三鷹獣医科グループ

猫

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猫ウイルス性呼吸器疾患

どのような病気ですか?

猫ウイルス性呼吸器疾患で問題となるのは、特に上部(気道)の呼吸器疾患です。これはなかなか、やっかいな問題で、特にこのワクチンがない20年前は、大変でした。しかし現在でも、やはりワクチンを接種していない猫は、大変なのです。この病気を症状で分けると、2つのタイプがあります。急性タイプと慢性タイプのです。

まず急性タイプから説明すると、突然の発熱、食欲不振、さまざまの程度の脱水が認められます。慢性タイプの場合は、ほとんどその急性タイプから回復した猫が、その原因ウイルスの保菌者となります。通常はあまりその症状を示さずに、数ヶ月~数年間にわたって、その原因のウイルスを出し続けます。特にストレスを受けた後に多いようです。

猫ウイルス性呼吸器疾患のうち約80%以上を占めるのが、猫ヘルペスウイルスⅠ(猫ウイルス性鼻腔気管支炎)、と猫カリシウイルスです。特に最も重要なのが、猫ウイルス性鼻腔気管支炎で、生後2ヶ月~2ヶ月半に発症すると、致命的となることがあります。また重要なのは、この病気の保菌猫が妊娠したり、またはこの病気の保菌猫が、この病気の感受性妊娠猫に感染させると、子猫が子宮内で感染したりします。

子宮内で感染した子猫は、一見正常に見えることもありますが、通常は、絶え間なく泣きつづけ、2~3週間後には通常は死亡します。

この猫ウイルス性鼻腔気管支炎の潜伏期間は、2~6日間で、主な症状は、くしゃみと鼻水で涙目(結膜炎)ぽくなり、発熱、食欲不振、沈鬱等さまざまです。鼻汁は最終的には、膿性となり細菌感染も併発します。また結膜炎は、潰瘍性角膜炎となり、穿孔性の状態となります。

猫カリシウイルス感染症は、強い伝染力を持ち、症状は主に上部呼吸器感染症です。特に舌や鼻鏡、硬口蓋に表層性の潰瘍が出現します。猫カリシウイルス感染症の潜伏期間は、3~5日間で、主な症状は、発熱、食欲不振、倦怠感等で、この病気は、猫の肺炎(間質性肺炎)の最も代表的な病気です。

猫カリシウイルス感染症もほとんどその急性タイプから回復した猫が、その原因ウイルスの保菌者となります。通常はあまりその症状を示さずに、数ヶ月~数年間にわたって、その原因のウイルスを、特にカリシウイルスはストレスと関係なしに出し続けます。このウイルスは扁桃で一番多く認められ、保菌猫は持続的に、軽度の結膜炎や歯肉炎や歯周病の原因となり、程度の差こそあれ、これらの病気が生涯関係することとなります。

これらのウイルスは世界中の猫に感染が認められています。特に外の猫は家猫より、感染率が高く、これが猫は家の中で飼育するよう薦めるひとつの理由になっています。

年齢的には生後2ヶ月~6歳ぐらいの猫で、比較的若い猫ほど、発症率が高くなっています。

猫ウイルス性鼻腔気管支炎に関係する主な症状の代表例

  1. 食欲不振や減退
  2. 元気消失
  3. くしゃみ、鼻水、鼻詰り
  4. 慢性鼻炎
  5. 前頭洞炎
  6. 結膜炎
  7. 潰瘍性角膜炎
  8. 体重減少/悪疫質
  9. 慢性的な発熱
  10. 呼吸困難
  11. 水をよく飲む
  12. 流産、死産

猫カリシウイルス感染症に関係する主な病気の代表例

  1. よだれ
  2. 表層性の潰瘍(舌や鼻鏡、硬口蓋)
  3. 食欲不振や減退
  4. 倦怠感
  5. 元気消失
  6. 結膜炎
  7. 体重減少/悪疫質
  8. 慢性的な発熱
  9. 呼吸困難
  10. 肺炎
  11. 下痢

※治療より予防が重要です。これらの伝染病は、予防接種を行えば通常は、予防することが可能です。ぜひに予防接種を行うことをお勧めいたします。これらの予防接種は、普通2ヶ月前後と3ヶ月前後に行います。詳しくは猫の理想的な予防プログラムを御参照ください。