月に1回くらい(2日続けて起こることもありました)で、10月以降は起こらず、今年になって2月11日、12日と連続で起こしました。すぐに病院で血液検査などを受けましたが、問題はないといわれました。原因がわからず、非常に突発的に起こるので心配です。どういう原因が考えられるでしょうか。(北海道/M.A)

「引きつけ」のような症状を起こす病気はいろいろ考えられます。通常は、まず心臓の病気か心臓以外の病気かを考えます。次に、心臓以外では、脳の病気(てんかんが代表的)か脳以外の病気かを考え、脳以外の場合は、肝臓の病気を考えます。

あなたの愛犬の場合、まず、身体検査、心電図、X線検査などにより、心臓の病気(不整脈が主な原因)がないかどうか調べる必要があるでしょう。特に前兆がなく、突然引きつけが起こり、すぐに元気になる場合は、心臓の病気から疑います。特に食後に何となく元気がなく、フラフラした状態になり、ひどくなると発作が起こる場合、肝臓の病気が疑われます。脳にアンモニアが入るため、発作が起こるのです。

検査では、胆汁酸の値が重要になります。脳の病気が疑われる場合、CTやMRI(磁気共鳴画像)などの特殊な検査が必要になることもあります。できれば、より専門的な病院で調べてもらうことをお勧めします。

41~50

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子宮蓄膿症と診断され、急きょ手術をすることになりました。

1歳6カ月のゴールデン.Rのメスです。子宮蓄膿症と診断され、急きょ手術することになりました。どの本を読んでも、この病気は卵巣機能が衰え始めた中年以降に起こることが多く、若い犬にはまれとのことです。病気が診断される前、発情があって間もなく交配しました。その後も、若干散歩のペースが落ちたかなと思う程度で、食欲もあり、便にも問題はなく、すこぶる元気でした。ボランティア活動に出かけて帰って来た日の夜、食事をせず、ときどき水を飲むだけで、じっと動かなくなりました。病院で診察してもらったところ、子宮に2センチくらいの大きさの膿がたまっていることがわかり、生まれてくる子どもよりも母親が大事と、手術をすることになりました。菌が血液を通して体中を回っているので、抗生物質の投与が必要だが、菌の絶滅は難しいので、一生のつき合いになるかもしれないといわれました。これから病気とどうつき合っていけばいいのか、アドバイスをお願いします。(神奈川県/M.Y)

確かに子宮蓄膿症は、中年以降に起こることが多い病気です。対応法は病気の程度によって異なりますが、愛犬の場合、初期か中期の初めと思われます。もし子どもを生ませないのなら、不妊手術をすれば問題は解決します。子どもを生ませたい場合は、一般的には抗生物質療法をかなり長期間続けることになります。

子宮蓄膿症は細菌感染が原因で膿がたまる病気ですが、子宮内の感染は不妊の原因になります。したがって、感染症の予防のために、抗生物質の投与が必要になるのです。子宮に感染症があれば、熱が出たり、水をたくさん飲みます。膣から膿が出ることもあります。そのような症状をよく観察することが大切です。

病気のコントロールが難しい場合、手術が必要になるでしょう。主治医とよく話し合って、定期的な検診を受けることをお勧めします。

42

近頃は食べるのも遅く、多く食べると、直後に戻してしまいます。

1歳のM.ダックスフンドのメスです。4~5カ月くらいまではよく食べていたのですが、近頃は食べるのも遅く、多く食べると、直後に戻してしまいます。吐いたものは全然消化されていないドッグフードそのものなので、ほうっておくと食べてしまいます。たらの干物は大好きで、よく食べ、吐きません。リンゴもときどき食べます。体重は約2.7kg。お尻の骨が少し当たります。(兵庫県/A.O)

愛犬の状態は、食道の病気の典型的な症状を示しています。口から食べたものを吐くことは、医学的には「嘔吐」と「吐き出し(逆流)」のふたつに分けられます。前者はいったん胃の中に入った食べ物が戻されて出てくるので、吐いたものはある程度消化されており、犬はそれを食べることはありません。

これに対して、後者は食道から戻されるので、食べ物が消化されていません。これが愛犬のケースです。食道の状態ですが、ひとつには単に食道が大きくなっていることが考えられます。これは先天的なケースの可能性がありますので、その方面に詳しい獣医さんに診てもらう必要があるでしょう。また、心臓の先天的な病気のため、食道の一部が狭窄していることも考えられます。狭窄部分の手前が大きくなってしまい、そこに食べ物がたまって吐き出されるのです。その他、食道炎(食べ物が逆流して炎症を起こす)なども考えられます。

対策としては、一度に食べさせず、少しずつ食べさせるのがいいでしょう。また、食事を少し高い場所に置き、犬がうつむいて食べないように配慮したり、食後、犬の食道が垂直になるような形で抱いていると、吐くことが少なくなるようです。いずれにしても、消化器の病気に詳しい病院に相談したほうがよいでしょう。特にあなたの犬はやせているようですので、早急に対応が必要と思います。

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白いかさぶたのようなものができています。

5歳4カ月のシー・ズーのメスが皮膚が弱く、耳の中、首(喉のあたり)を頻繁に掻き、白いかさぶたのようなものができています。獣医さんにはガビの1種といわれました。あまり強い薬を飲ませたくないのですが、食事やお風呂でよくなるでしょうか。ベビーパウダーやベビーオイルを使ってもいいでしょうか。(山梨県/K.I)

おそらく脂漏症といわれるタイプの皮膚病で、かさぶたはフケのようなものでしょう。かさぶたからカビが検出されれば、カビもあることになります。

一般的な療法は、食事療法とシャンプー療法です。食事は良質のタンパクに富んだ食事を与えますが、かさぶたの原因となる栄養物がどんどん体内から出てしまいますので、それらを補給します。たとえば、食用の紅花オイルなどを少し食事の混ぜて与えるといいでしょう。しかし、オイルは下剤として働きますので、量が多いと軟便または下痢となってしまいます。通常、シー・ズーでは2~3ccくらいを与えます。そして、便の様子を見てください。箸などでさわると、形がくずれるギリギリくらいの固さがよいでしょう。

シャンプー療法では、脂漏症に適したシャンプー(人間のフケ防止シャンプーに当たる)を使用してください。ベビーオイルは、皮膚が非常に乾燥している場合は少量塗るとよいでしょう。多く塗りすぎると、皮膚がベタベタしますので、回数に注意してください。通常、少量を1週間に1度くらい塗ります。

通常、食事とシャンプー療法では、症状全体の50%くらいしか軽減できません。わかりやすくいえば、かゆみも半分くらいしか止まらないということです。さらに効果をあげるには、できるだけ皮膚病に関心のある動物病院で治療なさる必要があるでしょう。

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仔犬の1頭が先天性の口蓋裂でした。

ラブラドール.Rが4回目の出産をしました。仔犬の1頭が先天性の口蓋裂でした。もうすぐ1カ月たちますが、目も開きましたし、歩きます。食事は初めは犬用ミルクを哺乳ビンで与えていましたが、すぐにむせるので大変でした。ほかの仔犬が離乳食を食べるようになると、その犬も食べようとするので、獣医さんに相談したところ、そのほうが気管に入らずよいかもしれないとのことで、今は獣医さんに処方してもらった高カロリーの缶詰をお湯で溶いて与えています。体重は現在500グラムちょっとですが、うまく育つでしょうか。3~6カ月くらいで手術ができるそうですが、どのような手術でしょうか。それまで、どういったことに気をつければよいでしょうか。(愛知県/I.O)

現在、比較的順調に育っているということなので、ある程度の大きさになった時点で手術をするのがよいでしょう。ダックスフンドほどではありませんが、ラブラドールも先天的に口蓋裂傷の多い犬種として知られています。問題は手術ができる大きさになるまで、いかに育てるかということです。

一番気をつけなくてはならないのは、食べたものが口蓋の裂傷から気管や鼻に漏れることです。そのようなことが長く続くと、誤飲性の肺炎を起こすことがあります。ですから、飼い主さんが食事をするところをよく見ていて、誤飲しないように注意することが重要です。食事中に咳やくしゃみが出たり、呼吸困難があった場合には、抗生物質等ですぐに治療しなければならないので、予防のために動物病院から薬をもらっておきましょう。

最もよい方法は、比較的太い管で胃に直接食事を送りこむことで、少し慣れればできるようになります。この方法なら、誤飲する可能性が少なくなります。また、大量に与えると胃が一杯になり、食べ物が胃から逆流して、誤飲することがありますので、量は少しずつ与えましょう。

手術は裂傷の程度によりますが、1回で完了するとは限りません。何回かの手術が必要になる場合もあることを知っておいてください。手術がうまくいって治った場合も、先天的な病気といわれていますので、子どもをつくらないように不妊手術をお勧めします。

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避妊手術をすると肥満や皮膚病の原因になるのでしょうか。

1歳3カ月のメスのシェルティーを飼っています。避妊手術には、メス犬特有の病気の予防・発情期中のストレスの除去・不幸な妊娠がなくなることなどのメリットがあると聞きますが、反面ホルモンバランスが崩れ、肥満や皮膚病の原因になるとも言われているので、手術をするかどうか迷っています。うちの犬は皮膚にアレルギー症状が出やすく(軽度ですが)、また病院の先生からも「シェルティーは薬や注射などに対する感受性の強い子が多い」と言われています。それに、麻酔や手術そのものの危険性についても気になります。

現在は、「ニュートラリゼーション」(中性化)という方法もあると雑誌で読んだのですが、どのような方法でしょうか。避妊をする方向で考えていますが、動物病院に相談する際、確認すること、気を付けることなどがあれば教えてください。(佐賀県/Y・Y)

避妊手術が肥満の原因になるという問題ですが、肥満の原因はあくまでも食べ過ぎ(カロリーオーバー)にあります。規定量(肥満していなければ、手術前の食事量)を与えれば、肥満はしません。皮膚病の原因になることもありません。逆に避妊手術をしていないと、皮膚病(子宮に関係するホルモンによる皮膚病)が治りにくくなることがあります。以前は、避妊手術をすると起こり得る病気として「尿失禁」(尿が垂れ流しになる状態)が考えられていましたが、現在ではほとんど否定されています。

手術による危険性は、1000頭に1頭の割合で発生する可能性がありますが、術前の検査等によってもっと少なくすることはできるでしょう。中性化は、手術に比べて確実性が低下し、副作用が起こる心配も多少あります。あなたが心配していることを先生に話し、疑問点を解決すればよいでしょう。また、セカンドオピニオンに聞くことも重要です。

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食べてはいけないものを食べるので困っています。

11カ月のWコーギーのオスですが、小さい頃から、何でも食べるので困っています。先日、ハンカチを見せて「これは食べちゃダメだよ」と言ったのですが、ぐいっとつかんでアッという間に飲み込んでしまいました(心配しなくても、朝ウンチと一緒に出てくると思いますけど)。前にも、ビニール袋を食べて、ウンチから出てきたことがあります。でも、とても困っています。拾い食いもします。どうすればやめさせられますか?教えてください。

医学問題(すなわち病気)としつけの問題の2つのケースが考えられます。

前者の場合、1つには「異嗜症」(いししょう)と言って、異物(砂・石・布・紙など)を食べたがる病気があります。身近にある異物にはペットシーツがあり、これは中に膨潤剤が入っているので、胃の中で膨らむことがあり危険です。原因としては、寄生虫性の病気や消化酵素の不足等が考えられます。診断には、検便等の検査が必要でしょう。

しつけの問題の場合、特に若い犬はいろいろなものに興味があるため、何でも口にしてしまうことがあります。犬は何かを食べて、お腹の調子が悪くなれば、食べてはいけないものであることを学習します。しかし、なかなか学習しない犬もいます。重要なことは、犬が飲み込む可能性のあるもの(特に飼い主のニオイの付いたもの)を周囲に置かないことです。また、犬が食べてはいけないものをくわえたとき、あわてて取ろうとしてはいけません。犬は取られまいとして、そのまま飲み込んでしまいます。犬と遊びながら、うまく取り上げてください。詳しいことは、しつけの本やプロの方から学んでください。

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2歳のパピヨンのメスですが、顎の下に小さなしこりのようなものがあります。

2歳のパピヨンのメスです。3カ月半頃に気づいたのですが、顎の下に小さなしこりのようなものがあります。獣医さんに診てもらったところ「仔犬だし、腫瘍ではなく、脂肪のかたまりのようなもの」と言われました。今でも大きさ(直径5ミリ程度)等、何も変化はありません。

その後飼い始めたヨーキー(1歳メス)にも、顎の下にしこりがあります。固くて、皮膚がポコッとふくらんでいます。大きさは直径5ミリ程度で、ときに変化はないようです。このまま放っておいてもよいでしょうか?(大阪府/M・Y)

きちんと診察する病院で調べてもらうのが安全でしょう。パピヨンでは、顎の下のしこりは「リンパ節」の異常である可能性もあります。組織検査をする「生検」を受ければ、はっきりするでしょう。現在では、普及した検査方法です。いずれにしても、転院が必要と思われます。

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散歩に行くたびに、小さな虫(マダニだと思います)が毛にくっつきます。

2歳半のメスのゴールデンレトリーバーです。散歩に行くたびに、小さな虫(マダニだと思います)が毛にくっつきます。ノミ取り粉をつけると2-3日間はつきませんが、ノミ取り粉をやめるとすぐつきます。

ノミ取り粉は2日おきぐらいにつけ続けても大丈夫でしょうか?また、ノミ取り首輪でも完全に防げるでしょうか?スプレー状のものもありますが、毛がべとつかないか気になります。(岐阜県/M・S)

ノミ取り粉でも、ある程度はダニに対して効果があるかもしれませんが、効果時間が短いのが欠点です。スプレーも同じようなものです。毛のべとつきに関しては、少量を使用することです。そのため頻回に投与しなければならず合理的ではありません。2日おきぐらいにつけ続けても大丈夫ですか?とのことですが、1-2ヶ月は大丈夫でしょう。しかし、6ヶ月とかになると話は別です。避けた方が良いでしょう。

重要なことは、いろいろな方法を組み合わせて行うと危険な場合があることです。例えばノミ取り首輪とノミ取り粉が同じ成分だと、その薬剤の効果は2倍となり危険です。違う成分ならば、大丈夫な場合もあります。一般に市販のノミ取り首輪(普通ノミよけ首輪と呼ぶ)は、動物病院のノミ取り首輪より効果は弱いのです。

現在は、ダニ等に効果がある、例えば月に1回背中に垂らすだけで効果がある薬剤があります。これらは比較的安全に使用することができます。また動物病院で使用されているノミ取り首輪にはダニに効果があるものもありますが、いくつかの注意点があります。その注意点は各々の動物病院で使用している薬剤によって違ってきますので、ご使用の際にはお聞きください。

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2歳10ヵ月のパピヨンですが、妊娠しても早産になってしまいます。

2歳10ヵ月のパピヨン(2.2kg)です。今年の2月と8月に交配させ、1回目は56日目(仔犬95g)で出産し、死産でした。2回目は53日目(仔犬120g)で出産し、呼吸がやっとできる状態でしたので入院させましたが、半日で死んでしまいました。

2回とも早産だったのは体質なのでしょうか?母犬は妊娠中あまり食欲がありませんでしたが、元気は良く、毎日走り回り、出産当日もいつもと変化はなく、急に生まれてしまいました。出産が早まる原因は分かりません。もう出産はあきらめたほうがいいでしょうか?(広島県/I・Y)

早産の理由にはいろいろありますが、どれもなかなか特定できるものではありません。小型犬の1頭の妊娠には、その傾向があるかもしれません。

出産はあきらめたほうがいいでしょうか?とのことですが、まず始めに行うべきことは、その母親をいろいろと医学的に調べた方が良いと言うことです。何をどう調べるかについては、検査できる項目が動物病院によって違ってきますが、いろいろな血液検査や尿検査を始めとして、心電図・X線撮影検査・超音波検査等で身体の全体的な異常を調べるのです。すると体のどこかに感染・炎症・出血等があったり、さまざまな程度の奇形があることが分かったりすることもあります。

通常はその辺りまでで、その後もし調べるとしたらホルモンの検査等もできます。その場合、不足していると予想されるホルモンを補う注射をしたりすることもあります。いずれにしても、繁殖に興味を持っている動物病院に直接行って、いろいろと相談するのが良いでしょう。

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1歳4カ月のチワワですが、1日に1度悲鳴とともに背中を丸めて走り出します。

1歳4カ月のオスのチワワです。必ずといっていいほど、1日に1度、悲鳴とともに背中を丸めて走り出します。眠っているときも、急に跳びはねるように起きることがあります。毛艶が悪く、1歳になる前に便に回虫が混じっていました。

病院で薬をいただいたので、もう大丈夫かと思っていたのですが、今もまだ回虫がいるのでしょうか?悲鳴の原因として、どういうことが考えられるでしょうか?(愛知県/M・H)

回虫がまだいたとしても、悲鳴の原因とはならないでしょう。考えられる原因としては、神経や骨の病気・消化器の病気・心臓の病気等いろいろあります。まず、総合的に検査を受けて、調べる必要があるでしょう。また、どんな状態のとき悲鳴をあげることが多いか、もう1度確かめる必要があるでしょう。

いずれにしても、犬は健康であれば、通常に食事を食べて、形の良い便をします。食事との関係をもう1度、良く考えてください。そして、信頼できそうな病院で検査を受け、何を調べれば何がわかるのかを良く理解した上で、診察を受けると良いでしょう。

51~60

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避妊手術が早すぎると、発育不全などになる可能性があるのでしょうか。

愛犬のルーシーは、推定2-3カ月のラブラドールに似たミックスです。縁あって動物指導センターから譲り受けましたが、避妊手術をしてからの譲渡だったので、手術の時期が少し早すぎたのでは、と心配しています。

避妊手術が早すぎると、発育不全などになる可能性があると本で読んだのですが、具体的にどのようなことになるのでしょうか?また、もし発育不全の可能性があるとしたら、食事や生活習慣などである程度防ぐことができるでしょうか?

先日亡くなった犬の分まで幸せに過ごさせたいし、できる限りのことをしてやりたいと思います。現在は室内で飼育中です。アドバイスをお願いいたします。(茨城県/K・K)

手術が早すぎると発育不全になるのではないかとご心配のようですが、その心配はまったく不要です。安心してルーシーちゃんをすくすくと育ててください。

最新の獣医学では、避妊手術や去勢手術を6-14週齢(1カ月半-3カ月半)で行うことが推奨されています。アメリカでは5年ほど前から行われており、現在では、アメリカ獣医師会(AVMA)やアメリカ動物病院協会(AAHA)をはじめ、8つの大きな団体がこの方法を支持しています。現在のところ、医学的な副作用は一切認められていません。

日本でも、全国の獣医師や飼い主がこの方法を知り、積極的に早期の不妊手術を受け入れて、不幸な犬や猫を少しでも減らすことが重要と思われます。

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3歳4カ月のチワワですが、生後6カ月頃から、硬直したような感じで、目は視点が合っていないという状態になります。

3歳4カ月のメスのチワワです。生後6カ月頃から、硬直したような感じで、手足はつったように力が入り、爪は立ったままで、目は視点が合っていないという状態になります。1歳までは半年に1回くらい、2歳までは年に4-5回、3歳までは月に1-2回以上という具合に起こり、最近はまたひどくなりました。

以前は1回につき3分くらい症状が続き、また3分くらい元に戻るということを、多い場合は3回くらい繰り返す程度だったのですが、最近はかなり何度も繰り返し、その状態が1-2時間も続きます。発作が終わった後、抱かないで放すと、また症状が出ることもあります。

体力を消耗するらしく、放しても動けないようで、ひどいときは半日くらい動きません。でも、元気になれば、いつも通り食事を食べます。2歳くらいまでは獣医さんに「熱中症」といわれていたのですが、最近は「精神的なもので、ストレスから来ている。治す方法はない」といわれました。今は「精神安定剤」を処方してもらい、症状が現れたら飲ませています。飲ませると、30分くらいで落ち着き、症状はなくなります。これまで脳の検査をしたことはありません。どのように思われるか、ご意見をお聞かせください。(愛媛県/N・M)

周期的に来る発作で、最近になってだんだん回数が増えてきたとのことですが、何であれ、その発作を早く止めることが原則です。それらの発作の3分の1は完全にコントロールでき、3分の1がだいたいコントロールでき、残りの3分の1が不完全ながら少しだけコントロールできるという状態です。

お話によると、現在のかかりつけの獣医師は神経病に対してあまり得意ではないようです。別の病院を探すことをお勧めします。何カ所かまず電話をして、状況を話し、よく話を聞いてくれるところを数カ所選びます。そして、あらかじめできるだけ多くの状況を紙に書いておき、病院に行って、まず診察だけをお願いするのです。その際に、過去の記録などデータをすべて見せるとよいでしょう。

最低3カ所以上の病院へ行き、「何か考えられるか?」「どんな治療をするのか?」「検査は?」「料金はいくらかかるか?」などを質問し、どの病院がよいか、自身の人生経験を生かして判断してください。

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2歳のオスのWコーギーがお腹がゆるくなりがちなので、気になります。

2歳のオスのWコーギーがお腹がゆるくなりがちなので、気になります。最初は固い便を出すのですが、その後で軟らかいのが出ます。最初の病院では、大腸が慢性的に炎症を起こしているのではないかといわれ、フードをかえることを勧められました。低アレルギーのフードに変えたところ、しばらくはよかったのですが、また最近、以前と同じようになってしまいました。

別の病院で相談してみたところ、「最初に固いのが出れば下痢ではないし、便になりきっていないのではないのを出しているのではないか。そんなに心配することはない」と言われました。犬は骨格も大きく、14.5㎏あり、毛の艶もよく、とても元気です。(新潟県/T・O)

便に異常があるのは間違いないようです。下痢というより、軟便といえるでしょう。初めに固い便が出るのは、大腸で水分が吸収されているからで、よくあることです。このような場合、いくつか試してみるとよいことがあります。

まず、最初にチェックすべき点は、食事の量をフードの指示通りに与えているかどうかです。これは意外な盲点で、食事の量がただ多すぎるため、便に異常が現れることがあります。特別に運動しないのに、犬がほしがるからといって、多く与えすぎるのは禁物です。動物病院では、便に異常があっても、食べている量について聞かないこともあります。もし、多く与えすぎていた場合は、適正量を与えるようにし、便の様子を見てください。

次に、フード以外に何か食べていれば、それを一切やめてみることです。その次に試すことは、現在の量より20%程度減らし、軟便が治るかどうか見ることです。しかし、与えるフードの量を減らすことによって、その他のものをよけいにほしがったり、自分の糞を食べるようなことになると逆効果ですので、そのようなことがあったら、すぐにやめます。

以上のことを試しても、治らなかったり、あるいは治っても一時的だったりした場合は、ほかに原因があると考えられますから、それを調べる必要があります。通常、獣医師は糞の検査から始めるでしょう。糞の検査は10種類くらいありますが、通常は2-3種類しかしないかもしれません。愛犬の場合は、もっと検査の種類を多くしたほうがいいかもしれません。いずれにしても、もう1度病院に相談に行きましょう。

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10カ月のオスのパグですが、鼻の頭がはげたような薄いピンク色です。

10カ月のオスのパグです。狂犬病の予防注射を打ちに行った時、「鼻がピンク色だから体内に菌がいる。ホルモンのバランスが崩れている。でも死ぬような病気ではないから、薬を飲まなくても1年経てばまた黒に戻るかもしれない。」と言われました。

確かに、うちの犬は鼻の頭がはげたような薄いピンク色です。何が原因で鼻がピンク色になってしまったのでしょうか?真っ黒の鼻に戻るでしょうか?食事・散歩など、毎日の生活で気を付けることはあるでしょうか?(東京都/M・K)

鼻がピンク色になった原因はいろいろ考えられます。まず病気の場合とそうでない場合があります。

病気でない場合は、遺伝的な素因によって色が変化したと考えて良いでしょう。特に成犬になる前は色の変化があり、年齢を重ねるに従って黒くなる場合もあります。兄弟犬がいれば参考になるでしょう。

病気の場合、最も多いのは日光による過敏症です。この場合はできるだけ日光に当てないようにすることです。サンクリームを塗るのも少しは役に立ちます。また、特殊な免疫の病気で鼻の色が変化することもあります。他に、何か物理的な理由、例えばいつもゲージに鼻を付けてこすっているような場合でも色は変化します。できれば皮膚病に得意そうな病院を見つけ、1度相談したら良いでしょう。

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1歳2カ月のメスのコーギーですが、左目だけ目やにが出ます。

1歳2カ月のメスのコーギーです。

購入した1年前から気になっていたのですが、左目だけ目やにが出ます。ワクチンを接種するときに獣医さんに診察していただき、目薬を入れていたのですが、1年経っても、目やには出ています。そして、目薬をなかなか入れさせない状態になり、目薬をなめることもあります。目やにが出ているところは毛も固くなり、シャンプーのときも目に近いのでなかなか洗うことができません。白眼が充血しているというわけではりませんが、ときどき赤いように見えることもあります。目やにが出なくなる方法はあるでしょうか?(広島県/T・A)

左目のみに目やにがでるということであれば、一時的な細菌感染等ではないようです。まして1年たっても目やにが出ているというのは異常です。左目のみに何か先天的な異常がある可能性があります。左目が外見上まったく右目と同じように見える場合は、目の内側の周囲に何かの病気、例えば涙の出る管が詰まっているとか、その管自体が消失しているということが考えられます。

また、右目と左目が外見上違っていれば、目の外側の病気、つまり眼瞼内反症や眼瞼外反症のため、たえず目が刺激されて目やにの原因になっているのかもしれません。いずれにしても、目に詳しそうな病院を探して、もう1度診察を受けることをお勧めします。

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5カ月の♀のミックスですが、「小さいのにあまり運動させると、心臓肥大になる。体がどんどん大きくなってしまう」というのは本当でしょうか。

5カ月の♀のミックス(体重1.4kg・体高約21cm・体長約24cm)ですが、片道で12分くらいのところにある公園へ行き、1時間くらい元気に散歩しています。時間のあるときは、夕方も同じコースを1時間半くらい散歩しています。

しかし、犬を飼っている友達に「小さいのにあまり運動させると、心臓肥大になる。せっかく小さくて可愛いのに、どんどん体が大きくなってしまう」といわれていますが、本当でしょうか?(東京都/K・T)

犬の大きさに関わらず、比較的ゆっくりした散歩であれば、1日1-2回は問題ありません。ただし、途中で立ち止まるとか、座り込んでしまう場合は、どこかに異常があることも考えられます。運動によって、体型が変化することはありますが、体が不自然に大きくなることはありません。

大切なことは、定期的に検診を受けることです。特に便の検査は、年に4回くらい行うとよいでしょう。無理をするのはいけませんが、愛犬は元気なようですから、心配しないで散歩を楽しんでください。ただし、引き綱はきちんと付けましょう。

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1歳9カ月のヨーキーですが、生後4カ月でわが家に来たときから、眼が緑色でした。

1歳9カ月のヨーキー(♀)ですが、生後4カ月でわが家に来たときから、眼が緑色でした。他の2匹の犬(ゴールデン、ヨーキー)と一緒に写真を撮ると、1匹だけ眼が緑色に写ります。他のヨーキーに比べて、眼球が少し突出しているようにも見えます。涙も他の2匹に比べると量が多く、人間用の「タリビット点眼薬」を毎日、点眼しています。ときどき、眼をかゆそうにこすったりしていますが、いたって元気で、「オイデ」というと飛んで走ってくるので、眼は見えているようです。

将来、緑内障になるのでは(あるいはもうなっているのか)と心配しています。予防法などがあったら教えてください。(北海道/T・N)

目が緑色とのことですが、色素に関係のある場合と、病気(眼圧の上昇等)の場合があります。緑内障になると通常、眼が大きくなります。そして、痛いので眼をつぶることが多くなります。もし、眼を閉じているような症状がなければ、愛犬はまだ緑内障になっていないと思います。

まず、眼が見えているのかどうか、確かめるのがよいでしょう。階段の前でつまづくような場合、眼が見えていない可能性があります。眼に雲がかかっているように見える場合は、危険です。また、涙が多いというのも気になります。

眼科の得意な病院(眼圧計とスリットランプのある病院)を探し、定期的に検診を受ける必要があります。緑内障は急性の病気で2-3日で起こることがあります。予防法は特にありませんので、定期検診が重要となります。

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7カ月のラブラドールレトリーバーですが、食べさせてもあまり大きくなりません。

7カ月のラブラドールレトリーバーのメスです。3カ月のときワクチン接種のため獣医さんに連れていくと、母胎感染でお腹に虫がいるといわれました。薬を飲ませて駆虫してもらいましたが、普通のラブより小さいといわれ、現在は4カ月のラブと変わらないくらいの大きさです。食事も最高級のものを与えていますが、効果がありません。どんな食事を与えどうすれば正常に成長するか教えてください。(北海道/M・T)

大きくならない理由は医学的に2つに分けることができます。

まず、本来病気ではなく大きくなるべきなのにならない場合です。この場合、第1の原因は、食事の与え方・回数・量などに問題があることです。もう1つは病気の場合です。これは先天的な病気と後天的な病気に分けられます。先天的な病気としてはまず心臓病があります。また、肝臓や腎臓の奇形も考えられ、このような病気があると大きくならないとされています。これらについては、その方面の専門的な獣医師に調べてもらう必要があるでしょう。

先天的な病気以外では寄生虫感染も考えられ、この場合は大きくなれない時期もあるかもしれませんが、通常は同じように大きくなるはずです。まして駆虫したのなら問題はないでしょう。ただし再度便検査をして、本当に虫が落ちたのかどうか調べる必要があるでしょう。なお母犬に寄生虫がいれば、仔犬に感染するのは当然といえますから、妊娠する犬は必ず糞便検査をして寄生虫を落としてから交配することが大切です。

あなたの愛犬の場合、適正量のフードを与えていても体が大きくならないとすれば、やはり何かの病気である可能性があります。より詳しく調べる必要があるでしょう。

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ゴールデンレトリーバーのメス(2歳)の肥満が心配です。

ゴールデンレトリーバーのメス(2歳)の肥満が心配です。生まれて半年くらいはかなりやせていたのですが、成犬になった頃から太り気味になり、32kgに達した頃からダイエットフードに切り換えたのですが、現在36kgもあります。

食事はダイエットドライフードを残さない程度に朝夕2回・ジャーキー3本・おすわりくん1/3・ガムの小を食後に1本ずつ与えていました。最近食事を1回にし、ドライフードを朝夕2回与えていた量の2/3に減らしました。残した分は夕方与え、朝残さずに全部食べたときはガムを1本余分に与えています。

肥満させないためには食事の回数を何回にしたほうがいいでしょうか?(岐阜県/M・S)

ゴールデンは肥満しやすい犬種で、特にメスにその傾向が強いようです。食事の回数が多くたくさん食べれば肥満するでしょうが、決定的なのは食事の回数ではなくカロリーの摂取量です。

まずあなたの愛犬が本当に太りすぎなのかどうかを判定しなければなりません。簡単な判定法は肋骨をさわることです。手に肋骨がゴツゴツ感じられればやせており、ほとんどさわることができなければ肥満と考えていいでしょう。

また、ゴールデンのメスの標準体重は29.5-34.0kgですから、愛犬の36㎏という体重は少し太りすぎかもしれません。肥満させないためには適正量の食事を与える必要があり、その量は体重に応じて決まります。愛犬の場合、36kgを基準としてフードの量を割り出すのではなく、29.5-34.0kgを基準にした量よりさらに少な目の食事を与える必要があります。そう考えると現在の量はかなり多いでしょう。特にジャーキーやガムはこの際控え、肥満が解消されたらおやつ程度に与えるといいでしょう。

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ドッグフードだけを与えているため、栄養不足になっていると言われました。

4カ月になるポメラニアンのオスです。2カ月のときから飼いはじめ、そのときから便が軟らかく、回虫がいると診断され薬を飲ませました。その後、便は硬くなりましたが、3カ月頃から再び軟便になり、同時に体をかゆがり、前肢の付け根の外側に直径2cmほどの脱毛ができました。病院ではやせていることと、毛艶が悪いことも指摘され、ドッグフードだけを与えているため栄養不足になっていると言われました。その後、同じ病院のペットホテルに預けている際、耳ダニがいるとわかり治療中です。

現在病院でいわれたとおり、1日2回トリ肝などの肉類をゆで、ご飯と混ぜて与えています。体重は増え、体をかゆがることも減りましたが、便の状態はあまり変化がないように感じます。

私としてはドッグフードを与えたいのですが、どうでしょうか?フードはユカヌバパピーを与えていました。(島根県/Y・T)

通常ドッグフードだけを与えていて栄養不足になることはありません。栄養不足の原因は別にあると考えられます。あなたの愛犬は回虫がいたのですから、それが原因で栄養不足になった可能性があります。また、回虫以外の寄生虫がいることも考えられますから、薬を飲ませるだけでなく、虫が完全に駆虫されているかどうか調べる必要があります。

現在体重は増えても便の状態に変化がないとすれば、まだ病気が続いている可能性があります。もう1度、より専門的な病院で、便の検査を中心に詳しく調べてもらう必要があるでしょう。原因がわかって便の状態が改善されれば、与えたいドッグフードを与えることで十分に体重は維持できるはずです。

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尿の色が濃い黄色です。ビタミン剤のようなにおいがします。

尿の色が濃い黄色です。ビタミン剤のようなにおいがします。食事はラム&ライスの成犬用を与えています。あと、野菜と果物、市販のペット用魚類などです。

母犬も全く同じ物を与えていますが、こちらの尿は別段、色もにおいも気になりません。血液中のコレステロール値が360、母犬の方が430とかなり高いです。他に病歴はありません。食欲もあり、元気ですが心配です。

尿の色が濃いというのは、一般的に脱水を示していることが多いのです。脱水とはすなわち水分が足らなくなっているのです。ということは、主には泌尿器系の病気ということになります。

また、ビタミン剤を与えたり、強肝剤を注射したりすると尿の色は黄色くなります。あなたの犬はそれらのものは与えていないと思われますので、脱水によるものか別の代謝病かあるいは先天的な泌尿器系の病気の可能性もあるかもしれません。あなたの犬は、太リ過ぎてはいませんか?もし太っていればそれらを改善する必要があるでしょう。

しかし尿の色は、食事によってもかなり違ってきます。ラム&ライスもよいのですが、一度食事を変えてみて、それでも尿の色が黄色くなるかどうか確かめてみる必要があります。

水の飲み方はどうでしょうか。もし水の飲み方が少なければ、より脱水が疑われます。そしてもっとも重要なのが、尿の検査です。尿の検査で比重が高ければ脱水があリ、何かの異常と言えます。

コレステロールが高いということですが、食事をした後であれば当然高くなります。しかし、甲状腺の問題とか、肝臓、腎臓、膵臓等の病気でコレステロールが高くなる場合があります。またその時にタンバク質の値が低くなることもあるようです。現在は元気ということですが、一度病院でしっかり診てもらったほうがよいでしょう。

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股関節形成不全と診断されましたが、手術以外で良くなる方法はないでしょうか。

ダックスのメス(8カ月)です。わが家に来たのが5カ月の時で、ダックスのオスと追いかけっこをして遊んでいました。6カ月頃から、遊んだ後右後脚を跛行するようになりました。病院で痛み止めとカルシウムをもらいましたが良くならず、別の病院でレントゲン検査をした結果、股関節形成不全と診断され、骨頭を切除したほうが良いといわれました。

手術以外で良くなる方法はないでしょうか?食事で気を付けることも教えてください。(福島県/K・S)

レントゲン検査の結果、股関節形成不全と診断されたとありますが、何か別の病名をいわれた可能性はありませんか?いわゆる股関節形成不全は、大型犬に多発する病気で小型犬では非常に珍しいといわざるを得ません。股関節の病気では、無菌的な壊死を起こすレッグパーセスペルベス病という病気が、小型犬にときどき起こることが知られています。

手術による骨頭の切除は、股関節の病気の治療でよく使われる手段ですから、愛犬は股関節の病気である可能性が高く、その治療法によって治るのかもしれません。いずれにしても、診察をした獣医師でないとはっきりしたことはわかりません。

跛行が起こっている場合は診断が重要ですので、できれば骨の病気に得意な動物病院を探して、セカンドオピニオンを求め再検査を受けたほうが良いと思います。

手術以外で改善する方法は病気の種類と程度によって違います。食事で気を付けることは、適正量のフードを与え太りすぎを防ぐことです。一般的には、鎮痛剤や鎮静剤を投与したり、脚の周りの血行を良くする消炎剤などを処方する方法があります。また、最近では東洋医学の針灸やレーザー治療などを受けることも可能です。しかし原因を治さずして二次的な治療をしても効果は不安定でしょう。やはり原因を突きとめることが重要ですので、診断の根拠をもう1度聞き出し、いろいろな本で調べると良いでしょう。もし診断が違っていると思われたら他の獣医師に相談することをお勧めします。

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心臓がよくないと長生きできないのでしょうか?治ることはないのでしょうか?

8カ月のミニチュアダックスのメスです。先日病院の先生に「この子は心臓があまりよくないね。不整脈がある」と言われました。食欲はあるし、とても活発で散歩も大好きなので、心臓が悪いと言われショックでした。

心臓がよくないと長生きできないのでしょうか?治ることはないのでしょうか?食事の量を変えたり、散歩の距離を短くしたり、興奮させないなどの注意が必要でしょうか?なお、生後4カ月の頃おもちゃの磁石を誤飲して、胃の手術をしたことがあります。(茨城県/H・U)

心臓が悪くても長生きさせることは不可能ではありません。問題はどの程度悪いかということで、その程度により養生の仕方も変わります。心臓病の主要な症状として、咳・失神・やせてくるなどがあります。

一般的にはまず食事の質に気を付けることが大切です。塩分の少ない食事を与えなければなりません。次に十分に休養させることが必要です。重症の場合は絶対安静にしなければなりませんが、軽症では軽い運動制限をすれば良いでしょう。しかし無理に散歩させてはいけません。散歩の途中で犬が座り込むようなら、散歩をストップさせてください。これは非常に重要なことです。

薬の投与が必要な場合は、獣医師の指示に従いうまく飲ませてください。心臓病は一般に治すことができず、薬の投与も進行を遅らせることが目的です。その他、興奮させるような環境をつくらないことが大切です。

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4歳のヨーキーのオスです。最近涙やけができてしまいました。

4歳のヨーキーのオスです。最近涙やけができてしまいました。白い犬ではないので、涙やけの色は赤ではなく、焦げ茶色です。目やにを取るのを嫌がりますが、毎日できる限り取っていました。涙やけはまだそれほどひどくありませんが、治す方法があればすぐに試したいと思います。予防法も教えてください。(大阪府/Y・S)

伝染病と関係のない慢性的な涙やけは、小型犬でときどき見られます。涙やけについては、動物病院で治療してもらっても(涙管を通す手術を含む)一時的に良くなるだけで、すぐに再発すると感じている飼い主は多いようです。実際、ただ涙管を通すだけではほとんどが再発します。涙管の先が閉じていたり、涙管自体がなかったり、先天的な涙管の病気をもっている場合が多いからです。最近は涙やけの手術方法も改良されつつあり、治療効果もかなり上がっているので、眼科に精通した獣医師を見つけ、そのアドバイスに従うのが良いでしょう。

治療方法は原因によって違います。一般的に飼い主にできることは、こまめに目やにを取り除いて目を清潔にしたり、少しひどくなったら抗生物質入りの眼薬を使用するなどがあります。また予防法ではありませんが、目立たなくするために、涙やけした部分の毛をカットしたり、オキシフルで脱色する方法もあります。

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灰白色がかったうんちをしはじめ、よく見ると、所々に血が混ざっています。

1歳7カ月になるアメリカン・コッカー・スパニエル(♂)ですが、2~3日前から、灰白色がかったうんちをしはじめ、よく見ると、所々に血が混ざっています。おしっこの回数も多めで、黄色っぽい気がします。換毛期でもないのに大量の毛が抜け落ち、毛玉になって落ちていて、毎朝、白い粉(ふけのようなもの)がサークルのまわりにびっしりと落ちています。また、部分的に毛がなくなり、赤い湿疹ができています。A・コッカー・Sは、皮膚病になりやすいといわれていますが、うちのコはほかのコより、体臭もきつく、とても心配です。 (北海道A・T)

灰白色がかったうんちをしたとありますが、犬の場合、すい臓に異常があると便の色が白くなることがあります。すい臓の異常はいろいろ複雑な病気がありますので、この件に関してはより専門的な病院で調べてもらうとよいでしょう。しかし、病気が進行した場合は消化器系の下痢とか嘔吐の症状が出てきますので、その際はなおさらです。たまにそうなるというのであれば、いずれ調べる必要があります。

オシッコの色が黄色っぽいというのは、オシッコが濃縮していて、脱水をしていることを示しています。

また、ふけのようなものが落ちるということですが、コッカースパニエルでは脂漏性皮膚炎が考えられます。特にコッカースパニエルは(スプリンガースパニエルも)脂漏性の皮膚病が起こりやすいことが知られています。生後18カ月までに症状が現れます。脂漏性皮膚炎は皮膚がベタベタした場合と乾いた場合があります。また臭気を伴うこともあり、感染もあり、かゆみを伴うことがあります。それらの場合は、感染を予防する必要があります。しかし、根本的には、コッカーの脂漏性の原因は不明であるため、二次的な治療を行うしかありません。定期的に薬浴をしたり、定期的に病院に行って他の病気の併発がないか調べてもらうとよいでしょう。

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お腹のあたりに、ブツブツした湿疹のようなものができています。

1歳のシェルティ(♂)ですが、ココノの皮膚トラブルで悩んでいます。最近、近くの動物病院に連れて行き、「かさぶたをとって、薬を塗ってください」といわれましたが、いっこうに治る気配がありません。エサが悪いのかと思い、最近、「サイエンスダイエット センシティブスキン」に変更しました。お腹のあたりには、ブツブツした湿疹のようなものができています。また、あちこちかゆがって、かわいそうです。どうしたら良いでしょうか?(青森県/N・M)

おのおのの皮膚病はその原因によって治療法は変わります。問題はお腹のあたりのぶつぶつした湿疹のようなものを、一部を削り取って顕微鏡で調べ、そこに何があるかを調べるのです。カビがあればカビの薬が必要ですし、細菌があれば抗生物質が必要ですし、アレルギー物質があれば、抗アレルギー剤が必要です。ですから、いかにその皮膚病の原因を病院で調べたかによって治るか治らないかが決まります。

皮膚病は難しい病気のひとつですので、病院によっては皮膚病を得意としないこともあります。そのような場合、病院を変わる必要があるでしょう。皮膚病に対してアレルギーの少ない食事に変えるということはよいことですが、あくまでも皮膚病の原因を治してから食事の効果が出るわけです。

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便を食べたり、トイレットシーツを食べたりしています。

7カ月になるチワワ(♀)ですが、私がいてもいなくても、気づくとたまに便を食べたり、トイレットシーツを食べたりしています。体に悪いので、止めさせたいのですが、良い方法はありますか?(香川県/Y・M)

犬で便を食べるということはよく聞きますが、なかなか難しい問題です。簡単に言えば、病気の問題と病気でない問題、しつけの問題の二つの方向から考えなければなりません。最初に動物病院で病気であるかどうかを調べてもらうとよいでしょう。すなわち、他の寄生虫の検査や便の検査が重要です。

寄生虫がいると便をはじめ、他の異物を食べようとします。あなたのチワワは便のみを食べるのか、土とか草とかいろいろ食べるのかによって違ってきます。簡単に言えば、食事の量が足りなければ何でも食べたがります。特に成長期の犬に見られます。

まず、あなたの上げているフードがチワワに適しているかどうか調べることから始めましょう。そして、病院では寄生虫の検査、熱はないか、扁桃腺が腫れていないか、その他の異常がないかを調べます。トイレのシーツを食べるのであれば、使用せず、新聞紙を使用します。シーツの中には、尿を固める作用のある成分に毒性があることがありますので、食べさせるのはよくありません。また、しつけをよくすることです。よいマナーを教えることが重要です。

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ワクチン接種後、トマトジュースのような血便と嘔吐を繰り返しました。

我が家の愛犬、コーギーは、今月で5歳4カ月になります。毎年7月に8種混合ワクチンを接種しますが、今年も例年どおり接種しました。当日は、少しおなかがゆるく、抵抗力がおちていたせいかもしれませんが、ワクチンの菌に逆に感染してしまい、翌日からトマトジュースのような血便と嘔吐を繰り返しました。毎日、病院に通い、最近は下血も嘔吐も止まりましたが、今後もこのようなことがあるのではないかと、ワクチン接種をすべきか、見合わすべきなのか悩んでいます。(山形県/S・K)

ワクチンの接種は、できるだけ健康な時に行うのが原則です。あなたの場合はその血便と嘔吐の原因がワクチンかどうかは、この文章からはわかりません。またワクチンを接種する前に身体検査を含めて、どんな検査をしたのかにもよります。

ワクチンの菌に逆に感染してしまい・・とありますが、まずありえない話です。ワクチン・アレルギー(長毛のダックスフンドに不活化ワクチンを接種すると、起こりやすいことが知られています)以外は、そんなに早くワクチンは効き始めないからです。またワクチンの種類によっても、副作用が違ってきます。例えば、8種より、5種の方が副作用は少なくなりますが、防げる病気の数は当然少なくなります。しかし近年の獣医学の研究によって、ワクチンは飼育の状況によって、毎年の接種は必要でなく、2~3年に1回の接種で予防は可能であると言う研究が出されており、このことも飼い主の方は知っておくとよいでしょう。このへんは良く動物病院と御相談ください。