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フクロモモンガの飼い方と病気

フクロモモンガの性質について

フクロモモンガは熱帯や亜熱帯の森林の、樹上で暮らす動物です。離れた樹木へは滑空して移動し、めったに地面に降りることはありません。夜行性で、日が暮れると活動を開始して食べ物を探します。夜明けの頃に巣に戻り眠ります。

フクロモモンガの食餌について

フクロモモンガは雑食性です。夜行性なので、食事は夕方から夜にかけて与えます。もともと樹上で採食する動物なのでゲージの高いところに置くようにしましょう。

フクロモモンガ用のペレット、動物質(ミールワーム、コウロギなど)、肉類、果実、野菜、雑穀、種実類など。

フクロモモンガの飼育環境について

フクロモモンガのケージで重要なのは、大きさと高さがあるケージを選ぶことです。洋書ではおおむね「ペアで飼う時の最低限のサイズ」として底面積60~70㎝四方、高さ70~90㎝くらいのケージが推奨されています。また、つかっているケージの網目にも注意が必要です。大人のモモンガには問題がなくても、子どものモモンガは脱走するかもしれません。

室温は28℃を超えないようにすることで、フクロモモンガが快適に過ごせる環境を保てます。

雄雌の判別

オスとメスとの外見の違いはほとんどありません。性別は、生殖器と肛門の間の距離で判別します。

寿命

平均で10年前後とされていますが、適切な飼育環境であれば、12年から15年生きることもあります。

病気について

代謝性骨疾患
フクロモモンガの病気の中でも非常に多い病気です。骨が作られる仕組みがうまく働かずに骨に異常がおこる病気の総称です。
*代表的なのがくる病、骨軟化症、骨粗しょう症などがあります。

自傷
さまざまな理由によってモモンガが自分で自分の体を傷つけてしまうという問題行動で、外傷や感染症などの二次的な問題があります。

ペニス脱
性成熟するとオスはペニスを出したり、引っ込めたりします。長い時間出たままになっているとペニスが乾燥して戻りにくくなったり、腫れて膨らんでしまうと元に戻らなくなることがあります。

不正咬合
上下の切歯は上顎の歯が下顎の歯の前になるようにかみ合っています。何らかの理由で上下の歯のかみ合わせが悪くなると、摩耗や咬耗ができず、歯が伸びすぎてしまいます(歯の過長)。歯が異常な方向に延び噛み合わなくなる病気を不咬合といいます。

早見表

早見表
フクロモモンガの体の仕組み(成文堂新光社:ザ・モモンガより一部抜粋)
大きく突出した丸い目。暗闇でもモノを見ることができます。眼の中のペタカム層もそれを助けています。動くものを感知する動体視力も優れています。
大変優れた嗅覚を持っています。臭い付け行動からもわかるように、フクロモモンガは嗅覚に強く依存しています。鼻はうっすら湿っています。
聴覚は優れ、大きな耳介で音源の方向を見極めます。捕食動物が出す音や餌となる虫の入り音を聞き取ることができます。
歯と口 歯の数は全部で38本。木の皮をはぐのに適した突出した顎の切歯(前歯)を持っています。げっ歯目のモモンガと違い、歯が伸び続けることはありません。長い舌で花蜜を掬い取ります。
ひげ 樹洞の入口を測るなど、触覚器官としての役割。
四肢 足のつき方に特徴があり、犬などのように指先が前を向いて接地せず、横向きにつきます。木の登り降りに適しています。
指は前足が5本、後ろ足が5本。後ろ足の第2指と第3指は根元が一つの合指になって櫛のような働きをします。後ろ足の第1指には爪がありません。前足の第4指は長く、樹皮の裂け目から昆虫を取り出す助けになります。
体と同じくらいの長さの尾は滑空時の舵替わりのほか、ちょっとした巣材なら尾に巻き付けて運ぶことができます。
被毛 青みがかったグレーの被毛、鼻から尾の付け根にかけて黒っぽい縞があります。毛色にはバリエーションがあります。
飛膜 前足の小指から後ろ足の親指、尾の付け根から後ろ足の小指にかけて、よく伸び縮する飛膜があります。
泌尿生殖器 フクロモモンガの大きな特徴は、生殖管、尿管、直腸(肛門)の出口がひとつになっている「総排泄孔」を持つことです。
育児嚢 メスには有袋類独特の育児嚢があり、袋の中に4つの乳首を持っています。
臭腺 前額腺、胸腺、肛門腺、手足の表面、口のすみ、外耳の内側に臭腺があります。
消化管 野生化では樹脂に含まれる多糖類を微生物の助けを借りて醗酵、分解させて利用するので、大きな盲腸を持っています。
排せつ物 便は10㎜前後の楕円形。色は黒~黒褐色。尿は黄色っぽい透明色。
生理データ 心拍数は200~300/分、呼吸数は16~40/分。体温は直腸温36.3℃(総排泄孔温は32℃と低い)
寿命 野生化では5~7年。飼育下では12~15年。
体の大きさ 頭胴長約120~320㎜、尾長150~480㎜、体重平均110g(体重はオス100~160g、メス80~130gとするデータもあります)

(成文堂新光社:ザ・モモンガより一部抜粋)