冬に多い病気、トップ5に気をつけて!
5位呼吸器系、4位伝染性、3位……。予防アドバイスも付けました
犬は寒さに強いもの、と思いがちですが、冬に発症しやすい病気があるんです。
早期発見のコツや予防法を知って、愛犬を冬に多い病気や症状から守りましょう。
冬に注意したい病気・症状
| 1位 泌尿器系の疾患 | 
|---|
| 尿道の長いオス犬は特に気を付けたい疾患。メス犬も膀胱炎などに注意。 | 
| 2位 関節などの疾患 | 
| 冬に人間のお年寄りが関節などの痛みを訴えるのと同じことが、犬にもいえるのだとか。 | 
| 3位 心臓・循環器系の疾患 | 
| 意外にも、病気の早期発見のポイントは「咳」にありました。 | 
| 4位 伝染症の疾患 | 
| 予防接種を打つだけでは防げない!?日頃からやるべきこととは? | 
| 5位 呼吸器系の疾患 | 
| 冷たい外気に触れることで咳を誘発。朝晩など気温がぐっと下がるときは注意。 | 
これらの病気は、どうして冬に発症しやすいの?
| 気温が低くなると、冷たい空気が喉などを刺激しやすい | 
|---|
| 空気が乾燥して気温が下がる冬は、鼻や喉の粘膜の働きが弱まり、細菌やウイルスの侵入に対する抵抗性が低くなります。その結果、喉や鼻が刺激に敏感になり、鼻炎や咳などの症状となってあらわれやすくなるのです。 | 
| 冬はウイルスが発症しやすい | 
| 冬、大流行する人間のインフルエンザもそうですが、ウイルスは低気温・低湿度を好むので、冬に特に媒介しやすいという性質をもっています。体力が落ちた犬や老犬などはウイルスに感染しやすくなってしまうので注意が必要です。 | 
| 水を飲む量が減る | 
| 寒くなってくると、散歩に出かける回数も減りがち。動かないので、喉もあまり渇かず、水を飲む量は夏に比べて激減します。水を飲まない→おしっこがあまりでない、ことなどから泌尿器系の疾患がでることも… | 
| 運動不足になりがち | 
| 運動不足になりがちな冬は、筋肉も衰え、急に走ったときに関節を痛めたり、神経の疾患にかかりやすくなります。室内で軽い運動をする、お風呂好きな犬の場合は、湯船の中で手足を動かすなどの工夫をしてみてはいかがでしょう。 | 
第1位 泌尿器系の疾患
水を飲む量が減る冬に症状が出やすい泌尿器系疾患。
排尿困難や尿の色の変化など、オシッコの異常が見られたらすぐ病院へ。
こんな犬は気をつけて
- オス犬
- 過去に泌尿器系の疾患にかかったことのある犬
- 8才以上の高齢犬
血尿について
尿に血が混じるのが最初からか、最後のほうか見分けると、獣医師にかかった際に、病気の判別がしやすい。
★排尿の最初から終わりまで血が混じる場合→腎臓疾患の疑いあり
★排尿の最後のほうのみに血が混じる場合→膀胱疾患の疑いあり
考えられる病気は?
- 腎臓や尿管、尿道、膀胱の疾患
- 結石(オス犬に多い)、尿路感染症
- オス犬の前立腺肥大
- 膀胱炎(メス犬に多い)
腎臓から輸尿管、膀胱、尿道までの臓器の総称が泌尿器。泌尿器は、血液をろ過して老廃物を尿として排せつすると共に、ミネラル成分や水分を排出して再吸収する働きがあります。
水を飲む量の減る冬は、泌尿器系の疾患にかかりやすい時期。一般的に、尿道の短いメス犬は膀胱炎にかかりやすく、反対に尿道の長いオス犬は、その尿道が先細りのため、結石が尿道につまって排尿困難になりやすいようです。去勢していないオスは、高齢になって、前立腺肥大の症状が出やすい傾向があります。
血尿について
尿に血が混じるのが最初からか、最後のほうか見分けると、獣医師にかかった際に、病気の判別がしやすい。
★排尿の最初から終わりまで血が混じる場合→腎臓疾患の疑いあり
★排尿の最後のほうのみに血が混じる場合→膀胱疾患の疑いあり
考えられる病気は?
- 腎臓や尿管、尿道、膀胱の疾患
- 結石(オス犬に多い)、尿路感染症
- オス犬の前立腺肥大
- 膀胱炎(メス犬に多い)
腎臓から輸尿管、膀胱、尿道までの臓器の総称が泌尿器。泌尿器は、血液をろ過して老廃物を尿として排せつすると共に、ミネラル成分や水分を排出して再吸収する働きがあります。
水を飲む量の減る冬は、泌尿器系の疾患にかかりやすい時期。一般的に、尿道の短いメス犬は膀胱炎にかかりやすく、反対に尿道の長いオス犬は、その尿道が先細りのため、結石が尿道につまって排尿困難になりやすいようです。去勢していないオスは、高齢になって、前立腺肥大の症状が出やすい傾向があります。
病気を見つける目安
排尿するときに痛そうにしたり、いつもに比べて長い
排尿するときに、いつもの様子と違うそぶりをみせたら異常があると思ってください。たとえば、ちょろちょろと少しずつ時間をかけて排尿している、出しては中断し、出しては中断し・・・を繰り返すといった様子なら、尿が出るときに泌尿器系に痛みを感じているのかもしれません。
また、オシッコをしようとしていきんでも尿が出ないときは、結石などで尿道が詰まっていることも考えられるので注意が必要です。
尿の量や回数が増えていないか、色に変化はないか?
水を大量に飲むようになったり、飲んだ水の量に比べて尿の量が異常に多い場合、また、少量ずつ何度も排尿するようなときは、泌尿器系疾患による膀胱炎などにかかっている可能性が。このような場合は、病院で尿のph、比重、タンパク、細胞成分の分析検査をし、原因をきちんと確定してから治療をしてもらうことをすすめます。
また、健康な犬の尿は淡黄色ですが、濃い黄色になったり、濁った色の尿や赤やチョコレート色の血尿が出たときも、泌尿器系疾患の疑いがあります。過去に泌尿器系の疾患を経験したことがある犬は、冬場は再発の可能性がとても高いので、飼い主さんは充分な注意が必要です。
予防法
水を飲ませるときのひと工夫とは?
あまり水の量が減っていないと感じたら、いつもの水にひと工夫を加えてみましょう。犬の好む肉汁(できるだけ味付けせずに)などを飲み水に少量加えてみると、おいしい匂いに誘われて、たくさん飲んでくれるはず。
トイレトレーニングは必須です
寒さのために、犬の散歩を怠りがちになると、散歩のときにしかトイレをしない習慣のついている犬は、ずっとオシッコを我慢してしまうことに。雪の多い地方などで冬に外に出られない場合などは、家のなかでオシッコができる習慣をつけておけば、安心です。
第2位 関節などの疾患
寒くて、あまり動かなくなっているとき、関節が温まっていない状態で、いきなり走ったら危険!寒くても適度な運動は必要です。
こんな犬は気をつけて
- 高齢犬(特に小型犬)
- 太り気味の犬
考えられる病気は?
- 骨関節炎
- 神経の異常など
※骨関節疾患と神経病の見分け方
足先を内側に曲て犬を立たせます。その状態のまま、1~2秒たっても足が元に戻らなかったら神経疾患の可能性が。たとえば、痛がる足が後ろだったら、後ろ足2本とも試してみましょう。
病気を見つける目安は歩くのを嫌がる
今までは元気に動き回っていたのに、歩くのを嫌がるようになったら、関節の疾患を疑う必要があります。
足を動かしたり触ったりすると嫌がる、鳴く
足を動かしたときに、痛がって鳴いたり、飼い主が足を触ると嫌がって噛みついたりするような場合は、痛みを伴っている可能性があります。
予防法
急にボールなどを投げて遊ばない
寝起きなど動きが鈍くなっているときに、急にボールを投げて追いかけさせたりするのは避けましょう。ボールが大好きな犬は反射的に行動するので、いきなり無理な体勢を取ることになり、その結果関節を痛めてしまうことにもなります。
滑りやすい床に注意
家庭の床材にも注意が必要。つるつると滑りやすいフロ-リングなどの床は、犬がふんばれず、歩く際体に負担をかけてしまいます。また、家の中で走り回る習慣のある犬は、滑って転んだりして、ケガをすることも。犬が歩く範囲の床には滑り留めを貼ったり、カーペットを敷くなどして、犬の足腰を守ってあげましょう。
定期検診を受ける
犬の体重や健康状態を把握しておくことが予防の第一歩。高齢犬になったら、かかりつけの獣医師に、年に1回のワクチン接種のときだけでなく、年に数回、定期的に診てもらうことが大切。ちょっとした変化を見逃さないことが病気を防ぐコツです。
肥満大敵!
関節疾患を防ぐためにいちばん大切なことは、肥満させないこと。標準体重をオーバーしていると、関節や、心臓に負担をかけてしまいます。太っている犬は今すぐダイエットを始めたいところ。でも、今までたくさん食べていた犬に、急に食事制限をさせるのは難しいので、医師の指導のもと、煮た野菜やローカロリーで満腹感のあるものを、ふだんの食事に加えてあげましょう。人間の食べものをあげる習慣も、食べ過ぎ、塩分過多になるので×。
第3位 心臓循環器の疾患
心臓疾患は発見が難しい病気。
他の病気の症状と似ていることもあるので、発見が遅れることも…
脈拍数のチェックなどで病気を早期発見しましょう。
こんな犬は気をつけて
- 高齢犬(特に小型)
考えられる病気は?
- 弁膜障害など
心拍数の計り方
安静時、1分間に120以上の心拍数だと、心臓病の疑いがあります。リラックスした状態で心拍を計ることは、飼い主にしかできない、家庭でできる簡単な心臓病の病気発見法です。
病気を見つける目安
咳に注意
心臓循環器の疾患の場合は、なかなか発見が難しいもの。発見に繋がるわかりやすい症状としては、咳が挙げられます。特に小型犬が高齢になって急に咳が出るようになったら、要注意です。冬は呼吸器が冷たい空気によって刺激され、急に冷え込んだ時などに咳が出やすくなりますので、病気発見の機会だと思って、愛犬の様子に充分注意してみましょう。
体重の激減に注意
心臓循環器の病気が悪化してくると体重が減少してきます。8kgあった犬が1カ月で7kgになったなど、短期間で1割以上減った、特に思い当たる理由もないのに犬が痩せてきたなどの場合は、心臓疾患を疑ってみたほうがいいでしょう。被毛の長い犬は特に体重の増減が外見からではわかりにくいので、こまめに体重を計ることが大切です。
予防法
塩分過多は×
予防には食事の塩分を少なくすることが大切。手作りのゴハンの場合、ドッグフードよりも塩分量が高くなる傾向にあるので、市販のフードとうまく併用して食事を与えるようにするといいでしょう。タンパク質のとりすぎも注意してください。
第4位 伝染性の疾患
最近では予防接種がかなり普及しましたが、伝染病が完全に予防できると油断しないで。冬はさまざまなウイルスが活発に活動する時期なのですから。
こんな犬は気をつけて
- 子犬など年の若い犬
- 予防接種していない犬
考えられる病気は?
- ジステンパー
- パルボウイルスなど
病気を見つける目安
急に元気がなくなる
急に元気がなくなり、高熱が出て下痢をする場合はジステンパーを疑います。激しく嘔吐して血便する場合は、パルボウイルスに感染している可能性が。
予防法
予防接種は必ず
生後2カ月前後の子犬は免疫がないため初接種の前に伝染病にかかってしまうことがあります。接種するまでは、できればほかの犬との接触は避けて。
犬の多いところは感染率高し
ペットホテルやドッグランなど、不特定多数の犬が集まるところは、いろんなウイルスや細菌がいることも。旅行などで犬を預ける場合は、ワクチン接種を義務づけているところを選ぶなどの対策を。
予防接種について:寄生虫がいると効果が半減!?
伝染病の予防接種は、犬の寄生虫がいるような健康状態では効果が半減してしまう場合があります。接種前には最低限、便検査などの健康診断をして、ワクチンが効果的に作用する状態かどうか確認しましょう。
病気に負けない抵抗力を!
伝染病の予防接種は、病気を完全に防ぐものではなく、感染しても症状が軽く済むようにしてくれるもの。犬の体力が衰えていて、抵抗力が落ちていれば、ワクチンを打っているからといっても安心できません。毎日の規則正しい生活でウイルスに感染しない抵抗力のある体をつくることがとても大切です。
第5位 呼吸器系の疾患
冬は低気温・低湿度で、呼吸器の外からの刺激に対する抵抗力が弱まる季節。
寒さに弱い犬は特に要注意です!
こんな犬は気をつけて
- 寒さに弱い犬種(チワワ、ヘアレスドッグなど)
考えられる病気は?
- 肺炎
- 細菌やウイルス感染による気管支炎
病気を見つける目安
咳に注意
呼吸器は、口から鼻、喉、気管、気管支、肺までの総称。よく咳をしたり、鼻水が常に出ている状態は、ウイルス感染や鼻や喉、気管支の炎症が考えられます。咳がひどくなると、呼吸困難になることもあるので、早めに獣医師に診せることが必要です。また異物を飲み込むなど、誤飲のときも激しく咳をしたりします。
湿った咳や渇いた咳で発見できる病気
クシュンクシュンとくしゃみのような咳は、細菌による肺炎などの疑いがあります。また、ゴホンゴホンと喉に骨や何かが刺さったような、喉の奥からものを吐き出すような湿った咳の場合は、心臓病の可能性があります。
予防法
部屋の通気をよくする
ウイルスや細菌は、閉めきった部屋に充満してしまいます。時々窓を開けて、外のきれいな空気を部屋に取り入れるなど、室内飼いの場合は通気をよくすることが必要です。
乾燥する日は加湿器も
冬は気管などが、湿度の低い乾燥した冷たい空気に対して敏感になります。加湿器などを使って、適度に部屋の湿度を保つことは、咳などの症状をやわらげるのに役立ちます。
水を切らさない
新鮮な水を常に飲めるようにしておくことが大切。冷たすぎる水を飲むと、咳がひどくなることもあるので、あたたかい部屋に置いておくといいでしょう。
そのほか気をつけたいこと
室内犬が増え、冬でも暖かく過ごしている状況では、昔とは違った健康管理が必要。過保護にしすぎずに、愛犬をいたわってあげて。
冬の健康チェックポイント : ノミダニ、目やに、鼻水
日中は飼い主といっしょに暖房の部屋で過ごしている犬を、夜寝るときだけ、暖房を切った部屋で寝かせるときは注意。朝、晩は犬用のホットカーペットや湯たんぽなどの暖房器具をうまく使って、昼と夜の温度差を少なくし寒さ対策を。その場合に注意したいのが温度が18℃以上でないと活動できないノミやダニ。常に快適な温度を保つ室内では、ノミダニ対策は夏だけのものではありません。
目ヤニや濁った水も、ウイルス感染の可能性があるので、見過ごさないように。
冬の病気全般の、予防のポイント
- 水分補給はしっかりと水を飲まないようなら、好きな匂いや風味でひと工夫を。
- 室内など温度差は少なくぐっと冷え込む朝晩など、暖房を切るときは気を付けて。
- 体重の増減に注意たとえば短期間(半年以内)で1割以上減ったら注意。
- 急激な運動は×寝起きの急な運動は、関節などを痛める原因に。
- 老犬・子犬は特に注意体力が落ちている老犬、予防接種がまだの子犬の様子には常に目を光らせて。
- 咳には特に気をつける咳には、誤飲、呼吸器疾患、心臓循環器系疾患などの疑いが!
